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Trademark Appeal Case

不使用取消と役務の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2011−300421(T2011−300421/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4675353号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成14年6月25日に登録出願、第35類「広告,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,財務書類の作成,職業のあっせん」並びに第16類、第36類、第39類及び第42類ないし第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成15年5月23日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

そして、本件審判の請求の登録は、平成23年5月24日にされたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の指定商品及び指定役務中、『第35類 経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理』についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品及び指定役務中、「第35類 経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条の規定により、取り消されるべきである。

2 弁駁の理由

(1)乙第1号証ないし乙第3号証について

被請求人は、商標権者がメディカル・ケア・サービス東海株式会社(以下「メディカル・ケア・サービス東海」という。)、グリーンフード株式会社(以下「グリーンフード」という。)、又は株式会社SORA(現:株式会社ケアスター、以下「SORA」又は「ケアスター」という。)との間で締結した「経営管理契約書」(乙1〜乙3、以下「本件契約書」といい、乙1〜乙3の「経営管理契約」を「本件契約」という。また、メディカル・ケア・サービス東海、グリーンフード、SORAをまとめていうときは、以下「本件契約の相手方」という場合もある。)を提出し、本件契約に基づき、商標権者は、本件契約の相手方に対し、平成20年9月1日より現在に至るまで「経営の診断又は経営に関する助言」を行っている旨を主張する。

しかし、以下のとおり、これらの証拠によって、商標権者が本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という場合がある。)に本件請求に係る指定役務について本件商標を使用していたということはできない。

ア 本件契約書は、商標権者が本件契約の相手方に対して経営の管理を目的とする契約書であるにすぎず、そこには使用する商標についての定めもなく、本件商標の表示も見当たらない。このような書証が、登録商標の使用の証拠となり得ないことは明らかである。

イ 仮に、本件契約書(乙1〜乙3)及び他の書証(乙4〜乙6)に基づいて、本件商標の使用が是認され得るとしても、商標権者は、本件商標を本件請求に係る指定役務中の「経営の診断又は経営に関する助言」に使用しているということはできない。

すなわち、本件契約書には、いずれの箇所にも「経営の診断」や「経営に関する助言」の文字は見当たらない。例えば、第3条(5)には、「甲(審決注:本件契約の相手方)の企業経営にかかわる立案及び指導業務」の項目の下部に「・甲の企業経営に関わる指導」との記載が認められるが、これらと「企業経営に関わる指導」は、本件請求に係る指定役務「経営の診断又は経営に関する助言」と同一の役務ということはできない。

そもそも、本件契約書は、商標権者が契約の相手方に対して経営の管理を目的とする契約書である。この「経営の管理」と本件請求に係る指定役務中の第35類「経営の診断又は経営に関する助言」、いわゆるコンサルティング業務とは、本質的に異なるものである。なぜなら、広辞苑第6版によれば、「経営(の)管理」とは「企業の目的を達成するために、経営者・管理者が総括する全般的な管理。」を意味し(甲3)、また、「コンサルティング」は「専門的な事柄について、相談に乗ったり指導したりすること。」を意味するものである(甲4)ところ、前者は、自ら主体的に経営に携わる性質のものであり、後者は、第三者に対して経営に関する指導・助言を行う性質のものであることから、両者はその性質を異にするものだからである。

さらに、「経営管理」と「経営の診断又は経営に関する助言」とは、別異の指定役務として登録がされている(甲5〜甲7)ばかりか、第35類「企業の経営管理に関する助言及び指導」(甲8)、第35類「経営管理に関する助言」(甲9)、第35類「企業の経営管理に関するコンサルティング」(甲10)が指定役務として登録されている。仮に「経営管理」と「指導」「助言」「コンサルティング」とが同一の概念のものであるならば、上記指定役務は成立し得ないはずである。それにもかかわらず、上記指定役務が登録されているということは、特許庁では「経営管理」と「指導」「助言」「コンサルティング」とは別異の概念として捉えていることを如実に示すものである。

