Trademark Appeal Case
ECCOMIとECCOの称呼類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2011−900301(T2011−900301/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5412997号商標(以下「本件商標」という。)は、「エッコミー」の片仮名及び「ECCOMI」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、平成22年12月16日に登録出願され、第14類「時計,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,キーホルダー,宝石箱」及び第25類「被服(和服を除く。),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として同23年3月8日に登録査定、同年5月20日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、次の(1)ないし(4)のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1735236号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ECCO」の欧文字を横書きしてなり、昭和57年7月5日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同59年12月20日に設定登録され、その後、2回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
その後、指定商品については、平成17年9月7日に第18類「傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」、第21類「靴用起毛ブラシ,靴用スポンジブラシ,その他の靴ブラシ,軟質ゴムを用いた靴よごれ落とし,その他の靴よごれ落とし,靴磨き布,靴磨き用のスポンジ,軽便靴クリーナー,靴べら,シューツリー」、第25類「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類」及び第26類「靴飾り(貴金属製のものを除く。),靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第3035409号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成4年7月27日に登録出願、第25類「履物(但し,げたを除く。)」を指定商品として、同7年3月31日に設定登録されたものである。
(3)登録第3035410号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成4年7月27日に登録出願、第25類「履物(但し,げたを除く。)」を指定商品として、同7年3月31日に設定登録されたものである。
(4)登録第3035411号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成4年7月27日に登録出願、第25類「履物(但し,げたを除く。)」を指定商品として、同7年3月31日に設定登録されたものである。
以下、前記した引用商標1ないし4をまとめていうときは、単に「引用商標」という。
3 登録異議申立ての理由の要点
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が抵触することは明らかである。そして、引用商標は本件商標の指定商品中の「履物、運動用特殊靴」の分野において著名であり、本件商標に接する需要者は申立人の商標ないしは申立人の略称として認識される「ECCO」の文字部分に注目し、当該部分をもって称呼・観念することは必定であるから、本件商標と引用商標とは類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第10号について
引用商標が使用されて著名となっている商品「履物、運動用特殊靴」と本件商標の指定商品中「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴」とは類似のものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用商標は、類似するうえ、本願商標の指定商品と引用商標が使用されてきた商品とは、類似のものである。また、非類似の商品であっても、今日では、同一の者によって取り扱われることの多い商品である。
したがって、本件商標が、その指定商品に使用された場合には、その構成中の「ECCO」の文字部分から申立人の著名商標を連想して出所の混同を生ずることは必定であるから、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第19号について
引用商標は、本件商標の出願前に世界的に著名なものとなっており、既成語でない引用商標を含んだ商標がたまたま採択されることは考え難く、本件商標は不正の目的をもって使用されると考えるのが自然であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
(5)商標法第4条第1項第7号について
履物関係の分野において著名であるが故に顧客吸引力を有する財産的価値ある引用商標を含んで、かつ、その存在が需要者に認識できるように、他の構成語と一文字程度の間隙をもって配置された本件商標を自己の商標として採択登録することは商道徳に反するものである。
商標法第4条第1項第7号の「公の秩序」には同法の趣旨からして商道徳も含まれると解すべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
(6)商標法第4条第1項第8号について
「ECCO」は本件商標の出願前に申立人の略称として著名であったことは明らかであり、本件商標は、申立人の著名な略称を含み、申立人の承諾を得ていないものであるから、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものである。
(7)まとめ
