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Trademark Appeal Case

地名商標の識別力獲得

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成9年審判第12250号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、下記に示すとおりの構成よりなり、第29類「加工水産物(「かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり」を除く。)」を指定商品として、平成6年11月25日に登録出願され、その後、平成9年3月5日付け手続補正書により指定商品を「かに風味かまぼこ」と減縮補正したものである。

2 原査定の理由

原査定は、『本願商標は、広大な大自然の恩恵を受け、多種類の魚類、特にサケが多くとれ、その加工・缶詰・冷凍業等が活発なアメリカ合衆国で最大の面積をもつ州名である「アラスカ」の文字を普通に用いられる方法で書してなるから、これをその指定商品に使用しても、単に商品の産地、販売地を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1号第3項に該当する。』と、認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 請求人の主張

(1) 甲第1号証乃至同第17号証からは新潟県にスーパーマーケットを展開している株式会社キューピット、清水商事株式会社や新潟県内スーパーの大手である株式会社原信あるいは食品卸売大手の株式会社菱食等の証明により、その販路は、新潟県ばかりでなく、東京都を含む関東圏、大阪府を含む関西圏、北海道地方、東北地方にまで及び、本願商標「アラスカ」は使用により一般需要者、取引者の間では識別力を有するものであることが判るものである。

(2) 平成4年度以降の本願商標「アラスカ」の文字付した商品「かに風味かまぼこ」の売り上げ高は同第18号証に示すように合計で106億4200万円余となるものである。

(3) 甲第19号証、同第22号証の新潟県内のテレビ放送局4社のスポット放送通知書では、株式会社新潟総合テレビにおいては、1995年4月〜1997年1月の22ヶ月の間に本願商標「アラスカ」のスポットCMを延べ141回放送し、月間に最多18回、最少4回、平均10.0回行っており、総放送回数に対する本願商標「アラスカ」のスポットCMの放送回数の比率は、61.6%でその中には30秒CMが13回含まれており、放送時間帯がほとんとがゴールデンアワーである。また、株式会社テレビ新潟放送網においては、1988年4月〜1997年2月の107ヶ月の間に本願商標「アラスカ」のスポットCMを延142回放送し、月間に最多24回、最少2回、平均4.8回行っており、総放送回数に対する本願商標「アラスカ」のスポットCMの放送回数の比率は、56.8%でその中には30秒CMが32回含まれており、放送時間帯が全てゴールデンアワーである。また、株式会社新潟放送においては、1993年11月〜1997年1月の39ヶ月の間に本願商標「アラスカ」のスポットCMを延187回放送し、月間に最多18回、最少7回、平均12.4回行っており、総放送回数に対する本願商標「アラスカ」のスポットCMの放送回数の比率は、23.9%であり、放送時間帯が全てゴールデンアワーである。また、株式会社新潟テレビ21においては1993年11月〜1997年1月のスポット放送通知書を添付している、CM素材名が明記されているものは1997年1月のものしかないが、他の3社と比較して同等の比率でスポットCMを放送していることが窺えるものである。

このように本願商標「アラスカ」のスポットCMの放送は月間平均4.8回から12.4回行っており、しかも、ほとんどがゴールデンアワーの時間帯に放送されていることから、視聴者への認知度は非常に高いものである。

これらスポットCMで放送された内容は甲第23号証のテレビコマーシャル素材表及び同第24号証のビデオテープ(原本は上申書添付のものを参照。)により明らかであり、これらテレビコマーシャルの制作年月日及び制作費について、請求人株式会社堀川の堀田哲作成の堀川「アラスカ」テレビコマーシャル素材表に基づき説明する。

このように、請求人株式会社堀川は、多額の制作費をかけてテレビコマーシャルを2年乃至1年毎に制作しているもので、コマーシャルの内容はビデオテープで判るように視聴者に強い印象を与えるもので、特に現在放送されているテレビコマーシャルは、女装したタレントの清水アキラが本願商標を付したパッケージされた商品を持って踊りながら登場し、徐々に商品を大きく写した後、商品のみを大写しにし、その後本願商標とパッケージ商品と商品の盛付け例を写しているもので、現在人気のタレント清水アキラのコミカルな演技との組合わせで本願商標と商品の需要者に対するインパクトは大変強く、商標「アラスカ」は、請求人株式会社堀川の商標として視聴者に強く認識されるものである。

これらテレビコマーシャルを含めた平成4年度以降の月別広告宣伝費は、甲第25号証のとおりである。

平成5年度から平成8年度の出願人堀川が支出した広告・宣伝費の合計は、471,214,000円に上るものであり、その内容を見ると新潟県内の前記テレビ放送局4社は継続して、また、平成4年から同7年まで継続し平成8年のみ休止して平成9年から放送しているものが東北放送、宮城テレビ放送、さらに、平成4年から同6年までは東日本放送、岩手放送、山梨放送、山形放送、秋田放送、北陸放送、信越放送、秋田テレビ、青森テレビ、長野放送、同9年からは仙台放送、札幌テレビ放送、北海道文化放送、北海道放送、北海道テレビ放送で放送されていることが確認できる。