したがって、商標権者は、本件請求に係る指定役務と同一の役務を使用しているものではなく、本件請求に係る指定役務と類似の役務について登録商標を使用しているにすぎない。

ウ 商標権者が本件契約の相手方に提供するものが、果たして商標法上の役務に該当するのかは甚だ疑問であるといわざるを得ない。

すなわち、役務とは、他人のために行う労務又は便益であって独立して商取引の目的となりうべきものであるところ、商標権者は、本件契約に基づく行為を、そのグループ企業又は子会社であるメディカル・ケア・サービス東海、グリーンフード、SORAに対して行っているにすぎず、他の第三者に対して行っている形跡は見られない。そのため、商標権者がこれらの者に対して行っている行為は、「他人」のために行っているということはできず、実質的には「自己」のために行っているということものと同視し得るものであって、商標法上の役務ということはできない。

(2)乙第4号証ないし乙第6号証について

被請求人は、商標権者の企業紹介を目的とするパンフレット(乙4〜乙6、以下「本件パンフレット」という。)を提出し、本件パンフレットは、「経営の診断又は経営に関する助言」の広告に相当する書面であり、かつ「経営の診断又は経営に関する助言」の取引書類に相当する書面であるから、本件商標は、商標権者により「経営の診断又は経営に関する助言」の広告に使用され、「経営の診断又は経営に関する助言」の取引書類に使用され、要証期間において使用していたことは明らかである旨主張する。

しかしながら、以下のとおり、乙第4号証ないし乙第6号証をもってしても、本件商標を要証期間に本件請求に係る指定役務に使用したということはできない。

すなわち、本件パンフレットのいずれの箇所からも商標権者が「経営の診断又は経営に関する助言」の提供を行っている事実を示す箇所を見いだすことはできない。本件パンフレットを通じて、商標権者が平成11年11月から有料老人ホームの施設運営・管理等の介護福祉に関する事業を全国的に展開している事実をうかがい知ることはできるものの、関連企業を含め第三者に対する経営のコンサルティングを行っている事実を示す箇所は皆無であるといって差し支えない。

仮にそのような事実を示す箇所があったとしても、本件パンフレットは、単なる企業紹介を目的としたものであり、何ら具体的な取引の事実を示すものではない。確かに、企業紹介を目的としたパンフレットは、取引書類に分類されるものの、その性質上取引の存在を推認し得る間接的な証拠といわざるを得ず、それ単独では取引の存在を示す直接的な証拠となり得ないことは明らかである。

(3)むすび

以上より、商標権者が要証期間に本件商標を本件請求に係る指定役務に使用している事実を確認することはできないから、本件商標について、商標法第50条第1項の規定に該当することは明白である。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。

1 使用の事実

(1)商標権者は、平成20年9月1日、メディカルケア・サービス東海、グリーンフード、SORA(平成22年3月1日、ケアスターに商号を変更し、埼玉県さいたま市大宮区大成町一丁目246番地に住所を移転した。)との間で、それぞれ本件契約の締結をした(乙1〜乙3)。

本件契約は、商標権者が本件契約の相手方の経営の管理を行うという内容であり、第1条で契約の目的を、第2条で基本方針を、第3条で管理業務を、第4条で業務の処理方法を、第5条で業務の内容の変更を、第6条で報酬を、第7条で諸経費を、第8条で契約期間を、第9条で本契約の解除を、第10条で解約を、第11条で守秘義務を、第12条で個人情報の取扱いを、第13条で権利の譲渡を、第14条でその他を、それぞれ規定している。

(2)商標権者は、本件契約に基づき、本件契約の相手方に対し、平成20年9月1日より現在に至るまで「経営の診断又は経営に関する助言」を行っている。

この「経営の診断又は経営に関する助言」を行うに際し、商標権者は、各種の取引書類を本件契約の相手方に交付したが、その一つとして、商標権者を広告するためと商標権者の会社情報を提供するために、「Medical Care Service Company Inc.」(乙4)、「Medical Care Service/Bussiness Report 2010」(乙5)及び「MCS/Medical Care Service/Corporate Profile」(乙6)という名称のパンフレットを交付した。

