結論テキスト
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 異議2011−900145(T2011−900145/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第5385971号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成22年6月1日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同年11月15日に登録査定、同23年1月28日に設定登録されたものである。
本件商標は、ありふれた輪郭である横長楕円形内に、その日に売ることを目的として朝に作られる一日物の菓子、すなわち、餅菓子、葛菓子など、比較的安価で、家庭で日常的に食べられるもので、いわゆる上生菓子に対する和菓子の総称として使用されている「朝生」の漢字とその振り仮名の「あさなま」の平仮名を二段に表記してなるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、本件商標は、これを「朝生」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
(1)本件登録異議申立人の提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 甲第4号証は、株式会社甘春堂のウェブサイト(1999年11月から掲載)であるところ、同サイトには「・・・生菓子には大福、おはぎなどの『朝生(あさなま)』と、きんとんなどの『上生(じょうなま)』があり、・・・」の記載がある。
イ 甲第7号証は、「和菓子入門」(株式会社鎌倉書房:昭和62年8月10日 四版発行)であるところ、同号証の3には、用途別による分類として、「【並生(なみなま)菓子】−朝生(あさなま)菓子とも呼ばれ、気取りのない、日常のお菓子に用いられる。この中には行事に使用されるものや、季節を表わすものがあり、庶民の生活に密着したものである。餅菓子、蒸物、焼物(平鍋)、岡物など。」及び「【上生(じょうなま)菓子】−季節に応じて色彩や形を考え、手をかけて美しく仕上げた高級な生菓子で、多くはもてなしの茶菓子や進物に用いられる。練切、烏羽玉、雪平など。」の記載がある。
ウ 甲第8号証は、「改訂 調理用語辞典」(社団法人 全国調理師養成施設協会:平成16年2月29日 改訂版第6刷発行)であるところ、同号証の2には、「あさなま【朝生】」の項目があり、その説明として、「並生菓子の総称。朝早くから仕込みを行って生菓子を作り店先に並べ,その日のうちに売り切る。その日の朝作る生菓子の意。鮮度を重視する。」の記載がある。
エ 甲第12号証は、2008年8月13日掲載の石川県加賀市で菓子製造・卸を営む「中嶋甘省堂」を紹介するブログであるところ、同ブログには「・・・『季節感を大切に、朝生を中心に製造しています』/お 出ましたね業界用語『朝生』(あさなま)/朝生とは、その日のうちに食べてもらうように朝からつくり始めるお菓子。家庭での日常的なおやつとして親しまれている。・・・」の記載がある。
オ 甲第13号証は、2010年9月8日にデータ更新された富山県射水市在「菓子処 あん」のウェブサイトであるところ、同サイトのメニューには「朝生菓子」の項目があり、その右には「朝生菓子/大福餅、団子、おはぎなどの毎朝作りたての商品のご紹介です。」の記載がある。
カ 甲第14号証は、東京都大田区在「清風堂大岡山店」のウェブサイトであるところ、同サイトには「季節の和菓子続々登場!(2008.5/27更新)/わらび餅・水羊羹・くず桜/麩饅頭・水大福・若鮎/詳しくは朝生菓子のページをご覧下さい。」(同号証の2)及び「季節の朝生菓子/毎日、その日の朝こしらえる朝生和菓子をお楽しみ下さい!」(同号証の3)の記載がある。
キ 甲第16号証は、商標権者のウェブサイトであるところ、同サイト2010年6月1日付けの項には「サザエの朝生、大行進!/朝生?ご存知ですか?/朝生には『朝仕込み、その日したものを、朝にこさえたもの菓子で当日中にお召し上がり下さい。』という生菓子の事を総称する業界用語です。・・・」の記載がある。
(2)職権において新聞記事情報を調査したところ、以下の事実が認められる。
