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Trademark Appeal Case

周知商標と結合商標の混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2011−900206(T2011−900206/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5396307号商標の指定商品中「電気式歯ブラシ」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5396307号商標(以下「本件商標」という。)は、「シャープフォーミュラ」の片仮名と「sharpformula」の欧文字を二段に書してなり、平成22年7月13日に登録出願、第21類「化粧用具」を指定商品として、平成23年1月24日に登録査定、同年3月4日に設定登録されたものである。

なお、本件商標権は、平成23年12月27日に商標権の一部抹消登録申請がなされ、その指定商品中「電気式歯ブラシ」について放棄による抹消の登録がされている。

2 登録異議の申立ての理由

(1)本件商標の分析

本件商標の前半部にある「シャープ(sharp)」は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の業務に係る商品及又は役務を表示するものとして知られた「シャープ」及び「SHARP」であることも相まって、本件商標は、「シャープ」及び「sharp」の部分のみが強く印象されることとなる。

他方、「フォーミュラ(foamula)」は、「(儀式などの)定型句、式辞、式文」のほか、「決まり文句、常とう句」等を意味する(甲4)。 したがって、本件商標の構成中の「フォーミュラ(foamula)」の語は、本件商標の指定商品「化粧用具」との関係においては、「定型式のもの」「式」のように品質、形状を表す商標として自他商品識別力の弱い語である。また、「シャープ(sharp)」と「フォーミュラ(foamula)」の二つの語が結合されても、新たな意味を生じるものではない。

したがって、本件商標は、前半部の「シャープ(sharp)」が強く印象されることとなるものである。

また、本件商標の指定商品の類似群コードは、「21F01」の化粧用具だけではなく、「11A06」、すなわち、エアコン、加湿器、空気清浄機、除湿器、電子レンジ、電気冷蔵庫などの家庭用電熱用品類、すなわち、申立人が製造・販売している主要製品群と類似する。

(2)引用商標の周知・著名性について

甲第5号証(別掲1)として提出する「SHARP」の欧文字を太字で独特の自体で表した商標(以下「第1引用商標」という。)及び甲第6号証(別掲2)として提出する「シャープ」の片仮名をやや図案化させた商標(以下「第2引用商標」という。また、これらの商標をまとめて「引用商標」という場合がある。)は、共に申立人のハウスマークであり、AV関連商品、家電製品、情報通信関連商品等の申立人の業務に係る商品すべてに使用されている。

「シャープ」又は「SHARP」の語をインターネット検索すると3千万件近くのヒット件数があり(甲3)、上位の検索事項のほとんどが申立人に関する内容である。

また、特許電子図書館の日本国周知・著名商標検索には、登録第499615号商標「Sharp(図形)」、同第1111387号商標「SHARP」、同第191145号商標「SHARP」が周知・著名商標として認められ、第1引用商標は2004年の「日本有名商標集」(AIPPI・JAPAN発行)に掲載されているものであり(甲10)、第2引用商標は、「日本商標名鑑’94」(商標調査会編集)に掲載されている(甲11)。

そして、第2引用商標は、海外の多数の国においても登録されている(甲9)。

なお、申立人は、平成19年度には、宣伝広告費に753億7500万円を支出しており(甲16)、商品カタログにも第2引用商標を掲載しており(甲17)、現在においても第1及び第2引用商標について積極的に使用している。

以上述べた事実から、引用商標は、現在も日本及び海外において広く知られていることは明らかである。

(3)本件商標と引用商標の対比

ア 商標法第4条第1項第11号について

商標法第4条第1項第11号に関する商標審査基準にある「SONYLINE」と「SONY」の例と同様に判断されるべきものであり、前述のとおり、本件商標の構成中の「フォーミュラ(foamula)」の語は、「化粧用具」との関係においては、自他商品の識別力の弱い語であり、一方、一般に需要者の注意を引きやすい前半部に位置し、かつ、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして広く知られた「シャープ」及び「sharp」が本件商標の要部であり、観念においても「シャープ式」の意味合いが生じ、あたかも申立人と関係を有するとの印象を与えるものである。

本件商標は、需要者の間に広く知られた第1及び第2引用商標と同一又は類似する商標であって、当該引用商標が使用される商品と同一又は類似する商品を指定商品とするものである。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。

イ 商標法第4条第1項第15号について

(ア)引用商標が、本願商標の出願時には申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして広く知られていたこと、(イ)第1及び第2引用商標が独特の太字の書体で書されてなる創造商標であること、(ウ)第1及び第2商標が申立人のハウスマークであること、(エ)申立人が第1及び第2引用商標を使用する商品と本件商標の類似群コードに密接な関連性を有すること、は既に述べたとおりであり、また、本件商標は、周知又は著名な引用商標「シャープ」及び「SHARP」と他の文字の結合からなる商標であり、加えて、家庭用電熱用品類の分野においては、本件商標の「シャープ」及び「SHARP」の部分が需要者等の注意を引きつけ、強く印象される部分である。このような理由によっても、本件商標は、申立人の業務に係る商品若しくは申立人と何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、商品の出所について誤認、混同を生じしめるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 本件商標に対する取消理由

