sokuhyo

Trademark Appeal Case

使用商標の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2011−300673(T2011−300673/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第1816772号商標の第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第21類「家事用手袋」、第25類「被服」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第1816772号商標(以下「本件商標」という。)は、「HUMAN」の欧文字を横書きしてなり、昭和57年5月12日に登録出願され、第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同60年10月31日に設定登録、その後、指定商品については、平成18年3月1日に第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第21類「家事用手袋」、第25類「被服」の他、第20類、第22類及び第24類に属する商標登録原簿記載のとおりに書換登録され、現に、有効に存続するものである。

なお、本件審判請求の登録は、平成23年8月2日にされている。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を概略、以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品中、第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第21類「家事用手袋」及び第25類「被服」について、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれによっても使用した事実がないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)乙第1号証ないし乙第3号証について

被請求人は、これらによって、本件商標が指定商品「被服」についてのいわゆる広告的使用がなされていると主張しているところ、確かに「HUMAN」又は「ヒューマン」の文字が表示されているが、指定商品「被服」との具体的関係において、出所識別機能を果たす態様で表示されていないうえ、これらの号証は「広告媒体」ではないから、指定商品「被服」について本件商標が使用されていたことを証明するものではない。

ア 乙第1号証について

これは、被請求人の「カイタック60年史」(以下単に「被請求人社史」という場合がある。)の写しであるが、「社史」とは、「会社の歴史、また、それを記したもの」を意味するものであり、「広く世間に告げ知らせること。特に、顧客を誘致するために商品や興行物などについて多くの人に知らせるようにすること。また、その文書・放送など。」を意味する「広告」(広辞苑 第6版)とは、全くその性質・目的が異なるものであるから、乙第1号証は、顧客を誘致するために商品「パジャマ」の宣伝をする「広告」に該当しないことは明らかであり、本件商標の広告的使用を証明するものではない。

イ 乙第2号証について

これは、「全国繊維企業要覧」(以下「企業要覧」という場合がある。)なる書籍の写しであるが、「要覧」とは、「資料を集めまとめて要点がわかるようにした文書」(大辞林 第3版)をいい、需要者に対する「広告」として機能しないことは明らかであり、本件商標の広告的使用を証明するものではない。

ウ 乙第3号証について

これは、「平成22年度/岡山県下アパレル業者要覧」(以下「業者要覧」という場合がある。)なる書籍の写しであるが、乙第2号証で述べた「企業要覧」と同様の意であるから、これも「広告謀体」には該当しないものであり、本件商標の広告的使用を証明するものではない。

(2)乙第4号証について

これは、上記乙第3号証の「業者要覧」の配布日を特定するために提出された請求書の写しであり、乙第3号証が「広告媒体」であることを証明するものではなく、本件商標の広告的使用を証明するものではない。

(3)乙第5号証ないし乙第8号証について

ア 乙第5号証及び乙第6号証について

これは、被請求人が本件商標の通常使用権者であると主張する「株式会社カイタックファミリー」(以下「カイタックファミリー」という場合がある。)が発行している「眠りの時間PAJAMAS CLUB」(以下「本カタログ」という場合がある。)の写し(乙5)、及び「カタログ」の配布日を特定するための「請求書」の写し(乙6)である(当該請求書の日付は2011年6月30日)。

被請求人は、「本カタログ」に掲載される商品パジャマ等に付されている「Human’s」が、本件商標と社会通念上ほぼ同一と認められる商標であると主張しているが、使用商標と本件商標は、「’(アポストロフィー)」と「s」の文字の有無といった顕著な差異を有するものであり、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相違する非同一の商標であり、実質的に同一の商標ということもできない。

「HUMAN」の文字は、「ヒューマン」と発音され「人間」といった意味を有し、また、名詞の後に「’(アポストロフィー)」と「s」を付けることで、当該名詞の所有格を表すことも周知の事実であり、「Human’s」が、「ヒューマンズ」と発音され「人間の」といった意味であることは容易に理解されるところである。さらに、本件商標である「HUMAN」と「Human’s」とでは、その外観も大きく相違する。

したがって、商標法第50条第1項における「社会通念上同一と認められる商標」の規定よりすれば、「本カタログ」に記載された「Human’s」は、本件商標である「HUMAN」とは社会通念上同一の商標と認めることはできない。

