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Trademark Appeal Case

ITSSの略称と識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2011−10752(T2011−10752/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,「ITSS」の文字を標準文字で表してなり,第41類及び第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として,平成19年11月14日に登録出願され,その後,指定役務については,原審における平成23年2月15日付け手続補正書により,第41類「ITスキル標準に関する知識の教授,図書及び記録の供覧,書籍の制作,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,図書の貸与」及び第42類「ITスキル標準に関するコンピュータープログラムを稼働させるための電子計算機の操作方法の紹介・説明及びその情報の提供,デザインの考案,機械器具に関する試験又は研究」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は,「本願商標は,『ITSS』の文字を標準文字で表してなるところ,これは,指定役務との関係において,『経済産業省が定めるIT関連サービスの提供に必要とされる実務能力を明確化・体系化した指標。ITスキル標準。』を表すものであるから,例えば『ITスキル標準に関する知識の教授』等について使用するときは,単に役務の質(内容)を表示するにすぎないものと認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。また,本願商標は,『ITスキル標準に関するコンピュータープログラムを稼働させるための電子計算機の操作方法の紹介・説明及びその情報の提供』について使用するときは,これに接する需要者は,ITスキル標準において定義される職種『カスタマーサービス』において提供される役務であることを認識するにとどまり,何人かの業務に係る役務であることを認識することができないから,同項第6号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は,前記1のとおり,「ITSS」の文字を標準文字で表してなるところ,これについて,以下のような事実が見受けられる。

(1)「日経コンピュータ 特別WEB版」には,「ITスキル標準(ITSS)は,情報サービス業界で働く人材に求められる『スキル』,すなわち知識や経験,実務能力を体系的に整理したものだ。欧米のスキル標準や日本IBMの人事制度などを参考に経済産業省が策定。」と記載されている(請求人が登録出願(商願2007−115408号)した別掲のとおりの商標(以下「別掲商標」という。)に関する,平成20年11月4日付け意見書(以下,単に「意見書」という。)における甲第1号証の3頁)。

(2)「@IT情報マネジメント用語事典」には,「ITスキル標準 ITSS/Skill Standards for IT Professionals/ITスキル・スタンダード」の見出しにて,「IT関連サービス分野(IT業界,および一般企業や行政,教育・研究機関などの情報システム部門を含む)における職種と,必要とされる技能(スキル)を明確にするために,経済産業省が策定したスキル体系。」「ITSSは,11種類の職種に対してスキル・スタンダードを定め,それをレベル別にまとめた『スキル・フレームワーク』が定められている。」と記載されている(意見書における甲第1号証の4頁)。

(3)「ITSS解体新書(1)ITSSの全体像」と題するウェブサイトには,「ITSSとは,経済産業省の策定しているITスキル・スタンダード(IT Skill Standard)の略です。・・・ITSSは,IT産業における人材のスキル体系です。」と記載されている(意見書における甲第1号証の6頁)

(4)「最新 パソコン・IT用語事典(株式会社技術評論社)」には,「ITSS」の見出しにて,「ITスキル標準。経済産業省が策定した,IT産業における人材のスキル体系のこと。横軸に職種と専門分野,縦軸にレベルをとった『スキル・フレームワーク』を定めている。」と記載されている。

(5)「日経HR」のウェブサイトには,「IT人材と案件の効率的な受発注を実現する ITSS 人財NET」「IT業界における発注側企業と受注側企業を,ITSS(ITスキル標準)を核としてマッチングを図る,まったく新しいサイトです。」と記載されている(http://www.nikkeihr.co.jp/itss/)。

(6)「IBM ITスキル標準対応研修:概要」のウェブサイトには,「・・・経済産業省では企業や部門のIT人材をプロフェッショナルとして再定義し,これらの人材の育成を体系的に標準化することを試み,『ITSS:ITスキル標準』が2002年12月に発表されました。・・・弊社では,提供中の研修コースを『ITスキル標準V3』に対応させ,『ITスキル標準V3に対応したコース体系』を作成しました。」と記載されている(http://www-06.ibm.com/jp/lsj/service/itstandard.shtml)。

(7)「ITSSベーシックコース教育」のウェブサイトには,「スキル標準ユーザー協会ではITSS(ITスキル標準)を普及促進するため,『ITSSベーシック教材』を出版するとともに,『ITSSベーシックコース教育制度』を創設しました。」と記載されている(http://www.ssug.jp/about/000014.php)。