ア 「<すずらん広場 女性通信員コーナー>春がいっぱい桜もち*菓子会社で製造大忙し」の見出しのもと、「・・・『もち菓子は朝生(あさなま)といって、朝作ってその日のうちに売り切る商品なんです』・・・」の記載がある(1996.01.29 北海道新聞夕刊地方 9頁)。
イ 「あいの町・商人魂、元気やよ 高岡市・片原町商店街(5)〔とぎや〕季節の餅を新鮮なままに」の見出しのもと、「朝生(あさなま)と呼ばれる、その日についたもち菓子を作って店頭に並べる・・・」の記載がある(2003.04.19 北国・富山新聞朝刊)。
ウ 「[食!味な関西]花見団子VSみたらし団子 青空に映える色合い」の見出しのもと、「・・・『朝生(あさなま)には、やはり力が入ります』/『朝生』とは、朝作って、夕方には売り切る和菓子のこと。団子は、まさに『朝生』なのだ。・・・」の記載がある(2005.04.07 読売新聞大阪夕刊 3頁)。
エ 「千客万来:日高・胆振 たい焼き『中村屋』/北海道」の見出しのもと、「・・・住宅街の港北町に移って27、28年になる。和菓子職人として修業した中村さんが中島町の繁華街に店を構えていたころ、団子や大福などの朝生(あさなま)を主力商品に、たい焼きも商っていた。・・・」の記載がある(2007.06.26 毎日新聞地方版/北海道 19頁)。
オ 「(わかしいしかわ 和菓子 石川:3)その日限り『朝生菓子』150年不変/石川県」の見出しのもと、「・・・まんじゅうや餅菓子など、朝に作って消費期限がその日限りの和菓子を『朝生(あさなま)菓子』という。1848(嘉永元)年創業の戸水屋は、朝生菓子一筋の老舗(しにせ)。季節に合わせた6、7種類が店頭に並び、正午過ぎになくなる商品もある。・・・」の記載がある(2008.01.05 朝日新聞大阪地方版/石川 22頁)。
(3)以上の事実を総合すれば、「朝生」及び「あさなま」の語は、本件商標の登録査定前より、本件指定商品を取り扱う業界において、「その日に売ることを目的として、その日の朝に作られる生菓子」を意味する語であって、餅菓子、大福、おはぎなどがその例であり、練切、烏羽玉、雪平などの上生菓子に対する語として使用されていることが認められる。
本件商標は、別掲のとおり、楕円輪郭線を有する黒地横長楕円形内に「朝生」の漢字を大きく白抜きで横書きし、その上部に「あさなま」の平仮名を小さく白抜きで横書きしてなるものであるところ、構成中の楕円輪郭線を有する黒地横長楕円形は、商標として一般的に採択使用され得るありふれた図形であって(甲第17号証ないし甲第20号証)、該図形のみでは、自他商品の識別標識としての機能を果たさないものである。
また、「朝生」及び「あさなま」の文字部分は、前記2に記載のとおり、「その日に売ることを目的として、その日の朝に作られる生菓子」を意味する語であるから、これをその指定商品中、「朝生菓子」に使用するときは、単に商品の品質等を表示するにすぎないものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものである。
本件商標は、その構成中の「朝生」及び「あさなま」の文字部分が、本件指定商品を取り扱う業界において、「その日に売ることを目的として、その日の朝に作られる生菓子」を意味する語として理解され使用されている語であるから、これをその指定商品中、前記に照応する商品以外の指定商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
商標権者は、上記第3の取消理由に対して、指定した期間を経過するも何ら意見を述べていない。
本件商標についてした上記第3の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標の指定商品中、第30類「朝生菓子」についての登録は、商標法第3条第1項第3号に、また、第30類「朝生菓子」以外の「菓子」についての登録は、同法第4条第1項第16号にそれぞれ違反し登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。
ただし、申立てに係る「菓子」以外のその余の指定商品についての登録は、商標法第3条第1項第3号又は、同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定によりその登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。