以上により、「本カタログ」は、指定商品「被服」についての本件商標の使用を証明するものではない。

イ 乙第7号証及び乙第8号証について

これは、「カイタックファミリー」の「インターネット広告」(乙7)とその作成時期を証明するデータ(乙8)であるが、前記のとおり、「Human’s」は、本件商標である「HUMAN」とは社会通念上同一の商標には該当しない。

したがって、この「インターネット広告」は、本件商標の使用を証明するものではない。

(4)通常使用権の立証について

被請求人より提出された乙第1号証ないし乙第8号証は、いずれも本件商標の使用を証明するものではないので、「カイタックファミリー」が、被請求人の通常使用権者であるか否かは、二次的な問題であるが、「カイタックファミリー」が、被請求人の通常使用権者であることの立証を求める。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を概略、以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。

1 第1答弁

本件商標は、上記した指定商品のうち、第25類「被服」について日本国内において通常使用権者によって使用されている。

(1)乙第1号証について

これは、「被請求人社史」の写しであり、通常の広告媒体での広告ではないが、被請求人の取引先などの関係者に広く頒布されたので、広告としても機能する。

この「被請求人社史」には、「1962年の4月に工場設備を整え、翌年3月に縫製工場を建設して「ヒューマン」パジャマの生産を開始した」旨の記事が掲載されると共に、その下部にパジャマを着た子供達を抱き寄せる父親に本件商標と邦字「パジャマ」のキャプションを添えた広告を配置している。

したがって、この広告は、「被服」についての使用である。

そして、乙第1号証は、平成20(2008)年10月31日に発行されているため、審判請求登録日前3年以内の(商標法第2条第3項第8号で規定される)商標の使用に該当する。

(2)乙第2号証について

これは、書籍「企業要覧」の写しであるが、そこには、被請求人の欄の「取扱品」欄に「テキスタイル70%、地域卸26%・・・」と記載されると共に、「商標」欄に「ゲイタッグス」などと並んで「ヒューマン」が記載されている。

また、被請求人の関連会社である「カイタックファミリー」も記載されており、その「取扱品」欄に「紳士ナイトウェア40%、・・・、アンダーウェア11%」と記載されるとともに、「商標」欄に「G−HOUSE(ジィハウス)」などと並んで「ヒューマン」が記載されている。乙第2号証も通常の広告媒体での広告ではないが、全国の繊維企業の「企業要覧」(業種別ランキング)であることから、繊維関係者に広く読まれると推定されるので、広告としても機能する。

本件商標と指定商品との関係は、「商標」と「取扱品」の記載から特定され、「ナイトウェアとアンダーウェア」、即ち、被服のみであるので、読者は「商標」欄の中の「ヒューマン」も被服についての使用と理解する。

そして、乙第2号証は、平成20(2008)年9月20日に発行されているため、やはり審判請求登録日前3年以内の(商標法第2条第3項第8号で規定される)商標の使用に該当する。

(3)乙第3号証及び乙第4号証について

乙第3号証は、書籍「業者要覧」の写しであるが、そこの被請求人の欄の「商品構成」欄に「テキスタイル60%、地域卸35%・・・」と記載されるとともに、「商標」欄に「ヒューマン・ゲイタッグス」が記載されている。これも通常の広告媒体での広告ではないが、岡山県のアパレル企業の「企業要覧」であることから、繊維関係者に広く読まれると推定されるので、広告としても機能する。

本件商標と指定商品との関係は、「ブランド」と「商品構成」の記載から特定され、読者は「ブランド」欄の中の「ヒューマン」も被服についての使用と理解する。

また、乙第4号証は、乙第3号証の書籍を印刷会社から乙第3号証の発行者に宛てた請求書の写しであるところ、請求書日付は平成22年8月25日であるので、正確な日時は不明だが、やはり審判請求登録日前3年以内の(商標法第2条第3項第8号で規定される)商標の使用に該当する。

(4)乙第5号証及び乙第6号証について

乙第5号証は、通常使用権者である「カイタックファミリー」が発行している「眠りの時間PAJAMAS CLUB」なるカタログ「本カタログ」の写しであるが、そこには、「Human’s」を被服(パジャマ、下着など)について使用している。これは末尾に「’s」が付されて「ヒューマンズ」の称呼を生じる点で、本件商標と同一ではないが、本件商標と社会通念上ほぼ同一と認められる程度の商標である。

