Trademark Appeal Case
称呼類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2011−900410(T2011−900410/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5432636号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成22年10月6日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,学習塾における幼児教育,受験・学習指導,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),通訳,翻訳」及び第43類「保育所における乳幼児の保育」を指定役務として、同23年6月22日に登録査定、同年8月19日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、申立人所有の登録商標を引用し、また、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
(1)引用商標
申立人が引用する登録第4905400号商標(以下「引用商標」という。)は、その構成を別掲(2)のとおり「MAMAPORT」、「edu−chool」及び「エデュクール」の各文字を三段に横書きしてなり、平成17年4月1日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,書籍の制作,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用記録媒体の制作(映画・放送番組・広告用のものを除く),放送番組の制作,写真の撮影,映画の上映・制作又は配給,放送番組の制作における演出,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,運動施設の提供,娯楽施設の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,興行場の座席の手配,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み記録媒体の貸与,録画済み記録媒体の貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,書画の貸与,カメラの貸与,光学機械器具の貸与,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,運動用具の貸与,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,通訳,翻訳,音響用又は映像用のスタジオの提供,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,献体に関する情報の提供,献体の手配,当せん金付証票の発売,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与」及び第43類「保育施設における乳幼児及び児童の保育,派遣によるベビーシッター,育児に関する情報の提供,老人の養護,宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,動物の宿泊施設の提供,会議室の貸与,展示施設の貸与,布団の貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用食器乾燥機の貸与,業務用食器洗浄機の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,タオルの貸与」を指定役務として、同年11月4日に設定登録されたものであって、その商標権は現に有効に存続しているものである。
(2)申立理由
ア 商標法第4条第1項第11号について
(ア)本件商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるところ、右側の文字部分下段の「EDU SCHOOL」の英文字は、他の構成部分に比べて、著しく大きく、かつ異なる色彩で表されており、また、左の盾図形上部にも「EDU SCHOOL」の文字が表されてなり、これらの文字部分は、看者の注意を惹き、それ自体独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものと認められるから、これに接する取引者、需要者は、該文字部分に相応して生ずる「エデュスクール」の称呼により取引に当たる場合も少なくない。
したがって、本件商標は、「エデュスクール」の称呼を生ずるものである。
(イ)これに対し、引用商標は、上記ないし別掲(2)の構成よりなるところ、顕著に表された「edu−chool」の英文字と「エデュクール」の片仮名より、「エデュクール」の称呼を生ずることは明らかである。
そして、引用商標は、英語の「education」の語頭文字である「edu」と、「school」の結合により、申立人が創出した造語である。
(ウ)本件商標より生ずる「エデュスクール」の称呼と、引用商標より生ずる「エデュクール」の称呼を比較してみるに、その相違点は中間部の「ス」の音の有無なる微差にすぎず、その差異音は、無声の摩擦音で、弱く発音・聴取されるばかりでなく、印象に残りにくい中間部に位置し、かつ、称呼の識別上、重要な要素を占め、看者に強く印象付けられる語頭音の「エデュ」の2音を共通にするものである。
そして、「ス」の前音の「デュ」が、有声の破裂音であって強く発音され印象付けられるところ、これと「ス」の母音(u)を共通にすることから、該音に吸収されて聴取され難く、さらに、後続の破裂音の強音「ク」の音がアクセントを伴って強く発音されるから、間の弱音「ス」の音は、印象に残りにくいため、一連に称呼した際には、全体の語調・語感は相紛らわしく、両者は互いに称呼上、類似のものといわざるをえない。
(エ)また、英文字部分の綴字も、本件商標と引用商標は、中間部に「S」と「−」の微差を有するにすぎず、英文字部分において、外観上も相紛れるおそれがある。
(オ)さらに、両商標に接する取引者、需要者は、共に、英語の「education」の語頭文字である「edu」と、「school」の結合よりなる造語であることを想起して取引に当たるとみるのが自然であり、取引者、需要者に与える印象・記憶・連想等を共通にする。
