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Trademark Appeal Case

結合商標の記述性と識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2011−1177(T2011−1177/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「掃除能力検定」の文字を標準文字で表してなり、第16類及び第41類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成21年10月27日に登録出願、その後、指定商品及び指定役務については、当審における同23年1月18日付け手続補正書により、第16類「印刷物」及び第41類「掃除能力に関する知識の教授,掃除能力に関する検定試験の企画・運営又は開催,掃除能力に関するセミナーの企画・運営又は開催,掃除能力に関する電子出版物の提供,掃除能力に関する図書及び記録の供覧,掃除能力に関する書籍の制作,掃除能力に関するビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、第41類の指定役務との関係において、『掃除能力検定』の文字を書してなるところ、構成中の『掃除』は、『ごみやほこりをはいたりふいたりして取りのぞき、清潔にすること。』の意味を、『能力』は、『物事をなし得る力。はたらき。』の意味を、『検定』は、『一定の基準に照らして検査し、合格・不合格・価値・資格などを決定すること。検定試験の略。』の意味を有する語として親しまれているものであり、構成中『能力検定』の文字は各々の物事をなし得る力を一定の基準に照らして検査し、合格・不合格・価値・資格などを決定することの試験の意味合いをもって使用されている実情があることからすれば、本願商標を『ごみやほこりをはいたりふいたりして取りのぞく(掃除)力を一定の基準に照らして検査し、合格・不合格・価値・資格などを決定する検定試験に関する役務』に使用するときは、単に役務の質(内容)を表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における審尋(要旨)

当審における平成23年1月18日付けの手続補正書により補正された本願の指定役務に関する分野において、別掲1に記載のとおりの掃除に関する知識や実技に関する検定が企画、実施されているとの新聞記事及びインターネット情報を見いだしたところ、かかる事実をも踏まえて判断すれば、本願商標「掃除能力検定」を、その指定役務に使用するときは、これに接する需要者をして、全体として「掃除に関する検定に係る役務」であることを認識させるにとどまるものというのが相当であって、その役務の内容を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当するから、商標法第3条第1項第3号に該当すると判断し、同23年10月18日付け審尋により、前記事実を開示すると同時に請求人に対し意見を述べる機会を与えた。

4 審尋に対する請求人の意見(要旨)

前記3の審尋に対し、請求人は、平成23年12月2日付け回答書において、要旨、以下のように回答した。

(1)前記審尋にて開示されたものは、本願商標「掃除能力検定」と同一のものではないから、審判官の認定は誤りである。

(2)本願商標「掃除能力検定」は、「掃除」、「能力」及び「検定」の文字を含むものの、これが拒絶理由(審決注:原審における拒絶理由通知を指すものと解される。)で指摘する「掃除力を一定の基準に照らして検査し、合格・不合格・価値・資格などを決定する検定試験に関する役務総合的な能力の検定」程度の意味合いを容易に看取させるとは考えられない。たとえ、「掃除力を一定の基準に照らして検査し、合格・不合格・価値・資格などを決定する検定試験に関する役務総合的な能力の検定」という意味合いに認識されたとしても「掃除能力」が何を意味するかは不明である、既に意見書(審決注:原審における意見書を指すものと解される。)でも述べたとおり、「掃除能力検定」は造語であると考えるのが自然である。

(3)「○○検定」という商標は「金融英語検定」、「たにまち検定」、「画像情報技能検定」等、600件を越す出願及び登録例がある(添付資料1)ことからすれば、審判官の認定には誤りがあり、「○○検定」は実際に社会において登録商標として十分機能している。

さらに、YAHOOとGOOGLEを用いて「掃除能力検定」を検索した結果(資料2及び3)、「掃除能力検定」という文言は「日本掃除能力検定協会」以外には見当たらない。加えて、「掃除能力検定」が「掃除能力の検定についての知識の教授」という意味に使用されている例は存在しない。このことは、「掃除能力」というのが何を意味するか不明であることから考えても当然である。