乙第6号証は、乙第5号証の「本カタログ」の請求書の写しであるが、請求書日付は平成23(2011)年6月30日であるので、やはり審判請求登録日前3年以内の(商標法第2条第3項第8号で規定される)商標の使用に該当する。

(5)乙第7号証及び乙第8号証について

乙第7号証は、乙第8号証から明らかなごとく、平成23(2011)年7月25日に通常使用権者である「カイタックファミリー」が作成したインターネット上の広告の写しであるが、ここでも「Human’s」なる使用商標を被服(下着)について使用している。

2 第2答弁

(1)乙第1号証について

乙第1号証の「被請求人社史」は、そこに掲載された商標「HUMAN」が付された「パジャマ」が被請求人の業務に係る商品であることを表示し、取引先等の公衆に対して発行されたのであるから、商標法第2条第3項第8号で規定される「広告」に該当し、指定商品「被服」についての本件商標の使用の事実を立証するに十分である。

なお、請求人は、乙第1号証は、本件審判請求登録日前3年以内の本件商標の使用の証明とはならない旨指摘するが、広告媒体として要件を充足する「被請求人社史」が、審判請求登録日前3年以内である2008年10月31日に被請求人によって発行されたという事実であるから、請求人の主張は失当である。

(2)乙第2号証について

請求人は、乙第2号証の「企業要覧」は、「資料を集めまとめて要点がわかるようにした文書」である一方、その内容を需要者又は取引者への周知に資することを目的とすることは明らかであることから、これに掲載された商標に関してその出所表示機能や宣伝広告等を発揮させるのに十分な媒体であって、商標法第2条第3項第8号に規定する「広告」として機能する。

請求人は、乙第2号証に表示の「ヒューマン」の文字は、商品との具体的関係において、その出所識別機能を果たす態様で使用されている商標とは認められない旨主張しているが、乙第2号証において「カイタックファミリー」の名称とともに商標「ヒューマン」及び被服に該当する商品が明示されており、商標とその使用商品及び使用者の具体的関係は、容易に理解しうる。

(3)乙第5号証ないし乙第8号証について

請求人は、これら号証によっては、本件商標が、「パジャマ」等に使用されていない理由として「Human’s」と本件商標である「HUMAN」は、商標法第50条第1項に規定する「社会通念上同一の商標」とは認められないと主張するが、使用商標である「Human’s」と本件商標である「HUMAN」は、物理的に同一とはいえないが、我が国の英語教育の高水準性を考慮すると、「Human’s」は、単に本件商標に「’(アポストロフィー)」と「s」を付加したに過ぎず、称呼・観念・外観において差異は存在するものの、その語源は同一であって、この差異は言語的見地からも極僅かなものに過ぎず、両者は、「社会通念上同一の商標」である事は明らかである。

また、請求人は、被請求人と「カイタックファミリー」の関係の立証を求めているところ、被請求人は、両者間の黙示的な合意に基づき本件商標の設定登録日から現在に至るまで、「カイタックファミリー」に対して、本件商標権の「第25類 被服」を対象とする通常使用権の許諾を与えている(乙10及び乙11、いずれも陳述書)。

(4)まとめ

乙第1号証ないし乙第12号証により、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標と認められる商標は、指定商品「被服」について、被請求人及びその通常使用権者である「カイタックファミリー」によって本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用されていることは明らかである。

第4 当審の判断

1 被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実が認められる。

(1)乙第1号証について

これは、「被請求人社史」の写しであるところ、その55頁には、1962年の欄に、「翌年3月、既に取得していた・・・用地に・・・工場を建設。いよいよ「ヒューマン」パジャマの生産を開始する・・・。」と記載されているとともに、「HUMAN」及び「パジャマ」の文字、及びパジャマらしき被服を着た「親子の写真」が掲載されている。

