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Trademark Appeal Case

不使用取消:使用態様と商品区分

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2011−300652(T2011−300652/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3263770号商標の指定商品中、第7類「風水力機械器具」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第3263770号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成5年8月12日に登録出願、第7類「半導体製造用・精密機械用液体精密定量吐出機,化学機械器具,風水力機械器具,塗装機械器具」を指定商品として、同9年2月24日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出している。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品中「第7類 風水力機械器具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

(2)答弁に対する弁駁

ア 本件商標を液体精密定量吐出機に使用しているとの主張について

乙第2号証ないし乙第4号証及び乙第7号証では、「Σ-MX9000CM/8000CM」「Σ-MX9000SMII/8000SMII」(なお、末尾の「II」はローマ数字の「2」。以下同じ。)といった記載がみられるが、Σの右上に「○内にR」記号を付し、その横に「-MX9000CM」と記載しており、被請求人が「MX」以下を型式として使用していても、「MX」を商標の一部としては使用していないことは明らかである。

また、乙第2号証については、被請求人が自ら述べているように、2001年4月頃に配布が終了されているものである。

そして、乙第5号証及び乙第6号証は、被請求人顧客からの注文書であるが、注文対象の商品名として「MX8000SMII」との記載があり、被請求人の顧客も「Σ-MX」を商標として認識していないことがわかる。「Σ-MX」との記載がない以上、乙第5号証及び乙第6号証をもって2009年に本件商標が使用された事実は認めることができない。

さらに、乙第7号証では、被請求人の商品の写真が鮮明に表されているが、商品上には、「Σ」、その右横に小さな「SIGMA」、及びその右横に大きく「MX9000E」の文字があり、「Σ−MX」は使用されていない。

その他、乙第1号証及び乙第8号証には、何ら商標の記載がない。

以上から明らかなように、本件商標はそもそも商標的に使用されているとはいい難く、乙第1号証ないし乙第8号証は本件商標が使用されていることの証拠として不適切である。

イ 液体精密定量吐出機が風水力機械器具のポンプに属するとの主張について

(ア)被請求人は、「風水力機械器具」について、「商品及び役務の区分解説」(乙第9号証)の一部を「この概念には、液体又は気体を噴出させたり、〜液体又は気体に圧力を加える機械器具が含まれる。」と引用している。しかし、実際の記載は「この概念は、液体又は気体を噴出させたり、高所へ押し上げたり、高圧のタンクヘ押し込んだりするために、液体又は気体に圧力を与える機械器具が含まれる。」というものである。すなわち「風水力機械器具」は「液体等を噴出させたりする機械器具」自体ではなく、「液体等に圧力を与える機械器具」であり、そのうちの「液体に圧力を与える機械器具」が「ポンプ」である。

(イ)他方、被請求人の商品は、答弁書における被講求人の主張及び乙第2号証ないし乙第4号証によれば、「液体精密定量吐出装置」、「ディスペンサ」(両者は被請求人によれば同義)である。そして、被請求人はその商品であるディスペンサを「液体材料を吐出させるもの」と説明している。

また、乙第8号証の資料には、3.2.1概要の欄に「ディスペンサは、主に液体材料の定量吐出を行う装置として位置づけられている。また、飲食店などにあるソフトクリーム用のフリーザも、一般にはそう呼ばないだけであって、これもれっきとしてディスペンサである。」との記載があり、3.2.2原理の欄には「液材を吐出するためには、吐出する量や形態、或いは液剤の特性に応じて様々な種類のあるノズル、液剤を収納する容器(貯留容器)及び後述する加圧手段、即ち液剤を貯留容器からノズルを通じて外部へ送る動力が必要であるが、おおむねこれらはシステムとして一体化されているのが普通である。」との記載がある。

そうとすれば、ディスペンサは、その内部に液体等に圧力を与えるポンプ機能を有する部分を持つことがあるとしても、ポンプ自体ではない。

(ウ)乙第10号証は、「ポンプ」の定義を記載したにすぎず、ディスペンサがポンプに属する証拠にはならない。

また、乙第11号証は73頁の冒頭で、「ディスペンサ」が「液体を空気圧を利用して定量供給するコントローラ及びその周辺機器全般を表している」と記載しており、ポンプそれ自体ではないことを説明している。

