結論テキスト
審判費用は,被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2011−300254(T2011−300254/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4234676号商標(以下「本件商標」という。)は,「青山ケンネルスクール」の文字を横書きしてなり,平成8年3月29日に登録出願された平成8年商標登録願第34514号に係る商標法第10条第1項の規定(分割出願)による商標登録出願とし,同10年1月22日に登録出願,第42類「愛玩動物の手入れ,愛玩動物の宿泊所の提供,愛玩動物の一時預かり,愛玩動物の写真の撮影,愛玩動物用玩具の貸与,愛玩動物の胴着の貸与,愛玩動物の食器の貸与,犬小屋の貸与」を指定役務として,同11年1月29日に設定登録,その後,同20年11月11日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
そして,本件審判請求の登録日は,平成23年3月23日である。
請求人は,結論同旨の審決を求めると申し立て,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は,その指定役務について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 被請求人が本件商標と社会通念上同一の範囲の商標を自らが提供する役務「テリントンTタッチ」に使用している旨の主張について
以下のとおり,乙各号証によっては,本件商標の使用事実を客観的に証明できていない。
(ア)乙第1号証の印刷日は,乙第1号証の1が平成23年4月(西暦は和暦で表示した。以下同じ。),乙第1号証の2ないし6が同年5月9日,及び乙第1号証の7が5月10日であり,本件審判請求の登録日(平成23年3月23日)以後であり,特に,被請求人が「テリントンTタッチ」を開催したとされる証拠は乙第1号証の7のみであり,しかも同証拠は「平成19年11月予定表」であって,本件審判請求の登録前3年以内に該当しないので,明らかに証拠になり得ない。
(イ)乙第2号証は,商標権者の改訂された新しいホームページのようであるが(以下全体を「ウェブサイト」といい,ウェブサイト内の個々のページを「ウェブページ」という。),答弁書で改定前のウェブページを「4月8日」までインターネット上に公開していたとあることから,改定後の新しいウェブサイトは本件審判請求の登録日以後のものであり,証拠になり得ない。
(ウ)乙第3号証は,商標権者のウェブサイトを作成したとされる会社の証明書であるが,被請求人と利害関係のない公平な第三者による証明書とはいい難いから証拠になり得ない。
イ 役務「テリントンTタッチ」が「愛玩動物の手入れ」に該当する旨の主張について
商標権者が提供したとされる「テリントンTタッチ」は,被請求人の主張のとおり顧客の飼っている犬を使って実演することが主なサービスであったとしても,それは教え方の方法であり,当該サービスが「犬の手入れ」を目的とするものでないことは明白である。当該サービスはあくまでもリンダ・テリントン氏が考案した「テリントンTタッチ」を愛犬の飼い主(と愛犬)に教えることであり,それ故に「山田りこ」を講師として紹介している。
してみれば,「テリントンTタッチ」は,第41類「技芸・スポーツまたは知識の教授」又は「セミナーの企画・運営または開催」に該当するものと考えるのが妥当である。
また,その他に商標権者の提供するサービス(「愛犬の手作りごはん」「愛犬の手作りおやつ」「パピートレーニング」「クリッカー」など)で,本件指定役務「愛玩動物の手入れ」に含まれるものは見出せない。
ウ むすび
以上のことから,本件商標は,その指定役務「愛玩動物の手入れ」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法50条1項の規定により取り消されるべきものである。
被請求人は「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」と答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第11号証(枝番を含む。ただし,以下,枝番のすべてを引用する場合は,その枝番を省略する。)を提出した。
〈答弁の理由〉
(1)本件商標の使用の事実
ア 本件商標が使用されている商標権者に係る役務「青山ケンネルスクール」は,平成19年10月に開講した飼い主と愛犬向けの様々な教室及び実演を提供するサービスであり,現在まで継続して開催されている。
これは,「テリントンTタッチ」,「愛犬の手作りごはん」,「愛犬の手作りおやつ」,「パピートレーニング」及び「クリッカー」など愛犬に関する様々な内容の講習会及び実演サービスが提供されている。本件商標は,開講当時から現在まで同講習会及びサービスの名称として継続的に使用され,これが商標権者に係る役務の出所を表示するものであることは明らかである。
イ 「テリントンTタッチ」とは,馬トレーナーのリンダ・テリントンによって考案された方法で,動物の身体に非習慣的な刺激を与えることで(タッチセラピー),心のバランスを整えたり,身体の動きを高めたり健康状態などを良くする方法である。この方法は愛犬にも応用されるもので,愛犬に直接に手で触れることで,愛犬の心身の状態を良くする方法なので,教室とは言っても,どのように愛犬に触れるかという方法を実際に顧客の飼っている犬を使って実演することが主となるサービスであるから,「テリントンTタッチ」を内容とする上記「青山ケンネルスクール」が本件指定役務「愛玩動物の手入れ」に該当することは明らかである。
