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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2012−900008(T2012−900008/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5443938号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5443938号商標(以下「本件商標」という。)は、「Pサポ!」の文字を標準文字で表してなり、平成23年4月18日に登録出願、第9類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年8月22日に登録査定、同年10月14日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第12号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)引用商標

ア 登録第4669881号商標(以下「引用商標1」という。)は、「SAP」の欧文字を横書きしてなり、1999年8月3日にドイツ連邦共和国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成12年1月19日に登録出願、第9類、第16類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品又は指定役務として、同15年5月9日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

イ 国際登録第759060号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、2001(平成13)年4月18日に国際商標登録出願され、第9類、第16類、第41類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成14年8月30日に設定登録、その後、同23年6月9日に商標権存続期間の更新登録がされたものであり、現に有効に存続しているものである。

以下、上記ア及びイを一括していうときは、「引用商標」という。

(2)具体的理由

ア 申立人について

申立人は、ドイツ中南部に本社を置く、ヨーロッパ最大級のソフトウェア会社であって、1972年に設立し、その年にISS標準ソフトウェアである「SAP R/1」を開発したことに始まり、1980年には、ドイツ国内の業界優良企業100社のうち50社が「SAP」を導入、2000年には、グループ全体でSAPユーザ数1,000万、導入数36,000を突破し、世界120力国で、導入企業13,500社、パートナー1,000社、対応業種別ソリューションが22種にまで拡張している。現在では、販売および開発の拠点を50力国以上に展開し、109,000(但し、甲4においては、183,000と記載)以上の顧客にSAPのアプリケーションとサービスを提供している(甲4及び甲5)。

日本においては、申立人が100%出資する日本法人として、SAPジャパン株式会社を1992年に設立し、2002年には、SAP製品の国内導入企業数が1,000社を超えている(甲6及び甲7)。

申立人は、申立人の略称でもある引用商標「SAP」を、申立人の製品及びこれに関連するサービス事業を表する代表的な出所識別標識として、あるいは事業全体を表するいわゆるハウスマークとして、現在に至るまで継続して使用しており、インターブランド社が発表している「BEST GLOBAL BRANDS」において、2006年度のランキングは34位であるが、毎年ランキングを上げ、2011年度は、「H&M」、「pepsi」等の世界的に著名なブランドに続く第24位にランキングされている。また、ソフトウエア分野における売上ランキング「GROBAL SOFTWARE TOP 100」においては、2009〜2011年度は、第4位にランキングされている。

したがって、申立人の略称「SAP」は、本件商標の出願時に、既にソフトウェア業界及びこれらに関連する商品又はサービスの取引者・需要者において広く認識されるに至り、日本国内のみならず世界的規模で著名性を獲得したものであることは明白である。

イ 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、その構成中の語頭の「P」は、商品の品番・形式・規格等、また、役務の種別、等級、基準等を表示するための記号又は符号として類型的に一般に使用されているローマ字一字を表示したものと看取し得るものであり、商品又は役務の出所識別標識としての機能を果たすものではないから、本件商標中、自他商品の識別標識としての機能を果たす部分は、後半の「サポ」であって、引用商標から生ずる称呼である「サップ」と類似するものであり、その指定商品及び指定役務についても、引用商標が指定する第9類、第16類及び第42類に属する指定商品及び指定役務と同一又は類似のものである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

ウ 商標法第4条第1項第15号について

引用商標は、申立人の名称の略称及び商標として、世界的な名声を獲得している(甲4ないし甲11)。これに対し、本件商標は、その出願時前に既に著名性を獲得している申立人の略称でもある引用商標から生ずる「サップ」と称呼上相紛らわしい「サポ」を商標の要部としており、その指定商品及び指定役務は、申立人の主力商品及び主サービスと同一又は類似の商品、サービスに使用されるものであるから、本件商標の登録は、世界的に広く認識されている商標「SAP」の顧客吸引力へのフリーライド及びダイリューション行為を実質的に助長することになりかねず、取引者又は消費者を混乱させる可能性が高いものであるから、本件商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合、その商品又は役務の取引者・需要者は申立人の業務に係る商品又は役務と出所を混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、前記1に示したとおり、「Pサポ!」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成全体が同じ書体、同じ大きさで等間隔に外観上まとまりよく一体的に表されてなるものであり、その構成中の「サポ」の片仮名を分離・抽出して検討しなければならない事情は見いだせないから、本件商標は、構成文字全体をもって一体不可分の商標と認識され、無理なく一連に称呼し得る「ピーサポ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものというべきである。

他方、引用商標は、前記2及び別掲に示したとおり「SAP」の欧文字をその構成要素に有するものであるから、その構成文字に相応して「サップ」又は「エスエーピー」の称呼を生ずるものである。

そこで、本件商標と引用商標を比較するに、本件商標より生ずる「ピーサポ」の称呼と引用商標より生ずる「サップ」又は「エスエーピー」の称呼とは、その音数、音構成の差により判然と区別できるものである。また、両商標は、前記の構成よりみて外観及び観念において相紛れるおそれはない。

その他、本件商標と引用商標とを類似するものとすべき特段の理由は見いだせない。

よって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の別異の商標といわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとはいえない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

前記(1)における認定のとおり、本件商標と引用商標とは、称呼において非類似であることはいうまでもなく、外観及び観念においても相違する別異の商標というべきであるから、本件商標に接する需要者が、引用商標あるいは申立人を想起又は連想することはないとみるのが相当である。

してみれば、本件商標は、これをその指定商品及び指定役務について使用しても、該商品及び役務が申立人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品及び役務であるかのように、商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれがある商標と認めることはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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