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Trademark Appeal Case

周知商標と混同のおそれ

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2009−900452(T2009−900452/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5263495号商標の指定商品中,第12類「自転車の部品及び付属品(自転車のタイヤ・チューブ・車輪・リム・スポークを除く。),ただし,競技用自転車の部品及び付属品(自転車のフレーム・タイヤ・チューブ・車輪・リム・スポークを除く。)を除く。」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5263495号商標(以下「本件商標」という。)は,「POTENZA」の文字を標準文字により表してなり,2006年10月27日に域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,第12類「自転車の部品及び付属品(自転車のタイヤ・チューブ・車輪・リム・スポークを除く。)」を指定商品として,平成21年7月27日に登録の審決がなされ,同年9月4日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人「株式会社ブリヂストン」(以下「申立人」という。)が引用する登録第1569999号商標(以下「引用商標」という)は,「POTENZA」の文字からなり,昭和54年3月1日に登録出願,第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同58年2月25日に設定登録されたものである。

そして,その指定商品については,平成5年6月29日及び平成15年2月4日に商標権の存続期間の更新登録,その後,平成16年6月16日に指定商品の書換登録により,第6類,第9類及び第13類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品並びに第12類「船舶並びにその部品及び附属品(「エアクッション艇」を除く。),エアクッション艇,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」となり,さらに,本件申立人の請求に係る商標権の一部取消し審判により,その指定商品中「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」について商標登録を取り消すべき旨の審決が確定し,その確定審決の登録が平成21年6月25日にされ,現に有効に存続しているものである。

また,引用商標には,平成21年2月20日に,第12類「荷役用索道,カーダンパー,カープッシャー,カープラー,牽引車,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,落下傘,乗物用盗難警報器,車いす,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。)」を指定商品とする防護標章登録第1号が設定登録されている。

第3 登録異議の申立の理由

申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきである旨申立て,その理由(要旨)を以下のとおり述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第62号証を提出した。

引用商標は,申立人の業務に係るタイヤに使用する商標として本件商標の登録出願時には,需要者,取引者間に広く認識されていたものであり,その状態は本件商標の登録査定時においても継続していた。

本件商標と引用商標は,共に「POTENZA」の文字からなる同一又は類似の商標である。そして,本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品とは非類似の関係にはあるが,「乗物その他移動用の装置」に区分された同じ第12類に属する商品であり,全く関係ないわけではない。また,申立人の関連会社の一つに自転車メーカーであるブリヂストンサイクル株式会社(以下「ブリヂストンサイクル」という。)が存在し,同社では本件の指定商品と同様の商品を取り扱っている事実がある。これらを総合勘案すると,引用商標の周知・著名性は,本件商標の指定商品の分野にも及んでいる。

したがって,本件商標をその指定商品に使用した場合には,これに接する需要者,取引者は,引用商標を連想,想起し,該商品が申立人及びその関係会社又はこれらと経済的・組織的に何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく,その出所について混同を生ずるおそれがある。

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

第4 本件商標に対する取消理由(要旨)

1 平成22年5月10日付け取消理由

(1)申立人の提出に係る甲各号証及び主張によれば,以下の事実が認められる。

(ア)甲第4号証ないし甲第31号証は,1985年3月から2009年6月までの間に発行された申立人作成の「BRIDGESTONE TIRE CATALOGUE」(乗用車用タイヤなどの総合カタログ)であるところ,これらのカタログには,申立人が1979年に発売を開始したと主張する「POTENZA」(以下「使用商標」という。)が,乗用車用タイヤの商標の一つとして,その商品の機能特性,使用商標を付したタイヤの写真などと共に掲載されているほか,当該タイヤが,1986年にポルシェ,89年にフェラーリに採用されて以降,多くの輸入外車に標準装備されており,最終版である2009年版においては,アストンマーチン,アルファロメオ,フェラーリ,フォルクスワーゲン,プジョー,ポルシェ,アウディ,マセラティ,メルセデスベンツ及びBMWの輸入外車の各車種並びにレクサス,トヨタ,ホンダ及びダイハツの国産車の各車種に標準装備されていることなどが記載されている。

