結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2011−300983(T2011−300983/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第2251371商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、昭和62年9月2日に登録出願され、第24類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、平成2年7月30日に設定登録され、その後、指定商品については、平成23年6月22日に、「おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具」を含む第28類、第6類、第8類、第9類、第15類、第18類ないし第22類、第24類、第25類、第27類及び第31類に属する商標原簿記載の商品を指定商品とする書換登録がされ、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べている。
(1)取消事由
本件商標は、その指定商品中、第28類「おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)取消原因
請求人が調査したところ、本件商標権者である被請求人は、本件商標をその指定商品中の少なくとも、第28類「おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具」について継続して3年以上日本国内において使用していない。また同様に、通常使用権者が使用した事実も全くなく、更に使用権の登録も全くない。
(1)権利濫用について
商標法第50条に規定された不使用取消審判は、不使用の商標に対して排他独占的な権利を与えておくのは国民一般の利益を不当に侵害し、且つ、その存在により権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭めることから、そのような不使用の商標登録を取り消すことを趣旨とするものである。
被請求人は、本件商標が周知・著名となっていることを理由として本件審判の請求が権利濫用であると主張しているが、本件商標が周知・著名であるか否かにかかわらず、商標権者は登録商標の使用を義務づけられているものであって、この使用義務を果たしていない限り、本件商標登録は取り消されるべきである。
また、被請求人は、本件審判の請求が上述のとおり、権利濫用である旨を主張しているが、請求人が被請求人を害することを目的としていることを示す具体的な事実の提示及びこれらを客観的に把握できる証拠の提出もない上、請求人は、被請求人の指摘のとおり、商願2011−28237の障害となる本件商標登録の取消を求めたに過ぎず、本件審判の請求が権利濫用であるとの被告の主張は失当である。
(2)登録商標の使用について
被請求人は、乙第1号証ないし乙第5号証を提出し、商品「おもちゃ」について本件商標を使用していると主張している。
しかしながら、乙第1号証ないし乙第3号証には、おもちゃが包装袋に収納され、この包装袋に「図形(本件商標)+小林製薬/オリジナル景品プレゼント」と記載されたシールが貼付されている。
してみれば、乙第1号証ないし乙第3号証に提示されたおもちゃは、被請求人の販売する商品のために、プレゼントとして広告・宣伝のために配布されたものであって、乙第1号証ないし乙第3号証にて提示された事実は、本件商標を商品「おもちゃ」について使用していることを証明したことにはならない。
しかも、乙第1号証ないし乙第3号証に提示された「おもちゃ」について登録商標をいつ使用したかの証拠の提示もない。
乙第4号証には、本件商標が印刷された風船が提示されている。この風船も乙第1号証ないし乙第3号証に記載のおもちゃと同様に、被請求人の販売する商品のために、プレゼントとして広告・宣伝のために配布されたものと推測され、乙第4号証にて提示された事実は、本件商標を商品「おもちゃ」について使用していることを証明したことにはならない。
風船は、通常、完全に空気が抜かれた偏平な状態で配布されるものであり、乙第4号証に提示の風船の形態は、意図的に風船内に空気を入れて撮影したものであって配布時の形態を正確に表したものではない。
乙第4号証に提示されている風船は、その配布時には偏平な状態となっていることから、風船の表面に表示された本件商標を風船の配布時に完全に視認することはできず、この点からしても、風船の表面に表されている本件商標は、装飾的、意匠的に使用されているに過ぎず、自他商品識別標識として使用されているものではない。よって、乙第4号証に提示された風船をもって、本件商標が商品「おもちゃ」について使用されていることにはならない。
更に、被請求人は、乙第5号証を提示して、乙第4号証に提示の風船における登録商標の使用日時の証明を試みているが、乙第5号証は、大一産業株式会社が被請求人に納品した日時を証明したものであって、被請求人が乙第4号証に提示された風船を配布した日時を証明するものではない。
以上のとおり、乙第1号証ないし乙第5号証に提示された事実をもって、被請求人が本件商標を商品「おもちゃ」について使用したことを証明したことにはならず、登録商標を商品「おもちゃ」について使用した日時すら証明されていない。
(3)むすび