以上からすれば、本願商標である「掃除能力検定」を第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,検定試験の企画・運営又は開催,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供」に使用するときは、掃除能力の検定についての知識の教授などを認識するにとどまり、単に商品の品質・役務の質を表示するにすぎないものと一般取引者・需要者の全般に理解・認識されている実情はない。仮に、一部の者がそのような印象を想定するとしても、取引社会一般に通用している語でもなく、単なる間接的な印象であって、直接指定商品の品質等を表示するため取引社会に定着しているような語とは異なる造語にすぎない。

5 当審における拒絶理由通知(要旨)

本願商標は、各種検定に関するテキスト、問題集等の印刷物が一般に販売されている事情(別掲2)をも踏まえると、その指定商品中のテキスト等の書籍について使用するときは、これに接する需要者をして、全体として「掃除に関する検定に係る書籍」であることを認識させるにとどまるものというのが相当であって、本願商標は、指定商品の品質(内容)を直接的に表示するものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない、また、本願商標を前記に照応する以外の「書籍」について使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当すると判断し、平成23年10月18日付け拒絶理由通知により、請求人に対し意見を述べる機会を与えた。

6 拒絶理由通知に対する請求人の意見(要旨)

前記5の拒絶理由通知に対し、請求人は、平成23年12月2日付け意見書において、要旨、以下のように意見を述べた。

(1)本願商標「掃除能力検定」は、「掃除」、「能力」及び「検定」の文字を含むものの、これが本願の指定商品に包含される「書籍」との関係において、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとは考えられない。その理由は、本願商標「掃除能力検定」から「掃除力を一定の基準に照らして検査し、合格・不合格・価値・資格などを決定する検定試験に関する役務総合的な能力の検定」程度の意味合いを容易に看取させるとは考え難い。たとえ、「掃除力を一定の基準に照らして検査し、合格・不合格・価値・資格などを決定する検定試験に関する役務総合的な能力の検定」という意味合いに認識されたとしても、「掃除能力」が何を意味するかは不明である。すなわち、「掃除能力検定」というのは造語であると考えるのが自然である。

(2)「○○検定」という登録商標を特許電子図書館で第16類(印刷物、新聞、雑誌)に限定して検索すると、471件の登録例が存在する(添付資料1ないし3)ところ、そのうち代表的なものを列挙すると、「金融英語検定」、「銀行業務検定/検定試験/法務2級」、「実用英語検定」等の商標が第16類「印刷物、新聞、雑誌」について登録されていることからすれば、審判官の認定には誤りがあり、「○○検定」は実際に社会において登録商標として十分機能している。以上からすれば、本願商標である「掃除能力検定」を第16類「書籍」に使用するときは、掃除能力の検定についての知識の教授などを認識するにとどまり、単に商品の品質・役務の質を表示するにすぎないものと一般取引者・需要者の全般に理解・認識されている実情はない。仮に、一部の者がそのような印象を想定するとしても、取引社会一般に通用している語でもなく、単なる間接的な印象であって、直接指定商品の品質等を表示するため取引社会に定着しているような語とは異なる造語にすぎない。

7 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について

本願商標は、前記1のとおり「掃除能力検定」の文字を標準文字にて表してなるものである。しかして、本願商標は、「掃除」、「能力」及び「検定」の各成語から構成されていることは容易に看取されるものであり、当該各成語はいずれも本願の指定商品及び指定役務の需要者に広く親しまれた語であって、それらの語から構成される本願商標に接する需要者等は、本願の指定商品中「書籍」との関係において「掃除に関する検定に係る書籍」の意味合いを、また、本願の指定役務との関係において「掃除に関する検定に係る役務」の意味合いを極めて容易に看取するというのが自然である。

さらに、本願の指定役務は、全て「掃除能力」に関する役務として、本願の登録出願時に出願人である請求人により指定されたものであることは、本願に係る願書の記載から明らかである。

加えて、現実に、各種検定に係る書籍の販売ないし掃除を含む家事又は清掃に関する検定が実施されている実情があることは、前記3の審尋において開示した別掲1及び前記5の拒絶理由通知において開示した別掲2のとおりである。

以上からすれば、本願商標に接する本願の指定商品及び指定役務の需要者は、前記のとおり、「掃除に関する検定に係る書籍」ないし「掃除に関する検定に係る役務」の意味合いを極めて容易に看取するというべきである。