(イ)甲第32号証ないし甲第36号証,甲第38号証,甲第54号証,甲第55号証,甲第58号証及び甲第59号証は,2007年4月25日から2009年3月26日までの間の申立人のニュースリリースであるところ,これには,使用商標を付したタイヤが,アウディとメルセデスベンツの新車種に標準装備されたこと,F1世界選手権,GP2シリーズ,全日本選手権フォーミュラ・ニッポンなどの国内外のモータースポーツにおいて使用されていること及び2008年度グットデザイン賞を受賞したことなどが記載されている。

(ウ)甲第39号証ないし甲第48号証は,2001年3月1日から2007年10月5日までの間に発刊されたスポーツ報知及び讀賣新聞などの新聞の掲載記事及び広告の写しであるところ,その記事中には,2002年に日本で開催された世界最速の自動車レース米CART選手権において,CARTへの供給ブランド名をそれまでの「ファイアストーン・ファイヤホーク」から「ブリジストン・ポテンザ」に変更したことに伴い,選手権名が「BRIDGESTONE POTENZA」となったことなどが掲載されており,また,広告には,使用商標を付したタイヤの拡大部分の写真,「POTENZA」及び「BRIDGESTONE」の文字などが表示されている。

また,甲第49号証ないし甲第53号証は,2007年1月1日から2008年2月23日までの間に発行された「OPTION(株式会社三栄書房)」及び「LE VOLANT(株式会社学習研究社)」などの自動車関連雑誌の掲載記事及び広告の写しであるところ,これには,使用商標を付したタイヤを装着した車の写真,「POTENZA」及び「BRIDGESTONE」の文字などが掲載されている。

そして,申立人は,前記の新聞及び雑誌への広告を含め,2001年から2007年の7年間における使用商標を付したタイヤに関する広告実績について,以下のとおりであると主張している。

・新聞掲載広告:計126紙,広告掲載費用年間約1500万円

・雑誌掲載広告:計393誌,広告掲載費用年間約4600万円

・TVCM:年間約200本,放映料年間3億4000万円

・ラジオCM:年間約200本,放送料年間約4000万円

・看板設置:富士スピードウエーなど,看板媒体料年間約2500万円

(エ)甲第61号証は,日本著名商標集の写しであるところ,これには,申立人の英語名と共に,「POTENZA」が,「Goods/Services」を「Vehicle tires,Inner tubes for vehicle tires」として掲載されている。

(オ)前記第2及び甲第1号証ないし甲第3号証のとおり,申立人は,使用商標と同一の綴り字からなる引用商標を所有しており,これには防護標章登録第1号が設定登録されている。

(2)以上認定した事実によれば,使用商標は,申立人が輸入外車や国産車用のタイヤ及びF1世界選手権を含む国内外のモータースポーツなどにおける自動車用のタイヤの商標として,約30年にわたり継続的に使用し,また,積極的に広告宣伝活動を行った結果,本件商標の登録出願時には,「自動車用のタイヤ」の需要者のみならず,自動車や自動車レースに関連する商品の需要者の間に広く認識されていたものと認められ,その著名性は登録審決時においても継続していたものということができる。

そして,本件商標の指定商品は,「自転車の部品及び付属品(自転車のタイヤ・チューブ・車輪・リム・スポークを除く。)」であるところ,「自動車用のタイヤ」と類似する商品を除いてはいるが,残余の商品と「自動車用タイヤ」とは,共に乗物の部品であって,その性質,用途又は目的における関連性の程度は極めて高いものということができる。また,本件商標は,使用商標と同一の綴り字からなるものであり,かつ,該語は特定の意味を有する既成の語ではない。

以上の事情を総合考慮すると,本件商標をその指定商品について使用した場合,これに接する需要者が,申立人の業務に係る著名な使用商標を連想,想起し,該商品が申立人又は同人と経済的,組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように誤信し,その出所について混同するおそれがあるものといわざるを得ない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

2 平成23年3月1日付け取消理由

職権調査の結果,先の取消の理由を裏付ける新たな証拠を発見したので通知する。

(1)被請求人は,「出所の混同が生じる点に関しては有効な証拠が提出されていない。」旨主張するが,「自動車用のタイヤ」と本件の指定商品及びそれを含む「自転車並びにその部品及び付属品」(以下「自転車等」という)に関する取引の実情をみると,職権調査の結果,以下の(ア)ないし(ウ)の事実が認められる。

