Trademark Appeal Case
複合商標の称呼類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2011−900455(T2011−900455/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5442214号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成23年2月3日に登録出願、第9類、第11類、第12類、第16類、第20類、第21類及び第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年8月31日に登録査定、同年9月30日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4479179号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成10年12月11日に登録出願、第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同13年6月1日に設定登録され、その後、同23年5月24日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第4645527号商標(以下「引用商標2」という。)は、「SMART」の文字を横書きしてなり、1995年3月31日にドイツ連邦共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成7年9月28日に登録出願、第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同15年2月21日に設定登録されたものである。
(3)登録第4693972号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成11年8月11日に登録出願、第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同15年7月25日に設定登録されたものである。
(4)国際登録第951207号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、2007年(平成19年)12月11日に国際商標登録出願され、第12類及び第37類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成21年8月7日に設定登録されたものである。
(5)登録第4356634号の2商標(以下「引用商標5」という。)は、「SMART」の文字と「スマート」の文字を二段に横書きしてなり、平成8年11月20日に登録出願、同12年1月28日に設定登録された登録第4356634号商標の商標権の分割に係るものであって、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同13年2月27日にその分割移転の登録がされたものであり、その後、同21年12月1日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(6)登録第4356623号の2商標(以下「引用商標6」という。)は、「スマート」の文字と「SMART」の文字を二段に横書きしてなり、平成7年7月5日に登録出願、同12年1月28日に設定登録された登録第4356623号商標の商標権の分割に係るものであって、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同13年2月27日にその分割移転の登録がされたものであり、その後、同21年12月1日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(引用商標1〜6をまとめていうときは、以下、単に「引用商標」という。)
3 登録異議の申立ての理由(要旨)
(1)商標法第4条第1項第11号について
引用商標は、2000年から我が国において、申立人の業務に係る商品「小型自動車」(以下「申立人商品」という。)を表示する商標として使用され、申立人の商標として広く一般に知られている(甲8及び甲11)。
他方、本件商標は、引用商標を包含した構成よりなるものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、少なくとも「スマート」の称呼を共通にする類似の商標であり、また、その指定商品も同一又は類似の商品である。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、申立人の商標として広く一般に知られているから、これと類似し、又は、このバリエーションの一つと容易に認識される本件商標をその指定商品中「自動車並びにその部品及び附属品」について使用する場合は、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、第12類に属する商品について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲(1)のとおり、黒塗りの星図形と「SmartAngel」の文字との組合せよりなるものであるところ、該文字部分は、「S」と「A」の文字が大文字で書され、他の文字が小文字で書されているものの、いずれの文字も同一の書体で横一連に書されているばかりでなく、これらの文字は、全体が文字の形状に合わせた黒色の縁取りに囲まれ、かつ、該黒色の縁取り内の白地の上に黒色で書されているものであって(「S」の文字と「m」の文字の縦3分の2程度の部分は、黒塗りの星図形内に配されている関係で、黒色の縁取りはない。)ことからすると、本件商標に接する需要者は、顕著に表された文字部分に強く印象付けられ、文字部分に着目して商品の取引に当たる場合が多いとみるのが相当である。
そして、本件商標中の「SmartAngel」の文字部分は、外観上、構成全体が極めてまとまりよく一体的に表されているものである。
また、本件商標中の「SmartAngel」の文字部分より生ずると認められる「スマートエンジェル」の称呼も、よどみなく称呼し得るものといえる。
さらに、「SmartAngel」の文字部分について、その前半部の「Smart」の文字は、「気のきいた、賢明な、スマートな」等を意味する英語の形容詞として我が国においてもよく知られ、親しまれて使用されているものであって、後半部の「Angel」の文字との結合において、該文字を修飾する働きをし得るものであることからすれば、両文字は、相互に関連性を有するものとみるのが相当である。
そうすると、本件商標中の「SmartAngel」の文字部分は、その構成全体をもって、一体不可分の造語を表したと認識されるとみるのが相当であって、これを「Smart」の文字部分と「Angel」の文字部分とに分離して、「Smart」の文字部分のみを抽出して観察しなければならない合理的理由は見いだせない。
したがって、本件商標は、その構成中の「SmartAngel」の文字部分に相応して、「スマートエンジェル」の一連の称呼のみを生ずるというべきである。
してみると、本件商標より「Smart」の文字部分を分離、抽出し、これを前提に、本件商標と引用商標とが「スマート」の称呼を同じくする類似の商標であるとする申立人の主張は、前提において誤りがあるというべきであり、採用することができない。
他に、本件商標と引用商標とが類似するとみるべき特段の理由は見いだせない。
したがって、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
以上によれば、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとする申立人の主張は、理由がない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の著名性
申立人の提出した甲第8号証ないし甲第11号証によれば、「スマート(smart)」は、ドイツ・ベーブリンゲンを本部とし、主に小型車を製造・販売する自動車メーカーの名称ないし同社の製造・販売に係る小型車のブランドであり、同社は、申立人の完全子会社であること、上記小型車のうち、「フォーツークーペ」なる車種は、2000年(平成12年)12月に、「スマートクーペ」として、ダイムラー・クライスラー日本株式会社によって日本での正規販売が開始され、その後、上記「フォーツークーペ」なる車種は、2007年(平成19年)までに数回モデルを変更して日本で販売されたこと、「フォーツークーペ」以外にも、7種類ほどの車種名の小型車が日本で販売され、2008年(平成20年)度の日本での新規登録台数は、1,111台であること(甲8及び甲9)、また、メルセデス・ベンツ日本株式会社(2007年に、ダイムラー・クライスラー日本株式会社から社名変更:甲8)や株式会社ヤナセの各ウエブサイト(いずれも掲載日は不明。ただし、これらがプリントアウトされた日付は、いずれも2012年(平成24年)3月30日である。)には、引用商標4と酷似する商標と共に、申立人商品が掲載されていること(甲10及び甲11)、などを認めることができる。
しかしながら、申立人の関連会社等の上記ウエブサイトにおける申立人の商品の掲載日が明らかでないばかりか、それ以外に、本件商標の登録出願日(平成23年2月3日)前において、引用商標を付した申立人商品の宣伝広告がされた事実を明らかにする証拠の提出はないこと、さらに、我が国における極めて膨大な自動車保有台数からみれば、申立人商品の2008年(平成20年)度の日本での新規登録台数は、決して多いものとはいえないこと、などを併せ考慮すると、申立人の提出した証拠のみをもってしては、引用商標が申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時(平成23年2月3日)及び登録査定時(同年8月31日)において、需要者の間に広く認識されていたものと認めることは、困難であるといわざるを得ない。
イ 出所の混同
上記アのとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。加えて、前記(1)認定のとおり、本件商標は、その構成中の「Smart」の文字部分が独立して把握、認識されるものではなく、引用商標とは、称呼、観念及び外観のいずれの点についても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
してみると、本件商標に接する需要者が引用商標を想起又は連想することはないというべきであるから、本件商標は、これをその指定商品中、第12類に属する商品について使用した場合、該商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれのある商標ということはできない。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとする申立人の主張も、理由がない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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