以上のとおり、被請求人は、本件商標を指定商品中の少なくとも、「おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具」について継続して3年以上日本国内において使用していない。
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出している。
(1)審判請求の趣旨
ア 審判請求人は商願2011−28237号において第28類の商品を指定商品として別掲(2)のとおりの構成からなる商標(以下「請求人商標」という。)を出願したところ、本件商標外6件の被請求人の登録商標(以下「被請求人商標」という。いずれも、本件商標と同一、又は、同一のものを含む構成からなる。)を引用され、商標法第4条第1項第11号に該当するとの拒絶理由通知に接したのであり、そこで本件審判請求に及んだものである。
イ 両商標を比較すれば一見して明らかなとおり、請求人商標は被請求人商標を左右反転させただけの極めて酷似した商標であり、請求人商標は被請求人商標に則って案出されたものであると推認される。
審判便覧53−1における「請求人適格の緩和」によれば、「請求人適格を『何人』にすることとしても、当該審判の請求が被請求人を害することを目的としていると認められる場合には、その請求は、権利濫用として認められない。」としている。
ウ 被請求人商標は、被請求人の小林製薬株式会社が70周年(昭和62年)事業の一環としてCIを導入し、同年から商標登録を取得している。そして、本件商標はCIマークとして必ず使用されているものである。
したがって、本件商標は被請求人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして周知・著名になっており、取扱商品も子供向けから高齢者までの広い範囲を対象としているものであるから、いかなる年齢層の需要者であっても本件商標に接すれば被請求人の業務に係る商品又は役務であると認識することは疑いのないところである。
エ しかるに、請求人商標は、本件商標の特徴点を全て具備しており、単に左右を反転させただけのものであって、本件商標のイメージをそのまま利用するものであり、本件商標のもつ顧客吸引力に便乗して請求人商標を採択したといわざるを得ず、公正な競業秩序を乱すものといわざるを得ない。また、被請求人が長年に渡って蓄積した名声や顧客吸引力に便乗したものであるとともに、被請求人の名声や顧客吸引力を希釈させることにつながるものといわざるを得ない。
このような商標の登録を企図して請求された本件審判は、正に当該審判の請求が被請求人を害することを目的としてなされたものに該当し、その請求は、権利濫用として認められないというべきである。
オ 被請求人は乙第1号証から乙第4号証に示すとおり、商品「おもちゃ」において本件商標を付して配布している。いずれも本件商標が明瞭に表されており、被請求人の配布に係る商品であることは明白である。
乙第5号証は乙第4号証の商品(風船)が大ー産業株式会社より被請求人に納品されたことを示す納品書である。
このように本件商標の周知・著名性に加え、商品「おもちゃ」の分野においても本件商標を付した商品が需要者間に出回っている現状も加味するならば、尚一層本件商標登録を取消してまで請求人商標の商標登録を得ようとする請求人の思惑は、本件商標の持つ名声や顧客吸引力に便乗しようとする点にあると推認され、公正な競業秩序を乱し、公の秩序を害するおそれがあるものといわざるを得ない。
また、長年に渡って蓄積して来た被請求人の名声や顧客吸引力を希釈させることにつながるものであって、このような本件審判請求は権利濫用として認められるべきではないと確信する。
よって、答弁の趣旨記載のとおりの審決を求める。
被請求人は、「本件審判請求が権利濫用である。また、本件商標を商品『おもちゃ』に付して使用している」旨主張しているので、これらにつき、以下判断する。
(1)不使用取消制度の趣旨
商標制度は、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とするものである。商標権が設定された後であっても、一定期間登録商標が使用されていない場合には、保護すべき対象である信用がないのであるから、その商標権は、商標制度の趣旨にそわないものであるのみならず、他人による同一又は類似商標の使用を阻み、他人の流通秩序への寄与を妨げることになって、国民一般の利益を不当に侵害するものである。そこで、請求により、このような商標登録を取り消そうとするのが、商標登録不使用取消制度の趣旨と解すべきである(東京高裁平成12年(行ケ)第44号平成12年6月27日判決参照)。
(2)そこで、本件審判請求が、権利の濫用であるか否かについて検討するに、被請求人は、本件商標が周知・著名性を有していることに加え、商品「おもちゃ」の分野においても本件商標を付した商品が需要者間に出回っている現状も加味すれば、本件商標登録を取消してまで請求人商標の商標登録を得ようとする請求人の思惑は、本件商標の持つ名声や顧客吸引力に便乗しようとする点にあると推認され、公正な競業秩序を乱し、公の秩序を害するおそれがあるものであり、また、長年に渡って蓄積して来た被請求人の名声や顧客客吸引力を希釈させることにつながるとして、本件審判請求が権利濫用である旨主張している。