このようにテレビスポットCMは、新潟県内ばかりではなく、東北地方、北海道地方にも請求人が多額の広告・宣伝費をかけて広範囲に放送されているもので、新潟県内の放送局4社の放送実績からみても本願商標「アラスカ」のテレビスポットCMは同等の比率で放送されていることが推定できるものである。

また、平成9年8月12日付け提出の審判理由補充書において、甲第26号証乃至同第31号証とその説明を提出して、本願の拒絶の理由は拒絶理由は解消されると述べている。

4 当審の判断

よって判断するに、本願商標は、下記に示すとおりの構成よりなるところ、アラスカは、広大な大自然の恩恵を受け、多種類の魚類、特にサケが多くとれ、その加工・缶詰・冷凍業等が活発なアメリカ合衆国で最大の面積をもつ州であることは、我が国においても良く知られた事実であり、地名辞典にも、「アメリカで最大の面積,最小の人口をもつ州。州都ジュノー。面積1,518,875平方キロメートル。人口30.2万(’70)。地理的に山岳地帯の南アラスカ,比較的起伏の少ない内陸部,アラスカ北極圏に区分され,氷河地形に特徴づけられる。広大な大自然の恩恵を受け,多種類の魚類,特にサケが多くとれ,その加工・缶詰・冷凍業や毛皮獣飼育・狩猟,林業が活発。金・銀・プラチナ・石油などの地下資源が豊富。1741ロシア人ベーリングがアラスカ海岸に到着してからロシアン−アメリカと称され長くロシア領として繁栄。1867に720万ドルでアメリカに割譲。’97金鉱が発見されたのを契機に鉱物資源の開発が急速に進められ,1959に49番目の州となる。」(三省堂編修所編者「コンサイス外国地名事典」<改訂版>株式会社三省堂、1993年10月20日第10刷発行)と記載されているところである。

そうとすれば、「アラスカ」の文字を普通に用いられる方法を脱しない方法で書してなる本願商標をその指定商品について使用するときには、これに接する取引者、需要者をして、商品の原材料、商品の産地、販売地を表示したにすぎないものと理解・認識させるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

請求人は、本願の指定商品を「かに風味かまぼこ」と補正するとともに、商標法第3条第2項の適用を受けるのに必要な証拠書類として甲第1号証乃至同第31号証を提出している。

(1) 甲第1号証乃至同第17号証、同第31号証は、請求人の取引先が本願商標である「アラスカ」を商品「かに風味かまぼこ」に使用した結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを広く認識できることを証明している旨主張するが、証明者はどのような資料に基づいて、これを証明しているのか、その裏付けを伴わないものである。

(2) 甲第18号証、同第26号証は、商標「アラスカ」を表示する商品の売上高に関するものであって、平成4年度から平成8年度の合計が106億4200万円余となる旨主張するが、平成9年3月5日付け提出の意見書に添付されて「商品カタログ」を徴すると、「アラスカ」の文字態様が、本願商標の文字態様と相違するものも含まれていることから、本願商標の文字態様が付された商品「かに風味かまぼこ」の売上高については不明である。

(3) 甲第19号証乃至同第22号証、同第25号証、同第27号証乃至同第30号証は、本願商標である「アラスカ」の広告・宣伝費に関するもので、平成4年度から同8年度の合計は、4億7121万円に上るものである旨主張するが、その内容には、「皿田家の人々茶わんむし秋」「皿田家の人々 アラスカデ」「皿田家の人々 中板編」「アラスカ・デリシー篇(本」「中板篇」「おせち・ゆく年篇」「茶碗蒸し夏・A篇」「おでんセット(本社版)お」「30”蒲鉾・おでん種(北」「ニューアラスカ」「アラカスデリシーチョウショク」「ショクタク イタカマヘン」「アラスカ 朝食篇 アラスカデリシー 皿田」「茶わんむしHOT 皿田家の人々」等のものであって、本願商標「アラスカ」に関するテレビコマーシャルは少なく、全体として、請求人の販売する他の商品を含む商品のテレビコマーシャルと認められるから、本願商標「アラスカ」に関するもののみのテレビコマーシャルが、合計でどのくらいの放映されたのか、また、商品「かに風味かまぼこ」についての放映を特定し難いものである。

したがって、甲第1号証乃至同第31号証を提出しているが、上記のように、本願商標である「アラスカ」に関する証拠資料だけでなく、請求人の販売する他の商品を含む商品に関するものについての資料と認められるものであって、本願商標「アラスカ」に関する証拠資料が少なく、本願商標「アラスカ」の商品の取扱数量、テレビコマーシャルの回数が具体的に把握できないものであるから、本願商標がその指定商品について使用され、広告・宣伝されていたことは認められるとしても、地名は必ずしも一私人の独占には馴染まないものであることを考慮すると、請求人の提出した甲各号証のみをもってしては商標法第3条第2項の規定の要件を具備しているものとは認められない。

以上のとおりであって、商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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