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Trademark Appeal Case

地名と普通名称の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2010−14941(T2010−14941/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第28類「土人形」を指定商品として、平成21年5月25日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨

原査定は、「本願商標は、元禄の頃、仙台の堤町近くの台原で江戸の陶工上村万右衛門が創製した陶器の一種である『堤焼』による人形で、日本三大土人形の一つとして知られている『堤人形』(株式会社岩波書店 広辞苑第六版参照)の文字を、未だ普通に用いられる方法の域を脱しない態様により、毛筆で縦書きしてなるものであるから、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に当該商品が『堤人形』であると認識するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識しないものといえる。したがって、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるため、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審において通知した審尋

請求人に対して、平成23年3月4日付けで通知した審尋の内容は、別掲2のとおりである。

4 審尋に対する回答書の要旨

請求人は、「指定商品『土人形』について使用した結果、本願商標は需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとなっており、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しており、商標登録を受けることができるものである。」旨述べている。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について

本願商標は、別掲1に表示するとおり、「堤人形」の文字を、毛筆体で縦書きした構成よりなるところ、別掲2に示した事実によれば、本願に係る指定商品を取り扱う業界において、「堤人形」の文字は、「仙台市堤町で製造される土人形」を表す語として、一般的に使用されている。

また、甲第19号証の1 8頁23行ないし28行及び8頁39行ないし9頁5行並びに別添2(平成23年3月4日付け審尋)第1 2(5)及び(8)によれば、請求人以外の者によって、商品「仙台市堤町で製造される土人形」について、「堤人形」の文字が使用されていることが認められる。 そうとすれば、本願商標を、その指定商品中、「仙台市堤町で製造される土人形」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該商品の品質を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものであり、かつ、本願商標を「仙台市堤町で製造される土人形」以外の「土人形」について使用するときは、その商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標といわなければならない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

(2)商標法第3条第2項について

請求人は、「請求人の登録商標(登録第2354191号及び登録第2365147号)に人形の文字を付した本願商標こそ、・・・請求人が先代以来周知性と自他商品識別力を確立してきた本来の商標そのものというべきであり、原査定が登録商標に『人形』の文字を付加することにより、あたかも構成態様が根底から普通名称に変わるかのように判断するのは、本末転倒の誤りが明白である。よって、原査定の理由は、いずれの角度からも失当として是認できるものではなく、本願商標は、郷土の歴史文献を正確に捉え、商標法第3条第2項により登録されるべきである。」旨述べ、その根拠となる証拠として、原審において甲第1号証ないし同第2号証及び当審において甲第3号証ないし同第30号証を提出している(枝番を含む。当審における平成22年6月18日受付けの審判請求書において提出された甲第1号証ないし同第13号証及び同23年4月18日受付け回答書において提出された甲第14号証ないし同第28号証は、提出済みの号証の番号に続けて読み替えた。)。

(3)商標法第3条第2項に関する判断

商標法第3条第2項の要件を具備するためには、使用商標は、出願商標と同一であることを要し、出願商標と類似のものを含まないと解すべきである。

そこで、使用に係る商標についてみるに、提出された証拠中、「注文リスト」(甲第20号証)、「損益計算書」(同第21号証)及び「『農村文化/ふるさと回廊/つゝみ人形 仙台市/土艶やか 江戸の香り』と題する、2000年5月21日発行の日本農業新聞の抜粋記事」(同第23号証の11)には、本願商標が記載されていないものである。

