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Trademark Appeal Case

品質表示の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2011−9279(T2011−9279/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲のとおり、「焼酎」の文字と「ハイボール」の文字を二段に横書きしてなり、第33類「炭酸水で割った焼酎,焼酎を炭酸水で割ったスピリッツ」を指定商品として、平成22年4月14日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、『焼酎』の文字と『ハイボール』の文字を多少デザイン化して二段に書してなるところ、その構成中『焼酎』の文字は、『日本酒製造の際の醪または酒粕を蒸留したもの』等の意味合いを、『ハイボール』の文字は『ウィスキー・ジンなどをソーダ水などで割った飲料』等の意味合いを表すことから、全体として『焼酎をソーダ水などで割ったもの』程の意味合いを容易に認識されるものである。そして、飲料を取り扱う業界において、『焼酎を炭酸水等で割った飲料』を表すものとして『焼酎ハイボール』の文字が、一般に使用されている実情をうかがい知ることができる。また、この程度の文字のデザイン化は、通常行われている表現方法のひとつにすぎないものと認められる。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号について

本願商標は、その別掲に示すとおり、「焼酎」の漢字と「ハイボール」の片仮名を二段に横書きしてなり、全体として極太の書体をもってややデザイン化してなるところ、飲食料品を取り扱う分野の商品ラベルとして同程度のデザイン化は普通におこなわれており、かかるデザインの程度では特殊な態様よりなるものということはできず、むしろ、普通に用いられる態様の域を脱していない表現方法よりなる標章とみるのが相当である。

ところで、本願商標の全体からなる「焼酎ハイボール」の文字は、広辞苑第六版によると、「ちゅうハイ【酎−】(「焼酎ハイボール」の略)焼酎を炭酸水でわった飲み物。」との記載がされており、指定商品中の「炭酸水で割った焼酎」の品質を表すものである。また、本願指定商品中「焼酎を炭酸水で割ったスピリッツ」の記載は、「炭酸水で割った焼酎」が酒税法上の「スピリッツ(発泡性)」に該当すると認められ、これも同様に品質を表すものというべきである。

してみれば、「焼酎ハイボール」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品「炭酸水で割った焼酎,焼酎を炭酸水で割ったスピリッツ」について使用する場合、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認められ、結局、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 商標法第3条第2項について

請求人は、本願商標は出願人の商品にのみ使用される態様の商標であり、「缶入りまたは瓶入りの焼酎ハイボール」を販売しているのは本願出願人のみであり、広く全国的に認知されている商品であるから、本件商標に接する取引者・需要者は直ちに出願人の前記「焼酎ハイボール」であることを認識するものである旨主張し、当審において、甲第1号証ないし甲第46号証を提出している。

そこで、以下、請求人の前記主張について検討する。

(1)実際に使用している商標および商品

請求人の100%子会社の宝酒造株式会社(以下、単に「子会社」という)が、商品「缶入りまたは瓶入りの焼酎ハイボール」(以下、単に「使用商品」という)に使用しているとして各号証に示された、使用商品に付された「焼酎ハイボール」の商標は、本願商標と同一のものと認められる。

(2)使用開始時期および使用期間

提出されたアニュアルレポート2010(甲第2号証)、製品のご案内(甲第3号証ないし甲第13号証)を総合して勘案すれば、子会社は、2006年3月から本願商標を指定商品に使用してきており、現在も継続して使用していると認め得るものの、その使用期間は本件審決時までに約6年ほどで決して長いとはいえない。

(3)使用地域

請求人は、本願商標を付した使用商品を日本全国に販売している旨主張し、また、提出された甲第14号証の子会社のウエブサイトに係る商品ラインアップによれば、使用商品には、定番缶、地域限定缶及び限定生産等の商品があり、限定生産の商品の紹介ページの項には「全国で新発売」との記載があることから、本願商標は全国において使用されているものと推認し得るものである。

(4)使用商品の販売数量

子会社が作成した報告書(甲第17及び18号証)によれば、本願商標を付した商品の販売数量及び販売金額は、平成17年度3,421kl(約8.8億円)、平成18年度7,345kl(約19.4億円)、平成19年度9,645kl(約25.6億円)、平成20年度10,527kl(約27.9億円)、平成21年度15,669kl(約41.3億円)、平成22年度25,154kl(約66.2億円)であり、総販売数量及び総販売金額は、71,761kl(約189億円)であるところ、報告書の証明者が子会社のCSR推進部知的財産管理課長であり、これを客観的に裏付ける証拠の提出はなく、また、市場に占める割合(シェア)を立証する証拠の提出もない。