しかしながら、上記(1)の不使用取消制度の趣旨からすれば、登録商標は使用をしているからこそ、保護を受けられるのであって、一定期間登録商標が使用されていない場合には、その登録商標が周知・著名性を有しているか否かにかかわらず、取り消されてもやむを得ないものである。
そして、被請求人が本件商標の存続を望むのであれば、被請求人も主張するとおり、商品「おもちゃ」の分野において本件商標を付した商品が需要者間に出回っていることの事実を被請求人自身が立証すれば足りるのである。
また、不使用取消審判の請求は、「何人」にも認められているところ、請求人による本件審判請求は、請求人の出願に係る商願2011−28237の障害となる本件商標を排除するために行われたものと推認されるところであり、このような請求理由は、不使用取消審判の請求理由として想定される主要な請求理由の一つといえるから、本件審判の請求自体が、被請求人を害することを目的としてなされた違法なものとはいえない。
したがって、請求人による本件審判請求は、権利濫用に当たるものということはできない。
(1)被請求人の提出に係る乙各号証からは、以下の事実が認められる。
なお、乙第1号証ないし乙第4号証の写真に示されたもの及び乙第5号証の品名欄に記載された「パンチボール」が「おもちゃ」であること、また、乙第4号証及び乙第5号証については「おもちゃ」のうちの「風船」であることに、当事者間に争いはない。
ア 乙第1号証は、同じおもちゃを写した全体写真と拡大写真の2葉の写真を示しているところ、これらには、おもちゃが、包装袋に収納され、また、袋表面に貼られたシールには、本件商標と同一の商標と「小林製薬」、「オリジナル景品プレゼント」の文字が付されている。
イ 乙第2号証は、同じおもちゃを写した全体写真とその裏面の拡大写真の2葉の写真を示しているところ、全体写真には、おもちゃが、包装袋に収納され、また、その裏面の拡大写真には、乙第1号証と同じシールが貼られている。
ウ 乙第3号証は、青色とピンク色の枠状のおもちゃ2つを並べた表面写真とその裏面を写した写真の2葉の写真を示しているところ、表面写真のそれぞれのおもちゃ右下には、「パズルの完成図」の文字の記載があり、また、その裏面を写した写真には、乙第1号証と同じシールが貼られている。
エ 乙第4号証は、3個の緑地の風船と1個のオレンジ地の風船を写した全体写真と拡大写真の2葉の写真を示しているところ、緑地の風船には、各種動物等が描かれ、また、本件商標と同一の商標と「小林製薬」の文字が付されている。
オ 乙第5号証は、平成23年6月6日付けと同年同月8日付けの大一産業株式会社から商標権者宛の2枚の「納品書」写しであるところ、これらの品名欄には、共に「パンチボール(200)B」が記載され、その他、数量、単価、金額等が記載されている。
(2)上記(1)で認定した事実からは、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証ないし乙第3号証について
乙第1号証ないし乙第3号証に示された商品は、いずれも、「おもちゃ」の範疇に属する商品であること、本件商標と同一の商標が使用されていること及び商標権者による使用であることが認められる。
しかしながら、これらに貼られたシールの「オリジナル景品プレゼント」の文字からすれば、これらのおもちゃは、商標権者の販売する商品を販売促進するための景品としてプレゼントされる販促品と推認されるものである。
ところで、一般に、販促品に付された企業名は、専らその販促品とは別の当該企業が扱う商品、役務の宣伝広告のために付されるものであって、販促品を登録商標の指定商品とする限りについてみれば、これに接する取引者、需要者に対して、商標が一般に有する自他商品(役務)識別機能を有するものではなく、もとより、販促品の品質を保証し、その宣伝広告をするために付されるものではない(東京高等裁判所、平成12年(行ケ)第335号、平成13年2月27日判決参照)と判示されている。
そうしてみると、景品としてプレゼントされる販促品と推認される「おもちゃ」に付された商標権者の略称である「小林製薬」と本件商標とは、専らその販促品である「おもちゃ」とは別の商標権者が扱う商品の宣伝広告のために付されるものであって、販促品を本件商標の指定商品とする限りについてみれば、これに接する取引者、需要者に対して、商標が一般に有する自他商品識別機能を有するものではなく、もとより、販促品の品質を保証し、その宣伝広告をするために付されるものではなく、すなわち、商標として機能しないというべきである。
イ 乙第4号証及び乙第5号証について
乙第4号証に示された「風船」には、本件商標と同一の商標と商標権者の略称である「小林製薬」の文字が付され、この「風船」が、要証期間である平成23年6月6日付けと同年同月8日付けで、大一産業株式会社から商標権者に納品されたことは認められる。
しかしながら、商標権者が、実際に、乙第4号証の「風船」を商品として販売した事実は確認することができない。
(2)小括
したがって、乙第1号証ないし乙第5号証からは、本件商標が請求に係る指定商品について使用されたものということはできない。
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていたことを証明し得たものと認めることができない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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