結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第35106号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
商標登録第2632333号商標(以下「本件商標」という。)は、「ORGANIC」の文字を横書きしてなり、平成4年2月7日に登録出願、第28類「酒類(薬用酒を除く)」を指定商品として、平成5年9月17日に登録査定、平成6年3月31日に設定登録されたものである。
請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第45号証を提出した。
(1)本件商標は、上記のとおり「ORGANIC」の文字を書してなり、英語で「有機の」、「有機的な」の意味を有するものである(甲第3号証)。
近年、従来の化学肥料を使用した農業が見直され、これに代わって有機肥料を使用した農業生産、或いは無農薬による農業生産が再評価されているところである。たとえば、有機肥料或いは無農薬により生産されて野菜、果物、穀物などは市場において注目を集めており、需要者の健康或いは自然食指向にも支えられて年々その需要が増大しているところである。さらに、こうした有機肥料或いは無農薬により生産された農産物を原料として製造された加工食品についても同じく近年注目を集めているところであり、こうした食品は一般に「オーガニックフード」或いは「ORGANIC」と称されているところである。このような状況からすると、例えば有機農法等で生産されたぶどう、米、麦、ホップ、とうもろこし等の農産物を原料に製造された酒類についてみた場合、本件商標「ORGAMC」は商標法第3条第1項第3号に該当し、またそうした原料にに基づかずに製造された酒類についてみた場合には商標法第4条第1項第16号に該当する。
よって、本件商標の登録は、同法第46条第1項第1号により無効とされるべきである。
(2)他の分類での審査状況
このことは、第32類「オーガニックフーズ」、「オーガニックプロダクツ」商標に関する審査例、また第30類「オーガニック」商標(甲第4号証)、第2類「チヨダオーガニック」商標(同第6号証)に関する審査例からも推認できるものである。
このように、少なくとも食品のうち、第30類、第32類に関しては、「ORGAMC」は品質表示として一般に理解されていたところである。
(3)辞書等での「ORGAMC」の掲載状況
そのような認識は、本件商標が出願されるはるか前であったことは辞書類における記載からも明白である。
例えば、「現代用語の基礎知識1992年版」(第7号証)には「“オーガニック(完全有機)′′、収穫後も、流通、加工、貯蔵など各段階で薬品を全く使わない農産物...」と記載されている。こうした記述は甲第8号証ないし同第13号証に示すように毎年更新して記載されている。特に甲第12号証においては具体的に「オーガニック飲料」や「オーガニック.グッズ」に関する記述が、また甲第13号証においては「認定オーガニック」に関する記述が独立して表記されている。
また、最近出版された辞書等(甲第14号証ないし同第19号証)においても「オーガニック食品」「オーガニック農産物」「オーガニックフーズ」に関して記述されており、甲第19号では、オーガニック食品の具体例として「ジュース、ワイン、ビール、紅茶、パン、スナック」などが表示されている。
こうした辞書類での記載を見る限り、「ORGANIC」は、本件商標が出願され或いは登録される以前から商品の品質或いは原材料表示として認識されていたことが伺える。
(4)一般市場での認識
オーガニック或いはORGNICについては、穀物、野菜、果物などの一次農産物はもちろん、こうした農産物の加工食品についても、品質、原材料を表示するものとしてこれらの食品を取り扱う取引業者或いは需要者の間で認識されていたことは、本件商標の出願前の新聞記事の内容をみても伺える。
例えば、甲第20号証の平成2年4月21日付の朝日新聞に「オーガニック(有機農法)グルメ」の記事、甲第21号証においても「オーガニックレストラン」に関する記述が存在する。
甲第22号証は朝日新聞(平成3年4月29日夕刊)における口ンドンでの「オーガニック・プロデュース」に関する記事であり、甲第23号証においても米国での「オーガニックグルメ」の実状が紹介されてている。
甲第24号証の平成2年12月9日付け毎日新聞、甲第25号証の平成3年7月18日付け読売新聞、或いは、甲第26号証の日本食糧新聞の平成4年1月1日号には、我が国の百貨店において、米国のオーガニック認定制度をパスした、ジュース、ジャム等が販売されたこと等が紹介されている。
