sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼の類似性と周知性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2010−900235(T2010−900235/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5321145号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5321145号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、 平成21年8月26日に登録出願、第30類「アイスクリーム,アイスキャンディー,シャーベット,氷,アイスクリーム用凝固剤,ホイップクリーム用安定剤,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」を指定商品として、同22年4月9日に登録査定、同月30日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、同法43条の2第1項により取り消されるべきものであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第48号証を提出した。

(1)申立人が本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は、登録第4567995号商標(以下「引用商標1」という。)であり、「ババヘラ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成13年7月19日に登録出願、 第30類「菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,氷,アイスクリーム用凝固剤,ホイップクリーム用安定剤」を指定商品として、同14年5月17日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、その構成中の「ババヘラ」の部分が独立した識別要素として認識され、「ババヘラ」の単独の称呼が生ずるものであるから、同一の称呼を生じる引用商標1とは類似する商標であり、指定商品も同一あるいは類似するものである。

(3)商標法第4条第1項第10号について

引用商標1あるいはこれに商品(アイスクリーム)の普通名称が加わった別掲2に示す「ババヘラ・アイス」(甲第4号証。以下「引用商標2」という。)は、申立人の製造・販売するアイスクリームやアイスキャンディーの商標として、需要者・取引者の間では広く知られるものとなっている。

本件商標は、前記の広く知られた引用商標1及び引用商標2(以下、まとめていうときは「引用各商標」という。)との間で商品の出所混同を生ずる類似の商標であり、同一又は類似の商品について使用するものである。

(3)商標法第4条第1項第15号について

本件商標は、著名な引用各商標との関係において、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある。

(4)商標法第4条第1項第19号について

本件商標は、需要者の間に広く認識されている引用各商標と類似する商標であって、引用各商標に係る信用及び顧客吸引力を利用するという不正の目的をもって使用するものである。

3 当審の判断

(1)引用商標の周知著名性等について

申立人は、引用各商標が周知性を有していると主張し、甲第5号証ないし甲第39号証を提出しているので、以下検討する。

ア 申立人の提出に係る新聞記事等によれば、申立人に関する以下の記載等が確認できる。

(ア)平成14年(2002年)5月29日付けの河北新報(甲第5号証)には、「秋田県内の幹線道路沿いに立つ露店で販売され、『ババヘラ』の愛称で親しまれてきた昔懐かしいシャーベットが今年三月から通信販売されている。販売元の進藤冷菓が昨年夏、愛称を商標登録し『ババヘラ・アイス』として地方発送を本格化させた。」、「進藤冷菓は四年ほど前から『ふるさとアイス』の名称で通信販売を行ってきたが、・・・。」及び「『ババヘラ・アイス』は二パックとコーン、ヘラの一セットで・・・。」との記載がある。

(イ)平成14年(2002年)7月20日付けの産経新聞(甲第6号証)には、「看板になっているパラソルは、・・・昭和36年の秋田国体で、進藤さんが・・・清涼飲料メーカーのパラソルを見て、・・・購入し、売り子さんたちに与えたのが始まりという。」との記載がある。

(ウ)平成14年(2002年)7月31日付けの河北新報(甲第7号証)には、「・・・パラソルは、1961年の秋田国体で会場に出店した際、進藤永三社長が飲料メーカーのパラソルを見て発案し、炎天下で働く売り子に持たせるようになった。今では路上販売シャーベットの『宣伝塔』として定着している。」との記載がある。

(エ)2004年(平成16年)7月(日付不明)付けの秋田さきがけ(甲第8号証)には、「『ババヘラ』の名で親しまれている路面売りアイスを製造販売する若美町の進藤冷菓が今夏、新商品の棒キャンディー『ババヘラキャンデー』を県内三施設で限定販売している。」及び「昨年7月に東京・池袋で行われたアイスクリームの全国的なイベントでは、数ある出店の中で売上げトップを記録。」との記載がある。

