Trademark Appeal Case
普通名称の略称の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2011−900325(T2011−900325/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5421874号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおり,「OSSB」の欧文字と「Oriented Structural Straw Board」の欧文字とを上下二段に書してなり,平成22年12月14日に登録出願,第19類「建築用及び床張り用の合板,構造用合板」を指定商品として,同23年5月12に登録査定,同年7月1日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は,商標法第3条第1項第1号,同第3号,同第6号,同法第4条第1項第10号,同第15号,同第16号及び同第19号に該当するから,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第22号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標は,建築用ボードの一種である「麦わらを構成要素として配向的に配置したボード」の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるため,商標法第3条第1項第1号に違反して登録された自他商品識別機能を有しないものである。
(2)本件商標は,指定商品中,「麦わらを原料とした合板」との関係において,商品の品質や原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるか,又は,自他商品識別力を有さない表示であるため,商標法第3条第1項第3号又は同第6号に違反して登録されたものである。
(3)本件商標は,その出願時及び査定時において周知であった申立人の使用する商標「ハーベストパネルOSSB」及びパネルボードホールディング社の使用する商標「OSSB」(以下,併せて「各引用商標」という。)と類似する商標であって,指定商品も類似するものである。したがって,本件商標は,申立人およびパネルボードホールディング社の業務に係る建築用ボードについての各引用商標と抵触するので,商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
(4)本件商標は,その出願時及び査定時において周知・著名性を獲得していた各引用商標と類似する商標であり,各引用商標と類似する本件商標がその指定商品に使用された場合には,あたかも申立人およびパネルボードホールディング社と関連する企業の業務に係わる商品であるかの如く誤って認識されるおそれがある。したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(5)本件商標は,「麦わら」を原材料としない建築用及び床張り用の合板及び構造用合板に使用すると,品質の誤認が生ずるおそれがあるので,商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。
(6)各引用商標と類似する本件商標は,不正の目的をもって出願されたものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
(7)以上のとおり,本件商標は,商標法第3条第1項第1号,同第3号,同第6号,同法第4条第1項第10号,同第15号,同第16号及び同第19号に違反して登録されたものであるから,その登録は,商標法第43条の2第1号によって,取り消されるべきである。
第3 当審の判断
1 本件商標について
本件商標は,別掲のとおり,大きく表した「OSSB」の欧文字と,「Oriented Structural Straw Board」の欧文字とを上下二段に書してなるものである。
そして,その構成中,下段の「Oriented」の文字部分は「方向づけられた」等,「Structural」の文字部分は「構造の,構造上の」等,「Straw」の文字部分は「麦わら,わら」等及び「Board」の文字部分は「板,・・台,・・盤」等の意味を有する英語(いずれもジーニアス英和辞典)であり,また,「建築用語.net(http://www.architectjiten.net/ag14/ag14_722.html)」によれば,「ストラクチュアルボード」は「構造用合板」を表す語であることから,「Oriented Structural Straw Board」の欧文字部分は,「方向づけられた構造用麦わら合板」程の意味合いを表したものということができる。
また,上段に大きく書された「OSSB」の文字部分は,下段の各欧文字の頭文字を表したものと認められる。
2 商標法第3条第1項第1号,同第3号又は同第6号及び同法第4条第1項第16号該当性について
申立人は,本件商標は建築用ボードの一種である「麦わらを構成要素として配向的に配置したボード」の普通名称又は「麦わらを原料とした合板」の品質や原材料を表示する語であるから,商標法第3条第1項第1号,同第3号又は同第6号に該当し,「麦わら」を原材料としない合板及び構造用合板に使用すると,品質の誤認が生ずるから同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである旨主張し,証拠方法として甲第3号証号証ないし甲第14号証を提出している。