甲第27号証の平成4年9月11日付け日本食糧新聞には、平成4年9月に新潟市で開催された「アメリカンフード・ショー92」で有機栽培による野菜加工品のオーガニック製品や100種類以上のワインも展示された旨が紹介されている。
さらに最近の新聞記事においては、「オーガニック」の文字が頻繁に使用されており(「日本食糧新聞」甲第28号証ないし同第35号証参照)。例えば、甲第28号証では「オーガニックビール」をはじめとする世界各国のビールがザ・ワールドビアフェスタにおいて紹介された旨の記事が存在する。また、被請求人に関するビール(有機農法ビール)についての記述も存在する(甲第29号証参照)。さらに甲第32号証では「米国西海外リポート」と題して米国でのオーガニック事情が紹介されており、その中でロサンゼルスの商店ではオーガニックワインと同ビールが大量に陳列されている旨の記述が存在する。
(5)「ORGANIC」についての認定制度
欧米、特にヨーロッパ諸国においては、法律上「ORGANIC」と表示できる農産物や食品について基準を設けており、EUではオーガニック食品に関して1991年6月に開かれた理事会において「EU基準」なるものを決定している。これに基づき、EU各国ではオーガニック食品に関する認証を行う認証団体が相い次いで設立され、各食品会社から申請された食品に関し、オーガニックの認定を行っているのが実態である(甲第36号証の117頁以降)。
さらに米国においても既に20年以上も前からオーガニックに関する認証団体が存在しており、これら認証団体においては独自に様々な認定基準を設けて、申請された食品に対してオーガニック認定が行われている(甲第36号証ないし同第40号証参照)。
さらに日本においては、1992年(平成4年)に民間認証団体としての「日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会」(甲第41号証)が設立され、「有機農畜産物及び同加工食品」に関する認証が開始されたところである(甲第42号、同第43号証)。
このように「有機食品」、「無農薬・低農薬食品」を含めたオーガニック食品については、本件商標が出願或いは登録される以前から、欧米や日本国内において認証制度が存在するところである。
(6)被請求人の権利濫用行為について
請求人は平成9年カナダのビール会社より、カナダのオーガニツク認証団体から認証を受け正規にCERTI FIED ORGANICの使用を認められたビールを輸入する計画を立て、平成10年の年頭から当該ビールの店舗販売を開始した。
請求人は当該製品について、「HARVESTER」(甲第44号証)の登録商標を表記するとともに、品質表示として「ORGANIC BEER」の文字を付記的に表示したところ(甲第45号証の被告標章目録参照)、被請求人からこうした商品の販売を中止するよう申入れを受けた。然るに請求人は、「ORGANIC」の表示は商品の品質表示として定着している旨回答した。しかし、被請求人は、今般東京地方裁判所に本件商標の侵害に基づく訴え(平成10年(ワ)第2464号)を提起した(甲第45号証)。
被請求人は、請求人の他にもビールやワインの輸入会社が輸入したワインやビール(正規にオーガニック認定を受けている商品)に「ORGANIC」の表示があると、それらの使用者に対し輪入中止や使用許諾を迫り、事実、請求人も「ORGANIC」は日本ビールの登録商標です」という表記を商品に行うよう口頭で要請を受けた。
こうした一連の被請求人の行為は、商標権という独占権の保有により市場支配を目論む権利濫用行為に他ならない。「ORGANIC」の語は本件商標が出願或いは登録される以前から、欧米を中心として酒類を含めて商品の品質表示として使用されてきたものであり、日本語で言うならば「有機食品」、「無農薬」、「低農薬」の文字を被請求人が独占化していることを意味する。こうした事態は一日も早く払拭する必要があり、早急に請求の趣旨通りの審決を求める。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、と答弁し、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第10号証(枝番を含む)を提出した。
(1)本件商標「ORGANIC」は、酒類の品質或いは原材料の表示といえるか
ア まず、請求人が主張するように、「ORGANIC」という表示が酒類の品質或いは原材料の表示であるといえるためには、その前提として、「ORGANIC」の語が、我が国における酒類の取引者、一般需要者により、請求人が主張するように「有機農法等で生産された農産物を原料に製造された」等の意味として、すなわち、酒類の品質或いは原材料の表示として、認識若しくは直感されていることが必要である
