結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2009−301408(T2009−301408/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第2078059号商標(以下「本件商標」という。)は、「ジェニー」の片仮名と「JENNY」の欧文字とを上下二段に横書してなり、昭和60年9月17日に登録出願され、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料」を指定商品として、同63年5月20日に登録査定、同年9月30日に設定登録され、その後2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成20年8月20日に第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
なお、本件の審判請求の登録は平成22年1月19日にされている。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出している。
本件商標は、その指定商品中「電気通信機械器具」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(1)「携帯電話機用のストラップ」が本件商標の指定商品に含まれないとする理由
「携帯電話サービス」が開始され、「携帯電話機」が商品化、市販されたのは、昭和62年である(甲第2号証)。
なお、携帯電話機が世間一般に普及し始め、政府が「携帯電話所帯普及率」の統計を取り始めたのは、平成5(1993)年である(甲第3号証)。
そうすると、本件商標の出願時には、商品としての「携帯電話機」がそもそも存在しなかったのであるから、「携帯電話機用のストラップ」が存在するはずもない。
したがって、携帯電話機用のストラップは、本件商標の出願時に存在していない商品であるから、本件商標を「携帯電話機用のストラップ」に使用しても、本件商標の指定商品について使用したことにはならない。
(2)通常使用権者が頒布する「携帯電話機用のストラップ」に付された商標(以下「使用商標」という。)は、本件商標と社会通念上同一の商標ではないとする理由
ア 本件商標と使用商標の構成
本件商標は、横書きされた片仮名「ジェニー」と、欧文字「JENNY」よりなる構成である。
一方、使用商標は、横書きされた「JeNny」(語尾の文字は、乙第4号証からは判別し難い文字であるが、被請求人の主張に従って、以下小文字の「y」と表記する。)の文字以外の図形、文字が配置されているので、使用商標は、前記「JeNny」の文字だけではなく、それ以外の図形、文字も使用されている。
イ 本件商標と使用商標の対比
使用商標中、「JeNny」の文字は、本件商標の欧文字の「JENNY」を用い、かつ、「J」及び第3文字目の「N」を大文字のままとし、他の「e」、「ny」を小文字に変更した構成のものである。
使用商標は、「JeNny」のみから構成されているものではなく、その背景にジェニー人形の図形が配置されているものであるから、消費者は、「JeNny」の部分から「ジェニー」と称呼することがあるとしても、前記ジェニー人形という「着せ替え人形のキャラクター」を想起し、観念することになるものである。
本件商標は、「ジェニー」と称呼され、「女性の愛称のひとつとしてのジェニー」という観念が生じる。
本件商標と使用商標とは、「ジェニー」という称呼が同一であっても、使用商標全体から生じる観念が本件商標とは同一ではないのであって、もはや社会通念上同一の商標ではないというべきである。
(3)商標法上の商品該当性について
販促品として配布された「携帯電話機用のストラップ」は、商標法上の商品に該当しないから、使用商標は、本件商標の使用に該当するとはいえない。
ア 商取引の対象でないとする理由
被請求人と通常使用権者との間で行われている「販促品」におけるビジネスモデルは、「販促品」の配布者が被請求人にプロパティ使用料を支払うものであって、「販促品」を媒体とする「広告」はあくまでも、「販促品」の配布者自らのためにするものであるから、「販促品」について商取引が行われているとはいえない。
また、通常使用権者が配布する「携帯電話機用のストラップ」を受け取る消費者と通常使用権者との関係は、従来の「販促品」における「販促品」を受け取る消費者と「販促品」の配布者との関係と何ら変わるところがないから、取引を全体として観察しても、「携帯電話機用のストラップ」が商取引の対象となっているとはいえない。
