Trademark Appeal Case
欧文字1字差の商標類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2011−900335(T2011−900335/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
登録第5418437号商標(以下「本件商標」という。)は、「THERMOVET」の欧文字を横書きしてなり、平成22年10月18日に登録出願、第9類「電子応用機械器具」及び第10類「医療用機械器具,体温計,電子体温計」を指定商品として、平成23年5月12日に登録査定、同年6月17日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第10号について
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、「Thermovent」(以下「申立人商標1」という。)及び「サーモベント」(以下「申立人商標2」という。また、申立人商標1及び2をまとめていうときは、以下単に「申立人商標」という。)を、申立人の業務に係る商品「人工鼻及びこれに関連する商品(人工鼻用フィルター)」(以下「申立人商品」という。)について使用しており、申立人商標は、申立人商品を含む「医療用器具」を示す表示として広く知られている。
本件商標は、申立人商標に類似する商標であって、申立人商品を含む「医療用機械器具」と同一又は類似する商品に使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第11号について
(ア)引用商標
登録第2144372号商標(以下「引用商標」という。)は、「THERMOVENT」の欧文字を横書きしてなり、昭和62年4月23日に登録出願、第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成元年6月23日に設定登録され、その後、平成21年5月20日に指定商品を第10類「医療用機械器具」とする指定商品の書換登録がなされたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
(イ)類否について
本件商標「THERMOVET」は、欧文字9文字を横一列に配してなり、その構成文字から「サーモベット」の称呼が生じる。
一方、引用商標「THERMOVENT」は、欧文字10文字を横一列に配する構成で、その構成文字から自然な称呼「サーモベント」が生じる。
両商標は、欧文字9文字または10文字との比較的長い綴りの構成であって、中間に位置する「N」の文字が1文字多いか否かの差異を有するのみであるから、需要者・取引者は、両商標を視覚印象上、判然と区別し得るのは困難といわざるを得ない。また、両商標は、中間に位置する促音「ッ」と鼻音「ン」のみが相違するもので、一連に称呼するときには、語音、語感が近似し、互いに紛れるおそれが極めて高いことから、本件商標と引用商標は、互いに類似する。
また、本件商標と引用商標の指定商品は、同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)以上によれば、本件商標の登録は、第10類「医療用機械器具,体温計,電子体温計」について取り消されるべきものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、前記のとおり「THERMOVET」の文字を書してなるものであり、構成文字に相応して「サーモベット」の称呼を生じるものである。
そして、本件商標は、その構成中の「THERMO」の文字が「熱」に関係するものを表す接頭語として広く使用される語であり、また、「VET」の文字が「獣医」を意味する語であるから、それら2つの語が結合してなるものと認識されるものの、特定の観念を生じるとまではいえない。
他方、申立人商標は、前記のとおり「Thermovent」又は「サーモベント」の文字を書してなるものであり、構成文字に相応して「サーモベント」の称呼を生じるものである。
そして、申立人商標は、その構成中の「Thermo」、「サーモ」の文字が「熱」に関係するものを表す接頭語として広く使用される語であり、また、「vent」、「ベント」の文字が「穴。通気孔。放出する。」を意味する語であるから、それぞれ、それら2つの語が結合してなるものと認識されるものの、特定の観念を生じるとまではいえない。
そこで、まず、本件商標と申立人商標1との類否について判断するに、両商標は、それぞれ前記のとおりの構成からなるところ、9文字目に「n」の文字の有無の差異及び2文字以降の文字部分において大文字と小文字の差異を有するものであり、両者の構成がそれぞれ9文字及び10文字からなるものであるとしても外観上区別し得るものである。
