Trademark Appeal Case
超流通の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第16089号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲に示すとおりの文字を書してなり、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」を指定商品として、平成5年12月30日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原審において、登録異議の申立てがあった結果、原査定は、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨認定して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、別掲に示すとおり「超流通」の漢字を表してなり、指定商品は、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」とすることは、前記の通りである。
ところで、「超流通」の文字の用例についてみると、例えば、株式会社ジー・サーチの提供に係る「G−Searchの新聞記事データベース」を検索すると、1994年3月11日付流通サービス新聞の記事(11頁)には、『関心高まる「超流通」。気軽にソフト利用、4月にも研究所』との見出しのもと『ソフトウエアの新しい流通方式「超流通」に対する関心が高まってきている。・・・・四月初めには「超流通研究所(仮称)」が発足して、超流通の普及浸透を支援する様々な活動に乗り出す。・・・・「超流通」は、森亮一筑波大学名誉教授のグループが長年研究して構想を固めたソフト=デジタル情報の新流通システム。・・・・超流通システムの実用化に向けて、各種ツール類が開発されており、また日本電子工業振興協会をはじめとする産業界のバックアップ体制も整ってきている。四月初めには森名誉教授らが超流通研究所を設立する。同研究所では民間主導による「統一標準のもとでの競争」が働くような方向を目指して、超流通に関する様々な普及啓もう活動に取り組んでいく。』との記載、1995年7月27日付日経産業新聞の記事(7頁)には、「ネットワーク新時代幕開け(中)パソコン通信が流通変革−コスト削減に貢献。」との見出しのもと『先月、富士通に新しい組織「SD事業推進部」が誕生した。中村明部長は「SD」の意味を「スーパーディストリビューション、つまり超流通」と説明する。』との記載、1995年8月22日付流通サービス新聞の記事(9頁)には、「富士通とニフティ、機関誌の付録にデモ版CD−ROM。ソフト流通の実験プロ立ち上げ」との見出しのもと『・・・・“鍵(かぎ)付き”のソフト類を収録したCD−ROMを配布し、パソコン通信・ニフティサーブ上での“鍵”のやり取りによってソフト類を供給する「メディアシャトル」をニフティサーブの新メニューとして登場させた。・・・・事業化に取り組んでいるのは富士通のSD事業推進部。SDは、スーパー・ディストリビューション(超流通)の略で、ソフトウエアやコンテンツ(情報の中身、内容)について、従来のパッケージ売りとは異なるネットワーク販売あるいは利用度合い・従量料金制のような方式を志向するのが超流通のコンセプト。』との記載、1996年2月1日付日刊工業新聞の記事(7頁)には、「情報サービス産業協会、資金助成対象のソフト研究者を30人選定」の見出しのもと『情報サービス産業協会(JISA、東京都港区・・・・)は、ソフトウエア技術研究者に対する研究資金援助プログラムの第一回・・・・テーマは「オブジェクト指向」、「超流通システム」、・・・・』との記載、1997年3月11日付日刊工業新聞の記事(9頁)には、『アクシム、パソコンソフトの「時間売り方式」を推進。97年夏までにシステム開発へ』の見出しのもと『アクシム(福島県郡山市・・・・)は、パソコンソフトを使用時間に基づいた課金システムにより販売する「タイムチャージ方式」を考案し、その普及浸透のため汎用タイムチャージ/タイムバッテリー・システムを今夏までに開発する。・・・・ソフトの新流通システム「超流通」の一形態といえ、インフラとして広く普及する可能性もある。』との記載が認められる。
また、英和コンピュータ用語大辞典第2版(日外アソシエーツ株式会社1996年7月22日発行)」の「Superdistribution」の項には「超流通」との記載が認められる。
さらに、該文字について、いわゆるインターネットにより情報を公開しているサイトをみると、例えば、「超流通(Superdistribution)」(http://www.law.co.jp/jpnic/tsld023.htm)の見出しのもと「流通させようとするディジタル情報に、対価を得るべき権利者のリストや対価の種類に関する情報(超流通ラベル)を不可分の形でリンクさせておく。ハードウエアに搭載した超流通ラベルリーダが、超流通ラベルを解釈して、その記載条件によりディジタル情報の利用を制御し、使用記録を作る。この使用記録を回収して料金を精算する。」との紹介、「Superdistribution:Glossary」(http://sda.tsukuba-tech,ac.jp/SdA/GlossaryJ.html)の見出しのもと「超流通用語集」の「超流通(Superdistribution)」の項目には、「超流通とは、ディジタル情報の流通に対する新しいアプローチです。フリーウェアやシェアウェアで実現されているような、ユーザにとっての快適な環境(簡単に入手でき、無料で試用できることなど)を、有料のソフトウェア製品に対しても実現し、かつ開発元や販売元の利益を保護するものです。・・・・超流通が扱うディジタル情報には、コンピュータソフトウェアだけでなく、マルチメディア素材やソフトウェア部品も含まれます。複雑なマルチメディア素材の著作権問題にも対処できます。また、ソフトウェア部品の流通を促進し、ソフトウェアの量産を可能にします。」との紹介、「Publication List on Superdistribution/超流通関連出版物一覧」(http://sda.k.tsukuba-tech.ac.jp/SdA/SdAbib.html)の見出しのもと「超流通に関する出版物・特許・関連資料をまとめた.出版物は超流通の発明者である森が著者に含まれる論文,特許は森が出願した日本特許5件,外国特許3件,関連資料は森でない著者が超流通に言及したもの,参考資料は超流通の直接の記述はないが関連するものである.」と紹介されていることが認められる。
以上の点よりして「超流通」の文字は、電気通信機械器具及び電子応用機械器具関係の業界において、超流通システム(ソフトウェアや情報の中身・内容についてのネットワーク販売あるいは利用度合い・従量料金制の方式)の実用化に向けて普及啓もう活動に取り組んでいて、現在においては、該システムを指称する語として充分理解されているというのが相当である。
そうすると、本願商標は、前記のとおり「超流通」の文字よりなるものであるから、これをその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、上記事情よりして、該商品が前記システムに対応できる商品であること、いわゆる、商品の品質あるいは用途を表示するものとして理解するに止まり、それをもって商品の出所の識別標識とは認識し得ないものといわなければならない。
したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
なお、請求人(出願人)は、「超流通」という名称は、同人が創り出したものであり、登録商標若しくは出願商標として認識する旨述べ、本願商標の識別性を主張しているが、前記の如く認識され、その使用実情をみれば、本願商標は、指定商品に関する商品を取り扱う当業者であれば、それを流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であって、何人も使用をする必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものといえるから、それを登録商標として一私人に独占を認めるのは必ずしも適切でないものと認める。
よって、結論のとおり審決する。
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