(エ)被請求人は、乙第12号証39頁に「高精度定量吐出装置」から改行して「スクリューポンプ」を標題としていると指摘している。しかし、その下の記載には、「エンドレスピストンの原理に従ったViscotec社の容積軽量ポンプとサーボモータ、減速機との組み合わせで定量吐出を実現」とあり、この記載から、スクリューポンプは精密度定量吐出装置を構成する部品の一部にすぎず、ディスペンサ自体でないことが明らかである。

さらに、被請求人は、同業他社では、定量充填装置、定量塗布装置を「ヘイシンモーノポンプ(総合編)」という総合カタログに登載しているとして、乙第13号証を提出している。しかし、乙第13号証29頁中央には、「ディスペンサーヘの液剤供給用ポンプ」が「三軸ロボットと組み合わせたモーノ『ロボ』ディスペンサー」に接続された写真がある。この写真から、ディスペンサを使用するには、ポンプが必要であり、ポンプの性能によってディスペンサの使用状況が異なるが、ディスペンサとポンプはそもそも別物であることが明確にわかる。

(オ)以上より、「液体精密定量吐出機が風水力機械器具のポンプに属する」との被請求人の主張は成り立たず、乙第9号証ないし乙第13号証は、被請求人が本件商標を「風水力機械器具」に使用していることの証拠として不適切である。

ウ まとめ

以上のとおり、被請求人は、そもそも本件商標を、商標的使用態様では使用していない。

また、被請求人の商品は、「液体精密定量吐出機」であっても、この商品は「風水力機械器具」には当たらない。

以上のことから、被請求人が提出した証拠は、いずれも本件商標が本件審判請求の予告登録日前3年以内にその指定商品である「風水力機械器具」について使用されたという事実を証明するには不適切、不十分であり、これをもって本件商標を使用していたとは認めらない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べて、証拠方法として乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。

〈答弁の理由〉

(1)被請求人である商標権者は、本件商標をディスペンサ、すなわち液体精密定量吐出装置に継続して使用している。

ア 被請求人の提供するディスペンサは、説明図(乙第1号証)として図示するとおり、コンプレッサ等の圧縮気体源からの圧力空気を、レギュレータを介してエアー入力用コネクタから本体内に受入れ、適切な圧力で所定の間隔をもって供給するように制御し、エア出力コネクタからチューブを通して液体材料の入ったシリンジに作用させ、ノズルから液体材料を吐出させるものである。

そして、被請求人は、ディスペンサの自動化を可能にした機器をΣシリーズと呼称し、市場に投入してきた。このΣシリーズは、1.液ダレ自動防止 2.水頭差自動補正 3.自動残量警告を一挙に解決したものとして顧客を広げ支持を受けてきたものである。

イ 2001年〈平成13年〉4月頃までに配布していた総合カタログが乙第2号証であって、この中には本件商標が赤で大きく表示されており、その下に同じく赤でSERIESが上下の線で囲われて表示されている。

この製品は発売以来改良を加えられて来ているので、バージョンアップした製品に識別力の比較的乏しいMXをハイフン「−」を介して加え、さらに商品記号としての9000CMや8000CMを後に加えて、型式としては本件商標を頭に「Σ-MX9000CM」と「Σ-MX8000CM」としている。同様に、「Σ-MX9000SMII」と「Σ-MX8000SMII」との型式の製品を提供していた。

そして、乙第3号証の総合カタログにも「Σ-MX9000SMII」と「Σ-MX8000SMII」との型式の製品が掲載されている。また、乙第4号証は、この取扱説明書の抜粋である。

ウ この型式「Σ−MX8000SMII」が実際に販売されていることを明らかにするために、2009年の顧客からの注文書を乙第5号証及び乙第6号証として提出する。なお、本件商標「Σ」は特殊なロゴなので、正確な表記をすべくもなく省略されている。

そして、乙第7号証は、古いものであるが「Σ-MX9000E」のリーフレットであって、これは本件商標に商品記号としての「9000E」を付加したものといえる。

また、ディスペンサに関する技術的な説明の詳細は、乙第8号証として提出する実装プロセス便覧の217〜237頁の「ディスペンサ」に関する記述を参照されたい。

(2)被請求人が本件商標を使用している商品が風水力機械器具のポンプにも属することを明らかにする。

ア 特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説」(乙第9号証)には、風水力機械器具について「この概念には、液体又は気体を噴出させたり、〜液体又は気体に圧力を加える機械器具が含まれる。」とされ、改行して「液体関係のこのような機械器具が〈ポンプ〉であり、」と記載されている。