イ しかるに、「ORGANIC」は、我が国において、肥料等の商品に使用されるのであれば格別、少なくとも酒類については未だ「有機農法等で生産された農産物を原料に製造された」等の意味を、取引者、一般需要者に認識若しくは直感させるまでには至っていない。
このことは、請求人が証拠として提出する甲第7号証以下の「現代用語の基礎知識」においても、「オーガニック」を説明するにあたり、その説明の冒頭部分において殊更に「アメリカでは」との限定を、また、甲第20号証以下の新聞記事においても、「オーガニック」等を説明するあたり、「ニューヨークでは」「ヨーロッパでは」若しくは「ロンドンのスーパーマーケットでは」等との限定を付けて説明していることからも明らかである。なお、甲第9号証ないし同第17号証の「現代用語の基礎知識」を含む各文献、及び、甲第28号証ないし同第40号証の新聞記事を含む各文献は、いずれも本件商標の登録査定時である平成5年9月17日後に発行された文献であるから、少なくとも請求人の主張を基礎付ける証拠とはならず、また、甲第41号証ないし同第43号証の各文献については、その発行年月日すら明らかでない。
ウ また、請求人は、「ORGANIC」を含む文字商標に関する特許庁における他の分類での審査状況を取り上げ、他の分類では、本件商標が出願或いは登録される以前から拒絶査定されていた旨を主張するが、以下のとおり、請求人の該主張自体が事実に反している。
すなわち、被請求人の調査によれば、特許庁においては、食品を指定商品とする商標登録に限っても、「ORGANIC」を含む文字商標について、以下のとおりその登録がされているのである。
▲1▼穀物、豆、粉類、飼料、種子類等を指定商品とする「ORGANIC」の文字を横書きした登録第1742856号商標、▲2▼茶、コーヒー、ココア、清涼飲料、果実飲料、氷を指定商品とする「オーガニック」と「organic」の各文字を二段に横書きした登録第2092160号商標、▲3▼酒類(薬用酒を除く)を指定商品とする本件商標、▲4▼調味料、香辛料、食用油脂、乳製品を指定商品とする「オーガニック」の文字を横書きした登録第2649407号商標、▲5▼食肉を指定商品とする「organic」と「Club」の各文字を二段に横書きした登録第3316509号商標、「オーガニック」と「クラプ」の各文字を二段に横書きした登録第3316510号商標、「organic」と「Lady」の各文字を二段に横書きした登録第3316511号商標、▲6▼加工食料品、その他本類に属する商品を指定商品とする「organic」の文字を含む登録第2609448号商標、▲7▼茶、コーヒー、ココア、清涼飲料、果実飲料、氷を指定商品とする「organic」の文字を含む登録第2708513号商標
しかも、上記▲2▼の第2092160号商標の登録については、平成5年に無効審判の請求がされたが(平成5年審判第3410号)、該無効審判の請求は不成立となっているのである(乙第8号証)。
上記の登録状況等からすれば、請求人が主張するのとは反対に、特許庁においては「ORGANIC」の表示につき、右表示を少なくとも加工食品の品質或いは原材料を表示するものとは認識していないことは明らかであり、また、該事実から合理的に推論すれば、我が国における酒類の取引者、一般需要者においても、「ORGANIC」の表示が酒類の品質或いは原材料を表示するものとは認識されていないことを容易に推認させるのである。
エ また、次項に述べるとおり、被請求人は平成6年から現在に至るまで約4年間にわたって被請求人の販売するビールに本件商標を現実に使用しているが、その現実の使用において取引者・需要者層に、本件商標が商品の品質若しくは原材料を表示するものとして問題が生じた事実はない。
オ 以上述べてきたとおり、本件商標「ORGANIC」は、少なくとも我が国においては、酒類の品質或いは原材料の表示とはいえず、したがって、請求人の主張はいずれも理由がない。
(2)被請求人による本件商標の使用状況等について
ア 被請求人は、平成3年頃からその原料に化学肥料を一切使用しない(=有機栽培された原料を使用した)ビールの輸入を開始し、右ビールを一言で的確に表現する標章として本件商標である「ORGANIC」を採用して、その商標登録を行い、平成6年から現在に至るまで約4年間にわたって、被請求人の販売するビールに本件商標を付して販売しているもので
伝広告(乙第10号証の1ないし3)、並びに、本件商標権の侵害と思料される他社の標章使用に対しては警告を繰り返す、などの被請求人の努力により、本件商標は現在では、被請求人が販売するビールであることを識別する周知商標として業界に広く認識されるに至っているのである。