(5)広告宣伝の方法、回数

提出された広告掲載記事(甲第14号証、甲第20ないし46号証)によれば、子会社が発売当初から現在に至るまで、テレビ・ラジオCMや日刊現代、夕刊フジ、読売新聞等の新聞広告、散歩の達人、週刊ポスト、週刊現代等の雑誌に広告を掲載し、自社インターネットホームページの「焼酎ハイボール倶楽部」を通じるなどして、継続的に本願商標を付した使用商品の広告宣伝を行っていたことは認められる。

しかしながら、これらの広告宣伝の方法は、その見出し部分において「TAKARA焼酎ハイボール」「タカラ焼酎ハイボール」等のように、「TAKARA」「タカラ」等の文字からなる請求人グループの代表的な出所識別標識とともに「焼酎ハイボール」の文字が一連一体に大きく表示されているものがほとんどである。

また、子会社が作成した報告書(甲第19号証)によれば、本願商標を付した使用商品の広告宣伝費は、平成18年度約4.7億円、平成19年度約4千万円、平成20年度約5千万円)、平成21年度約2億円、平成22年度約3.7億円、総広告宣伝費は、約11億円であるところ、その金額については、報告書の証明者が子会社のCSR推進部知的財産管理課長であり、これを客観的に裏付ける証拠の提出はない。

(6)他者による「焼酎ハイボール」の文字の使用の有無

当審において職権をもって調査したところ、以下のとおり、本願の指定商品に関して「焼酎ハイボール」の文字が、請求人及び子会社以外の者により使用されている事実がある。

ア 「月桂冠株式会社」のウェブサイトにおいて、平成23年6月28日付の『「日本の酒ハイボール」「焼酎ハイボール」(各350ミリリットルびん詰)商品自主回収のお知らせ』を見出しとする記事には、回収対象商品としての「焼酎ハイボール」の記事及び画像が掲載されている。このことから、月桂冠株式会社が実際に、平成23年まで「焼酎ハイボール」を販売していたことが認められる(http://www.gekkeikan.co.jp/company/news/apology5.html)。

イ 「合同会社 西友」のウェブサイトにおいて、「西友、人気のハイボールを97円の圧倒的低価格で発売」の見出しの下『合同会社西友は、人気のハイボールを手軽に飲めるハイボール缶を、西友のPB(プライベートブランド)であるGreat Value商品として開発し、11月8日(火)より全国362店舗にて、それぞれ97円という圧倒的低価格で発売いたします。今回西友が発売するのは、・・・・レモン風味を加えすっきり飲みやすい「Great Value 焼酎ハイボール レモン」(350ml・97円)の2アイテムです。』との記載と共に、商品概要の項に、その商品の画像が掲載されている。このことから、合同会社西友が実際に、「焼酎ハイボール」を販売していることが認められる(http://www.seiyu.co.jp/information/2011/1540.php)。

以上、上記の(1)ないし(6)を総合して検討すれば、実質的に請求人と認められる子会社がその使用商品に使用している「焼酎ハイボール」の商標は、本願商標と同一のものと認められ、全国において使用されているものと推認し得るものであり、また、発売当初から現在に至るまで、継続的に本願商標を付した使用商品の広告宣伝が行われてきたことが認められる。

しかしながら、その広告宣伝の方法においては、「TAKARA焼酎ハイボール」「タカラ焼酎ハイボール」等のように、「焼酎ハイボール」の文字以外に請求人グループの代表的な出所識別標識を併せて使用されているものであり、これらの広告に接した者が、「焼酎ハイボール」の文字のみを使用商品の出所表示として認識するとは言い難い。

また、本願商標の使用期間の約6年は、決して長いものということはできず、販売数量、販売金額及び広告宣伝費についての客観的裏付け等もなく、使用の状況を示すものとしては不十分であるといわざるを得ない。

さらに、他者によって「焼酎ハイボール」の文字が、過去及び現在において使用されている事実が認められる。

そうすると、本願商標が特定の者の取り扱いに係る商品の出所表示として、需要者の間で全国的に認識されているものとは言い難く、本願商標が長年使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとはいえない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものということもできない。

3 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって取り消すことはできず、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものでもないから、登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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