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Trademark Appeal Case

著名商標の混同と不正目的

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2011−900245(T2011−900245/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5403357号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5403357号商標(以下「本件商標」という。)は、「FALABELLA」の欧文字及び「ファラベラ」の片仮名を上下二段に横書きしてなり、平成22年9月28日に登録出願、第12類「自動車並びにその部品及び附属品,自動車用ホイール,自動車用ホイールの附属品,自動車用のホイールカバー及びホイールキャップ,陸上の乗物用ブレーキパッド,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,乗物用盗難警報器,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」を指定商品として、同23年2月22日に登録査定、同年4月1日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。

(1)引用商標について

申立人は、1889年にイタリアからチリへ移住したサルバトーレ・ファラベラ氏により設立された。設立当初は洋服の仕立業に従事したが、その後、業務拡大を続けた結果、現在では、「Falabella」(以下「引用商標」いう。)という名称の百貨店を始めとする小売店を大規模に経営し、申立人はチリで2番目に大きい小売業者となった。チリ以外にもアルゼンチン、コロンビア及びペルーに多数の小売店舗を構えている。「Falabella」百貨店においては、被服、家庭用品、電気製品、運動用具等、多数の種類の商品が販売されており、また、店舗での販売に限らず、インターネット、電話、カタログ及びテレビを通じて通信販売も大々的に行っている。

また、申立人は、金融業にも参入しており、「CMR Falabella」というクレジット・カード事業及び「Banco de Falabella」銀行の経営をしている。

さらに、アルゼンチン、チリ、コロンビア及びペルーにおいては、旅行代理店業や保険業を行っている。

以上のとおり、引用商標は、申立人の小売業その他の事業において永年使用された結果、申立人の著名な略称であることもあいまって、南米において周知性を獲得しているといえる。

(2)商標法第4条第1項第15号について

申立人が使用する引用商標は、主にチリ、アルゼンチン、ペルー及びコロンビア等の南米の国において、「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用された結果、申立人の商標として周知・著名となっており(甲第2号証ないし甲第11号証)、この引用商標と同一の文字から構成される本件商標が、その指定商品に使用された場合には、これに接する需要者・取引者は、周知・著名な引用商標を連想し、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

(3)商標法第4条第1項第19号について

申立人が使用する引用商標は、南米の国を含む世界の国々で、「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用された結果、申立人の商標として周知・著名となっており(甲第2号証ないし甲第11号証)、また、「FALABELLA」の文字は、申立人の創設者の氏姓であり、かつ、我が国において非常になじみの薄い文字であることを考慮した場合、本件商標の権利者は、引用商標が南米において小売店業の名称として著名であることを知っていたと推測することができることから、本件商標は、申立人の著名な引用商標を不正の目的をもって使用するものと推認される。また、本件商標は、引用商標に化体した高い名声・信用・評判にフリーライドする目的で出願した商標というべきであり、引用商標の出所表示機能を稀釈化し、その名声を毀損させる商標である。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2の規定により、その登録が取り消されるべきである。

3 当審の判断

(1)引用商標の周知・著名性について

申立人が提出した甲第2号証ないし甲第11号証によれば、申立人は、引用商標をその名称として用いる百貨店を始めとする小売店を大規模に経営し、2010年には、チリに39店舗、ペルーに15店舗、アルゼンチンに10店舗、コロンビアに9店舗を構えていることが認められる。

しかし、上記証拠には、引用商標が使用された店舗数以外の規模、広告宣伝の方法・回数・内容、又は一般紙、業界紙若しくは雑誌等における記事掲載回数・内容を具体的に裏付ける証拠はない。

そうすると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時においては、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。また、引用商標は、南米のチリ、ペルー、アルゼンチン及びコロンビアにおいて一定程度の需要者・取引者に知られていたということができるが、著名性が著しく高いものであったとはいえない。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 引用商標の周知性の程度

上記(1)のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時においては、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

イ 本件商標と引用商標との類似性

本件商標は、前記1のとおり、「FALABELLA」の欧文字及び「ファラベラ」の片仮名を上下二段に横書きしてなるものであり、引用商標は、前記2(1)のとおり、「Falabella」の欧文字からなるものであるところ、両商標の欧文字部分は、大文字と小文字とで相違する部分があるとしても、共に綴りを同じくするものである。

そして、「Falabella」の語は、例えば「ジーニアス英和大辞典」(株式会社大修館書店発行)において「ファラベラ(小型の馬;成馬でも体高は75cmを超えない;アルゼンチンの育種家Julio Falabella(−1981)の名から)」の記載があるが、一般になじみのある語であるとはいえないものである。

そうすると、両商標は、その構成文字に相応して、共に「ファラベラ」の称呼が生じるものであるが、特定の観念が生じるとまではいい難いものである。

以上によれば、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、「ファラベラ」の称呼を共通にし、また、両商標の欧文字部分において綴りを同じくするものであるから、外観も類似するものである。

したがって、本件商標と引用商標とは、類似する。

ウ 引用商標の独創性の程度

上記イのとおり、上記辞書において「Falabella」の語の記載があることからすれば、引用商標の構成文字が少なくとも既成の語であるということはできるから、その独創性は低いものであるといわざるを得ない。

エ 本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る役務との関連性

本件商標の指定商品は、前記1のとおり、「自動車並びにその部品及び附属品,自動車用ホイール,自動車用ホイールの附属品,自動車用のホイールカバー及びホイールキャップ,陸上の乗物用ブレーキパッド,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,乗物用盗難警報器,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」とするものであって、これらを取り扱う者は、これらの製造又は販売を行う者が想定されるところ、販売に関してみれば、主として、自動車やその部品等の販売を業とする専門店により取引されるものであるから、その需要者もおのずとそのような商品の購入等を目的とする者に限られるというのが相当である。

他方、引用商標の使用に係る役務は、「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」であり、主として、百貨店、総合スーパー等により取引されるものであり、また、その取引の対象となる商品は多種多様なものであるから、その需要者は、特定の商品というよりはむしろ、様々な商品の購入等を目的とする者というのが相当である。そして、たとえ百貨店等の小売店において「自動車用の付属品」が販売されることがあるとしても、それは該小売店の取引の対象となる商品のごく一部にすぎないから、これをもって、該小売店の取引に係る主たる需要者を推し量ることはできない。

してみると、本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る役務とは、その取引場所を明らかに異にするものであり、かつ、その主たる需要者においても少なからず相違するものであるから、両者が密接な関連性を有するとまではいうことができない。

オ 商品の出所の混同を生ずるおそれ

上記アないしエを総合して考察すれば、本件商標と引用商標とは、類似性が高いとしても、引用商標の周知性は認めることができないものであるばかりでなく、引用商標の独創性も低く、また、本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る役務について関連性を有するとはいえないものであるから、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標ということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとはいえない。

(3)商標法第4条第1項第19号該当性について

申立人の引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時においては、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないこと、また、南米のチリ、ペルー、アルゼンチン及びコロンビアにおいて一定程度の需要者・取引者に知られていたということができるとしても著名性が著しく高いものであったとはいえないこと、上記(1)のとおりであり、申立人の提出に係る証拠を勘案しても、本件商標権者が不正の目的をもって本件商標を出願し、登録を受けた等と認めるに足る具体的な事実を見いだすことはできない。

そうとすれば、本件商標は、引用商標の出所表示機能を希釈化させ、申立人の名声を毀損させる目的、その他不正の目的をもって使用するものとは認め難いものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号所定のその他の要件について論及するまでもなく、同号に該当しないものであり、その登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してされたものとはいえない。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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