また、別頁には、「カイタック60年史」とともに、「2008年10月31日/発行/カイタック株式会社・・・」等と記載されている。

(2)乙第2号証について

乙第2号証は、「企業要覧」の写しであり、そこには、被請求人である「カイタック株式会社」とともに「株式会社カイタックファミリー」の情報が記載されているところ、前者の「取扱品」欄には、「テキスタイル70% 地域卸26%・・・」、「商標」欄には、「ゲイタッグス フラッシュ ジィハウス(G−HOUSE)・・・ マスタージャック ヒューマン ハウス グリーハウス ・・・」の商標が記載されている。

また、後者の「取扱品」欄には、「紳士ナイトウエア40% ・・・ アンダーウエア11%」、商標欄には、「G−HOUSE(ジィハウス) ヒューマン ハウス グリーン ハウス グロウウエル ・・・」の商標が記載されている。

そして、最終頁と思われる頁には、「2009 vol 42/全国繊維企業要覧/業種別ランキング/平成20年9月20日発行」等が記載されている。

(3)乙第3号証及び乙第4号証について

ア 乙第3号証は、「業者要覧」の写しであるところ、そこの被請求人の欄の「商品構成」欄に「テキスタイル60%、地域卸35%・・・」と記載されるとともに、「ブランド」欄に「ヒューマン・ゲイタッグス」と記載されている。

イ 乙第4号証(下段)は、「請求書」であるところ、その宛先には、「信用交換所岡山支社様」、日付け欄には、「22年8月25日」、及び品名欄には、「アパレル事業要覧」と各々記載されている。

(4)乙第5号証ないし乙第8号証について

ア 乙第5号証は、「眠りの時間/PAJAMAS CLUB」及び「パジャマクラブ2011年春夏カタログ」と記載されたカタログの写しであるが、その17頁、21頁、54頁及び56頁には、「Human’s」なる商標が、被服(パジャマ、下着)について使用されている。

イ 乙第6号証は、「請求書」であるところ、その宛先には、「株式会社 カイタックファミリー 御中」、日付け欄には、「2011年6月30日」、請求内容欄には、「春夏カタログ制作関連費用(7月分)」及び金額欄には、相当の「金額」が記載されている。

ウ 乙第7号証は、「【楽天市場】メンズ>メンズインナー>ハンモックトランクス:パジャマファミリー」のウインドウタイトルがあるネット通販情報であるところ、そこには「【Human’s】」なる商標が、被服(下着)について使用されているとともに、下着の写真及び「【カイタックファミリー】」の表示が確認できる。。

エ 乙第8号証には、インターネットホームページのコンテンツの作成日と思われるところ、そこには、2011年7月25日と記載されている。併せて、その背景画面の月と星の図形を含む一部分のコンテンツは、乙第7号証のコンテンツ画面の一部分と同一と認められる。

(5)乙第10号証及び乙第11号証について

これらは、陳述書であり、そこには、被請求人が本件商標権の全指定商品について1985年10月31日より現在に至るまで「カイタックファミリー」に対して、通常使用権の許諾を与えている旨、及び「カイタックファミリー」は、本件商標権の全指定商品について、同期間において、被請求人より、通常使用権の許諾を受けている旨が記載されている。

2 そこで、被請求人が本件商標を取消請求に係る指定商品である「被服」について、使用していたか否かについて判断する。

(1)乙第1号証について

この「被請求人年史」には、本件商標と社会通念上同一と認めうる「HUMAN」の商標が、商品「パジャマ」について広告している表示があるものの、それは、1962年の欄に掲載されていることから、当時の広告宣伝の状況を掲載したものと認めるのが相当であり、当該「被請求人年史」の作成日付が2008年10月であって、これが本件審判請求登録日前3年以内(以下「要証期間内」という。)であるとしても、当該「要証期間内」における本件商標の「被服」への「広告的使用」とは認められない。

(2)乙第2号証について

この「企業要覧」中に、被請求人である「カイタック株式会社」の情報における「取扱品」欄の「テキスタイル」及び「地域卸」は、その使用商品が、「生地」であるのか、「被服」であるのか、不明である。

したがって、「カイタック株式会社」の情報においては、本件商標の「被服」への「広告的使用」であるとは認められない。

他方、この「企業要覧」中の「株式会社カイタックファミリー」の情報記載中の取扱品は、「被服」の範ちゅうに属するものと認めうるが、「商標」欄の「G−HOUSE(ジィハウス) ヒューマン ハウス グリーン ハウス グロウウエル ・・・」なる記載からでは、以下のとおり、「ヒューマン」が1つの商標であると認めがたい。