当審において、商標権者に対して、平成23年11月2日付けで通知した取消理由の要旨は以下のとおりである。

(1)引用商標の著名性及び独創性の程度

申立人の提出した甲第3号証、甲第7号証、甲第10号証ないし甲第17号証(枝番を含む。)によれば、申立人は、1914年ころ創業され、1930年ころに国産第1号のラジオを製造し、1959年に総合家電メーカーとなり、引用商標「SHARP」及び「シャープ」をハウスマークとして使用しているものである。

そして、引用商標は、家電製品、AV関連商品、情報通信関連商品について、申立人のハウスマークとして使用され、例えば、平成19年度の広告費が約753億7500万円(甲16)であるほか、多大な広告、宣伝がなされたことが推認できることからすると、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示する商標として本件商標の登録出願時及び登録査定時において、広く需要者の間に認識されていたものと認めることができる。

なお、「sharp(シャープ)」は、「鋭いさま。鮮明。鋭敏。半音上げる記号。」(広辞苑第6版)等を意味する語として、広く使用されているものであるから、その独創性は強いものではない。

(2)本件商標と引用商標の類似性の程度

本件商標は、前記1のとおり、「シャープフォーミュラ」の片仮名と「sharpformula」の欧文字からなるものであるが、「sharp」「シャープ」は、上記(1)のとおりの意味合いの語として広く知られているものであり、「formula」「フォーミュラ」の語も「定型句。決まり文句。」(甲4)を意味する語として広く知られている語であり、両語を一体として特別の意味合いを有するものとはいえないものである。

そうすると、本件商標は、「sharp」「シャープ」の文字と「formula」「フォーミュラ」の文字を結合してなるものと容易に認識されるものであり、引用商標とは、「sharp」「シャープ」の文字を共通にするものであるから、その類似性の程度は高いものといえる。

(3)本件指定商品と引用商標の使用に係る商品との関連性の程度

本件商標の指定商品中の「電気式歯ブラシ」はモーターを使用し、電気により動作させるものであり、一般に電機メーカーにより製造され、電気販売店により取り扱われることも多い商品であり、一般消費者がその需要者である。

引用商標を使用する家電製品、AV関連商品、情報通信関連商品は、一般に電機メーカーにより製造され、電気店により販売されるものであり、その用途は一般家庭において使用されるものであって、一般消費者も主要な需要者とするものである。

そうとすれば、本件指定商品中の「電気式歯ブラシ」と引用商標の使用に係る上記商品とは、生産部門、販売部門、需要者の範囲等において共通するものであり、両者は密接な関連性を有するものということができる。

(4)混同を生ずるおそれについて

以上のとおり、1)本件商標は、引用商標の「sharp」「シャープ」の文字を含むものであり、その類似性は高いこと、2)引用商標は、もとは普通名詞であるものの、申立人により使用された結果、高い著名性を有する商標であること、3)本件商標の指定商品中「電気式歯ブラシ」と引用商標の使用に係る商品とが密接な関連性を有するものであることを総合考慮すれば、商標権者が本件商標を「電気式歯ブラシ」について使用した場合、これに接する取引者・需要者は、その構成中「sharp」「シャープ」の文字部分に着目し、引用商標又は申立人を連想、想起し、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

(5)まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その指定商品中「電気式歯ブラシ」について、その登録を取り消すべきものである。

4 商標権者の意見

本件商標について、前記3の取消理由を通知し、相当な期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者は何ら意見を述べるところがない。

5 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第15号について

本件商標は、前記3で述べたとおり、その指定商品中、「電気式歯ブラシ」について、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

他方、本件登録異議の申立てに係る、「電気式歯ブラシ」以外の化粧用具は、申立人が引用商標を使用している、AV関連用品、家電製品、情報通信関連商品とは、製造部門、販売部門、品質、用途等が明らかに異なるものであり、また「sharp(シャープ)」の語が「鋭い。鮮明。」等を意味する平易な語であり、その語自体の独創性はそれほど高いものではないことからすると、本件商標を「電気式歯ブラシ」以外の化粧用具に使用した場合に、申立人若しくは申立人と何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるとまではいうことができない。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件登録異議の申立ての理由に、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する、具体的な先願登録商標は明示されていないが、申立て理由中には、登録第499615号商標「Sharp(図形)」、同第1111387号商標「SHARP」、同第191145号商標(以下「申立人登録商標」という。)に係る記載があるので、申立人登録商標との関係において、同号に該当するか否かを検討するに、申立人登録商標の指定商品は、いずれも電気を利用する、若しくは電気に関連する機械、器具等の商品であって、本件商標の「電気式歯ブラシ」以外の化粧用具とは非類似の商品と認められる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(3)まとめ

以上のとおり、本件商標は、その指定商品中「電気式歯ブラシ」については、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項により、その登録を取り消すべきものである。

また、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではなく、取り消すべき理由がないものと認められるから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。

なお、本件商標権については、前記1のとおり、平成23年12月27日の商標権の一部抹消登録申請によって、「電気式歯ブラシ」が放棄されているが、商標権の一部抹消登録の効力は、将来に向けて生ずるものであり遡及することはないと解すべきであるから、当該手続が、登録商標の登録査定時における拒絶の理由の有無を判断する登録異議申立ての上記認定及び判断に何ら影響するものではない。

よって、結論のとおり決定する。

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