(オ)2004年(平成16年)年8月(日付不明)付けの秋田さきがけ(甲第12号証)には、「竿燈見物客の県産品人気度」及び「1位ババヘラキャンデー」の表題の下、「(県物産)振興会によると、竿燈期間中の3−5日で販売点数が最も多かったのは『ババヘラアイスキャンデー』。」との記載がある。

(カ)2004年(平成16年)12月2日付けの秋田さきがけ(甲第14号証)には、「都会で大受けババヘラアイス」等の表題の下、「国内外のアイスクリームを取りそろえた『ナムコNAMJATOWN アイスクリームシティ』から、ババヘラアイスの製造元・進藤冷菓にイベント参加の声が掛かったのは昨年夏。・・・四日間の期間限定で売り出したババヘラアイスは、来場者アンケートで好感度一位に選ばれた。」及び「五年ほど前から『地方発送』も始め、・・・七月には・・・インターネットでの販売も始めた。」との記載がある。

(キ)2005年(平成17年)7月1日付けの秋田さきがけ(甲第15号証)には、「『ババヘラ』関西上陸へ」の表題の下、「本県の『ババヘラアイス』がついに関西上陸−。男鹿市角間崎の進藤冷菓製造の『ババヘラアイス』が、八日から大阪市で開かれる『天保山アイス博覧会』に出品されることが決まった。」及び「進藤冷菓は昭和28年から『ババヘラアイス』を販売。7年前から地方発送を始め、・・・。昨年7月からはインターネットでの販売も始めた。東京・池袋の『ナムコ NAMJATOWN アイスクリームシティ』でも、同月、四日間の限定販売を行い、全国三百二十種のアイスの中で売上げトップを記録したという。」との記載がある。

(ク)2007年(平成19年)5月25日付けの秋田さきがけ(甲第22号証)には、「あきた企業通信」の表題の下、「道沿いやイベント会場などでの売り子による独特の販売形態が生まれたのは約45年前。・・・平成16年には東京・池袋の『ナムコNAMJATOWN アイスクリームシティ』のイベントに参加。・・・終わってみれば販売個数、来場者アンケートの好感度とも第1位。」及び「進藤冷菓 アイスクリームの製造販売。昭和27年に、先代・・・が創業。」との記載がある。

(ケ)このほか、複数のテレビにおいて、東京あるいは関西で行われたアイスクリームのイベントに申立人が参加していることが取り上げられている(甲第29号証ないし甲第39号証)。

イ ところで、申立人の提出に係る各種新聞には、「ババヘラアイス」についての以下の記載が確認できる。

(ア)平成14年(2002年)5月29日付けの河北新聞(甲第5号証)には、「家でひんやり夏の味」の表題の下、「秋田県内では春から秋にかけて、ビーチパラソルを立てたアイス屋が国道沿いや夏祭り会場などに現れる。・・・売り子の女性が金属のヘラでコーンに盛り付ける姿から、地元の高校生らが親しみを込めてババヘラアイスと名付けたと言われている。」との記載がある。

(イ)平成14年(2002年)7月20日付けの産経新聞(甲第6号証)には、「・・・秋田県人ならご存知だと思うが、秋田名物『ババヘラアイスクリーム』の販売だ。・・・この商売は、秋田県で生まれ、他県には存在しない。今年創業50周年を迎えた『進藤冷菓』(若美町角関崎)の代表、進藤永三さんを訪ねて話を聞いた。アイスは、以前まで『ふるさとアイスクリーム』という名称で、主に運動会や学芸会などの会場に出掛けていた。その後、昭和46年から街道沿いに出店するようになり、この商売を『ババヘラ』と呼ぶようになったという。名前の由来は単純なもの。お年寄りを秋田の方言で『ババ』、そのお年寄りが金属の専用ヘラでアイスクリームをコーンに盛るところからその名がついた。・・・県内には、進藤冷菓を含め六業者が営業している。」との記載がある。