以上の如く、本件商標は、上記した商標法第4条第1項各号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第10号及び同第11号について
本件商標は、上記1のとおりの構成よりなるところ、その構成中の片仮名及び欧文字は、いずれも同書・同大・同間隔で表されており、外観上まとまりよく一体のものとして看取されるものである。
そして、一般に、欧文字と仮名文字を併記した構成の商標において、その仮名文字部分が欧文字部分の読みを特定すべき役割を果たすものと無理なく認識し得るときは、仮名文字部分から生ずる称呼が、当該商標より生ずる称呼とみるのが自然であり、本件商標においても、片仮名部分が欧文字部分の読みを特定したものといえるから、本件商標は「エッコミー」の一連の称呼のみを生ずるものというべきである。
また、本件商標は、既成の親しまれた観念を有する成語を表したものとは認められず、全体をもって一つの造語からなるものとして認識し把握されるものといえる。
他方、引用商標1は「ECCO」の文字からなり、引用商標2ないし4は別掲1ないし3のとおり、「ecco」の文字をやや図案化した構成よりなるところ、いずれも、既成の親しまれた観念を有する成語を表したものとは認められず、「エッコ」の称呼を生ずるほか、後述のとおり、申立人の業務に係る商品について使用する商標として「エコー」と称されて知られていることからすると、「エコー」の称呼をも生ずるものといえる。
そこで、本件商標から生ずる「エッコミー」の称呼と引用商標から生ずる「エッコ」及び「エコー」の称呼とを対比すると、「エッコミー」と「エッコ」とでは、構成音数を異にするばかりでなく、前者は後者には無い「ミー」の音を有し、しかもこの「ミー」の音は長音を伴い強く響き余韻を持って聴取されるものであるから、それぞれを一連に称呼するときは、全体の音感、音調が明らかに異なり、容易に区別することができるものである。
また、「エッコミー」と「エコー」とでは、やはり構成音数を異にし、促音「ッ」及び「ミ」の音の有無という顕著な差異により、それぞれを一連に称呼するときは、全体の音感、音調が明らかに異なり、容易に区別することができるものである。
そして、本件商標と引用商標とは、それぞれの構成に照らし、外観上明確に区別し得る差異を有するものであり、また、両商標はいずれも既成の親しまれた観念を有するものでない以上、観念上比較することもできない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
また、申立人が自己の業務に係る商品「履物、運動用特殊靴」について使用する商標として周知著名になっている旨主張する商標は、申立人の提出に係る証拠によれば、引用商標と同一の構成からなるものと認められるから、申立人の使用に係る当該商標も、引用商標と同様、本件商標とは非類似の商標というべきである。
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第11号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)デンマーク大使館のウェブサイトには、デンマーク企業の紹介として、引用商標1及び2の表示と共に、「エコーの創立者カール・トゥースビューは、履き心地のよい靴を作りたいという強い信念を持ち、この信念の上に1963年、デンマークで靴工場を始めました。・・・今日エコーは、大人・子供、男性女性の為のビジネス、カジュアルそしてスポーツ用シューズメーカーのグローバル・リーダーです。2008年には1,760万足以上の売り上げを記録し、収入(税抜)が53.7億DKK(約7.47億US$)に達しました。エコー社には、世界総勢で15,000人以上の社員がおり、ヨーロッパ、アジア、北米に子会社、さらに世界中にパートナーがいます。エコー・シューズは、世界の3000店以上のシューズショップで売られ、その内870店が単独ブランド(エコー専属)のショップです。」と記載されている(甲196)。
また、上記ウェブサイト3頁の最終行には、「編集済み7月24,2009」と記載されていることからすると、本件商標の登録出願前である2009年7月24日時点の事情を示している。
(イ)日本においては、アキレス株式会社が1982年より販売を開始し、商品「靴類」等に関するパンフレット、カタログを1983年から2010年の間に作成(甲第13ないし26、197ないし199及び201ないし208)しており、該パンフレット、カタログには、いずれも表紙及び裏表紙を始め、随所に引用商標が大きく表示されているほか、引用商標を付した靴や靴の手入れ用品の写真、靴の展示状態を示す写真等が掲載され、商品等の説明として「エコー サイズ換算表」(甲13、16)、「エコーは強く、丈夫です。」(甲14)、「エコーのお手入れに・・・」(甲16、18)、「履き心地で選ぶなら、カジュアルからビジネスまで/フルタイム・エコー。」(甲18)、「エコーの歴史は1963年、北欧の王国デンマークで始まった。」(甲19)、「ECCOは、デンマーク『ECCO社』との技術提携により、日本ではアキレス株式会社が輸入、製造販売しております。」(甲26、197、198、201、202及び206ないし208)等、記載されている。
(ウ)2003年に発行された「オブラ」(甲6)、2004年に発行された「フットウェア・プレス」(甲7)、「smart」(甲8)、「あんふぁん」(甲9)、「ゲイナー」(甲11)、及び「ヴェリィ」(甲12)の各雑誌、並びに「読売新聞」(甲10)においては、引用商標1又は2とともに申立人商品が紹介又は広告され、「コンフォートシューズの代名詞 グローバルブランドの”エコー”の真価」、「『エコー』というブランドを耳にすれば、多くの人がコンフォートシューズを連想する。」(甲6)、「ウォーキングシューズとしておなじみの『エコー』」(甲9)、「北欧デンマーク生まれのやさしい靴、エコーを・・・」(甲10)と記載されている。