(1)甲第3号証の1は,「Harvest Panel」「OSSB」とするエーディーワールド販売株式会社のパンフレットであり,「Harvest Panel OSSB」,「ハーベストパネルOSSB」,『日本初上陸の「ハーベストパネルOSSB」は,低炭素社会を実現させるエコロジー素材です。』との記載や「ハーベストパネルOSSBの原材料は,90%が麦わら。」との記載がある。パンフレット作成日は,2010年12月と認められる。同号証の2は,ハーベストパネルOSSBの価格表である。
(2)甲第4号証は,「ADWORLD Blog」のウェブサイトの写しであり,「ハーベストパネルOSSB」を使った新商品を紹介して「麦わらと言う農業副産物を使う事で森林資源の保護,CO2排出削減に貢献できるハーベストパネル商品は・・・」との記載がある。該ページは,2010年10月12日に掲載されたものと認められる。
(3)甲第5号証は,「OSSB」と表示されたパネルボードホールディング社のパンフレットであり,「OSSB」,『「OSSB(オリエンテッド・ストラクチュラル・ストロー・ボード:Oriented Structural Straw Board)」。捨てられていた麦わらをそのまま原材料として活用した,新しいパネルボードです。・・・製品名は「ゴールデンエコボード」と名付けました。』との記載がある。パンフレット作成日は,2010年3月と認められる。
(4)甲第6号証及び甲第7号証は,新聞記事又は新聞広告であり,甲第7号証の新聞記事には,「世界初の麦わら原料ボード工場」として「世界で初めて,麦わらを原料とした建築及び産業用ボードの量産工場が中国内陸部・・・に完成,昨年11月から商業生産を開始した。」との記載があり,下段には,麦畑からの贈り物・・・全く新しい木質ボードです」「ゴールデンエコボードの国内販売開始」「OSSB(配向性麦わらストランドボード)」との記載した商品「木材ボード」の広告と認められる。甲第7号証は,平成22年1月8日付けの日刊木材新聞であるが,甲第6号証は,新聞掲載日が確認できない。
(5)甲第8号証は,「ケンプラッツ建築・住宅」とするウェブサイトの写しであり,『東京・有明の国際展示場で3月9日〜12日まで,「建築・建材展 2010」が開催された。』との記載,写真とともに『パネルボードホールディングが出展した「OSSB(Oriented Structural Straw Board)」』との記載がある。該ページは,2010年3月25日に掲載されたものと認められる。甲第9号証は,その写真部分を拡大したものである。
(6)甲第10号証は,「建築家が考えるLOHASな住まい」とするウェブサイトの写しであり,「麦わらでできた木質ボード OSSB」,「まだ発売前なので建築建材展の紹介記事アドレスを記載する。」との記載がある。該ページは,2010年6月2日に掲載されたものと認められる。
(7)甲第11号証は,「鵜野日出男の今週の本音2009・2010」とするウェブサイトの写しであり,建築・建材展2010について,『ところがOSSBは,原料が麦わらで,・・オランダの起業家が考案し,ドイツのベンチャーと組んで中国に工場を建設し,やっと昨年から生産をはじめたもの。』との記載がある。該ページは,2010年3月10日に掲載されたものと認められる。
(8)甲第12号証ないし甲第14号証は,頭文字「OSSB」の意味についてのインターネット情報であり,「Oriented Structural Straw Board」との記載がある。
上記事実によれば,パネルボードホールディング社は,木質ボード「OSSB(配向性麦わらストランドボード)」を「ゴールデンエコボード」との商品名で国内販売を開始したこと(甲第7号証),そして,同社の商品パンフレットによれば,「OSSB」とは,麦わらを構成要素として配向的に配置したボード程の意味合いを認識させる英語ある「Oriented Structural Straw Board」の頭文字を表した略称であることが認められる(甲第5号証)。また,該商品は,「建築・建材展 2010」に出展されたものである(甲第8号証,甲第9号証及び甲第11号証)。
一方,エーディーワールド販売株式会社が販売する合板は「ハーベストパネルOBBS」と表示されており(甲第3号証及び甲第4号証),「使ってみたい建材 OSSB」として,「麦わらでできた木質ボードOSSB」等と記載があるが(甲第10号証),これらの「OSSB」の文字部分が「オリエンテッド・ストラクチュラル・ストロー・ボード:Oriented Structural Straw Board」であるか否かは確認ができない。
そうとすると,提出に係る証拠によっては,上記2社以外の者が,「OSSB」又は「OSSB/Oriented Structural Straw Board」と表示した商品を販売している事実は見あたらない。
また,甲第12号証ないし甲第14号証は,「OBBS」が頭文字であることについての情報にすぎない。
上記のとおり,本件指定商品の取引界において,「麦わらを構成要素として配向的に配置したボード」を表示するものとして,「OSSB」又は「OBBS/Oriented Structural Straw Board」を使用している者はパネルボードホールディング社であり,「麦わらでできた木質ボード」を表示するものとして「OSSB」を使用している者はエーディーワールド販売株式会社であって,該2社以外の不特定多数の者が使用している事実は認められないものであるから,「OBBS/Oriented Structural Straw Board」が麦わらを原料とした合板の一種を表す一般的な名称であると認識されるに至っているものとまでは,到底認めることができない。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第1号に該当しない。