ウ 「テリントンTタッチ」の講座及び実演は,例えば,過去にも開催されており,愛犬のマッサージ専門家による講習会,実演会を開催した。乙第1号証の2中の写真は「テリントンTタッチ」の実演中の写真である。
なお,乙第1号証は,商標権者の提供する「青山ケンネルスクール」の案内ホームページであるが,これはコンピュータ関連総合サービス会社(有限会社アルファサラボ)により商標権者の依頼で平成19年10月に作成され,平成23年4月8日までにインターネット上に公開され,現在では新しいホームページに改訂され,現在もインターネット上に公開されている。
エ 「愛玩動物の手入れ」と「テリントンTタッチ」との関係について述べると,一般的な辞書である新明解国語辞典によれば「手入れ」とは,「現状に手を加えて,良い状態に整えること。庭の手入れ,肌の手入れなど。」を意味すると記載されている。商標権者が行う「テリントンTタッチ」は,愛犬に特殊な方法により手で触れることで,愛犬の細胞の機能と活力を刺激し,脳への神経回路を活性化することで愛犬の精神・身体の健康を良い状態に整えることであるから,当然に本件指定役務の「愛玩動物の手入れ」に該当するものである。
(2)商標権者(青山ケンネル株式会社)について
商標権者(前会社名:青山ケンネル販売株式会社)は,昭和31年に開店したペットショップ「青山ケンネル」を起原とする昭和57年10月に設立された会社であり,同社は関連会社である学校法人シモゾノ学園 国際動物専門学校などを経営し20年以上,動物美容関連教育のサービスも行っており,「青山ケンネル」の語を含む多くの商標を登録を所有し使用してきた。
商標権者の店舗である青山ケンネル(旧店舗名:VERONIQUE 東京都渋谷区恵比寿3−2−19)を中心に愛犬の総合的なサービスを提供してきたところ,本件「青山ケンネルスクール」においても,「テリントンTタッチ」,「愛犬の手作りごはん」,「愛犬の手作りおやつ」,「パピートレーニング」,「クリッカー」などに限られず,トリマー,グルーミング,アロマセラピー,マッサージなども当然に行われ,「愛玩動物の手入れ」その業務の中核的な存在の一つとして行ってきた。この点からしても,本件商標が商標権者の提供に係る「愛玩動物の手入れ」の業務について使用されているといえる。
(3)むすび
以上に述べたとおり,本件商標は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者により使用されているものである。よって,本件商標は,商標法第50条第1項の規定により,その登録は取り消されるべきものではない。
被請求人は,本件商標と社会通念上同一の範囲の商標を被請求人が提供する「テリントンTタッチ」について使用しており,その役務は,「愛玩動物の手入れ」に該当する旨述べ,乙各号証を提出している。
(1)そこで,以下,乙各号証について検討する。
ア 乙第1号証は,商標権者の旧公式ウェブサイト内のウェブページ及び「青山ケンネルスクール」開催日程カレンダーであるところ,その乙第1号証の1ないし6には,いずれも上段部に「青山ケンネル販売株式会社」,その下段に「青山ケンネルスクール/Aoyam Kennel School/飼い主と愛犬が,ともに学ぶスクールです。」の記載があり,乙第1号証の2ないし7には,いずれも下段部に「お問い合わせ 運営会社 Copyright(C)2004−2007...」の記載がある。
そして,乙第1号証の1には,教室紹介として,「テリントンTタッチ/”タッチセラピー”でコミュニケーションを高めましょう」との見出しとその説明の他,「パピートレーニング」,「クリッカー」などの見出しとそれぞれに対応する説明,乙第1号証の2には,「テリントンTタッチ教室」の見出しの下,「内容/・飼い主さんの手を使い,愛犬と飼い主の為の”タッチセラピー”...」の記載のほか,「講師山田りこ(ナチュラルドッグセラピスト・テリントンタッチ プラクティショナー)」の紹介がなされており,乙第1号証の7には,2007年11月予定表として,20日の欄にフラグと「Tタッチ」の記載がある。
イ 乙第2号証は,平成23年5月10日に印刷された商標権者のウェブページであり,「グルーミング」,「ホテル」などの業務案内や「青山ケンネルスクール/楽しく犬を知る学ぶワンデースクールです。」,「青山ケンネルスクール/”楽しく犬を知る学ぶ”をテーマに,愛犬家の方同士の交流もできるワンデースクールです。...」の記載がある。
ウ 乙第3号証は,商標権者のウェブサイトの作成,管理を行っている有限会社アルファサラボによる平成23年4月27日付けの証明書であり,これには,乙第1号証と同じ内容とする添付資料1のウェブサイトが平成19年10月より平成23年4月8日まで公開されていた旨記載されている。そして,これには,青山ケンネルスクールの2010年12月及び2008年4月から12月までの予定表が添付されているが,そのいずれにも,テリントンTタッチ教室の開講予定日を推認させる「Tタッチ」の表示はない。
エ 乙第4号証は,「テリントンTタッチ 日本事務局」のウェブページあり,「テリントンTタッチとは,動物の身体に非習慣的な刺激を与えることで,心のバランスを整えたり,身体の動きを高めたり,健康状態を良くしたりするケアです。...」などの記載がある。