以上によれば,「ITSS」の文字は,「個人のIT関連能力を職種や専門分野ごとに明確化・体系化した指標(ITスキル標準)」程の意味合いを理解させるものであって,IT関連の業界においては,その意味の語として普通に使用されているのが実情であることが認められる。

また,上記(6)及び(7)によれば,「ITSS」の文字は,上記意味合いの語として,ITSS(ITスキル標準)に関する知識の教授が行われていることも見受けられる。

そうとすれば,「ITSS」の文字は,「ITスキル標準に関する知識の教授」の役務に使用するときは,これに接する取引者・需要者をして,「ITスキル標準(ITSS)に関する知識の教授」であること,即ち,役務の質(内容)を表示したものと理解されるにすぎないものといえる。

してみれば,「ITSS」の文字を標準文字で表してなるにすぎない本願商標は,その指定役務中,「ITスキル標準に関する知識の教授」に使用しても,これに接する取引者・需要者をして,「ITスキル標準(ITSS)に関する知識の教授」であることを理解させるに過ぎないから,役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものというのが相当である。

したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。

なお,「ITSS」の文字が,「ITスキル標準に関する知識の教授」との関係において,自他役務の識別標識として機能を有しないことについては,請求人も,別掲商標(別掲商標は,登録第5396875号として登録されている。)に関する意見書において,「『ITSS』の文字は,・・・経済産業省が2002年に公表した『個人のIT関連能力を職種や専門分野ごとに明確化・体系化した指標(ITスキル標準)』をいうものであって,IT関連の業界・・・においては,その意味の語として普通に使用されているのが実情です(甲第1号証)。」と述べると共に,「『ITSS』の文字は,・・・補正後の本願指定役務中『ITスキル標準に関する知識の教授,ITスキル標準に関するセミナーの企画・運営又は開催,ITスキル標準に関するコンピュータープログラムを稼働させるための電子計算機の操作方法の紹介・説明及びその情報の提供,ITスキル標準に関する電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守及びその情報の提供』に使用するときは,これに接する取引者・需要者をして,『ITスキル標準に関する役務』であること,即ち,役務の質(内容)を表示したものと理解されるにすぎませんから,自他役務の識別標識としての機能は有しないものとみるべきです。」と自認している。

4 請求人の主張について

(1)請求人は,「本願商標は,・・・『ITSS』の文字が全くの造語ですので,・・・自他役務の識別標識としての機能を有することは明らか」と主張する。

しかしながら,上述のとおり,「ITSS」の文字は,「個人のIT関連能力を職種や専門分野ごとに明確化・体系化した指標(ITスキル標準)」程度の意味合いを理解させるものであって,IT関連の業界においては,その意味の語として普通に使用されているのが実情であるというのが相当であるから,「ITSS」の文字が全くの造語であるとする請求人の主張は,採用できない。

(2)請求人は,別掲商標に係る審判事件(不服2009―25420)について触れ,この審判事件においては,登録第4858422号商標(以下「引用商標1」という。)及び登録第4990640号商標(以下「引用商標2」という。)と同一又は類似の商標であって同一又は類似の役務について使用をするものであるから商標法第4条第1項第11号に該当するとされた別掲商標が,その指定役務について,引用商標1及び2の指定役務と抵触する役務をすべて削除する補正がされ,その結果,登録すべきものと判断されているから,別掲商標中の「ITSS」の文字自体に,自他役務の識別機能を有するとの前提の下に判断がなされたとみるべきである旨,主張する。

しかしながら,引用商標1及び2の指定役務と抵触する役務とは,平成20年11月4日付け手続補正書により補正された指定役務中,第41類「ITスキル標準に関するセミナーの企画・運営又は開催」及び第42類「ITスキル標準に関する電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守及びその情報の提供」であって,第41類「ITスキル標準に関する知識の教授」は,引用商標1及び2の指定役務と抵触しないことが認められる。

こうしたことから,別掲商標は,結局,第41類「ITスキル標準に関する知識の教授」を指定役務に含んだまま,登録すべきものとされている。

そうすると,上記審判事件によっては,第41類「ITスキル標準に関する知識の教授」との関係において「ITSS」の文字に自他役務を識別する標識としての機能があるとした上で,別掲商標が引用商標1及び2と抵触すると判断されたということはできない。

したがって,上記請求人の主張は,採用できない。

5 まとめ

以上のとおりであるから,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は,妥当であって,取り消すことはできない。

よって,結論のとおり審決する。

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