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Trademark Appeal Case

記述的標語の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2011−22381(T2011−22381/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「みんなにやさしい」の文字を標準文字で書してなり、第3類「せっけん類」を指定商品として、平成22年12月8日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『みんなにやさしい』の文字を標準文字で表してなるものであるが、本願指定商品であるせっけん類は、使用後に洗い流した水の環境への影響や、使用者の年齢や肌の状況等により、使用者の皮膚へ与える影響に注目され、低公害、低刺激の品質が求められることの多い商品群である。そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用した場合には、これに接した需要者は、本願商標の構成文字より生ずる『全てに対して優しい』の意味合いから、その商品が、環境又は使用する者の肌の状況を問わず優しい(汚染、刺激が少ない)ものであることを強調する標語、キャッチフレーズの一種と認識するにすぎず、結局、何人の業務にかかる商品であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断

1 本願商標の商標法第3条第1項第6号の該当性について

本願商標は、「みんなにやさしい」の文字からなるところ、「全部。すべてのもの。すべての人。」等を意味する「みんな」の語と、「おだやかである。悪い影響を及ぼさない。簡単である。」等を意味する「やさしい」の語とを、助詞「に」で結合してなるものであり、全体として「すべてのものに(対して)おだやかである。」「すべての人に(対して)悪い影響を及ぼさない。」程の意味合いを認識させるものである。

そうすると、該「みんなにやさしい」の文字は、その指定商品である「せっけん類」との関係においては、「すべての人に対して悪い影響を及ぼさない石けん」であるという程の意味合いを理解させるというのが相当である。

そして、例えば、大人、子供、赤ん坊、老人といった誰もが使えるように配慮されたせっけん、すなわち、肌などへの刺激が少ない等の効能を有するせっけんを指して、「みんなにやさしい石けん」であるとしている実情は、別掲に示すインターネット情報及び新聞記事情報によって、窺い知ることができるものである。

加えて、昨今、本願の指定商品を取り扱う業界のみならず、他の業界においても、「地球に対する負荷が少ないこと」や「環境に対する配慮をしていること」等を謳って、自社や製品のイメージを向上させる標語、キャッチフレーズとしている実情が見受けられるところ、その際に、「地球にやさしい」「環境にやさしい」「人にやさしい」等を総じて「みんなにやさしい」のように表現されている実情も窺い知ることができるものである。

そうとすると、上記の実情をも考慮すれば、該「みんなにやさしい」の文字は、これをその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、「老若男女すべてを問わず、刺激が少ないおだやかな効能の商品」又は「地球環境に配慮し、使う人間に悪い影響を及ぼさない商品」という程の意味合いを理解させるものであって、商品の販売促進を図る際の宣伝文句(キャッチフレーズ)の一種として理解、把握させるに止まるものというべきである。

してみれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を有するものとはいえず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものといわざるを得ない。

2 請求人の主張について

(1)請求人は、「本願商標『みんなにやさしい』の語は、本願に係る指定商品の直接的かつ具体的な品質表示としてのみ機能するものではない。『みんな』や『やさしい』の語が各需要者にとって一義的でないことからも、本願商標は、その指定商品についてあくまで抽象的・暗示的な意味合いを有する標章として感得されるものであるから、『ミンナニヤサシイ』の称呼を生ずる『造語』として自他商品識別力を有するものと解される。」旨主張する。

しかしながら、前記1のとおり、「みんなにやさしい」の文字が、「すべてのものに(対して)おだやかである。」「すべての人に(対して)悪い影響を及ぼさない。」という意味合いを理解させることからすれば、本願の指定商品に係る業界との関係においては、「老若男女のすべてを問わず、刺激が少ないおだやかな効能の商品」「地球環境に配慮し、使う人間に悪い影響を及ぼさない商品」であるということを想起させるものであって、宣伝・広告のための一種の標語、キャッチフレーズとして認識されるものというのが相当である。

そうすると、請求人が主張するように、本願商標が、具体的な品質表示としてのみ機能するものではないとしても、その指定商品について、一種の宣伝文句として認識されるものであるから、自他商品の識別力を有するものということはできない。

(2)また、請求人は、「本願商標の構成からなる語『みんなにやさしい』が、本願指定商品について我が国市場において商標として一般に広く使用される事実は皆無であり、例えば、該語についてインターネット検索を実施したところ、せっけん類の品質を直接具体的に表すものとして普通に使用されている事実は存しない。」旨主張する。

しかしながら、本願商標を構成する「みんなにやさしい」の文字は、指定商品との関係において品質等を直接、具体的に表すものではないとしても、商品の販売促進を図る際の宣伝文句(キャッチフレーズ)として理解されるに止まるものというのが相当であって、該文字が採択されている実情については、別掲のインターネット情報及び新聞記事情報からも窺い知ることができるものである。

なお、平成13年(行ケ)第45号(東京高裁 平成13年6月28日判決言渡)において、「本件において問題となるのは,この語句に接した取引者・需要者が,これを自他役務の識別標識として認識するのか,それとも,これをキャッチフレーズとして理解するのかということである。このことは,この語句がキャッチフレーズとして現に一般に使用されているか否かのみによって決せられるものではない。」と判示されている。

(3)さらに、請求人は、「過去の登録例において、商品の品質や販売促進のためのキャッチフレーズの一類型と把握される可能性があるものであっても、商標全体としては、直接かつ具体的にその指定商品の品質を表示するものとはいえない商標は登録されるべきものとするのが特許庁審査実務であると解される。したがって、その指定商品の品質を直接的かつ具体的に表示するものでない以上、全体をもって造語と認識され、自他商品識別標識としての機能を果たしうるものとして登録されるべきであり、過去の登録例と同様の判断がなされるべきである。」旨主張する。

しかしながら、本願商標は、前記1のとおり、自他商品の識別力を有するものとは認められないものであり、また、過去の登録例については、登録出願に係る商標が、商標登録の要件を具備しているか否かは当該商標の構成態様と指定商品の取引の実情等に基づいて、当該商標の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの登録例に前記認定が左右されるものではない。

(4)したがって、請求人の上記(1)ないし(3)の主張は、いずれも採用することができない。

3 まとめ

以上によれば、本願商標を商標法第3条第1項第6号に該当するものとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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