つまり、前記した商標のうち、「G−HOUSE(ジィハウス) ヒューマン ハウス グリーン ハウス」部分をみると、「○○+ハウス」の形式の商標と看取されるものであり、仮に「ヒューマン」部分が、1つの商標であるとすると、「ハウス」なる商標が、2つ出現する事となり、甚だ不自然といわざるを得ない。

したがって、前記商標は、「「G−HOUSE(ジィハウス)」、「ヒューマン ハウス」及び「グリーン ハウス」の3つの商標であるとみるのが自然であって、これらのいずれの商標も、本件商標とは社会通念上同一の商標とは認めらず、「株式会社カイタックファミリー」の情報においても、本件商標の「被服」について広告的使用であるとは認めることができない。

仮に「ヒューマン」が1つの商標であるとしても、そもそも「要覧」とは、「事柄の大要をまとめて見やすくした文書」(広辞苑第六版)、「資料を集めまとめて要点がわかるようにした文書」(大辞林 第3版)であることから、乙第2号証の「企業要覧」は、文字どおり、「企業の事柄の大要をまとめて見やすくした文書」、又は「企業の資料を集めまとめて要点がわかるようにした文書」であって、「要覧」自体の目的からして、本件商標の「被服」への「広告的使用」には、当たらないといわざるを得ない。

この点について、被請求人は、第2答弁において、「乙第2号証の『企業要覧』は、『資料を集めまとめて要点がわかるようにした文書』である一方、その内容を需要者又は取引者への周知に資することを目的とすることは明らかであることから、これに掲載された商標に関してその出所表示機能や宣伝広告等を発揮させるのに十分な媒体であって、商標法第2条第3項第8号に規定する『広告』として機能する。」と主張している。

確かに、「要覧」だからといって、広告的使用が一切認められないとはいいきれないものの、乙第2号証の当該記載内容(本社、支店、工場、業種、取扱品、商標、設立、資本金、役員、従業員、設備、銀行、仕入先、業績、沿革、代表者及び傍系)からして、平成20年9月20日(発行日)頃において「株式会社カイタックファミリー」の取扱品及び保有商標を各々羅列したものと認識されるに止まり、「ヒューマン」なる商標の取扱商品への広告を意図したものとは看取されないことから、「ヒューマン」なる商標の「被服」への「広告的使用」とは、認めることができない。

(3)乙第3号証及び乙第4号証について

この「業者要覧」中、被請求人と認めうる「カイタック(株)」の箇所中の「ブランド」欄には、「ヒューマン」の文字が認められるところ、当該「業者要覧」の作成日が、乙第4号証の請求書発行日である平成22年8月前後であり、これが「要証期間内」であるとしても、前記乙第2号証における被請求人の情報同様、「商品構成」欄の「テキスタイル」及び「地域卸」は、その使用商品が、「生地」であるのか、「被服」であるのか、不明であることから、本件商標の「被服」への「広告的使用」とは、直ちに認めることができない。

(4)乙第5号証ないし乙第8号証

乙第5号証及び乙第7号証中には、「Human’s」なる商標が、被服(パジャマ、下着)について使用されていることは認めうるが、「Human ’s」なる商標は、本件商標である「HUMAN」とは、その称呼、観念において明らかに異なるものであることは、被請求人も認めているところであって、本件商標とは、商標法50条第1項における「社会通念上同一と認められる商標」とは到底認めることができない。

したがって、乙第5号証及び乙第7号証の両作成日が乙第6号証及び乙第8号証より、「要証期間内」であるとしても、本件商標の「被服」への「広告的使用」とは認めることができない。

(5)乙第10号証及び乙第11号証

これらは、「被請求人」及び「株式会社カイタックファミリー」双方からの陳述書であるところ、その記載内容より、「株式会社カイタックファミリー」は、本件商標権の通常使用権者であると認めることができ、これを否定すべき証拠は見あたらない。

3 まとめ

以上のとおり、被請求人の提出にかかる乙各号証によっては、被請求人は、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品について、本件商標を使用していることを証明したものとは認められず、また、被請求人は、使用をしていないことについて正当な理由があると述べるものでもない。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づき、結論掲記の指定商品についての登録を取り消すべきである。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。