イ 乙第10号証の広辞苑第5版の「ポンプ」の語釈では「圧力の働きによって流体を送る装置」としている。被請求人のエア式ディスペンサは、空圧(圧力)の働きによって液剤(流体)を送る装置であることからして、広辞苑でいうポンプに含まれる。

ウ 雑誌「油圧と空気圧」の解説記事である「ディスペンサ」(著者 岩下エンジニアリング(株)技術課:乙第11号証)では流量制御方式と容積制御方式があるとするが、いずれにしても液体に圧力を加えて定量を吐出するものであるとしている。

エ 「メカトロニクス・デザイン・ニュース 2008 9月号」の「特集/ディスペンサ」の39頁以下の特集で各メーカーの製品を紹介している(乙第12号証)、この頁の中では「高精度定量吐出装置」から改行して「スクリューポンプ」を標題としており、41頁ではプランジャー式計量ポンプと表題に掲載されている。

そして、42頁は被請求人の製品の頁であるが、全自動補正機能型オールデジタルディスペンサ「SupersΣCMII」が紹介されている。

また、43頁での製品紹介では「ESER社製」の「スクリューポンプ」と普通名称で表わしている。

オ 被請求人と同業他社といえる企業では、定量充填装置、定量塗布装置が、総合カタログといえる「『ヘイシン』モーノポンプ〈総合編〉」(乙第13号証)に登載されている。

カ なお、これまで提示した被請求人に関する証拠等で本社住所が「三鷹市下連雀」となっているが、これは実質的な本社機能を備えている住所であるといえる。

登記簿上の住所は乙第7号証のリーフレットに示す通り、かって本社が所在していた「三鷹市井口」のままになっている。

(3)以上のとおり、本件商標は、ポンプについて被請求人である商標権者が3年以内に日本国内において使用していたものである。

4 当審の判断

被請求人は、本件商標をディスペンサ(液体精密定量吐出装置)に継続して使用している旨主張し、乙第1号証ないし乙第13号証を提出している。

そこで、乙各号証により本件請求に係る指定商品「風水力機械器具」について、被請求人がその使用事実を証明し得たものか否かについて、以下検討する。

(1)乙第1号証ないし乙第7号証によれば、以下の事実を認めることができる。

ア 乙第1号証は、被請求人作成の被請求人(商標権者)が提供するディスペンサ説明図であり、圧縮気体源(コンプレッサ等)で加圧された空気を、レギュレータを介してエアー入力用コネクタからディスペンサ本体に受入れ、ディスペンサ本体からその加圧された空気が所定の間隔をもって液体材料の入ったシリンジに送られ、その加圧空気によりシリンジから液体材料を吐出するものであり、液体材料吐出後の空気は、シリンジからディスペンサ本体に戻り、排気ポートから排気されることが図示されている。

イ 乙第2号証は、被請求人の「液体精密定量吐出装置総合カタログ VOL1」であり、乙第3号証は、同カタログの「VOL5」であるところ、各カタログにおいて「Σシリーズ」の製品として「Σ-MX9000CM/8000CM」及び「Σ-MX9000SMII/8000SMII」などについて、ディスペンサ本体と液体吐出部分からなるディスペンサの写真が掲載され、上記シリーズの3大機能として「1.液ダレ自動防止」「2.水頭差自動補正」「3.自動残量警告」について製品の特徴が説明されている。

そして、「Σ-MX9000SMII/8000SMII」については、「高精度マイコン制御ディスペンサ」「吐出量の微調コントロールを自在に実現」「Σマルチプリセット機能が多様な液体精密制御に対応」の説明がされ、「Σ-MX9000SMII」及び「Σ-MX8000SMII」の各製品についてその仕様が説明されている。同様に「Σ-MX9000CM/8000CM」についても製品の特徴についての説明のほか、「Σ-MX9000CM」「Σ-MX8000CM」の各製品についてその仕様が説明されている。

なお、乙第3号証の「Σ-MX9000SMII/8000SMII」の項の写真の製品は、製品の正面の左上部分に「Σ-MX9000SMII」の表示がある。また、上記各カタログはいずれも作成時期は不明であるが、乙第2号証について、被請求人は、2001年(平成13年)4月ころまで配布したカタログであると主張している。

