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Trademark Appeal Case

地名と周知名称の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2011−900123(T2011−900123/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5380593号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5380593号商標(以下「本件商標」という。)は、「広島SR経営労務センター」の文字を標準文字で表してなり、平成22年4月2日に登録出願、第35類、第41類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同年11月26日に登録査定、同23年1月7日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第10号及び同第7号に該当するとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第10号について

本件商標は、「広島SR経営労務センター」の文字からなるところ、「SR経営労務センター」の文字は、各都道府県の社会保険労務士会を母体とした労働保険事務組合の統一的名称として、申立人が公募の上決定した名称である(甲第2号証)。そして、昭和63年4月現在で、16都道府県において「SR経営労務センター」という全国統一された名称の母体団体が設立され、平成21年では36都道府県において37の「SR経営労務センター」が設立されている(甲第3号証、甲第4号証)。

かかる労働保険事務組合の一である「香川県SR経営労務センター」については、当該表示について平成22年9月に裁判所によって周知性が認定されている(甲第5号証)。他の都道府県における「SR経営労務センター」の名称についても、少なくともこの「香川県SR経営労務センター」より長年使用されているものについては、同程度ないしはそれ以上の周知性を備えているものと解するのが相当である。

本件商標は、役務の提供の場所を表すに止まると認識される「広島」の文字を「SR経営労務センター」の前に配したものにすぎず、本件商標の要部は「SR経営労務センター」の文字部分であると解するのが相当である。同様に、周知性を備える「香川県SR経営労務センター」の要部も「SR経営労務センター」の文字部分であると理解されるものである(甲第5号証)。 よって、本件商標は、他人の業務に係る役務を表示するものとして周知となっている商標と類似するものである。

また、「香川県SR経営労務センター」を始めとする37の「SR経営労務センター」は、本件商標の指定役務と同一又は類似の役務を行っていることは明白である。

したがって、本件商標は、他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と類似する商標であって、その役務又はそれに類似する役務について使用をするものであり、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。

(2)商標法第4条第1項第7号について

前述のとおり、「SR経営労務センター」の文字は、各都道府県の社会保険労務士会を母体とした労働保険事務組合の統一的名称として、申立人が公募の上決定した名称である。そして、「SR経営労務センター」の名称の使用が予定されている各都道府県の社会保険労務士会を母体とした労働保険事務組合は、昭和62年に旧労働省の新政策として、労働保険の未適用事業所の適用促進を実施するという「労働保険適用促進事業」を契機として設立されたものである(甲第6号証)。かかる公益的な事業を行う労働保険事務組合の統一的名称として現在に至るまで使用され続けてきた「SR経営労務センター」の名称は、各都道府県ごとに設立される労働保険事務組合の名称としての使用を確保すべき公益的な要請の強いものであるから、商標権者が、「SR経営務センター」を要部とする本件商標の登録を得て独占権を取得すれば社会の一般的利益を害するおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第7号に違反して登録されたものであるから、その登録は商標法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。

3 商標権者の意見

商標権者は、「本件商標は、これを商標権者がその指定役務に使用した場合、その役務が申立人と都道府県社会保険労務士会の指導を受けて、各都道府県に原則として1つのみ設置される労働保険事務組合(以下「都道府県SR経営労務センター」という。)の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨の取消理由に承服できないとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。

(1)都道府県SR経営労務センターは、頭に冠する都道府県名により別センターであることを前提に設立されたものであるから、商標権者が代表者を務める「広島SR経営労務センター」が、本件商標をその指定役務に使用しても、申立人又は他の都道府県SR経営労務センターの業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じることはありえない。

(2)具体的には、商標権者は、労働保険事務組合である「広島SR経営労務センター」の代表者たる会長であり(乙第1号証)、労働保険事務組合は法人格がないため、会長名義で本願を出願したものである。

そして、「広島SR経営労務センター」は、昭和63年4月26日付けで広島県知事の認可を得て労働保険事務組合として設立され(乙第2号証及び乙第3号証)、その後現在に至るまで本件商標を使用して労働保険料の徴収、申告及び納付、労働保険に関する事務処理の指導といった業務を行っている。すなわち、広島県内で唯一「SR経営労務センター」をその名称に含むことが許された労働保険事務組合である。

(3)「SR経営労務センター」の名称は公募により申立人である全国社会保険労務士会連合会(以下「連合会」という。)にて採択されたこと、及び旧労働省の「労働保険適用促進事業」という政策に応じて、連合会と各都道府県の社会保険労務士会共に推薦を行うことにより、一般の労働保険事務組合とは異なった認可基準で都道府県SR経営労務センターが設立されたことは、商標権者も認める。