イ 出所表示機能を保護する必要がないとする理由
商標の出所表示機能を保護する必要性があるのは、商標によって出所を識別する必要性があるということで、その必要性は、商標の付された商品が市場に流通され、需要者の選択の場に晒されるものであることを前提としている。市場に流通しない商品は、需要者がそれを他の商品から区別して選択する必要がないのであるから、市場に流通しない商品に付された商標の出所表示機能を保護する必要性は無いというべきである。「おりがみ事件」及び「BOSS事件」において判示されている。
そこで、通常使用権者の配布する「携帯電話機用のストラップ」が市場に流通するものであるのか否かについて検討すると、答弁書において、通常使用権者は、「携帯電話機用のストラップをジーンズの購入者に抽選によりプレゼントするキャンペーンを行い、ジーンズの販売を促進するという目的で配布した。」としている。
そうすると、この配布は、従来の販促品と同様の配布の仕方の一つであり、通常使用権者からジーンズの購入者に譲渡されるものであって、中間に取引者が介在するものでないこと、ジーンズの購入者が、前記抽選に外れたからといって、同じ販促品を市場で購入することができないのであることに鑑みると、本件の販促品としての「携帯電話機用のストラップ」が市場に流通しているということはできない。
したがって、市場に流通していない販促品としての「携帯電話機用のストラップ」は、従来の販促品と同様に、商標の出所表示機能が保護される必要性がないというべきである。
被請求人は、本件の審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第18号証を提出している。
本件商標は、本件の審判請求の登録前3年以内の期間に、日本国内において通常使用権者がその請求に係る指定商品について使用しているから、商標法第50条第1項の規定に該当しない。
(1)通常使用権者について
被請求人は、株式会社パイロン(以下「パイロン」という。)に対し、2008年3月10日から2008年5月11日までの期間における、本件商標を含むプロパティの使用許諾を行っている(乙第1号証)。
また、被請求人は、タカヤ商事株式会社(以下「タカヤ商事」という。)に対し、2008年5月12日から2008年9月11日までの期間における、本件商標を含むプロパティの使用許諾を行っている(乙第2号証)。
よって、パイロン及びタカヤ商事は、本件商標権に係る通常使用権者である。
(2)通常使用権者の使用について
本件商標に係る通常使用権者であるパイロンは、乙第1号証に記載の使用許諾に基づき、「JeNny」の商標を付した携帯電話機用のストラップ6,000個を製造し、タカヤ商事に納入した(乙第3号証)。
また、本件商標に係る通常使用権者であるタカヤ商事は、乙第2号証に記載の使用許諾に基づき、ジーンズ購入者に上記携帯電話機用のストラップをプレゼントするキャンペーンを日本国内において実施した(乙第4号証)。
以上のように、本件商標に係る通常使用権者であるパイロン及びタカヤ商事は、上記携帯電話機用のストラップについて「JeNny」の商標を使用した。
ここで、本件商標は「ジェニー」の文字と「JENNY」の文字とを横書き上下二段書きしてなるものであり、通常使用権者の使用に係る「JeNny」の商標と同一ではない。
しかしながら、本件商標に係る「ジェニー」が「JENNY」の読みであることは明らかであり、いずれも外国人女性名を想起させるから、仮に「JENNY」の文字のみからなる商標であっても、同一の称呼及び観念を生じ、本件商標と社会通念上同一の商標であるといえる。
そして、上記通常使用権者の使用に係る「JeNny」は、「JENNY」の一部を小文字に変換したにすぎないから、本件商標と同一の称呼及び観念を生じることは明らかであり、本件商標と社会通念上同一の商標である。
よって、通常使用権者の使用に係る「JeNny」の商標は、商標法第50条第1項に規定される「社会通念上同一と認められる商標」に該当する。
また、乙第4号証には、『期間中、お店で該当商品を試着頂いた方の中から抽選で、トートバッグかバスタイムギフトセットを、ご購入された方には抽選で、キャンペーンガールであるジェニーの携帯ストラップをプレゼント。』『期間2008/3/10(月)〜2008/5/11(日)』『買ったらその場で当たる 対象商品をご購入された方の中から抽選でオリジナルジェニーストラップをプレゼント。カードをめくり「おめでとう」が出たらアタリ!』と記載されており、上記携帯電話機用のストラップの配布が、少なくとも2008年3月10日から2008年5月11日までの間に、日本国内において行われたことは明らかである。