ウ 乙第4号証は、製品「Σ-MX9000SMII/8000SMII」の取扱説明書であり、同梱品一覧にディスペンサの型番として「Σ-MX9000SMIIまたはΣ-MX8000SMII」と記載されている。なお、乙第4号証には、作成や使用の時期を示す表示はない。

エ 乙第5号証は、2009年12月2日付けのFAXによる神奈川県茅ヶ崎市所在の企業から被請求人への注文書であり、乙第6号証は、2009年9月8日付けの東京都大田区所在の企業から被請求人への注文書である。いずれも品名については「MX8000SMII」と記載されているものである。

オ 乙第7号証は、被請求人のリーフレット「NEW液体精密定量吐出装置/Σ-MX9000E」であり、ディスペンサ本体と液体吐出部分からなるディスペンサの写真が掲載され、また機種「Σ-MX9000E」及び「Σ-MX8000E」についてその仕様が説明されている。なお、当該リーフレットには、その作成や使用の時期を示す表示はない。

(2)乙第8号証ないし乙第13号証によれば、以下の事実を認めることができる。

ア 乙第8号証は、「実装プロセス便覧 1998」(1998年10月 (社)日本ロボット工業会発行)であり、「3.2 ディスペンサ」の項(217頁〜)の「3.2.1 概要」に「工業界におけるディスペンサは、主に液体材料の定量吐出を行う装置として位置づけられている。・・・液体制御の分野を見ると食料品、医薬品、半導体関連や電子部品・・・非常に広い幅を持っている。」と記載され、「3.2.2 原理」の項に「液剤を吐出するためには、・・・及び後述する加圧手段、即ち液剤を貯蔵容器からノズルを通じて外部へ送る動力が必要であるが、概ねこれらはシステムとして一体化されているのが普通である。」と記載され、同項中の「(3)加圧手段(制御方法)について」中に「液体の吐出方法には、大別して接触式と非接触式の二種類がある。前者はギアやピストンなどによる機械的な圧縮動作で液剤を吐出する方式で・・・計量制御型、或いは位置制御型と分類できる。非接触式ではエアパルス式が代表であり、圧縮空気を液剤面に直接供給し、その加圧力で液剤を吐出するものである。・・・加圧している時間が吐出量を制御するもう一つの要素として機能するので、時間制御型として分類できる。」と記載され、「マイコン制御エアパルス式ディスペンサコントローラ」として前記(1)イと同様の製品の写真が掲載されている。

イ 乙第9号証は、特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説」であり、風水力機械器具についての解説では「この概念には、液体又は気体を噴出させたり、高所へ押し上げたり、高圧のタンクへ押し込んだりするために、液体又は気体に圧力を加える機械器具が含まれる。液体関係のこのような機械器具が〈ポンプ〉であり、気体関係のそれが〈送風機〉及び〈圧縮機〉である。各例示商品は機械の構造によっているが、これを用途的にみれば、〈ポンプ〉を例にとると”ビスコースポンプ” ”排水ポンプ” ”水道送水ポンプ”等いろいろ考えられるが、このような用途が限定されたものとして取引きされる場合も、この概念に属する。」などと解説されている。

ウ 乙第10号証は、広辞苑(第5版)の見出し語「ポンプ」の頁であり、「圧力の働きによって流体を送る装置。特に液体に対するものをいい、気体では構造により真空ポンプ・送風機などと呼ぶことが多く、機構上では、往復ポンプ・回転ポンプ・遠心ポンプ(渦巻ポンプ)・軸流ポンプなどに分れる。」と記載されている。