(カ)以上の点を総合的に考察すれば、時と所を異にして、両商標が称呼され、聴覚されるときには、全体的印象から、両者が相紛れる蓋然性は極めて高いといわざるを得ないから、本件商標は、引用商標と類似の商標であって、その指定役務も互いに抵触するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
イ 商標法第4条第1項第15号について
(ア)申立人は、甲第3号証に示すとおり、引用商標をその指定役務である「技芸・スポーツ又は知識の教授」、「保育施設における乳幼児及び児童の保育」等について、これらの役務を提供する施設の名称として使用している。同施設は、2006年に「エデュクール住吉山手教室」(神戸市東灘区)、2007年に「エデュクール岡本教室」(神戸市東灘区)、及び2011年5月に「エデュクール親王塚教室」(芦屋市親王塚町)を開設して現在に至っており、今後、更なる店舗数・地域の拡大も構想中である。
(イ)前述のとおり、商標自体類似のものであって、使用される役務も共通し、なおかつ今後互いに店舗数・地域の拡大も予想され、市場において競合の可能性があることを考慮すると、本件商標が、その指定役務について使用された場合、異議申立人の業務に係る役務と、その出所につき混同を生ずるおそれがある。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は、別掲(1)のとおりの構成からなり、右側には茶色で彩色された「Poppins」と、水色で彩色された「EDU」及び「SCHOOL」の各欧文字を三段に横書きしてなり、その左側の盾状の図形内の上段にも「EDU SCHOOL」の欧文字が記載され、中央の鳩と思しき鳥を描いた図形の下にも「Poppins」の欧文字が記載されており、リボン状の図形中には、左から順に「Sinceritas」、「Gratia」及び「Dignitas」の欧文字が記載されている。
しかして、その構成文字中、「EDU」は、申立人も述べるように英語の「education」の語頭文字であるとしても、特定の観念を生じない造語である。また、「SCHOOL」は「学校」の意味を有する平易な英単語である。
しかしながら、「EDU SCHOOL」の欧文字は、「.../edu/school/...」、「.../edu−school/...」の如く、多くの学校や学習塾におけるURLやメールアドレスなどに教育機関を表すドメイン名等として使用されているところであって、本件商標の指定役務中の教育に関係する役務に使用された場合には、当該役務の内容ないし質を端的に示すものと理解されるとみるのが自然である。
してみれば、本件商標の構成中、右側の「EDU」及び「SCHOOL」、又は左側の盾状の図形中の「EDU SCHOOL」の欧文字部分は、独立して当該役務の出所識別標識として機能し、取引に資されるとみるのが困難であるから、該文字部分は、本件商標の指定役務中の教育に関係する役務に使用しても、自他役務の識別力がないか、極めて弱い部分といわなければならない。
他に、構成中の右側の「EDU」及び「SCHOOL」、又は左側図形中の「EDU SCHOOL」の欧文字部分が、独立して認識されるとみるべき特段の事情は見出せない。
そうとすれば、本件商標からは、「エデュスクール」の称呼や特定の観念は生じないものというのが相当である。
したがって、本件商標の構成中、右側の「EDU」及び「SCHOOL」、又は左側図形中の「EDU SCHOOL」の欧文字部分が、それ自体独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすことを前提に、本件商標と引用商標が類似するという申立人の主張は、採用できない。
さらに、引用商標の構成中、「edu−chool」の欧文字及び「エデュクール」の片仮名が、申立人が創出した造語であること(甲第3号証)によって、上記判断が左右されるものではない。
イ 仮に、本件商標が、その指定役務中、教育に関係する役務以外の役務に使用され、二段書きした「EDU」及び「SCHOOL」の欧文字部分のみが独立されて、自他役務の識別標識として理解される場合があるとしても、これらの欧文字部分と上記引用商標の構成中の「edu−chool」の欧文字部分とは、ハイフンの有無や大小文字の字種の相違はさておき、「SCHOOL」と「chool」との比較において、冒頭「S」の有無での綴り字の相違は、容易に識別できるものであり、両者はその外観において互いに相紛れるおそれはない。
さらに、本件商標の構成中、二段書きした「EDU」及び「SCHOOL」の欧文字部分より生じる「エデュスクール」と、引用商標の構成中の「edu−chool」の欧文字及び「エデュクール」の片仮名から生じる「エデュクール」の称呼とは、中間音において「ス」の音の有無という差異を有するものである。
そして、「ス」の音は、前音である「デュ」に帯有し、半母音(j)と母音(u)との結合により弱く発音される「ュ」に続く音であることから、比較的明瞭に発音、聴取されるものとなり、この差異がいずれも短い音構成よりなる称呼全体に与える影響は決して小さなものではなく、それぞれを一連に称呼するときは、両者はその語調、語感が相違し、互いに相紛れて聴取されるおそれがないものである。
加えて、本件商標及び引用商標は、外観において明らかに相違するものである。
さらに、本件商標及び引用商標は、特定の観念を有しないものであるから、観念においても類似しないものである。
その他、本件商標と引用商標とを類似とすべき特段の理由は見出せない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
上記のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点よりみても類似しない別異の商標である。
加えて、申立人は、今後互いに店舗数・地域の拡大も予想され、市場において競合の可能性がある旨述べているが、登録商標が商標法第4条第1項第15号に該当するか否かの判断時期は、登録出願時及び登録査定時であって(同法第4条第3項)、登録査定時以降の将来的な可能性を考慮する余地はないから、この点における申立人の主張は妥当性がない。
そして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の業務に係る役務を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められる証拠の提出はない。
してみれば、商標権者が本件商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その役務が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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