(エ)G−searchの新聞・雑誌記事横断検索情報(甲27)における「産経新聞」(2008.11.14付)、「NNAアジア経済情報」(2005.8.29付)、「読売新聞」(2004.10.9付)、「北海道新聞」(2003.6.7付)、「毎日新聞」(1999.10.14付)、「日刊工業新聞」(2009.11.13付)、及び「FujiSankei Business i」(2006.10.4付)において、引用商標1の表示とともに申立人を始め、申立人の靴やその取扱い者等について報道されており、順に「・・・『ecco(エコー)』は、1963年にデンマークで生まれたコンフォートシューズの代名詞的ブランド。・・・」(1/6ページ)、「『ecco(エコー)』ブランド靴を生産するデンマーク系・・・」(3/6ページ)、「デンマークのメーカー『ecco』のシューズを・・・」(4/6ページ)、「・・・デンマークのメーカー・エコー社と技術提携してアキレスが日本で製造しているeccoウォーキングシューズ。・・・」、「・・・天満屋は、『ecco』のウォーキングシューズ・・・」(いずれも5/6ページ)、「・・・本格展開するeccoは、ドレスシューズ主体・・・」(1/2ページ)、及び「・・・デンマーク生まれのシューズブランド『ECCO』の・・・」(2/2ページ)と記載されている。
(オ)2010年2月17日に紙出力したと認められる「ECCO Shop List」のウェブページ(甲29)には、申立人の靴を取り扱う店舗が、北海道・東北、関東、中部、関西、中国・四国、及び九州・沖縄の各地域に存在していることを示す各地域名が記載されている。
(カ)2010年2月5日又は同19日に紙出力したと認められるGoogle検索結果情報(甲30)においては、キーワードが「ecco 靴」では約326,000件、「ecco ゴルフシューズ」では約48,800件、「ecco 靴 レディース」では約50,900件、「ecco ブーツ」では約95,000件、及び「ecco shoes」では約790,000件がそれぞれヒットしたことを示す表示が記載されている。
(キ)2009年又は2008年に発行された、「フラウ」(甲31)、「クロワッサン」(甲32ほか)、「GQ」(甲33ほか)、「ENGINE」(甲34ほか)、「SAKURA」(甲35)、「GDO Style」(甲36)、「pen」(甲59ほか)等多数の各種雑誌等において、引用商標と共に申立人の商品「靴」の写真等を掲載した広告宣伝又は紹介が繰り返し行われているほか、「繊研新聞」(甲45ほか)、「朝日新聞」(甲52ほか)、「日経流通新聞」(甲235及び236)等の新聞、「ゴルフダイジェストオンライン」(甲47)、「エキサイトイズム」(甲133)、「日経ネット」(甲136)等のウェブサイトにおいても引用商標と共に申立人商品について紹介又は広告宣伝の旨、記載されている。
また、2009年3月26日に放映のフジテレビの番組「めざましテレビ」及び「とくダネ」において、ECCO(エコー)青山Ao店が紹介され、引用商標と共に申立人の商品も紹介された(甲107及び108)旨、記載されている。
イ 引用商標の著名性について
上記、アの認定事実によれば、引用商標は、「エコー」と称され、申立人の業務に係る商品「靴類」を表示する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時には既に我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものというべきである。
ウ 具体的判断
そこで検討するに、上記(1)のとおり、本件商標は、全体をもって一つの造語として看取され、引用商標とは相紛れるおそれのない非類似の別異の商標であること、本件商標の構成中の「ECCO」の文字部分は全体構成に埋没しており、殊更その部分のみを分離抽出して観察することはむしろ不自然であること、引用商標は、「エコー」と称するものとして知られていること、などを総合すると、たとえ引用商標が申立人の業務に係る商品を表示する商標として周知著名になっているとしても、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(3)商標法第4条第1項第19号について
前示のとおり、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示する商標として周知著名であるとしても、本件商標と引用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標であるばかりでなく、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的、その他の不正の目的をもって使用するものとすべき理由は見あたらない。
なお、申立人は、上記不正の目的について何ら具体的に主張、立証するところがない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。
(4)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではなく、また、その指定商品について使用することが社会公共の利益に反し又は社会の一般的道徳観念や国際信義に反するものとはいえないし、他の法律等によってその使用等が禁止されているものでもない。
なお、申立人は、著名な引用商標を含んで、かつ、その存在が需要者に認識できるように、他の構成語と一文字程度の間隙をもって配置された本件商標を自己の商標として採択登録することは商道徳に反するものである、旨主張するが、本件商標は、前示のとおり、外観上まとまりよく、一体に表された構成からなるものであり、「ECCO」の文字と他の文字との間に間隙はなく、むしろ「ECCO」の文字部分は全体構成に埋没しており、それのみを分離抽出して観察することは不自然であるから、申立人の主張は採用することができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。
(5)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、その構成中に「ECCO」の文字列を有するとしても、前示のとおり、「ECCO」の文字部分は全体構成に埋没しており、それのみを分離抽出して観察することは不自然であって、本件商標に接する取引者、需要者が「ECCO」の文字部分のみに着目して申立人を連想、想起するようなことはないというべきであるから、申立人の著名な略称を含むものとはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものではない。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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