Trademark Appeal Case
「〇〇のチカラ」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2011−17058(T2011−17058/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「除虫菊のチカラ」の文字を標準文字で表してなり、第5類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成21年12月25日に登録出願され、その後、指定商品については、当審における平成23年9月26日付け手続補正書により、第5類「除虫菊を使用した薬剤」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『除虫菊のチカラ』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中『除虫菊』の文字は『キク科の多年草。殺虫成分を含み殺虫剤(農業、園芸、皮膚寄生虫)、蚊取り線香、農薬の原料とする。』を意味する語であり、本願指定商品を取り扱う業界では、除虫菊の殺虫成分を利用した商品が販売されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者・取引者は『除虫菊の力を利用した』『除虫菊の殺虫効果のある』等の意味合いを理解するにとどまり、単に商品の品質(原材料、効能)を表示するにすぎないから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記内容に照応する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、前記のとおり「除虫菊のチカラ」の文字よりなるところ、その構成中「除虫菊」の文字は、「キク科の多年草。花はピレトリンを含み、乾かして粉状とし、蚤取粉・蚊取線香、また農薬の原料とする。」(広辞苑第六版)を意味する語であり、「チカラ」の文字は、「効能」(同)等を意味する語である「力」を片仮名で表記したものである。
そして、「除虫菊」は、本願指定商品との関係において、殺虫剤の原材料として用いられている(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%AD%E3%83%90%E3%83%8A%E3%83%A0%E3%82%B7%E3%83%A8%E3%82%B1%E3%82%AE%E3%82%AF のウェブサイト参照)実情があることから、本願商標は、構成全体として「除虫菊の力(効能)」ほどの意味合いを認識させるものである。
加えて、動植物の成分を原材料とする商品について、当該動植物名と「チカラ(又は力)」の語を組合せて「○○(動植物名)のチカラ(力)」のように使用することが広く一般に行われているところである。
この点については、当審において職権により調査したところ、以下の事例からも裏付けられる(なお、下線は、審判の合議体で加えた。)。
ア 「ダメージ ヘア (いたんだ髪)のケアにラサーナ」なるウェブサイトにおいて、商品「ラサーナ薬用育毛剤」の商品情報には、「
海藻の力
を凝縮した、女性のための薬用育毛剤です。」との記載がある(http://www.lasana.1008j1.net/300/)。
イ 「楽天市場」における「有限会社アスカ」のウェブサイトにおいて、「
タンポポのチカラ
」の見出しのもと、「タンポポは古代から中国、ドイツなどで解毒薬として使われてきました。・・・もちろん日本においてもタンポポは健胃、整腸、解熱、発汗、催乳などいろいろな民間療法に使用されています。」等の記載がある(http://www.rakuten.ne.jp/gold/asuka-jhac/tanpopo/tanpopo-p.htm)。
ウ 「水虫の症状と治療法」なるウェブサイトにおいて、商品「水虫の原因菌を強力除菌『毎日満足』」の商品情報には「毎日満足は、
天然ホタテ貝の力
で水虫の原因菌を強力除菌してくれますので、『水虫・ニオイ』に効果を発揮します。」との記載がある(http://www.mizu-mushi.com/2007/02/post_70.html)。
エ 「保険調剤薬局『くまの薬局』」の「お薬いろいろ」なるウェブサイトにおいて、「
生姜の力
」の見出しのもと、「【生姜(ショウガ)の効能】☆全身を温め、胃液、胆汁の分泌を促進・・・☆胃の冷えによる嘔吐をとめ、消化をよくする・・・☆発汗作用は風邪に効果」等の記載がある(http://blog.murablo.jp/phamacy/kiji/66357.html)。
オ 静岡県浜松市の「くまがい薬局」のウェブサイトにおいて、商品「瑞芝・瑞芝液M」の商品情報には、「▼
シイタケの力
▼/私たちの最も身近にあるキノコ・シイタケが体に良いことは600年ほど前から中国で言われていました。シイタケはその後の研究により免疫賦活作用・抗ウィルス作用などがあると報告されています。」との記載がある(http://www.myph.jp/kumagai_ph/pc/free4.html)。
以上のとおり、薬剤等について、その主たる原材料が動植物等であって、それが疾患を治癒させるような効果を及ぼす場合に、本願指定商品を取り扱う業界においては、「○○(動植物名)の力(チカラ)」というように表示することは、現在において広く普通に行われている。
してみれば、本願商標をその指定商品中「除虫菊を原材料とする商品」「除虫菊の殺虫効果がある商品」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に上記商品の品質、原材料又は効能を表示するにすぎないものとして理解するに止まり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標中「チカラ」の文字は、「気力、能力、力量」などの様々な意味合いを有する語であることから、本願商標全体からは、直ちに、「除虫菊の力を利用した」又は「除虫菊の殺虫効果のある」と認識されることはない旨主張しているが、上記認定のとおり、本願指定商品を取り扱う業界において、「○○(動植物名)の力(チカラ)」という文字構成は、ある効能を有する「○○」の文字部分を原材料とし、構成全体としてその効能を誇称するような場合において使用されることが普通に行われているものであることから、本願商標に接する取引者等は、商品の品質、原材料又は効能を表示するものとして認識するいうのが相当である。したがって、請求人のこの主張は採用することができない。
イ また、請求人は、「本願商標に接する需要者・取引者は、請求人の商号の一部である『除虫菊』と『チカラ』を結合したものと理解、認識されることも決して少なくないというべき」と主張しているが、「除虫菊」の文字が請求人を表示する略称として取り引きされている等の、需要者をして請求人主張のような意味合いを認識させるものと認めるに足りる証拠の提出もないものであり、たとえ、「除虫菊」の文字が請求人の商号の一部であるとしても、上記認定のとおり、本願商標は構成全体として、商品の品質、原材料又は効能を表示するものとして認識するというのが相当であり、その理解を妨げるような特別の事情も見いだせない。したがって、請求人のこの主張も採用することができない。
ウ さらに、請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も識別力を有する旨も述べているが、請求人が主張する登録例に係る商標は、本願商標とは、その構成等が相違するものであって、本願とは事案を異にするものであり、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの登録例に前記認定が左右されるものではない。
以上のとおり、請求人のいずれの主張も採用することができない。
(3)まとめ
してみれば、本願商標は、これをその指定商品中「除虫菊を原材料とする商品」「除虫菊の殺虫効果がある商品」に使用しても、これに接する取引者、需要者は該商品の品質、原材料又は効能を表示したものと認識するにとどまるものといわなければならず、また、前記商品以外の商品に使用するときは、該商品が「除虫菊を原材料とする商品」「除虫菊の殺虫効果がある商品」であるかのように商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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