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Trademark Appeal Case

称呼・観念の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2011−900258(T2011−900258/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5407102号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5407102号商標(以下「本件商標」という。)は、「フラワーヘリテイジ」の片仮名と「flower heritage」の欧文字を上下二段に書してなり、平成22年12月9日に登録出願、第3類「シャンプー,その他のせっけん類,歯磨き,シャワー用のジェル状化粧品,ヘアーコンディショナー,ボディーローション,その他の化粧品,香料類」を指定商品として、同23年3月8日に登録査定、同年4月15日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当するとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第38号証を提出した。

(1)申立人の引用する商標

申立人が引用する登録商標は、以下のア及びイのとおりである。

ア 登録第2679590号商標(以下「引用商標1」という。)は、「HERITAGE」の欧文字と「エリタージュ」の片仮名を上下二段に書してなり、平成3年8月7日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同6年6月29日に設定登録され、同16年6月1日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

その後、指定商品については、同17年11月30日に第3類「化粧品,香料類,せっけん類,歯磨き」とする書換登録がされたものである。

イ 登録第3165841号商標(以下「引用商標2」という。)は、「エリタージュ」の片仮名を横書きしてなり、平成4年4月27日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品」を指定商品として、同8年6月28日に設定登録され、同18年4月18日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

以下、これらの登録商標をまとめていうときは「引用商標」という。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「フラワーヘリテイジ」の片仮名と「flower heritage」の欧文字を併記してなるところ、その構成中「フラワー」及び「flower」の文字部分は、指定商品との関係において、容易に「花」、「花香調をつける」程の意(甲4)を想起させ、また、商品「香水」との関係においては、フローラルな香りを有する商品について、該文字を使用するものが多数見られる(甲5〜14)。

したがって、該文字部分は、指定商品との関係において、商品の品質等を標記する記述的なものであり、極めて識別力が弱いものである。そして、本件商標の音数は8音とやや冗長であり、「flower」と「heritage」の間にスペースを有していることからも、本件商標からは、構成全体から生じる「フラワーヘリテイジ」の他に、「ヘリテイジ」又は「heritage」の文字部分から、「ヘリテイジ」の称呼が生じる。

さらに、商品「化粧品」の分野では、英語とともにフランス語が一般的に使用されていることから、「heritage」の文字部分からは、フランス語読みで「エリタージュ」の称呼も生じる(甲15〜24)。

そうすると、本件商標からは、「フラワーヘリテイジ」、「ヘリテイジ」又は「エリタージュ」の称呼が生じる。

他方、引用商標1は、「HERITAGE」の欧文字と「エリタージュ」の片仮名を上下二段に書してなるところ、「エリタージュ」又は「ヘリテイジ」の称呼が生じる。

また、引用商標2は、「エリタージュ」の片仮名を横書きしてなるところ、「エリタージュ」の称呼が生じる。

してみれば、本件商標と引用商標1とは、「ヘリテイジ」又は「エリタージュ」の称呼を共通にし、引用商標2とは、「エリタージュ」の称呼を共通にする。

また、本件商標の要部である「heritage」の文字部分は、引用商標1とは、大文字と小文字の差異を有するものの、外観において共通する。

さらに、本件商標の要部である「heritage」の文字部分及び引用商標は、いずれも「遺産、相続」を意味する語であり、観念においても共通する(甲15、26)。

そうすると、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念を共通にする類似の商標であり、また、引用商標2とは、外観において相違するものの、称呼及び観念を共通にする類似の商標であり、かつ、本件商標と引用商標の指定商品も互いに抵触するものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第15号について

引用商標は、1992年(平成4年)から約20年にわたって申立人及びその商品である香水を表示する商標として使用されており(甲28)、日本では2003年(平成15年)から販売が開始され、現在は日本全国93カ所の店頭で販売されている(甲29〜34)。

また、申立人の商品である香水の日本における2003年(平成15年)から2010年(平成22年)までの平均販売個数は、年間2万7千個である。

上述のとおり、引用商標は日本全国で広く使用され、申立人の取り扱う商品を表示するものとして、周知となっている。

加えて、引用商標が表示された香水は、アメリカフレグランス協会が行っている世界的な香水の品評会で与えられる賞であるFIFI賞メンズ部門を1994年に受賞したのをはじめ、各種の賞を受賞しており(甲35〜38)、世界中の需要者にも周知、著名となっている。

そうすると、本件商標が本件指定商品に使用された場合、かかる商品が申立人の商品であるか、あるいは申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業の営むグループに属する関係にある営業主の業務にかかる商品等であると誤信されるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第19号について

本件商標は、引用商標が周知、著名となった後に出願されたものであり、また、引用商標と同一の称呼を生ずる「heritage」の文字を包含する。

また、本件商標の指定商品中「シャンプー,その他のせっけん類,シャワー用のジェル状化粧品,ヘアーコンディショナー,ボディーローション,その他の化粧品,香料類」と引用商標が表示された商品「香水」は、極めて密接な関連性を有する。