本件パンフレットは、本件契約の相手方に提供することのほか、本件パンフレットを求める会社に対しても無償で提供するものであり、本件パンフレットのうち、乙第4号証は、平成23年2月14日に本件契約の相手方に交付され、乙第5号証及び乙第6号証は、平成22年12月1日に本件契約の相手方に交付された。

本件パンフレットは、「経営の診断又は経営に関する助言」の広告に相当する書面であり、かつ、「経営の診断又は経営に関する助言」の取引書類に相当する書面である。

本件商標は、乙第4号証においては、表紙及び1頁ないし10頁の各頁に表示されており、乙第5号証及び乙第6号証においては、表紙に表示されている。

したがって、本件商標は、商標権者により「経営の診断又は経営に関する助言」の広告に使用され、「経営の診断又は経営に関する助言」の取引書類に使用され、要証期間に使用されていたことは明らかである。

2 むすび

よって、本件商標は、商標法第50条第1項に該当するものではない。

第4 当審の判断

1 認定事実

乙第4号証によれば、以下の事実を認めることができる。

乙第4号証は、「Medical Care Service Company Inc.」との表題のパンフレットであるところ、ここには、以下の記載がある。

(1)商標権者は、三光ソフランホールディングス株式会社の傘下にある企業であること(1頁)。

(2)商標権者は、1999年(平成11年)11月24日に設立され、その業務内容を「認知症高齢者グループホーム、介護付有料老人ホームの施設運営・管理 通所介護等」とするものであり、有する介護施設は、2011年(平成23年)2月1日現在、認知症高齢者グループホーム135か所、介護付有料老人ホーム4か所、デイサービス1か所、居宅介護支援事業所2か所であること(2頁)。

(3)商標権者は、100%出資の地域子会社(北海道、東北、南埼玉、東海、関西、四国、九州など)と70%出資の地域子会社(新潟)を合わせ全9社の子会社を有し、さらに、グリーンフード、ケアスター(旧SORA)及びMCSハートフル株式会社を傘下に有する企業であること。

認知症高齢者グループホーム・介護付有料老人ホームの施設、通所介護の実際の運営は、子会社9社が行い、グリーンフードは、子会社が運営する認知症高齢者グループホームや介護付有料老人ホーム等に食材等を提供する会社であり、ケアスターは、子会社が運営する認知症高齢者グループホームや介護付有料老人ホーム等に福祉用具等の販売・レンタルを行う会社であること、また、MCSハートフル株式会社は障害者雇用促進業務を行う会社であること(以上3頁)。

(4)グループホーム事業における商標権者の「事業セグメントの特徴」は、「在宅系と比較し、一旦入居があると、その後、安定的な収益が見込める(ストック型ビジネス)」、「サブリース方式を取り入れることで、さらに高い資本効率性を実現」、「少人数のスタッフで運営が可能なため、人材確保が容易である」、「小さな資本投下で事業拡大が可能なため、新規展開スピードが早く、事業リスクが小さい(年間15−20棟ペースでの新規開設を継続)」こと(5頁)。

(5)「MCSの特長」は、(ア)「高い入居営業力と優れた管理体制」、(イ)「高品質のケアサービス」、(ウ)「充実した人材教育・研修制度」などであり、上記(ア)の具体的内容として、「新規開設時は専門の営業部隊を派遣し、開設3ヶ月以内で満室、早期黒字化を実現」、「事業所・エリア責任者による定期的な訪問営業により、常時待機者を確保」、「全国の施設の入居状況をデイリーで管理、PDCAに基づく徹底した営業管理体制を構築」を行うこと、また、同(イ)の具体的内容として、「日本全国のケアの事例を『エリア会議』『事例研究発表会』等で共有し、ノウハウを蓄積」、「認知症ケアの第一人者である『ケアトレーナー』を全国に配置し、ケアの品質を向上」、「介護先進国スェーデン発祥の認知症緩和ケア『タクティールケア』を導入」を行うこと、同(ウ)の具体的内容として、「階層別・エリア別・能力別によりキャリア・ステップに応じた教育を実施」、「ケア専門コース、マネジメントコース等、志向性の応じた柔軟性あるキャリアプランを設計」、「『社長談話会』等により、社員一人ひとりの人間力向上に向けた本質的な教育を実施」を行うこと(8頁)。