また、携帯電話機用のストラップは、本件の審判請求に係る指定商品「電子通信機械器具」に含まれるものである。
よって、本件商標と社会通念上同一の商標が、本件の審判請求の登録前3年以内の期間に、日本国内において通常使用権者がその請求に係る指定商品について使用されているから、商標法第50条第1項の規定に該当しない。
(3)商標法上の商品該当性について
上記携帯電話機用のストラップは、いわゆる販促品として配布されたものであり、独立して商取引の対象となるものではないため、商標法上の「商品」に該当しないとする請求人の主張も想定される。よって、念のため、上記携帯電話機用のストラップが商標法上の「商品」に該当することについても説明する。
平成19年(行ケ)第10008号判決は、以下のように判示している。
すなわち、上記判決においては、商標法上の「商品」というためには、必ずしも有償である必要はなく、以下の要件を満たせばよいと判示された。
(ア)商取引の対象であること(取引を全体として観察して,「商品」を対象にした取引が商取引といえるものであれば足りる)
(イ)出所表示機能を保護する必要のあること
まず、(ア)の点について検討すると、乙第4号証に示すように、通常使用権者であるタカヤ商事は、上記携帯電話機用のストラップをジーンズ購入者に抽選によりプレゼントするキャンペーンを行い、ジーンズの販売を促進するという目的で上記携帯電話機用のストラップを配布した。
この携帯電話機用のストラップは、その対価を直接的に消費者から得る目的で配布されたものではないものの、この携帯電話機用のストラップを配布することによりジーンズの売り上げを増大させ、これによって上記携帯電話機用のストラップの経費を賄うとともに、利益を得る目的で配布されたことは明らかである。
すなわち、直接的に対価を得るのか、間接的に対価を得るのか、という違いはあるとしても、上記携帯電話機用のストラップの配布により利益を得る目的は明らかであるから、取引を全体として観察した場合には、上記携帯電話機用のストラップが商取引の対象であることは明らかである。
また、(イ)の点について検討すると、通常使用権者であるパイロン及びタカヤ商事が、本件商標の使用許諾契約を締結するに至ったことを見ても、本件商標に強い顧客吸引力があることは明らかであるから、本件商標と関係のない第三者が使用すれば、築き上げた信用にフリーライドされたり、希釈化されたりする事態が起こり得ることも明らかである。
よって、本件商標を付した上記携帯電話機用のストラップの出所表示機能を保護する必要のあることは明らかである。
以上説明したように、上記携帯電話機用のストラップが商標法上の「商品」に該当することは明らかである。
(4)まとめ
以上より、本件商標と社会通念上同一の商標が、本件の審判請求の登録前3年以内の期間に、日本国内において通常使用権者がその請求に係る指定商品について使用されているから、商標法第50条第1項の規定に該当しない。
(1)「携帯電話機用のストラップ」が、本件商標の指定商品に含まれないとする理由に対する反論
ア 「本件商標の出願時に存在していない商品であるか否か」と、「指定商品に含まれる商品であるか否か」とが、同じ基準で判断されるべきものでないから、請求人の主張は論理的根拠を欠いている。
むしろ、指定商品が同じであっても、出願日等が異なることによって指定商品の範囲が異なることが許されれば、客観的に指定商品を解釈することが不可能となり、著しく法的安定性を欠くことになる。
イ 請求人の提出する甲第2号証によれば、「肩掛けタイプのショルダーホン」は、本件の出願と同時期の昭和60年9月に発売されている。この「肩掛けタイプのショルダーホン」も携帯可能な電話である。例えば、乙第6号証ないし乙第9号証に示すように、多くの需要者が「ショルダーホン」を「携帯電話」として認識している。
また、「肩掛けタイプのショルダーホン」には、これを肩にかけるためのストラップがついており(乙第9号証及び乙第10号証)、「携帯電話用のストラップ」が本件商標の出願時に存在していたことが推測できるから、請求人の主張は誤りである。
さらに、本件商標の出願時においても、海外では、既に「手持ち型の携帯電話」が発売されていた(乙第13号証)。