エ 乙第11号証は、雑誌「油圧と空気圧」第26巻第5号(平成7年8月)に掲載された「ディスペンサ」についての論文であり、「1.はじめに(ディスペンサとは」の項(73頁)に「Dispenserとは、・・・供給機(者)、吐出機の意味で用いられる事が多い。エレクトロニクス分野で使用されているDispenserも正確には、Liquid Dispenserであり、液体を空気圧を利用して定量供給するコントローラ及びその周辺機器全般を表わしているが、Dispenserという名称で市場に受け入れられつつある。用途としては、エレクトロニクス分野のみならず、医療、食品等のあらゆる分野に普及しており、各分野によって、点塗布、線引塗布、注入、充填等、使用方法、使用目的が多種多様である。これら多種多様の用途、目的に適合する最良のシステムが選定できるように、様々なタイプのディスペンサシステムが開発され、用意されている。」と説明され、「2.液体定量吐出(供給)装置の種類及び概要」に「これらディスペンサシステムは、用途・吐出材料により、システムを選定するが、制御方式により流量制御方式と容積計量方式の2種類に大別出来る。」とし、さらに、「流量制御方式には、材料を圧力容器に入れ、コントローラからのパルスエアー直接材料に与え定量吐出する方法(加圧ON/OFF)と圧力容器内へ材料を入れ、圧力により材料を圧送し、バルブにより流路を開閉し定量吐出する方法(流路ON/OFF)とがある。」と説明されている。また、「容積計量方式」について、「計量室の構造により、固定型(プランジャーポンプなど)、移動型(ロータリーポンプなど)がある。」(74頁)、「プランジャーポンプは、容積計量方式の計量室固定型ポンプである。プランジャーは、電気又は空気圧で駆動され、自給または、微圧圧送された計量室内の流体材料を、プランジャーの移動体積分だけを計量し定量吐出するポンプである。」(77頁)などの解説が記載されている。

オ 乙第12号証は、雑誌「メカトロニクス」(2008年9月号)の「特集/ディスペンサ」の部分であり、株式会社ナカリキッドコントロールの広告(39頁)に「2液 計量・混合・定量吐出装置」や「高精度計量ポンプ」の表題の下に、「高精度定量吐出装置/スクリューポンプ」「高精度定量吐出装置/マイクロプランジャポンプ」についての紹介、説明がされている。また、宝泉(株)の広告・製品紹介に「プランジャー式計量ポンプ」についての紹介、説明がされている。なお、42頁は、商標権者(被請求人)製品の広告頁であり、「全自動補正機能型オールデジタルディスペンサ/SupersΣCMII」ほか、「高粘度/高速スクリューディスペンサ/SCREW MASTER2」などが解説などと共に掲載されている。

カ 乙第13号証は、兵神装備株式会社の「『ヘイシン』モーノポンプ〈総合編〉」と題するカタログであり、当該モーノポンプは「回転数制御ユニット又は計量ユニットと供給用モーノポンプとの組合せによりすぐれた定量充填装置になります。」とあるように、液体材料を計量ユニット等に供給するためのポンプである。

(3)前記(1)及び(2)で認定した事実によれば、以下のとおり、判断するのが相当である。

ア 商標権者は、高精度マイコン制御ディスペンサ「Σ-MX8000SMII」を本件審判請求の登録(平成23年7月29日)前3年以内である平成21年(2009年)9月(注文日は9月8日)に東京都大田区所在の会社に販売し、また、平成21年(2009年)12月(注文日は12月2日)に神奈川県茅ヶ崎市所在の会社に販売したことが認められる。

この点について、乙第5号証及び乙第6号証の各注文書には、品名に関して「MX8000SMII」と記載されているが、取引書類には、名称等を略して記載することが普通に行われており、上記取引書類は、「Σ-MX8000SMII」に関する注文書であると認め得るものである。

そして、「Σ-MX8000SMII」に係る製品(写真)自体の証拠の提出はないものの、乙第3号証のカタログの写真の製品がその正面左上部分に「Σ-MX9000SMII」の記載があること及び乙第4号証の「Σ-MX9000SMII/8000SMII取扱説明書」表紙に記載の製品斜視図の正面左上部分に同様の記載の存在が認められることからすると、上記譲渡の事実が認められる「Σ-MX8000SMII」についても、その製品に「Σ-MX8000SMII」(以下「使用商標1」という。)が記載されているものであると推認できるものである。また、前記取扱説明書(乙第4号証)には別掲(2)「Σ-MX9000SMII/8000SMII」の商標(以下「使用商標2」という。)が記載されているところ、取扱説明書はその商品とともに梱包されるというのが一般的であることからすると、当該取引において上記取扱説明書を使用したものと推認できる。そうとすると、当該取引において、使用商標1及び使用商標2が使用されたものと推認できる。

