結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2011−300185(T2011−300185/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4971383号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成17年8月23日に登録出願、「電線及びケーブル」ほか、第9類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同18年7月21日に設定登録されたものである。そして、本件審判請求の予告登録は、平成23年3月14日にされた。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第9類「電線及びケーブル」についての登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、本件商標の登録原簿の写しを提出した(甲第1号証)。
本件商標は、その指定商品中、第9類「電線及びケーブル」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用された事実が存在しないものであるから、これらの商品についての登録は取り消されるべきである。
(1)乙第1号証ないし乙第3号証について
乙第1号証ないし乙第3号証は、「ProSafe−RS」又は「ProSafe−RS(ロゴ)」を「安全計装システム」に使用していることの証拠にすぎず、「安全計装システム」は、第9類「測定機械器具」又は「電気通信機械器具」に帰属する商品であるから、「電線及びケーブル」についての使用とはいえない。
乙第3号証における「ProSafe−RS(ロゴ)」は、デザイン化された「RS」が矢印のごとき三角形の図形をもって登録商標の後部に結合された態様であり、「RS」の態様が「ProSafe」の態様と同一の書体、及びアルファべットの一部が櫛の歯状に刻まれた特徴的なデザインを採用していることと相侯って、全体として1つのコンセプトの元にデザインされたまとまりある商標として認識されるものであり、また、乙第1号証ないし乙第2号証における「ProSafe−RS」の文字は、明らかに上記ロゴを便宜上簡略化した記載であり、一連一体の商標と認められるから、いずれも、本件商標と社会通念上同一の商標の使用とはいえない。
(2)乙第4号証について
乙第4号証における商標の態様は、乙第1号証ないし乙第3号証と同じであり、本件商標と社会通念上同一の商標の使用とはいえない。
また、答弁書における被請求人の主張によれば、乙第4号証は「本商品で使用する関連ケーブル」の仕様書であり、この資料をもって、本件商標を使用していることを示すとしているが、ここでいう、「本商品」とは「安全計装システムProSafe−RS」を指すと思われ、すなわち、「関連ケーブル」はあくまで「安全計装システムProSafe−RS」なる商品の附属品と位置付けられている。
さらに、答弁書において、これらの関連ケーブルは「専用に準備」されたものであり、「安全計装システムProSafe−RS」に合致するよう「仕様を定めて」用いられると述べている。すなわち、これらの関連ケーブルは常に安全計装システム「ProSafe−RS」と一体として機能する、安全計装システム専用ケーブルであって、汎用性はないものと考えられる。
そうすると、これらのケーブルは、安全計装システムと同一の商品、具体的には、第9類「測定機械器具」又は「電気通信機械器具」に帰属するべきものである。
加えて、乙第4号証には「関連ケーブル(ProSafe−RS用)」と明記されている。このことからも、「ProSafe−RS」は、「安全計装システム」に係る商標であって、ケーブルに係る商標が「ProSafe−RS」ではないことが明らかである。
したがって、仮に乙第4号証に示される商標が本件商標と社会通念上同一であったとしても、その使用は商品「電線及びケーブル」についての使用とはいえない。
(3)まとめ
以上のとおり、乙第1号証ないし乙第4号証をもって、被請求人は、本件商標を請求に係る商品について使用していたことを証明し得たとはいえないのである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べて、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
(1)本件商標に係る商品は、商標権者で開発・製造し、販売している安全計装システム(ProSafe−RS)に使用している商標であり、商標権者のホームページ内のプレスニュース、2005年5月18日発表で、本商品は2005年に販売を開始した旨公示している(乙第1号証)。
(2)その後、同様に商標権者のホームページ内のプレスニュース、2007年9月20日発表において、SICE学会賞の「新製品開発賞」を受賞した旨公示している(乙第2号証)。
(3)本商品について、数々の製品群が存在するが、一部の商品カタログを添付する(乙第3号証)。
(4)安全計装システムは、ユーザのプラント仕様によって、必要な安全計装制御ユニット等を選択し組み合わせて安全計装システムを構築することになる。また、プロセスの安全計装に係るものであり、本商品で使用する関連ケーブル等も専用に準備しており、制御ユニットや外部との通信ケーブル等の仕様を定めて用いられており、これらのケーブル類は、商標権者が発行するGeneral Specifications(仕様書)で開示し、ユーザに対して情報提供している(乙第4号証)。