なお、本件商標権を侵害する他社の標章使用に対して警告を発し侵害行為に対処することは、被請求人の有する当然の権利であって、上記のような被請求人の努力の結果、本件商標の周知性が確立されているのである。
イ 請求人は、本件商標は、商標法第4条第1頃第16号で規定される「商品の品質の誤認を生じるおそれがある商標」に該当する旨の主張するが、既に述べたとおり、本件商標はそもそも酒類の品質の表示とはいえないのであるから、請求人の上記主張はその前提を欠き理由がないことは明らかであるが、実際上も被請求人が本件商標を付して販売しているビ−ルは、乙第9号証の1ないし3(被請求人のパンフレット)に記載しているとおり、それぞれのビールの原産国における有機食品認定機関(乙第9号証の1につき原産国アメリカの「OGBA」、乙第9号証の2につき原産国ドイツの「バイオランド(BIOLAND)」、乙第9号証の3につき原産国フランスの「フランス有機農業組合(NATURE&PROGRES)」の各機関)の認定をそれぞれ受けているのであって、この意味でも、請求人の前記主張は失当である。
(1)本件商標は、上記のとおり「ORGANIC」の文字よりなるものであって、「有機の、有機体の」等を意味するものである(例えば、小学館発行「ランダムハウス英和大辞典」参照)。
(2)しかして、請求人の提出に係る証拠によれば、以下の点を認めることができる。
ア 1996年(平成8年)5月15日発行の「オーガニック食品」(甲第36号証)によれば、米国では、1976年(昭和51年)には、既にオーガニック農産物を栽培する農家が存在しており、これらが認証団体を組織していたこと、1990年(平成2年)に「オーガニック食品生産法」が成立したこと。
オーガニック食品に関するEU(欧州連合)の統一基準「EU基準」は、1991年(平成3年)6月に決定され、認証の仕組みは、EUが認証機関を認可し、認可を受けた国や民間認証団体が認証を行うものであること。そして、同基準は1992年(平成4年)から実施され、EUが認可した認定団体(約70団体)に認められたオーガニック食品でないと、EU圏内ではオーガニックの文字をつけて販売することができないこと(「そして」以下は、1997年(平成9年)7月15日号「食品工業」:甲第39号証参照)。
フランスは、1980年(昭和55年)にオーガニック食品生産に関する法律を制定し、世界で最初に公的認証制度を確立した国であること。
イギリスでは、1973年(昭和48年)に土壌協会がオーガニック食品生産の基準、1987年(昭和62年)に加工基準を発表し、これが「EU基準」の土台になったこと。
イ 1990年(平成2年)4月21日付け及び1990年(平成2年)9月29日付け「朝日新聞」(甲第20号証及び同第21号証)によれば、ニューヨークでは、徹底した無農薬、低農薬栽培のオーガニック(有機農法)素材を売り物にしたレストランが連日にぎわっていること。
ウ 1990年(平成2年)6月13日付け「夕刊読売新聞」(甲第23号証)によれば、米国で有機農法の野菜や果物等を材料にした料理を提供するレストランがオーガニックグルメとして人気を集めている旨の記載があること。
エ 1997年(平成9年)10月15日号「食品工業」(甲第40号証)によれば、我が国では、農水省がオーガニック農産物のラベル表示に関する規定を設けており、これらのガイドラインが1993年(平成5年)4月に導入されたこと。
オ 1992年(平成4年)1月1日発行の「現代用語の基礎知識1992」(甲第7号証)によれば、米国で「オーガニック(有機野菜)」に認定された野菜など、輸入有機野菜が、我が国で人気を集めていること。
カ 1990年(平成2年)12月9日付け「毎日新聞」(甲第24号証)によれば、我が国に、米国から州認定の有機農産物を原料にしたジュース、ジャムなどを輸入し、「オーガニック(有機)」と書いたプレートを掲げたギフトコーナーで販売している百貨店があること。
岡山では、平成1年7月から有機農産物に「無農薬有機」等のシールを貼った認証制度をスタートさせていること。
北海道では、有機農産物について研究する「北海道有機農業研究協議会」が作られていること。
キ 1991年(平成3年)7月18日付け「読売新聞」(甲第25号証)によれば、全国農業協同組合中央会(全中)は、有機農産物に関する自主基準を制定したこと。
兵庫に、「オーガニック(有機)ギフトコーナーにおいて、米国のカリフォルニア州の認定基準をパスした有機無農薬果実から作ったジュース、ジャムなどとオーストラリア産のジュースを販売している百貨店があること。同記事中には、「米国産は昨年の中元から、オーストラリア産は歳暮から試験的に扱ったが、好評だったので、今年は中元の目玉に取り上げた」と記述されていること。