しかしながら、都道府県SR経営労務センターは都道府県名により別センターであることを前提に設立されたものであり、かつ都道府県名を含めた名称で長年にわたる各センターの営業努力により認知されるようになっているものであるから、センター毎に業務上の信用が化体されていることは明らかである。

(4)また、広島県内において、平成15年から連合会や広島県社会保険労務士会の推薦を得ずに設立された労働保険事務組合が「広島県SR経営労務センター」という名称の使用を開始したので、連合会に名称変更等の指導を行って欲しい旨再三要望したが、広島県内で問題を解決するように言われるばかりであったため、商標権者を代表者とする広島SR経営労務センターは、自己の営業表示を自ら守るために、本件商標を出願し登録を得たものである。

(5)以上のとおり、商標権者(又は、広島SR経営労務センター)が本件商標をその指定役務に使用しても、連合会はもちろんのこと他の都道府県SR経営労務センターの業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じることはありえない。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(6)なお、「広島SR経営労務センター」と「香川県SR経営労務センター」など他の「都道府県SR経営労務センター」は容易に区別できる非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第10号には該当しないことは明らかであり、また、本件は様々な名称であまたに存在する労働保険事務組合の一部における名称についての事案であるため、公序良俗違反を排除する商標法第4条第1項第7号の適用は不適切である。

4 当審の判断

(1)申立人及び商標権者の提出に係る証拠及び主張によれば次のとおり認めることができる。

ア 「SR経営労務センター」の名称は公募により申立人が採択したこと、旧労働省の「労働保険適用促進事業」という政策に応じて、申立人及び各都道府県の社会保険労務士会の推薦により、一般の労働保険事務組合とは異なった認可基準で都道府県SR経営労務センターが設立されたこと及び都道府県SR経営労務センターは原則として各都道府県に一つであることが認められる(甲第3号証、甲第5号証など)。

イ 広島SR経営労務センターの定款によれば役員の任期は3年と理解できること、平成20年8月22日の理事会で商標権者がセンターの会長に選任されたこと、及び同22年3月17日付け文書に商標権者が同センター会長として記載されていることから、商標権者は、本件商標の登録出願の日前から労働保険事務組合である「広島SR経営労務センター」の会長であり、登録査定時においてもその職にあったと推認できる(乙第1号証、乙第14号証)。

ウ 「広島SR経営労務センター」は、昭和63年3月19日に申立人及び広島県社会保険労務士会の承認の下に設立され、同年4月26日付けで広島県知事から労働保険事務組合の許可を得、その後現在まで労働保険事務組合としての業務を行っている(甲第6号証、乙第2号証、乙第14号証)。

(2)判断

上記(1)の事実からすれば、次のとおりである。

ア 商標法第4条第1項第15号及び同第10号について

「広島SR経営労務センター」は昭和63年3月に申立人及び広島県社会保険労務士会の承認の下に設立された(上記(1)イ、ウ)のであるから、「広島SR経営労務センター」は、都道府県SR経営労務センターの一つとみるのが自然である。

そして、商標権者が「広島SR経営労務センター」の会長であることをあわせみれば、「SR経営労務センター」が都道府県SR経営労務センターの業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであるとしても、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務に使用しても、申立人と都道府県社会保険労務士会の指導を受けて設置された労働保険事務組合(都道府県SR経営労務センター)の業務に係る役務であるかのように役務の出所について混同を生ずるおそれのあるものということはできず、また、商標権者は都道府県SR経営労務センターとの関係において商標法第4条第1項第10号にいう「他人」には該当しないと判断するのが相当である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第10号に該当するものということはできない。

イ 商標法第4条第1項第7号について

上記アのとおり「広島SR経営労務センター」は都道府県SR経営労務センターの一つとみるのが自然であること、都道府県SR経営労務センターは原則として各都道府県に一つであること、「広島SR経営労務センター」は同名称で昭和63年3月に設立後現在まで労働保険事務組合としての業務を行っていることを総合してみれば、「広島SR経営労務センター」の名称は、本件商標の登録査定時において本件商標の指定役務に係る広島県内の需要者の間において相当程度知られていたと推認できる。

そして、本件商標が上記1のとおり「SR経営労務センター」の文字のみではなく「広島SR経営労務センター」の文字からなること及び商標権者が「広島SR経営労務センター」の会長であることをあわせみれば、「広島SR経営労務センター」の文字からなる本件商標を商標権者の商標として登録を認めることが社会の一般的利益を害するおそれがあるものとも、公序良俗に反するものともいうことはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものとはいえない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第10号及び同第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである

よって、結論のとおり決定する。

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