この資料に沿って、ユーザと専用のケーブル等の商品取引も行っている。よって、商標権者は指定商品の「電線及びケーブル」においても、本件商標を使用しているものである。
さらに、この仕様書の右上の見出し部分に本件商標を表記しており、資料の発行日の日付も初版が2008年3月31日であって、その後、改版の2010年8月1日と明記していることから、近年で、かつ3年以上において、本件商標が指定商品の「電線及びケーブル」で使用している事実も確認できる。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標50条第1項の規定には該当せず、請求人の主張によって取り消されなければならない理由はない。
(1)乙第3号証は、「横河電機株式会社」(商標権者)作成に係る「安全計装システム/ProSafe−RS」を表題とするカタログであり、このカタログには取消請求に係る商品「電線及びケーブル」についての直接的な記載は見当たらない。しかして、該カタログの2葉目には「...安全計装システムProSafeシリーズは、プラントの安全操業を担う緊急遮断装置(ESD)や防消火設備(F&G)などのアプリケーションに適用され、...」、及び11葉目の「フレキシブルなシステム構成を実現します。」の項には「ProSafe−RSは、CPUを実装したCPUノードと入出力モジュール専用のIOノードから構成されます。これらCPUノード、IOノードの電源部などの共通系は全て冗長化されています。...ネットワーク技術により小規模から、大規模、広域、集中から分散といった柔軟なシステム構成が実現できます。」ほか、2葉目以降には、当該安全計装システムに係る構成図などの記載がされている。
してみると、CPUノード及びIOノードにより構成される「ProSafe−RS」自体は、ネットワーク技術によりユーザのプラントに係る周辺機器や、その安全操業を担う緊急遮断装置(ESD)、及び防消火設備(F&G)などの安全計装制御ユニット等とを組み合わせて当該システムが構築されるものであり、自ずと各機器間の接続は通信ケーブルなどによりされるものといえる。
(2)乙第4号証は、「関連ケーブル(ProSafe−RS用)」を表題とする「General/Specifications」(仕様書)であって、その右側に「ProSafe−RS」をデザイン化した文字(「ProSafe」の右下にはいわゆる「丸R記号」が表示され、また、「ProSafe」と「RS」の文字の間には矢印のごとき三角形の図形が付されている。以下「使用商標」という。)、下段には、商標権者「横河電機株式会社」の表示、及び「GS 32S06M10−21/2008.03.31 初版(YK)/2010.08.01 4版(YK)」の記載がされている。
また、表紙の「■ 概要」とする項には「この一般仕様書(GS)は、ProSafe−RSシステムに使用するケーブルの仕様書です。」との記載の下、表紙ないし3頁に「■ 外形寸法図/●ケーブル」の項に「YCB301 ESBバスケーブル」、「YCB141 Vネットケーブル(10BASE−2ケーブル)」、「YCB111 Vネットケーブル(10BASE−5ケーブル)」、「AKB131、AKB132、AKB135、AKB136 RS−232Cケーブル調歩同期式信号用(ALR111通信モジュール用)」、「AKB161 RS−422/RS−485(ALR121通信モジュール用)」及び「AKB331 信号ケーブル(50−50ピン)」などの見出しと共に、その下にそれぞれの外形寸法図の記載などがされている。
そして、これと照応するように、6頁ないし最終頁には「■ 形名・仕様コード」の項に「ESBバスケーブル」の見出しと、その下の表には、形名の欄に「YCB301」、記事の欄に「ESBバスケーブル」ほか、基本仕様コードの各記載、同様に「Vネットケーブル」の見出しと、その下の表には、形名の欄に「YCB141」、記事の欄に「Vネットケーブル(10BASE−2)」ほか、基本仕様コードの各記載、同様に「Vネット延長ケーブル」の見出しと、その下の表には、形名の欄に「YCB111」、記事の欄に「Vネットケーブル(10BASE−5ケーブル)」ほか、基本仕様コードの各記載、同様に「RS−232Cモデムケーブル(ALR111−モデム間接続用)」の見出しと、その下の表には、形名の欄に「AKB131」、記事の欄に「RS回路絶縁機器接続用...」ほか、基本仕様コードの各記載、同様に「RS−232Cヌルモデムケーブル(ALR111−RS−232C機器間接続用)」の見出しと、その下の表には、形名の欄に「AKB132」、記事の欄に「RS−232Cヌルモデムケーブル...」ほか、基本仕様コードの各記載、及び同様に「信号ケーブル」の見出しと、その下の表には、形名の欄に「AKB161」、記事の欄に「RS−422/RS−485ケーブル」ほか、基本仕様コードの記載、形名の欄に「AKB331」、記事の欄に「信号ケーブル50−50ピン...」ほか、基本仕様コードの各記載がされている。
さらに、最終頁には「■ ご注文時指定事項」の項に「ご注文の際は、形名と仕様コードを指定してください。」との記載がされている。
してみると、この「関連ケーブル(ProSafe−RS用)」とする仕様書には、注文の際に使用されるケーブルの一般的あるいは標準の仕様、規格及び機能などについての記載がされており、かつ、表紙右上に表示された使用商標は、これらの各種ケーブルなどの識別標識として機能しているということができる。