(ア)申立人を含む複数の自動車タイヤを製造・販売するメーカーにおいて,自社又はその関連会社が自転車等を販売していること

(a)「ブリヂストンサイクル」のウェブサイト

当該ウェブサイトにおける以下の記載を含む掲載記事によれば,自転車の製造・販売を主な事業内容とする「ブリヂストンサイクル」が申立人の関連会社であること,また,申立人が所有し,使用する「BRIDGESTONE」(登録第4270648号ほか)と同一のロゴを,同社が自転車等について使用していること等が認められる。

「〈会社案内〉/〈事業概要〉/ブリヂストンサイクル株式会社は,第2次大戦後の民需転換により自転車の製造を始め,ブリヂストンタイヤ株式会社(現 株式会社ブリヂストン)から分離独立,ブリヂストングループ最初の主要関係会社として設立されました。現在,ブリヂストンサイクルは日本の自転車産業のトップメーカーとして,自転車社会の発展に取り組んでいます。技術開発部門では最先端の技術で新製品を開発,4工場(国内3・海外関連会社1)では最高の品質の製品を生産,そして全国ネットの販売会社2社・8営業本部でベストサービスを提供しています。」

(http://www.bscycle.co.jp/company/corp_enterprise.html)

(b)「Yahoo!オークション」のウェブサイトにおける「ダンロップ自転車」の検索結果

当該ウェブサイトの掲載記事によれば,車両用のタイヤの製造・販売を主たる事業内容とする「住友ゴム工業株式会社」が自社製品に使用する「DUNLOP」と同一のロゴが付された自転車パーツが流通していることが認められる。 (http://auctions.search.yahoo.co.jp/search?p=%e3%83%80%e3%83%b3%e3%83%ad%e3%83%83%e3%83%97+%e8%87%aa%e8%bb%a2%e8%bb%8aoq=auccat=0tab_ex=commerceei=UTF8s1=bidso1=a)

(c)「自転車の専門店 CYCLE YOSHIDA」及び「Michelin North America, Inc.」のウェブサイト

当該ウェブサイトの掲載記事によれば,自動車用タイヤの製造・販売を主な事業内容とするミシュラングループが自転車用のタイヤの製造・販売を行っていることが認められる。

(http://www.cycle-yoshida.com/fukaya/michelin_menu.htm)

(http://www.michelinbicycletire.com/michelinbicycle/index.cfm?event=technologyprimer.view)

(イ)申立人の関連会社の製品と被請求人の製品が同一の店舗において販売されていことが,以下のウェブサイトの掲載記事により認められる。

(a)自転車・クロスバイク通販【サイクルベースあさひ】のウェブサイト(http://www.cb-asahi.co.jp/maker/index.html)

(http://www.cb-asahi.co.jp/item/01/00/item23306500001.html)

(http://www.cb-asahi.co.jp/item/74/05/item12109700574.html)

(b)「札幌じてんしゃ本舗」のウェブサイト

(http://www.jitensyahonpo.com/cyclebrand/index.html)

(c)「自転車のQBEI通販サイクルショップ」のウェブサイト

(http://www.qbei.jp/)

(http://www.qbei.jp/advanced_search_result/?keyword=%A5%D6%A5%EA%A5%C2%A5%B9%A5%C8%A5%F3sort=2apage=4)

(http://www.qbei.jp/advanced_search_result/?main_page=advanced_search_resultkeyword=%A5%AB%A5%F3%A5%D1%A5%CB%A5%E7%A1%BC%A5%ED)

(d)「Yahoo!ショッピング」「CYCLE YOSHIDA」のウェブサイト

(http://store.shopping.yahoo.co.jp/cycle-yoshida/bcabc5bebc2.html)

(ウ)本件の指定商品が自転車等と同一の店舗で販売されていることが,以下のウェブサイトの掲載記事により認められる。

(a)「自転車館 MacHarry」のウェブサイト

(http://homepage3.nifty.com/jitenshakan/shop.html)

(b)「自転車館びーくる」のウェブサイト

(http://www.vehicle-cyc.co.jp/)

(c)「自転車専門店ロードバイクショップCOG’S」のウェブサイト

(http://www.cogs.jp/)