(ウ)平成14年(2002年)7月31日付けの河北新聞(甲第7号証)には、「夏を支える(4)/秋田名物アイス売り(秋田)/渇きを潤す伝統の味」の表題の下、「秋田名物アイス売り 秋田県若美町や男鹿市などの6業者が、国道沿いや夏祭り会場などで販売している秋田の夏の風物詩。女性が金属のへらでコーンに盛り付ける姿から、地元の高校生らが親しみを込めて『ババヘラアイス』と呼ぶようになったといわれる。」との記載がある。

(エ)2004年(平成16年)5月2日付けの朝日新聞(甲第10号証)には、「秋田の不思議? ババヘラ売りがたくさんいるのはなぜ?」の表題の下、「ピンクと黄色の2色盛りの『ババヘラアイス』。この季節、観光地や幹線道路沿いなど、いたる所で、店を出すおばあさんを見かける。どこから来るのか、繁盛しているのか。製造販売業者の一つ「進藤冷菓」(若美町)の進藤永三社長に尋ねた。・・・おばあさんがヘラですくうからババヘラ。お客さんからそう呼ばれ始めて、もう10年はたちます。・・・うちは45人。同業6社も含めると、約170人が県内で販売しています。」との記載がある。

(オ)2004年(平成16年)12月2日付けの秋田さきがけ(甲第14号証)には、「都会で大受けババヘラアイス」の表題の下、「進藤冷菓がババヘラアイスの製造、販売を始めたのは52年前。当時の名前は『ふるさとアイス』。おばあさんがヘラでアイスを盛ることから、いつしか『ババヘラ』の名前で親しまれるようになった。」との記載がある。

(カ)2005年(平成17年)7月8日付けの朝日新聞(甲第16号証)には、「年配女性が国道沿いでヘラですくって売ることから名付けられたという秋田名物『ババヘラアイス』も登場。」との記載がある。

(キ)2007年(平成19年)5月25日付けの秋田さきがけ(甲第22号証)には、「あきた企業通信」の表題の下、「年配の女性が金ヘラでアイスクリームを盛る通称『ババヘラアイス』。販売元が意識して名付けた名前ではない。『ババヘラ』と呼ばれているのを知ったのは十五年ほど前。」との記載がある。

ウ 小括

上記ア及びイの新聞記事等からすれば、申立人は、昭和27年(1952年)創業のアイスクリームの製造を主たる業務とする企業であり、昭和28年から売り子がヘラでアイスクリームを盛りつける方法によるアイスクリームの販売を開始し、1962年ころから運動会や学芸会などのイベント会場で販売を行うようになり、昭和46年(1971年)から路上での販売を開始した。また、昭和36年(1961年)から販売の際にパラソルを使用するようになった。

そして、2003年7月に東京で開催されたイベントや2005年7月に大阪で開催されたイベントにおいてに上記販売方法によるアイスの実演販売を行い好評を博した。

また、申立人は、1998年ころからアイスクリームの地方発送を「ふるさとアイス」の名称で始め、2002年3月からアイスクリームとコーン、ヘラをセットにして「ババヘラアイス」の名称を使用して販売を開始した。 さらに、2004年夏から、「ババヘラアイスキャンデー」の名称で棒状のアイスキャンデーを開始した。そして、ババヘラアイスキャンデーは2004年の秋田市の竿燈まつりの土産物等の販売点数において最も多く販売された。

また、複数の新聞、雑誌やテレビニュースにおいて、申立人の紹介記事等が掲載され、取り上げられたことが認められる。

一方、売り子がヘラでアイスクリームを盛りつける方法による販売方法は、申立人以外の者によっても行われ、2002年ころは申立人のほかに五業者があった。

また、この販売方法で販売されるアイスクリームは、売り子の高齢の女性が、ヘラで盛りつけることから、自然発生的に親しみをこめて「ババヘラ(アイス)」と呼ばれるようになり、少なくとも2002年以前から、当該アイスクリームが「ババヘラ(アイス)」と称されることが秋田県内において相当程度知られていたものと認められる。