イ 使用商標について

使用商標1は、上記のとおり、「Σ-MX8000SMII」の文字よりなるものであるが、「MX」と「8000」は字種(欧文字と数字)が異なり、商品の品番等の表示として数字が広く用いられていること、加えて、商標権者のカタログや取扱説明書において「Σ-MX9000SMII」及び「Σ-MX8000SMII」を「Σ-MX9000SMII/8000SMII」のように「9000SMII」と「8000SMII」により商品を識別して表示していることからすると、使用商標1のかかる構成にあっては、「8000SMII」は付記的な表示として理解される場合も決して少なくないものであって、「Σ-MX」の部分が自他商品の識別標識としての基幹的な商標と認識されて取引に資されるものというのが自然であり、これと本件商標とは、ほぼ同一商標といえるものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標というのが相当である。

また、使用商標2については、「9000SMII」又は「8000SMII」は付記的な表示として理解される場合も決して少なくないものであって、前記同様に、使用商標2は、本件商標と社会通念上同一の商標というのが相当である。

ウ 使用商品について

被請求人は、使用商品であるディスペンサ(液体精密定量吐出装置)が、「風水力機械器具」の範ちゅうの「ポンプ」に含まれるものであると主張しているので、この点について検討する。

使用商品は、ディスペンサ本体と液体材料が充填されたシリンジ及び液体吐出部分等からなるものであり、コンプレッサ等の圧縮気体源から送られてくる、加圧した空気を「レギュレーター」を介してエアー入力用コネクタからディスペンサ(本体)に入れ、ディスペンサ本体から、その加圧した空気の量、送付間隔等を調整して、液体材料の入ったシリンジに送り、その加圧空気によりシリンジから液体材料を適量吐出するものである。

ところで、工業界におけるディスペンサとは、主に液体材料の定量吐出を行う装置であり、液体の吐出方法の制御方式から流量制御方式と容積計量方式とに大別され、流量制御方式には、コントローラからパルスエアを直接材料に与え定量吐出する方法と圧力により材料を圧送しバルブにより流路を開閉して定量吐出する方法があり、また、容積計量方式には計量室の構造により計量室固定型(プランジャーポンプ)と計量室移動型(ロータリーポンプ)等がある(甲第11号証)。

そうすると、使用商品は、コントローラからパルスエアを直接液体材料に与え、当該材料を定量吐出する方法の液体精密定量吐出装置(ディスペンサ)であるということができる。

そして、「風水力機械器具」は、「液体又は気体を噴出させたり、高所へ押し上げたり、高圧のタンクへ押し込んだりするために、液体又は気体に圧力を加える機械器具が含まれる。」(乙第9号証)ものであるが、使用商品は、上記のとおり、コンプレッサ等の圧縮気体源からの圧縮空気により液体材料の吐出圧力や吐出時間を制御してシリンジに封入された液体材料を定量吐出するための商品であり、その制御のための手段、方法として圧縮空気を利用していることが認められるとしても、使用商品が「風水力機械器具」の範ちゅうに含まれる商品とは認めることはできない。

この点は、被請求人が述べている「Σシリーズ」に係る製品は、ディスペンサの自動化を可能にした機器であり、かつ、1.液ダレ自動防止 2.水頭差自動補正 3.自動残量警告を一挙に解決したものと述べているところからも明らかである。

被請求人は、業界誌(乙第12号証)の「特集/ディスペンサ」に掲載されている「スクリューポンプ」、「マイクロプランジャポンプ」、「プランジャー式/計量ポンプ」等の証拠を挙げ、使用商品が「風水力機械器具」中の「ポンプ」に含まれる旨主張しているが、これらは精密定量吐出機(ディスペンサー)の構造、制御方式を表示したものであり、また、乙第13号証のカタログに掲載された「モーノポンプ」は、液体材料を計量ユニット等に供給するためのものであって、定量充填装置に使用されることはあってもディスペンサではないから、これらの証拠によっても使用商品が「ポンプ」として取引されるものとはいうことができない。

したがって、被請求人が本件商標を使用している商品が「風水力機械器具」の範ちゅうの「ポンプ」にも属する旨の主張は、採用することができない。

その他、本件商標が本件請求に係る商品「風水力機械器具」について使用されていた事実を示す証拠は見いだせない。

(5)むすび

以上のとおり、被請求人である商標権者が本件審判請求の登録(平成23年7月29日)前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標を「液体精密定量吐出装置」について使用していた事実は認められるとしても、その使用商品は、本件請求に係る商品「風水力機械器具」に該

当しないものであるから、結局、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標を本件請求に係る指定商品について使用した事実を証明し得なかったものといわなければならない。

また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品について使用していなかったことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「風水力機械器具」について、商標法第50条の規定により取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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