(2)前記(1)において認定した(ア)申立人を含む複数のタイヤメーカーにおいて,自社又はその関連会社が自転車等を販売していること,(イ)申立人の関連会社の製品と被請求人の製品が同一の店舗において販売されていること,(ウ)本件の指定商品が自転車等と同一の店舗で販売されていることの事実及び先の取消理由(平成22年5月10日付)において認定した事実を総合考慮すれば,本件商標をその指定商品について使用した場合,これに接する需要者が,申立人の業務に係る著名な使用商標を連想,想起し,該商品が申立人又は同人と経済的,組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように誤信し,その出所について混同するおそれがあるといわざるを得ない。

第5 被請求人の意見

被請求人は,前記第4の1及び2の取消理由に対し,次のように意見を述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第86号証を提出した。

1 使用商標は,「自動車のタイヤ」以外の指定商品,特に本件の指定商品の需要者の間では広く認識されているものではない。また,「POTENZA」は,「力,支配力,影響力」などの意味を有するイタリア語の既成語であるから創作性はないことなどからすれば,本件商標をその指定商品に使用したとしても,引用商標との関係で,商品の出所について混同を生ずるおそれはない。そして,前記第4の1の取消理由には,出所の混同が生じる点に関しては有効な証拠が提出されていない。

2 被請求人は,商標権の一部抹消登録申請者により指定商品の一部放棄を行い,本件商標の指定商品を「競技用自転車の部品及び付属品(自転車のフレーム・タイヤ・チューブ・車輪・リム・スポークを除く。)」とすべく準備を行っていたが,放棄による商標権の一部抹消登録申請による指定商品の一部放棄によっては,本件の審理に何らの影響も及ぼさないことが判明したので,その手続きは行わないことにした。

しかし,商標権の一部抹消登録申請を行う予定であった「競技用自転車の部品及び付属品(自転車のフレーム・タイヤ・チューブ・車輪・リム・スポークを除く。)」以外の指定商品についての取消理由については,承服する。

3 自動車タイヤメーカー又は同関連会社が,自転車等を製造販売する例は極めて少なく,製造販売していても一般用自転車か自転車用タイヤを取り扱う程度で,「競技用自転車の部品及び付属品(自転車のフレーム・タイヤ・チューブ・車輪・リム・スポークを除く。)」を取り扱う自動車タイヤメーカーは見あたらない。

また,ブリヂストンサイクルが申立人と同一ロゴを使用し,自転車及びその部品を販売しているとしても,その事実をもって,自動車用タイヤと自転車及びその部品の関連性が高いとはいい得ない。

ブリヂストンサイクルと被請求人の製品が,各種ショッピングサイトで共に販売されている事実はあるが,ブリヂストンサイクルの自転車部品は,一般用自転車向けの比較的安価な商品であり,被請求人の商品は,競走用自転車向け専門的かつ高額な商品であるから,両商品は,需要者の範囲,用途,価格などが明確に異なり,需要者が,自己の自転車に装着する商品として,ブリヂストンサイクルと被請求人の商品を誤認混同して購入することは考えがたい。

さらに,ブリヂストンサイクルは,自転車及び自転車のタイヤに引用商標は,一切使用せず,それと異なる商標を使用しており,特に競技用自転車に関しては,商標「ANCHOR」が一定の周知性を獲得していると認められるから,本件商標がその指定商品に使用されたとしても,当該商品がブリヂストンサイクルの取り扱いに係る商品であるかのごとく誤認されるおそれはない。

一方,被請求人は,本件の指定商品の分野では高い評価を得ており,被請求人と株式会社シマノで市場を独占している状態にあり,このような市場に,申立人が参入してくるとは考え難く,被請求人が本件商標をその指定商品に使用したとしても,申立人の業務に係る商品であると誤認されるおそれはない。

第6 当審の判断

1 前記第4の1及び2の取消理由に対し,被請求人は,本件の指定商品中の「競技用自転車の部品及び付属品(自転車のフレーム・タイヤ・チューブ・車輪・リム・スポークを除く。)」以外の指定商品を取り消すことについては認めている。

そして,前記第4の1及び2の取消理由は妥当なものであるから,被請求人が取り消しを認めている商品,すなわち,「自転車の部品及び付属品(自転車のフレーム・タイヤ・チューブ・車輪・リム・スポークを除く。),ただし,競技用自転車の部品及び付属品(自転車のフレーム・タイヤ・チューブ・車輪・リム・スポークを除く。)を除く」については,当然に取り消すべきものである。