また、「『堤焼之史』(奥付なし。発行者不明。資料5頁に昭和40年9月9日の日付が認められる。)と題する書籍」(同第3号証)、「『堤人形/うれいを含んだ美/庶民が作った芸術品』と題する、昭和41年5月23日付け河北新報の抜粋記事」(同第4号証)、「『郷土玩具辞典(新装普及版)』(株式会社東京堂出版:1997年9月25日初版発行)」(同第5号証)、「『仙台市博物館図録 堤人形の美』(仙台市博物館:平成元年5月12日発行)」(同第6号証)、「『仙台市史 特別編3 美術工芸』(仙台市:平成8年3月31日発行)」(同第7号証)、「『郷土玩具辞典(新装普及版)』(株式会社東京堂出版:1997年9月25日初版発行)」(同第9号証)、「『どうとく』(宮城県教育委員会:昭和61年3月31日発行)」(同第10号証の1)、「『郷土みやぎの輝く星 先人の心に学ぶ』(株式会社学習研究社:昭和60年4月1日初版発行)」(同第10号証の2)、「昭和58年年賀切手発行記念シート」(同第12号証の1)、「『年賀切手に仙台の「堤人形」』と題する、昭和57年10月2日付け河北新報の抜粋記事」(同第12号証の2)、「平成8年用年賀切手発行記念シート」(同第12号証の3)、「『堤人形職人/イヌに模様/青葉区堤町』と題する、2005年(平成17年)12月29日付け朝日新聞の抜粋記事」(同第13号証の1及び同第23号証の3)、「『亥 着々』と題する、2006年(平成18年)12月10日付け読売新聞の抜粋記事」(同第13号証の2及び同第23号証の4)、「ラベルをふたの内側に貼った包装木箱」、「シールを貼り、押印した包装木箱」、「ゴム印の印影」及び「シール」(同第16号証の2)、「人形の包装木箱に貼るラベル」(同第16号証の4No.2ないしNo.4、No.6及びNo.8)、「『堤人形』の文字を付した包装紙」(同第17号証)、「請求人会社の店内に掲げられている額」(同第22号証の写真1)、「同店内に掲示している説明板」(同第22号証の写真2)、「請求人会社の駐車場案内板」(同第22号証の写真3ないし5)、「つゝみ人形移転先案内図」の看板(写真6)、「請求人会社の表札」(同第22号証の写真7)、「請求人会社『堤人形製造所』までの案内図」(同第22号証)、「『出番待つ「サル」/干支人形づくり最盛期/仙台』と題する、平成15年(2003年)11月24日発行の河北新報の抜粋記事」(同第23号証の1)、「『ケッコーカラフル/仙台・堤人形/干支作り盛ん』と題する、平成16年(2004年)11月20日発行の河北新報の抜粋記事」(同第23号証の2)、「『堤人形(1)/素朴さがうける土人形』と題する、1979年(昭和54年)3月21日発行の毎日新聞の抜粋記事」(同第23号証の5)、「『堤人形(2)/作者の気性が表れる』と題する、1979年(昭和54年)3月23日発行の毎日新聞の抜粋記事」(同第23号証の6)、「『ふるさとの玩具/堤人形(宮城県仙台市)/手作りの温かさで豊かな江戸文化表現』と題する、1989年(平成元年)5月24日発行の日本農業新聞の抜粋記事」(同第23号証の7)、「『堤人形にもサルが登場/仙台/休日返上で干支作り』と題する、平成3年(1991年)12月16日発行の河北新報の抜粋記事」(同第23号証の8)、「『みやぎ/技の余韻其の九「堤人形」』と題する、1992年(平成4年)11月26日発行の読売新聞の広告記事」(同第23号証の9)、「『東北の玩具/鄙のぬくもり/堤人形/芳賀強さん(五一)/仙台市/ほとんどが予約制/今や大人の装飾品』と題する、平成5年(1993年)1月14日発行の河北新報の抜粋記事」(同第23号証の10)、「『東北ワイド/きょうから師走/仙台 干支の飾り製作盛ん/未』と題する産経新聞の抜粋記事(発行年月日不明)」(同第23号証の12)、「『ししのり金太郎』(堤人形)と題する昭和58年用の、また、『堤人形・唐辛子乗りねずみ』及び『堤人形・蕪乗りねずみ』と題する平成8年用の年賀切手発行記念シート」(同第24号証)、「国鉄バス東北の『民芸品シリーズNo.3』と称する、1981年、仙台駅発行の記念乗車券、昭和59年から同61年まで及び平成2年から同5年まで発行された、宮城交通による『郷土玩具記念乗車券』、1980年、仙台市交通局による『仙台観光記念乗車券』」(同第25号証)、「『伝統を守り育てる仙台の物産』(仙台市物産振興協会:発行年不明)」(同第26号証)、「『宮城の伝統的工芸品』(宮城県:発行年不明)」(同第27号証)、「『ガイドブックせんだい』(発行者不明:発行年不明)」(同第28号証)、「『みやぎの伝統的工芸』(株式会社宮城県学校用品協会:平成元年11月発行)」(同第29号証)、「『子どものための/職人ガイドブック/2010』(宮城県教育委員会:平成22年(2010年)3月9日発行)」(同第30号証)は、本願商標と外観において同視できる程度に商標としての同一性を損なわないものとは認められず、本願商標と同一のものということはできないものであるから、「堤人形」の文字自体が単独で自他商品の識別標識として使用されているとは認め難い。

なお、甲第16号証の1及び同号証の3における「ラベルをふたの内側に貼った包装木箱」、同第16号証の4のNo.1、No.5及びNo.7における「人形の包装木箱に貼るラベル」は、本願商標「堤人形」と同一と認められる商標が記載されているものの、同第20号証の1及び3によれば、本願商標と同一の商標が付された人形は、年間数体程度の注文であることが認められ(なお、「鯉乗り金太郎」に関する注文リストの添付はない。)、同第21号証(枝番を含む。)によれば、全体としての売上げについても、年間約1,600万円から1,700万円程度であることが認められることからすれば、「宝船」、「和藤内」及び「鯉乗り金太郎」についてはもとより、それ以外を含めたとしても、譲渡の数量及び営業の規模(売上高等)が決して大きいものということはできない。

そして、上記(1)のとおり、請求人以外の者によって、商品「仙台市堤町で製造される土人形」について、「堤人形」の文字が商品の品質を表示するものとして使用されている。

さらに、甲第14号証及び同第15号証は、商標「つゝみ」に関する商標法第3条第1項第4号に関する拒絶査定不服審判についての審決であり、同第19号証の1は、同法第4条第1項第7号に関する無効審判についての審決であるから、本件とは事案を異にするものである。

そうとすれば、本願商標が請求人の出所を表示する商標として、指定商品の需要者の間で全国的に広く認識されているものとは認められない。

してみれば、本願商標は、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認められるから、商標法第3条第2項には該当せず、商標登録を受けることができないものである。

(4)むすび

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものでもないから、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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