してみれば、本願商標は、「掃除能力検定」の文字を標準文字で表してなるにすぎず、前記のとおり、「掃除に関する検定に係る書籍」ないし「掃除に関する検定に係る役務」の意味合いを極めて容易に看取させるにとどまり、その態様も普通に用いられる方法にて表されたものにすぎないというべきであって、本願商標は、その指定商品の内容、品質、その指定役務の内容、質を直接的に表示するものであるから、自他商品ないし自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。

また、これを前記「掃除に関する検定に係る書籍」に照応する商品以外の「書籍」に使用するときは、その書籍の品質について誤認を生じさせるおそれがあるといわなければならない。

よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

(2)審判の請求の理由に係る請求人の主張について

ア 請求人は、要旨、本願商標「掃除能力検定」は、「掃除」、「能力」及び「検定」の文字を含むものの、これが原審の説示する「掃除力を一定の基準に照らして検査し、合格・不合格・価値・資格などを決定する検定試験に関する役務総合的な能力の検定」程度の意味合いを容易に看取させるとは考え難い。たとえ、「掃除力を一定の基準に照らして検査し、合格・不合格・価値・資格などを決定する検定試験に関する役務総合的な能力の検定」という意味合いに認識されたとしても、「掃除能力」が何を意味するかは不明である。すなわち、「掃除能力検定」は造語であると考えるのが自然である旨主張する。

しかしながら、請求人も主張するとおり、本願商標は、「掃除」、「能力」及び「検定」の各成語から構成されていることは容易に看取されるものであるところ、本願商標に接する本願の指定商品及び指定役務の需要者が、「掃除に関する検定に係る書籍」ないし「掃除に関する検定に係る役務」の意味合いを極めて容易に看取するというべきなのは、前記(1)のとおりである。

また、請求人は、本願商標が造語である旨を主張するから、この点について検討するに、本願商標全体としては成語に見当たらないとしても、前記のとおり、本願商標「掃除能力検定」は、広く親しまれた成語からなるものであり、それらの日本語の持つ通常の意味及び本願の指定商品及び指定役務との関係から、これを前記(1)のとおり、「掃除に関する検定に係る書籍」ないし「掃除に関する検定に係る役務」と認識することは極めて当然のことといえるから、本願商標が造語であるとしても、前記(1)の判断を左右するものではない。

さらに、請求人は、「掃除能力」が何を意味するのか明らかではない旨を主張するから、この点について検討するに、商標登録出願は、商標の使用をする一又は二以上の商品又は役務を指定して商標ごとにしなければならない(商標法第6条第1項)とされているところ、前記(1)のとおり、本願の指定役務は、その登録出願時に出願人である請求人により全て「掃除能力」に関する役務として指定されたことに照らすと、請求人は、本願商標を使用する役務を全て「掃除能力」に関する役務に自ら限定して指定をなしたものである。

そうとすれば、「『掃除能力』が何を意味するのか不明である」旨の請求人の主張は、失当というほかはない。

イ 請求人は、要旨、「○○検定」という構成の商標は「金融英語検定」、「たにまち検定」、「画像情報技能検定」等、600件を越す出願および登録例がある(審判請求の添付資料1)から、「○○検定」は、実際に社会において登録商標として十分機能していることを示している旨主張する。

しかしながら、商標登録に際して、現実の商標の使用を要件としない我が国の商標法に照らせば、請求人主張のように商標登録出願ないし商標登録の事例が存するとしても、それらの商標が現実に自他商品ないし自他役務の識別標識としての機能を果たしているものと断ずることはできず、請求人の主張はその前提において当を得ないものである。

また、商標法所定の登録要件との関係において、商標登録を許容すべきか否かは、審理の対象となる商標の構成態様並びにその指定商品及び指定役務との関係から、個別かつ具体的に判断がなされるべきものであるから、本件の審理が他の商標登録の事例の存在によって拘束され、その判断が左右されるべきものではない。しかして、本願商標については、前記(1)のとおり、判断するものである。

ウ 請求人は、要旨、YAHOOとGOOGLEを用いて「掃除能力検定」を検索した結果(審判請求の添付資料2及び3)、そこには、「掃除能力検定」という文言は「日本掃除能力検定協会」以外には見当たらない。なお、「日本掃除能力検定協会」は、本願の出願人が創立した法人である(審判請求の添付資料4)。また、「掃除能力検定」が「掃除能力の検定についての知識の教授」という意味に使用されている例は存在しない。これは、「掃除能力」というのが何を意味するか不明であることから考えても当然のことである旨主張する。