(6)表紙及び1頁ないし10頁には、本件商標と同一の商標が表示されていること。なお、当該パンフレットの作成日ないし発行日は明らかではないが、2頁、4頁、6頁には、「2011年2月1日現在」又は「平成23年2月1日現在」の文字が記載されている。

2 判断

前記1で認定した事実を総合すれば、以下のとおり判断するのが相当である。

(1)商標権者は、三光ソフランホールディングス株式会社の傘下企業として、1999年(平成11年)11月24日に設立され、認知症高齢者グループホーム、介護付有料老人ホームの施設運営・管理、通所介護等を業とし、子会社、関連会社を擁する企業グループを形成している。

認知症高齢者グループホーム・介護付有料老人ホームの施設等を実際に運営するのは、商標権者が100%ないし70%出資した日本国内の各地域にある子会社9社であり、子会社が認知症高齢者グループホーム・介護付有料老人ホーム等の施設を運営する上で、必要となる食材や福祉用具の提供については、グリーンフードやケアスターといった関連会社がこれを行う。

そして、商標権者は、これら子会社や関連会社が行う実際の認知症高齢者グループホーム・介護付有料老人ホームの施設等の運営に関し、「新規開設時は専門の営業部隊を派遣」、「全国の施設の入居状況をデイリーで管理、PDCAに基づく徹底した営業管理体制を構築」を行うほか、「日本全国のケアの事例を『エリア会議』『事例研究発表会』等で共有し、ノウハウを蓄積」、「ケア専門コース、マネジメントコース等、志向性の応じた柔軟性あるキャリアプランを設計」などを行うことが認められる。

(2)パンフレット(乙4)には、作成日ないし発行日を示す記載は見当たらないが、2頁、4頁、6頁には、「2011年2月1日現在」又は「平成23年2月1日現在」の文字が記載されていることからすると、要証期間に発行されたものと推認することができる。

(3)以上によると、商標権者は、本件審判の請求の登録(平成23年5月24日)前3年以内に作成し、頒布したと推認することができる「Medical Care Service Company Inc.」との表題のあるパンフレット(乙4)に、本件商標を表示し、かつ、介護施設の運営・管理について、その新規開設時には専門の営業スタッフを派遣するほか、ケア専門コース、マネジメントコース等の柔軟性のあるキャリアプランを設計することなど(以下、これらを「本件使用役務」という。)を掲載して広告をしたということができる。

(4)本件使用役務が本件請求に係る指定役務に含まれるか否かについて

本件請求に係る指定役務は、「第35類 経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」であるところ、請求人は、商標権者の提供する役務は「経営管理」であって、当該役務は、本件請求に係る指定役務中の「経営の診断又は経営に関する助言」に含まれるものではなく、「経営の診断又は経営に関する助言」に類似する役務であるから、商標権者は、本件商標を請求に係る指定役務中の「経営の診断又は経営に関する助言」に使用していない旨主張する。

ところで、本件請求に係る指定役務中の「経営の診断又は経営に関する助言」は、広く商業に従事する企業の運営に関し、欠陥の有無を調べて判断する役務(すなわち「経営の診断」)と該企業の運営に関して助言をする役務(すなわち「経営に関する助言」)の2つを含むものであり、これらを「又は」としていることからすると、いずれかの役務について提供をしているのであれば、役務「経営の診断又は経営に関する助言」の提供をしていると解するのが相当である。