また,乙第5号証は,「ドッグマッサージ専門家(山田りこ)」に関するウェブページであり,これには,「日本初のテリントンTタッチプラクティショナー”山田りこ”の様々なコミュニケーションテクニックをeラーニングでお届けします。」などの記載がある。
オ 乙第8号証は,平成23年5月10日に印刷された商標権者のウェブページであり,「会社概要」の項によれば,商標権者は,1956年に「青山ケンネル」を創業,1967年7月に「青山ケンネル恵比寿店」を開店,1984年10月に「青山ケンネル販売株式会社」に商号変更したこと,また,「目的」として,「...3.愛玩動物の美容,ホテル業」との記載などがある。さらに,「青山ケンネルのあゆみ」の項に,2009年9月に「青山ケンネル株式会社」に商号変更した旨の記載がある。
また,乙第9号証は,商標権者の関連会社「学校法人シモゾノ学園 国際動物専門学校」の「学校概要」を見出しとするウェブページである。
しかし,これらのウェブページには,「青山ケンネルスクール」の表示は見当たらない。
カ 乙第11号証は,平成23年5月10日に印刷された商標権者のウェブページであり,「青山ケンネルのご紹介」として,「青山ケンネル サービスメニュー」の見出しの下,「グルーミング」,「ホテル」とその内容の説明と並び「青山ケンネルスクール/楽しく犬を知る学ぶワンデースクールです。ご案内はこちら」との記載がある。
(2)前記(1)で認定した事実及び被請求人の主張によれば,次のように判断するのが相当である。
ア 商標権者について
商標権者は,1956年に「青山ケンネル」を創業,1967年7月に「青山ケンネル恵比寿店」を開店,1984年10月に「青山ケンネル販売株式会社」に商号変更したこと,また,2009年9月に「青山ケンネル株式会社」に商号変更したこと,そして,平成19年10月から「青山ケンネルスクール」の表示の下で,飼い主と愛犬向けの各種講習会(教室)を開催していたことが認められる(乙1,乙8及び被請求人の主張)。
イ 使用に係る役務及び使用時期について
(ア)商標権者(平成21年9月の商号変更前の旧商号「青山ケンネル販売株式会社」)が,本件商標と社会通念上同一と認められる「青山ケンネルスクール」(以下「使用商標」という。)の表示の下で,2007年11月20日に「テリントンTタッチ教室」(以下「使用役務」という。)の講習会(教室)を開催したことが推認できる(乙1)。
(イ)しかしながら,2007年11月20日は,本件審判の請求の登録前3年より前の日であり,また,乙第1号証には,「Copyright(C)2004−2007」の記載があり,当該ウェブサイトの公開されていた期間は2004年から2007年と推認されることから,乙第1号証における使用商標の使用を,本件審判の請求の登録前3年以内の使用と認めることはできない。
これに対し,被請求人は,乙第1号証のウェブサイトが平成19年10月より平成23年4月8日まで公開されていたものであるとして,商標権者の公式ウェブサイトの作成,管理を行っている者の証明書及びその添付資料として,乙第1号証のコピーと青山ケンネルスクールの2010年12月及び2008年4月から12月までの予定表を提出しているが,その予定表のいずれにも,「テリントンTタッチ教室」の開講予定日を推認させる「Tタッチ」の表示はない。
したがって,前記の使用商標の使用役務についての使用を,本件審判の請求の登録前3年以内の使用と認めることはできない。
(ウ)次に,使用役務についてみると,使用役務は,ナチュラルドッグセラピスト・テリントンタッチ プラクティショナーと称する者を講師として,犬の飼い主に「動物の身体に非習慣的な刺激を与えることで,心のバランスを整えたり,身体の動きを高めたり,健康状態を良くしたりするケアである『テリントンTタッチ』」の方法を教える役務であることが認められる。
そして,その役務は,その内容からして,また,「スクール」及び「教室」の表示の下で行われていること,被請求人自身が講習会と称していることなどからして,第41類「技芸・スポーツまたは知識の教授」又は「セミナーの企画・運営または開催」の範疇に属するものと考えるのが妥当である。
これに対し,「愛玩動物の手入れ」は,トリミングやグルーミングといわれる動物に対して行われる美容に関する役務と解釈されるものであるから,使用役務とは,明らかに相違するものである。
したがって,前記の使用商標の使用役務についての使用を「愛玩動物の手入れ」についての使用と認めることはできない。
ウ その他,商標権者が「青山ケンネルスクール」の表示の下で行う役務(「愛犬の手作りごはん」「愛犬の手作りおやつ」「パピートレーニング」「クリッカー」など)で「愛玩動物の手入れ」に含まれるものは見いだせない。また,被請求人は,本件商標が「愛玩動物の手入れ」以外の本件請求の請求に係る指定役務について使用されていたことを認めるに足る証拠も提出していない。
(3)むすび
以上のとおり,被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務について,本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。また,被請求人は,本件商標を請求に係る指定役務について使用していなかったことについて,正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条第1項の規定により取り消すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
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