また、称呼については、本件商標から生ずる「サーモベット」の称呼と申立人商標1から生ずる「サーモベント」の称呼とは、第4音の「ベ」に続く音が促音の「ッ」か「ン」の音かの差異を有するものであるところ、前記のとおり、本件商標は「THERMO」と「VET」との、申立人商標1は「Thermo」と「vent」との結合からなると認識されるものであるから、各語に区切って称呼されることに加え、「Thermo」の語が、「熱」に関係するものを表す接頭語として広く使用される語であって、医療用機械器具との関係においても比較的採択されやすい語であることも勘案すれば、後半部の「VET」「vent」の文字部分が強く意識され、「ベット」「ベント」の各音は、明瞭に発音、聴取されるというべきであるから、促音「ッ」と「ン」の音の差異が全体の称呼に及ぼす影響は、決して小さいものとはいえない。
そうすると、本件商標と申立人商標1とを称呼するときは、語感、語調において相違し、称呼上相紛れるおそれはないものというべきである。
さらに、観念においては、両商標は、前記のとおり、一定の親しまれた意味合いを表したものとはいえないものの、本件商標及び申立人商標1の「THERMO」、「Thermo」の文字が「熱」に関係するものを表す接頭語として広く使用される語であるから、後半部の語が強く意識されるというべきであって、「VET」の文字が「獣医」を意味する語として、また、「vent」の文字が「穴。通気孔。放出する。」の意味を有する語として知られているものであるから、当該文字部分の語義を想起・認識し得るというべきである。
そうすると、両商標は、観念上も相紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と申立人商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
次に、本件商標と申立人商標2との類否について判断するに、両商標は、それぞれ前記のとおりの構成からなるところ、本件商標が欧文字9文字からなる一方、引用商標が片仮名6字からなることから、両者は、外観上十分に区別し得るということができる。
また、本件商標と申立人商標2は、前記申立人商標1の場合と同様に、称呼及び観念において、いずれも相紛れるおそれのないものである。
してみれば、本件商標と申立人商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
また、申立人提出の証拠によれば、申立人は、英国において設立された医療機器メーカーであって、日本においてもその日本法人が申立人の業務に係る商品の販売を行っているところ、申立人商標は、少なくとも1997年には使用が開始され、2002年、2005年、2009年に公表された医学論文の研究の際に申立人商標に係る商品が採用されているものであり、人工鼻及び人工鼻用フィルターに関する市場動向分析によれば、申立人商標に係る商品が当該分野において3割超のシェアであることが認められる。しかしながら、人工鼻及び人工鼻用フィルターに関わる研究者、取引者の間では、申立人商品ないし申立人商標が相当程度知られていると推認できるとしても、前記のとおり、本件商標と申立人商標とは非類似の商標といわざるを得ず、その他、これを覆すに足りる事情は見いだせない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものとはいえない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記のとおり「THERMOVET」の文字を書してなるものであり、構成文字に相応して「サーモベット」の称呼を生じるものである。
そして、本件商標は、その構成中の「THERMO」(サーモ)の文字が「熱」に関係するものを表す接頭語として広く使用される語であり、また、「VET」(ベット)の文字が医療分野においては「獣医」を意味する語であるから、それら2つの語が結合してなるものと認識されるものの、特定の観念を生じるとまではいえない。
他方、引用商標は、前記のとおり「THERMOVENT」の文字を書してなるものであり、構成文字に相応して「サーモベント」の称呼を生じるものである。
そして、引用商標は、その構成中の「THERMO」の文字が「熱」に関係するものを表す接頭語として広く使用される語であり、また、「VENT」の文字が「穴。通気孔。放出する。」を意味する語であるから、それら2つの語が結合してなるものと認識されるものの、特定の観念を生じるとまではいえない。
そこで、本件商標と引用商標との類否について判断するに、両商標は、それぞれ前記のとおりの構成からなるところ、9文字目に「N」の文字の有無の差異を有するものであり、両者の構成がそれぞれ9文字及び10文字からなるものであるとしても外観上区別し得るものである。
また、本件商標と引用商標は、前記申立人商標の場合と同様に、称呼及び観念において、いずれも相紛れるおそれのないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえない。
(3)まとめ
以上のとおりであるから、本件商標は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第10号及び同第11号に違反して登録されたものということができず、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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