また,本件商標は,下段の「Oriented Structural Straw Board」の文字部分が,「麦わらを構成要素として配向的に配置したボード」程の意味合いを表したものであって,上段の「OSSB」の欧文字部分がその略称であるとしても,それぞれが,直ちに商品の品質等を,直接的,かつ,具体的に表示するものとはいい難いものである。
そうとすれば,本件商標は,これをその指定商品中,「麦わらを原料とした合板」に使用しても,商品の品質等を表するのみからなるものということはできず,かつ,前記商品以外の商品に使用しても,商品の品質について誤認を生じさせるおそれもないものである。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
さらに,本件商標は,商品の普通名称,又は,商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ではなく,他に,商標としての機能を果たし得ないとすべき特段の事情もない。
そうとすれば,本件商標は,これをその指定商品に使用しても,自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえないものである。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第6号に該当しない。
3 各引用商標の周知性について
申立人は,甲第3号証ないし甲第9号証,甲第11号証,甲第15号証ないし甲第22号証を提出し,申立人及びパネルボードホールディング社の各引用商標は,本件商標の出願時及び査定時において,需要者・取引者間ですでに周知,著名性を獲得していた旨主張する。
(1)甲第3号証ないし甲第9号証及び甲第11号証は,前記アないしオ及びキに記載したとおりである。
(2)甲第15号証は,株式会社エーディーワールドが,「ハーベストパネルOSSB」のWEBサイトをオープンした旨及び「製品の概要」として「ハーベストパネルOSSBは収穫された小麦の麦わらを有効利用して作られる,環境に優しいエコ素材。」との記載がある。該ページは,2010年11月30日に掲載されたものと認められる。
なお,甲第20号証は,同社が商品を紹介しているウェブサイトの写しであるが,該ページの掲載日は確認することができない。
(3)甲第16号証は,道材株式会社が「ハーベストパネル」(OSSB)を紹介するもの(2010年7月27日に掲載),また,甲第17号証(2010年5月10日に掲載)及び甲第18号証(同年7月5日に掲載)は,インテリア情報サイトにおいて,株式会社エーディーワールドの商品「OSSBボード」についての記載であり,甲第19号証(同年11月19日に掲載)は,OSSBボードを使用したカウンター又は天井を紹介したブログ,甲第21号証(2011年1月13日に掲載)は,麦わらボードOSSB紹介し「ハーベストボード」という商品名で販売している旨及び甲第22号証(同年5月3日に掲載)は,「ハーベストパネルOSSB」という商品名である旨が記載されているウェブサイトの写しである。
これら各甲号証によれば,申立人又はパネルボードホールディング社は,商品パネルボードに各引用商標を表示して販売していることが認められるものの,申立人から,各引用商標の我が国において使用を開始した時期,使用地域,営業の規模(店舗数,営業地域,売上高等),広告宣伝の方法,回数及び内容等,各引用商標の周知・著名性を証する書面は,提出されていない。
そうとすれば,申立人提出に係る証拠によっては,本件商標の登録出願時及び査定時において,各引用商標が申立人又はパネルボードホールディング社の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く知られているとまでは認めることができない。
4 商標法第4条第1項第10号,同第15号及び同第19号該当性について
前記3のとおり,各引用商標は,申立人又はパネルボードホールディング社の業務に係る商品を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において需要者の間に広く認識されていたものとはいえないから,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号に違反してされたものではない。
そして,商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても,これに接する需要者が申立人又はパネルボードホールディング社の使用に係る各引用商標を想起,連想させるものではないというのが相当であるから,申立人又はパネルボードホールディング社並びに同人らと経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきであり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではない。
さらに,申立人提出の証拠によっては,商標権者が各引用商標の出所表示機能を希釈化させ,その名声等を毀損させる目的を持って本件商標を出願し,登録を受けたと認めるに足る具体的事実を見いだすことができず,本件商標は,不正の目的をもって使用するものということもできないから,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第19号に違反してされたものではない。
5 まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第3条第1項第1号,同第3号,同第6号,同法第4条第1項第10号,同第15号,同第16号及び同第19号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきものとする。
よって,結論のとおり決定する。
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