一方、前記(3)のとおり、介護施設の運営は、商標権者の子会社9社が行っており、商標権者は、これらの介護施設に対して専門の営業スタッフを派遣するほか、ケア専門コース、マネジメントコース等の柔軟性のあるキャリアプランを設計することなどをしており、これら行為の全体は、必ずしも「介護施設の経営管理」に限定されるものではなく、介護施設の運営に関して、より良い経営状況を構築するための助言をするとみることができるものである。

してみれば、本件使用役務は、介護施設の経営に関する助言というべきであり、本件請求に係る指定役務中の「経営に関する助言」の範ちゅうに含まれる役務とみるのが相当である。

したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。

なお、請求人は、甲第5号証ないし甲第10号証を提出し、「経営管理」と「経営の診断又は経営に関する助言」とは別異の指定役務として登録がされているのみならず、第35類において、「企業の経営管理に関する助言及び指導」、「経営管理に関する助言」、「企業の経営管理に関するコンサルティング」が指定役務として登録されているから、「経営管理」と「指導」「助言」「コンサルティング」とは別異の概念として捉えていることを示すものである旨主張する。

しかし、本件使用役務は、上記のとおり、介護施設の経営に関する助言ということができるのであるから、第35類における登録例の表示を挙げて、「経営管理」と「指導」「助言」「コンサルティング」とは別異の概念として捉えていることを示すものである旨の請求人の主張は、前提において誤りがあり、採用することができない。

(5)その他の請求人の主張について

ア 請求人は、商標権者が行っている役務は、そのグループ企業又は子会社に対して行っているにすぎず、「他人」のために行っているということはできないから、本件使用役務は、商標法上の役務ということはできない旨主張する。

しかし、商標権者が、子会社や関連会社に対し、本件使用役務を提供したとしても、商標権者と子会社や関連会社とは、いずれもそれぞれ独立して経済活動を行っている会社であり、それぞれ独立した会社間の取引として行われているものといえるから、本件使用役務は、他人のためにする労務又は便益であって、独立して商取引の対象となる役務であるというべきである。

したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。

イ 請求人は、本件パンフレットのいずれの箇所からも商標権者が「経営の診断又は経営に関する助言」の提供を行っている事実を示す箇所を見いだすことはできない旨主張し、さらに、仮に本件パンフレットのいずれかの箇所に上記事実を示す箇所があったとしても、本件パンフレットは、単なる企業紹介を目的としたものであり、何ら具体的な取引の事実を示すものではない旨主張する。

しかし、取引書類に「経営の診断又は経営に関する助言」の表示の有無をもって、かかる「経営の診断又は経営に関する助言」を提供しているか否かを判断するのは妥当ではなく、取引書類の記載内容全体を勘案して判断すべきであり、前記(4)認定のとおり、商標権者が提供する役務は、介護施設の経営に関する助言であるから、パンフレット(乙4)に、「経営の診断又は経営に関する助言」の提供を行っている旨の記載がないとしても、そのことが前記認定を左右するものではない。

また、パンフレット(乙4)は、商標権者の提供に係る役務の広告をする意味合いを有するものであると同時に、顧客に対し、商標権者の提供する役務を紹介・解説するための取引書類といえるものである。そして、商標権者は、乙第4号証に示すパンフレットをもって、本件使用役務について、広告をしたことことが認められる。

したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。

(6)以上によれば、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標を表示したパンフレット(乙4)に、本件請求に係る指定役務に含まれる「介護施設の経営に関する助言」(本件使用役務)を掲載して、これを頒布したものと優に推認することができる。

してみると、商標権者の上記行為は、「商品又は役務に関する広告、定価表若しくは取引書類に標章を付して・・頒布・・する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものと認めることができる。

3 むすび

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件請求に係る指定役務に含まれる「介護施設の経営に関する助言」について、本件商標の使用をしていたことを証明したと認めることができる。

したがって、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中「第35類 経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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