Trademark Appeal Case
著名商標と称呼類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2012−900019(T2012−900019/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5446556号商標(以下「本件商標」という。)は、「ハンドロイド」の片仮名を標準文字で表してなり、平成23年5月10日に登録出願、第9類、第10類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年9月16日に登録査定、同年10月28日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5132405号商標(以下「引用商標1」という。)は、「アンドロイド」の片仮名を標準文字で表してなり、平成19年11月9日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同20年4月25日に設定登録されたものである。
(2)登録第5132404号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ANDROID」の欧文字を標準文字で表してなり、2007年10月31日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成19年11月9日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同20年4月25日に設定登録されたものである。
(引用商標1及び2をまとめていうときは、以下、単に「引用商標」という。)
3 登録異議申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、引用商標と称呼及び外観において類似する商標であって、引用商標は申立人の商標として世界中で著名であることも鑑みれば、本件商標と引用商標は相紛らわしく、本件商標の指定商品のうち、第9類の「電子応用機械器具及びその部品」は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、申立人の商標として広く一般に知られているから、これを構成中に含む本件商標をその指定商品について使用する場合は、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。
4 当審の判断
(1)引用商標の著名性について
ア 申立人の提出に係る甲第4号証の1ないし甲第12号証の3(ただし、甲第7号証の5の提出はない。)を総合すると、引用商標は、IT関連企業として世界的に著名な申立人が中心となって、半導体メーカー、モバイル端末ベンダー、モバイル通信事業者、ソフトウェアメーカー等34社で組織されたOHA(Open Handset Alliance)により開発された携帯電話向けのオープンソースライセンスによるソフトウェアプラットフォームの名称であり、申立人は、2007年(平成19年)11月に、米国において無償で提供することを発表し(甲4)、「Android」のプログラミングツールをダウンロード公開し、これと同時に「Android」のアプリケーション開発コンテストの開催を発表したこと(甲5、甲6)、携帯電話の機能を最大限使えるアプリケーションの実行環境の構築実現を可能にするプラットフォームを、世界的な大手IT企業がオープンソースで無償提供する点が極めて衝撃的であったため、世界中のモバイル業界で爆発的に話題となり、我が国を含む世界中のインターネットや業界誌等で大々的に取り上げられたこと(甲5〜甲8)、平成21年(2009年)11月には、日本国内のメーカーが次々とソフトウェアプラットフォームに「Andoroid」を採用した高機能携帯電話(スマートフォン)の発売を発表したこと(甲9)、その後、ソフトウェアプラットフォームに「Android」を採用したスマートフォンは市場に浸透し、「iPhone(ソフトウェア「iOS」)」を競合商品として人気を二分するまでになり、そのことが話題となって数多くの新聞、雑誌などで特集記事やコラムとして取り上げられたこと(甲10、甲11、甲13)、などを認めることができる。
イ 前記アで認定した事実によれば、引用商標は、申立人が提供する携帯電話向けのオープンソースライセンスによるソフトウェアプラットフォームを表示するものとして、IT関連分野において、米国はいうまでもなく、我が国を含めた世界的規模をもって、本件商標の登録出願日(平成23年3月9日)及びその登録査定日(平成23年8月10日)の時点において、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「ハンドロイド」の片仮名を標準文字で表してなるものであるところ、該文字は、同一の書体をもって、同一の大きさ・等間隔に外観上まとまりよく表されているものであり、構成文字全体から生ずると認められる「ハンドロイド」の称呼もよどみなく称呼し得るものといえる。また、特定の意味を有する語とも認められないものであるから、特定の観念が生じることのない造語として認識されるとみるのが相当である。
イ 引用商標
引用商標1は、前記2(1)のとおり、「アンドロイド」の片仮名を標準文字で表してなるものであり、また、引用商標2は、前記2(2)のとおり、「ANDROID」の欧文字を標準文字で表してなるものであるから、引用商標は、その構成文字に相応して、いずれも「アンドロイド」の称呼を生ずるものであって、「人間型ロボット」の観念を生ずるものである。
ウ 本件商標と引用商標との対比
(ア)外観
まず、本件商標と引用商標1についてみるに、両商標は、いずれも片仮名よりなるものであるところ、両商標は、構成後半部分の「ンドロイド」の文字を共通にするが、看者の目を惹きやすい第1文字目において「ハ」と「ア」の差異を有するものであり、この相違は、通常の注意力をもってすれば、互いに見誤るおそれはないとみるのが相当である。したがって、本件商標と引用商標1は、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上相紛れるおそれはないというべきである。
次に、本件商標と引用商標2についてみるに、本件商標は片仮名よりなるものであるのに対し、引用商標1は、欧文字よりなるものであるから、外観上類似するということはできない。
(イ)称呼
本件商標より生ずる「ハンドロイド」の称呼と引用商標より生ずる「アンドロイド」の称呼は、称呼における識別上重要な要素をしめる語頭において「ハ」の音と「ア」の音の差異を有し、しかも、両音は撥音「ン」を伴うことにより、ともに強く発音されて明瞭に聴取されるものとなることから、該差異音が両称呼全体に及ぼす影響は、決して小さいものとはいえず、それぞれの称呼を全体として称呼した場合においても、両称呼は、称呼全体の語調、語感が相違したものとなり、互いに聞き誤られるおそれはないというべきである。
(ウ)観念
本件商標は、前記ア認定のとおり、造語よりなるものであるから、引用商標とは、観念上比較することはできない。
(エ)以上によれば、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点についても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(オ)なお、申立人は、引用商標が申立人の商標として著名である事実に鑑みれば、本件商標と引用商標は彼此紛れるおそれが高い旨主張するが、本件商標と引用商標は、上記のとおり、その外観、称呼及び観念のいずれからみても、何ら相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、引用商標が著名であるとしても、本件商標と引用商標との間で出所の混同を生じるおそれはないものである。
(カ)したがって、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとする申立人の主張は、理由がなく採用することができない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
ア 出所の混同
引用商標が上記(1)のとおり、携帯電話向けのソフトウェアプラットフォームの分野の取引者・需要者の間において、ある程度の周知性を獲得しているとしても、本件商標は、前記(2)認定のとおり、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標に接する需要者は、これより直ちに引用商標を想起又連想することは極めて少ないとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないといわなければならない。
イ してみれば、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとする申立人の主張も理由がなく採用することができない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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