そこで,争いのある商品「競技用自転車の部品及び付属品(自転車のフレーム・タイヤ・チューブ・車輪・リム・スポークを除く。)」の商標法第4条第1項第15号の該当性について,以下検討する。

競技用自転車は,自転車競技に使われる車種であり,それぞれの競技に最適化して,特有の機能を盛り込んでいるものであって,トラックレーサー,ロードバイク,マウンテンバイク,MTBなどの種類があることが認められる(フリー百科事典「ウィキペディア」)。

そして,「『競技用自転車の部品及び付属品』(自転車のフレーム・タイヤ・チューブ・車輪・リム・スポークを除く。)には,『変速機,多段ギア,ブレーキ,ハブなど』」が含まれるところ(以下,これらを「競技用自転車の部品等」という。),これら商品の取引の状況について,前記第4の2の取消理由において提示した証拠及びそれにより認定した(ア)ないし(ウ)の事実について検討する。

(ア)申立人を含む複数のタイヤメーカーにおいて,自社又はその関連会社が,自転車,自転車用のタイヤなどを販売していることは認められるものの,当該タイヤメーカーが,競技用自転車の部品等を販売している事実は見あたらない。

(イ)申立人の関連会社の製品と被請求人の製品が同一の店舗において販売されていることは認められるものの,両者の製品として競技用自転車の部品等が同一の店舗において販売されている事実は見あたらない。

また,申立人の関連会社が競技用自転車を販売していることは認められものの,被請求人の製品と同一店舗での販売が確認できるのは,ロードフレームやMTBフレームなどの競技用自転車の部品等に含まれない商品であり,かつ,これらの商品は「ANCHOR(アンカー)」のブランド名で販売され,使用商標も「BRIDGESTONE」も使用されていない。

(ウ)本件の指定商品が自転車等と同一の店舗で販売されていることは認められるものの,前記(イ)のとおり,当該店舗で申立人及びその関連会社が競技用自転車の部品等を販売している事実は見あたらない。

以上のとおり,前記第4の2の取消理由において開示した証拠からは,申立人を含むタイヤメーカー又は申立人の関連会社の取り扱いに係る競技用自転車の部品等が被請求人の取り扱いに係る競技用自転車の部品等と同一の店舗で販売されている事実は認められない。

そうすると,「自動車タイヤメーカー又は同関連会社が,自転車等を製造販売する例は極めて少なく,製造販売していても一般用自転車か自転車用タイヤを取り扱う程度で,競技用自転車の部品等を取り扱う自動車タイヤメーカーは見あたらない。」旨の被請求人の主張は首肯できるものである。

また,被請求人の主張及び職権による調査によれば,競技用自転車は,競技用としてその用途が限られ,かつ,専門性の高い商品であることから,一般用自転車に比して高額であり,需要者の範囲も限られ,かつ,販売場所も専門店やウェブサイトにおける注文販売などが一般的であることが認められるから,需要者が,自己の自転車に装着する商品を申立人又はブリヂストンサイクルの商品であると誤認混同することは考えがたいというのが相当である。

2 以上の競技用自転車の部品等の取引の実情を考慮すれば,使用商標がたとえ「自動車用のタイヤ」及び自動車や自動車レースに関連する商品の需要者の間に広く認識されていたしても,本件商標を競技用自転車の部品等,すなわち,「競技用自転車の部品及び付属品(自転車のフレーム・タイヤ・チューブ・車輪・リム・スポークを除く。)」について使用した場合,これに接する需要者が,申立人の使用商標を連想,想起し,該商品が申立人又は同人と経済的,組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように誤信し,その出所について混同するおそれがあるということはできない。

したがって,本件商標は,その指定商品中の「競技用自転車の部品及び付属品(自転車のフレーム・タイヤ・チューブ・車輪・リム・スポークを除く。)」についは,商標法第4条第1項第15号に該当しない。

3 むすび

以上のとおり,本件商標の指定商品中,第12類「自転車の部品及び付属

品(自転車のフレーム・タイヤ・チューブ・車輪・リム・スポークを除く。),ただし,競技用自転車の部品及び付属品(自転車のフレーム・タイヤ・チューブ・車輪・リム・スポークを除く。)を除く。」についての登録は,商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,取り消すべきものである。

しかし,「競技用自転車の部品及び付属品(自転車のフレーム・タイヤ・チューブ・車輪・リム・スポークを除く。)」についての登録は,取り消すべき理由はないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

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