(1)使用者、使用時期について
乙第3号証及び乙第4号証は、いずれも商標権者により作成ないし頒布されたものであって、ケーブルについての仕様書(乙第4号証)には、後述のように本件商標と社会通念上同一といえる使用商標が表示され、かつ、表紙下段の「...2010.08.01 4版(YK)」の記載から、少なくとも、該仕様書は本件審判の請求の登録(平成23年3月14日)前3年以内である平成22年8月1日以降、これを市場において頒布したものと推認できるものである。
(2)使用商標について
請求人は、乙第4号証に示される商標は、本件商標と社会通念上同一とはいえない旨主張するので、以下検討する。
本件商標は、別掲1のとおり、デザイン化された「ProSafe」の文字により構成されてなり、一方、使用商標は、本件商標とその構成を同じくする「ProSafe」と、その右下にいわゆる登録商標であることを示す「丸R記号」、そして、分界させるのための矢印のごとき三角形の図形を介して、「ProSafe」の冒頭「P」と筆致を同じくするデザイン化された「RS」を結合した構成からなるものである。
ところで、機械産業をはじめ各種産業分野に携わる事業者それぞれが、自己の製造、販売に係る製品に使用する商標について、仕様や規格、性能などの変更をした製品を複数にわたり販売するときには、同種のシリーズ製品であることを表すために、基幹的な商標に欧文字1文字ないし2文字を加えて、その規格あるいは型式などの相違を表すものとして取引上普通に採用し使用しているのが実情である。
してみると、使用商標における矢印のごとき三角形の図形を介して表示した「RS」の文字部分は、同種のシリーズ製品での規格あるいは型式などの違いを示すための記号、符号の類型の一つとして認識されるものであり、その要部はデザイン化された「ProSafe」の文字部分と認められる。
そうすると、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができるから、請求人の主張は取引の実情に照らし採用できない。
また、使用商標は、表紙右上に表示され、これらの各種ケーブルなどの識別標識として機能しているということができ、該仕様書には本件商標と社会通念上同一の商標が使用されたとして差し支えないものである。
(3)使用商品について
請求人は、仮に乙第4号証に示される商標が本件商標と社会通念上同一であったとしても、その使用は商品「電線及びケーブル」についての使用とはいえない旨主張するので、以下検討する。
当該「安全計装システム」は、CPUノード及びIOノードにより構成される「ProSafe−RS」自体と、既存のプラントに係る周辺機器や安全計装制御ユニット等とを組み合わせて当該システムが構築されるものであり(乙第3号証)、これらを総称して「安全計装システム」と称しているということもできる。そして、各機器間の接続は、一般共通のネットワーク技術によって各種ケーブルによりなされているとみることができる。
この点は「関連ケーブル(ProSafe−RS用)」とする仕様書(乙第4号証)には、「ESBバスケーブル」、「Vネットケーブル(10BASE−2ケーブル)」、「Vネットケーブル(10BASE−5ケーブル)」、「RS−232Cモデムケーブル(...モデム間接続用)」「RS−422/RS−485(...通信モジュール用)」、「RS回路絶縁機器接続用...」、「RS−232Cヌルモデムケーブル(...RS−232C機器間接続用)」、「信号ケーブル(50−50ピン)」及び「RS−422/RS−485ケーブル」などの一般的あるいは標準の仕様、規格及び機能についての表示からして、それぞれのケーブルが汎用性のある製品ということがうかがえる。
そして、最終頁の「■ ご注文時指定事項」では「ご注文の際は、形名と仕様コードを指定してください。」との記載がされており、「ProSafe−RS」自体とは別個独立した商品として取引されているというのが自然である。
そうすると、該仕様書に記載された各種ケーブルが「安全計装システムProSafe−RS」なる商品の附属品と位置付けられている、あるいは「...安全計装システムと一体として機能する専用ケーブルであって、汎用性はないものと考えられる。」との主張は、その前提を欠くものというべきであって、採用することができない。
その他、商標権者が商品「電線及びケーブル」について使用しているとはいえない旨の主張は、単に請求人の見解を述べるに止まり、それを確証付けるものもないから、上記認定を覆すに足りない。
以上のとおり、乙第3号証及び乙第4号証によって、商標権者が本件審判の請求の登録前3年以内に、「関連ケーブル(ProSafe−RS用)」を表題とする商品「ケーブル」に関しその販売のため仕様書を頒布したと推認できるものであり、その使用商品は、取消請求に係る指定商品「電線及びケーブル」に包含され、その仕様書には、本件商標と社会通念上同一といえる商標が表示されていたと判断することができる。
したがって、被請求人は、本件商標が審判請求の登録前3年以内に商標権者によって、その取消請求に係る指定商品について使用したことを証明し得たというべきであるから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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