したがって、本件商標は、引用商標の顧客吸引力を利用するものであり、又は顧客吸引力を希釈化させる等、不正な目的で使用するものといわざるを得ないから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

(5)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものである。

4 当審の判断

(1)引用商標の周知著名性について

ア 申立人提出の甲各号証によれば、次のとおり認められる。

引用商標は、1992年(平成4年)から約20年にわたって申立人及びその商品である香水を表示する商標として使用されており(甲28)、日本では2003年(平成15年)から販売が開始され、現在は日本全国93カ所の店頭で販売されている(甲29〜34)。

また、申立人の商品である香水の日本における2003年(平成15年)から2010年(平成22年)までの平均販売個数は、年間2万7千個である。

さらに、引用商標が表示された香水は、アメリカフレグランス協会が行っている世界的な香水の品評会で与えられる賞であるFIFI賞メンズ部門を1994年に受賞したのをはじめ、各種の賞を受賞している(甲35〜38)。

イ しかしながら、本件商品の販売額など取引の実績が不明であり(なお、販売実績(個数)は記載されているがこれを裏付ける証左はない。)、「香水」の市場におけるシェアも確認できないこと、広告宣伝の方法、回数等も不明であること、また、受賞したのは海外における賞のみであり、これらによっては我が国における引用商標の周知性の判断が困難であることから、申立人提出の全証拠を総合してみても、引用商標は、本件商標の出願時(及び査定時)に、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間で広く認識されている商標と認めることはできない。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、前記1のとおり、「フラワーヘリテイジ」の片仮名と「flower heritage」の欧文字を上下二段に書してなるところ、その構成中の「flower」と「heritage」の各文字は、1文字程度の空白をもって表されているとしても、同じ書体、同じ大きさで表されており、後半の「heritage」の文字部分が前半の「flower」の文字部分より格別目立つように表現されているものではないから、構成中「flower heritage」の文字は、外観上一体的に看取されるものである。

そして、上段の「フラワーヘリテイジ」の片仮名は、下段の「flower heritage」の文字部分の読みを特定するものとして無理なく理解できるものであり、本件商標の構成文字全体からは「フラワーヘリテイジ」の称呼を生ずるものであるが、この称呼にしても格別冗長というべきものでなく、無理なく一連に称呼し得るものである。

また、申立人提出に係る甲各号証及び当審における職権調査によっても、本件商標の構成中、「フラワー」及び「flower」の文字が、商品の品質等を表すものとして取引上普通に使用されているとみるべき特段の取引の事情は見いだせない。

そうすると、本件商標は、その構成中の「heritage」の文字部分が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとはいえないから、該文字部分だけを、引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することは許されないというべきである。

そうとすれば、本件商標からは、その構成文字全体に相応して「フラワーヘリテイジ」の称呼のみを生ずるとみるのが相当である。

また、「フラワー」及び「flower」の文字は、「花」を意味する語として親しまれているものであり、「ヘリテイジ」及び「heritage」の文字は、「遺産」等(「研究社ユニオン英和辞典 第2版」)の意味を有するものであるから、構成全体から「花の遺産」程の意味合い(観念)を想起させるとみるのが自然である。

他方、引用商標1は、前記2(1)アのとおり「HERITAGE」の欧文字と「エリタージュ」の片仮名を上下二段に書してなるところ、「HERITAGE」の欧文字からは、英語風読みの「ヘリテイジ」が、「エリタージュ」の文字からは「エリタージュ」の称呼がそれぞれ生じ、「HERITAGE」の文字からは「遺産」等の観念を生ずるものである。

また、引用商標2は、前記2(1)イのとおり「エリタージュ」の片仮名を書してなるところ、その構成文字に相応して「エリタージュ」の称呼が生じ、観念については、フランス語の「heritage(2文字目の「e」にはアクサン記号が付される)」の表音と認められるものの、これを我が国の需要者が直ちに理解するとはいい難いものであり、何ら観念を生じないものというのが相当である。

そうすると、本件商標と引用商標は、両者の外観、称呼、観念は前記で認定したとおりであって、そのいずれの点においても区別し得ること明らかであるから、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

その他、本件商標と引用商標とが類似するとすべき理由は見いだせない。

してみれば、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえない。

(3)商標法第4条第1項第15号及び同第19号について

上記(1)のとおり、引用商標は本件商標の出願時(及び査定時)に、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間で広く認識されているものと認められないものである。そして、本件商標と引用商標とは、判然と区別し得る別異の商標というべきものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。

また、本件商標と引用商標とは、上記認定のとおり、判然と区別し得る別異の商標というべきものであるから、本件商標は、引用商標の著名性を希釈化し、不正の目的をもって使用をするものとはいえず、かつ、不正の目的をもって使用をするものであることを認めるに足る証拠も提出されていない。

してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に違反してされたものとはいえない。

(4)まとめ

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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