東京に、米国産有機農産物の認定を受けた冷凍・缶詰野菜やジュース、パスタ、ソースなどを販売している百貨店があること。
外食チェーン大手のステーキ店で、成長ホルモン剤や抗生物質を使わない米国産の肉や有機栽培野菜を使用していること、また、コーヒー、ジュースも米国の有機認定品を使用していること。
ク 1992年(平成4年)1月1日付け「日本食糧新聞」(甲第26号証)によれば、東京に、米国の有機栽培(オーガニック)基準にパスした無農薬栽培や有機栽培の素材を使った70アイテムにのぼる自主輸入オーガニック食品を販売している百貨店があること。
ケ 1992年(平成4年)9月11日付け「日本食糧新聞」(甲第27号証)によれば、新潟で開かれた「’92新潟アメリカン・フード・ショー」において有機栽培による野菜加工品のオーガニック製品が展示されたこと。
(3)以上を総合すれば、米国、EU諸国においては、少なくともEU基準が実施された平成4年頃には、オーガニック食品に関する認証制度が存在し、我が国においては、平成4年前に、米国等でオーガニック食品の認定を受けたジュース、ジャム等の食品が輸入、販売され、中には「オーガニック(有機)」のプレートを掲げて販売され、さらには「米国産は昨年の中元から、オーストラリア産は歳暮から試験的に扱ったが、好評だったので、今年は中元の目玉に取り上げた」との記述も認められるところである。また、(2)で述べた、アメリカン・フード・ショーが開かれた新潟の状況、岡山に有機農産物の認証制度が存在する事実、全国農業協同組合中央会が有機農産物に関する自主基準を制定した事実等に加え・平成5年4月には・我が国においても、オーガニック農産物に関するラベル表示に関するガイドラインが導入されるに至った状況からすると、少なくとも本件商標の登録査定時である平成5年9月頃には、我が国において、オーガニック(有機)農産物、加工食品に関心を寄せる取引者、需要者は少なくなかったものといわなければならない。そして、農産物のみならず加工食品に関してもオーガニック(有機)の語が使用されていた点を併せ考慮すれば、「organic」の語がその指定商品の「酒類(薬用酒を除く)」について使用した場合、これに接した取引者、需要者は、これをオーガニック(有機)農産物を原料に使用したものと理解し、商品の識別標識とは認識しないものと判断するのが相当である。
(4)被請求人は、本件商標は被請求人が販売するビールであることを識別する周知商標として広く認識されるに至っている旨述べる。
被請求人が本件商標を使用しているとして提出した乙第9号証の1ないし3は商品パンフレット、乙第10号証1ないし3は新聞に掲載された広告と認められるところ、これらによれば、被請求人は、本件商標がビールに表示されていることが認めれる。しかしながら、商品パンフレット(甲第9号証)がいつ、どの程度印刷され、かつ、頒布されたものか不明なものであり、また、商品広告も3回行われたことが確認し得るに止まるものであるばかりでなく、これらの商品広告は本件商標の登録査定後にされたものである。しかも、これらにおける本件商標の使用態様をみるに、例えば、乙第9号証の1の商品パンフレットには、「原料 完全無農薬・自然有機栽培」、「有機農法ビール」と記述され、また、「缶入りビール」の缶には「ORGANIC BEER」の文字より大きな文字で「有機農法ビール」の文字が表示されている。これらの表示方法からすれば、「ORGANIC BEER」の文字は商品の識別標識として使用されているものというよりは、むしろ「有機農法ビール」であることを表すために使用されたものともいい得るものである。乙第9号証の2及び3の商品パンフレット、同第10号証の1ないし3の商品広告における表示方法も、「ORGANIC」の語が強い識別力を有するものとして使用されているとは判断し得ないものである。したがって、これらの証拠によっては、登録査定時において、本件商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っていたものともいえず、それ以降においても、需要者間に広く知られ周知性を獲得するに至ったものとは判断することができない。
(5)以上の通りであって、本件商標は、その指定商品中「オーガニック(有機)」の語に照応する商品に使用しても、商品の品質、原材料を表示するに止まるものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、上記以外の商品に使用しても、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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