そして、申立人の提出に係る証拠からでは、引用各商標を使用した商品の販売数量等の取引の実情や取引相手の地域等、その使用の実績を把握することができず、また、新聞・雑誌やテレビのニュース等で取り上げられたことを除き、引用各商標を使用した商品の広告宣伝等の事実も明らかでなく、更に、申立人の商品を取り上げた記事等において、「ババヘラ(アイス)」は売り子がヘラで盛りつける方法によるアイスクリームを表すものとして親しまれていることが記載されているものも多くあること、そして、実際の使用に係る商標の態様、使用方法も明らかでないことからすれば、引用各商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、別掲1のとおり、上段に「B.I.P」の欧文字を横書きし、その下に「ババヘラアイスパラソル」の片仮名を縦書きしてなるところ、該欧文字部分と片仮名部分とは、その構成あるいは全体として意味を有する等、常に一体のものとしてのみ把握しなければならない特段の事情は認められないものであり、それぞれが独立して、自他商品の識別機能を果たし得るとみるのが相当である。

ところで、構成中片仮名で表された「ババヘラアイスパラソル」の文字は、同書同大等間隔にまとまりよく一体的に表されているものであって、その構成全体から生ずる「ババヘラアイスパラソル」の称呼は、やや冗長ではあるものの一連に称呼し得るものである。

そうとすれば、本件商標は、構成中の「B.I.P」及び「ババヘラアイスパラソル」のそれぞれの文字に相応して、「ビーアイピー」及び「ババヘラアイスパラソル」の称呼を生ずるものであって、単に「ババヘラ」の称呼は生じないものというべきである。また、それぞれの構成文字は、特段の観念を有しない造語と見るのが相当である。

一方、引用商標1は、「ババヘラ」の片仮名を標準文字で表してなり、当該文字に相応して「ババヘラ」の称呼が生じ、また、前記(1)ウのとおり「ババがヘラでコーンに盛り付けた冷菓」を指称する「ババヘラアイス」が「ババヘラ」とも称されていたことからすれば、当該冷菓の観念を生じ得るものである。

そこで、本件商標と引用商標1とを比較するに、両商標は全体の外観構成において明らかに相違し、称呼においては、本件商標から生ずる「ビーアイピー」及び「ババヘラアイスパラソル」の称呼は、引用商標1から生ずる「ババヘラ」の称呼とは、いずれもその構成音数が明らかに相違するのであるからで、十分に聴別し得るものである。

また、本件商標からは特定の観念が生じないものであるから、両商標は観念上比較することができない。

してみれば、本件商標と引用商標1とは、その外観、称呼及び観念のいずれよりみても、相紛れるおそれのない非類似の商標である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第10号について

本件商標は前記(2)のとおり、引用商標1とは非類似の商標である。

また、引用商標2は別掲2に示すとおり桃色の輪郭線有する青色で表された「ババヘラ・アイス」の文字からなるところ、「ババヘラアイス」の文字自体は、前記(1)ウのとおり、「ババがヘラでコーンに盛り付けた冷菓」を想起させるもので自他商品識別標識としての機能は弱いといえるものであり、そして、本件商標「ババヘラアイスパラソル」の文字部分からは「ババヘラアイスパラソル」の一連称呼のみが生ずるものであるから、「ババヘラアイス」の称呼が生じる引用商標2とは「パラソル」の音の有無という明らかな差異を有するものである。

また、本件商標からは特定の観念が生じないものであるから、両商標は観念上比較することができない。

したがって、本件商標と引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれよりみても、相紛れるおそれのない非類似の商標である。

そして、引用各商標は、本件商標の登録出願時及び査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標とは認められないものであること前記(1)のとおりである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第15号及び同第19号について

本件商標と引用各商標とは、前記(2)及び(3)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、また、引用各商標が本件商標の登録出願時に申立人の業務に係る商品を表示するものとして、その需要者において広く認識されていると認められないものであること前記(1)のとおりである。

そうすると、本件商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該商品が申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

さらに、本件商標は、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的)をもって使用するものとも認められない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に該当しない。

(5)むすび

以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。