しかしながら、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号にいう商標に該当するというためには、必ずしも当該指定商品ないし指定役務が現実に提供されていることを要せず、需要者又は取引者によって、当該指定商品ないし指定役務が提供されているであろうと一般に認識されることをもって足りるというべきである(昭和60年(行ツ)第68号、昭和61年1月23日最高裁判所第一小法廷判決及び平成21年(行ケ)第10351号、平成22年5月19日知的財産高等裁判所判決参照)。しかして、本件においては、本願商標の指定商品及び指定役務の需要者等が、本願商標から、その指定商品ないし指定役務の内容を表示したものと一般に認識することは、前記(1)のとおりである。

エ 請求人は、本願商標「掃除能力検定」は、原審の認定するような「ごみやほこりをはいたりふいたりして取りのぞく(掃除)力を一定の基準に照らして検査し、合格・不合格・価値・資格などを決定する検定試験に関する役務」について使用されるものと一般取引者・需要者の全般に理解・認識されている実情はない。仮に、一部の者がそのような印象を想定するとしても、取引社会一般に通用している語でもなく、単なる間接的な印象であって、直接指定商品の品質等を表示するため取引社会に定着しているような語とは異なる造語にすぎない旨主張する。

しかしながら、前記ウで説示したとおり、本願商標が、社会一般に通用しているか否か、取引社会に定着しているか否かあるいは造語であるか否かが本件の争点である商標法第3条第1項第3号の適用を左右するものではないことは、上掲の判例及び裁判例の教えるところである。しかして、本願商標の構成、その指定商品又は指定役務及び別掲1及び2に記載の事実を総合するならば、本願商標は、前記(1)のとおりに需要者に一般に認識されるものであるというべきである。

なお、請求人は、前記の主張に続けて「又は、上記したように、出願人が設立した法人の業務に係る役務であることが一般に認識されてきたからである。」との主張をなすところ、当該主張が、本件の審理にいかなる関係があるのか明らかではない上に、その主張に係る立証も全くなされていないことからすれば、当該主張が本件の審理を左右するものではない。

以上のとおり、前記の請求人の主張には、理由がなく、いずれも採用できない。

(3)当審における審尋に対する回答書に係る請求人の主張について

請求人は、前記4のとおり、審尋に対する回答書において、その主張をなすものであるが、その要旨は、以下に挙示する点を除き、審判請求の理由において主張した要旨と同旨であるところ、前記(2)で説示したとおり、請求人の主張には理由がなく、採用できない。

請求人は、審尋に対する回答書において、審尋にて開示した事実は、本願商標と同一の構成に係るものではないから、審尋は誤りであるとも主張するが、当該審尋においては、掃除に関する知識や実技に関する検定が企画、実施されている事実を開示し、もって、本願商標を前記(1)のとおりに需要者が一般に認識することの一つの証左とするものであって、審尋において開示した事実中の検定の名称が、本願商標とは同一ではないとする請求人の主張は、審尋の趣旨を正解しないものである。

さらに、請求人は、「本願商標である『掃除能力検定』が、第41類『技芸・スポーツ又は知識の教授,検定試験の企画・運営又は開催,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供』に使用するときは」と、回答書中で主張するところ、前記(1)のとおり、本願の指定役務は、全て「掃除能力」に関する役務として、請求人自らが出願時に指定しているものであり、前記の回答書において、「掃除能力」に関する役務以外の役務をも内包する役務を前提とする請求人の主張は、その前提において誤りである。

以上のとおり、前記の請求人の主張は失当であり、採用できない。

(4)当審における拒絶理由通知に対する意見書に係る請求人の主張について

請求人は、前記6のとおり、拒絶理由通知に対する意見書において、その主張をなすものであるが、その要旨は、審判請求の理由において主張した要旨と同旨であるところ、前記(2)で説示したとおり、請求人の主張には理由がなく、採用できない。

(5)結語

以上からすれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものといわざるを得ない。

よって、結論のとおり審決する。

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