(2)使用商標が本件商標と社会通念上同一の商標ではないことについての反論
使用に係る「JeNnY」商標は、本件商標と同一の称呼及び観念を生じるものであり、本件商標と社会通念上同一の商標である。
このことは、見積書(乙第5号証)では、実際の使用に係る「JeNnY」ではなく、「ジェニー」と記載されており、これらが互換的に使用されている。
(3)商標上の商品該当性についてに対する反論
本件商標を付した携帯電話機用のストラップに販促品としての側面があるとしても、当該販促品は、商標権者又は通常使用権者の商品を売るための販促品ではなく、商標権者及び通常使用権者以外の他人(タカヤ商事)の商品を売るための販促品である。
このように、本件商標を付した携帯電話機用のストラップは、タカヤ商事が販売するジーンズとは切り離されて対価を持って取引されており、独立して商取引の対象となっている。
(4)出所表示機能を保護する必要がないとすることについての反論
入手方法が限られているからといって、直ちに出所表示機能が保護される必要がないといえないから、請求人の主張は根拠がない。
また、タカヤ商事が、ジーンズの販売を促進するために本件商標を付した携帯電話機用のストラップを配布したのは、前記ストラップ自体に交換価値を認め、自他商品識別力があると認めたからに他ならない。そうでなければ、自社商品と関係のない携帯電話機用のストラップをわざわざ購入して配布する必要はない。
このことからも、本件商標に強い顧客吸引力があることは明らかであるから、本件商標と関係のない第三者が使用すれば、築きあげた信用にフリーライドされたり、希釈化されたりする事態が起こり得ることも明らかである。
ところで、タカヤ商事が販売するジーンズには「Hip star Angel」との商標が用いられており(乙第1号証、乙第3号証及び乙第4号証)、本件商標とは全く異なる商標が用いられている。
しかも、本件商標は著名であり、高い識別力を有するから、携帯電話機用のストラップに付された本件商標を消費者がみたとしても、本件商標をジーンズの出所を表示するものと認識することはあり得ない。
以上のように、本件商標は、高い識別力及び顧客吸引力を有するとともに、携帯電話機用のストラップの出所を表示するものとして機能しているから、本件商標を付した携帯電話機用のストラップの出所表示機能を保護する必要がある。
審判長は、被請求人に対し、平成23年2月10日付けで、相当の期間を指定して以下の内容の審尋を発した。
(1)被請求人は、「乙第4号証に示すように、通常使用権者であるタカヤ商事は、ジーンズ購入者に携帯電話機用のストラップを抽選によりプレゼントするキャンペーンを行い、ジーンズの販売を促進するという目的で当該携帯用のストラップを配布した。当該携帯用のストラップは、その対価を直接的に消費者から得る目的で配布されたものではないものの、当該携帯用ストラップを配布することによりジーンズの売り上げを増大させ、これによって当該携帯用ストラップの経費を賄うとともに、利益を得る目的で配布されたことは明らかである。すなわち、直接的に対価を得るのか、間接的に対価を得るのかという違いはあるとしても、当該携帯電話機用ストラップの配布により利益を得る目的は明らかであるから、取引を全体として観察した場合には、当該携帯電話機用のストラップが商取引の対象であることは明らかである。」旨、主張している。
(2)しかしながら、商標は、主たる機能として商品、役務の出所を表示し、自他商品、役務を識別させる機能を有しており、商品、役務の品質を需要者、取引者のために保証する機能及び宣伝広告機能を有する。ここにいう商品、役務とは、必ずしも有償である必要はないが、一般に、販促品に付された商標は、専らその販促品とは別の当該企業が扱う商品、役務の宣伝広告のために付されるものであって、販促品を登録商標の指定商品とする限りについてみれば、これに接する取引者、需要者に対して、商標が一般に有する自他商品(役務)識別機能を有するものではなく、もとより、販促品の品質を保証し、その宣伝広告をするために付されるものではない(東京高等裁判所、平成12年(行ケ)第335号参照)。
これを、乙第4号証についてみるに、乙第4号証の1枚目には、「春の着ごこちキャンペーン」の見出しの下、「女性デザイナーによる女性のためのジーンズブランド『スウィートキャメル』が“春の着ごこちキャンペーン”を開催致します。期間中、お店で該当商品を・・・ご購入された方には抽選で、キャンペーンガールであるジェニーの携帯ストラップをプレゼント。」と記載があり、同号証の2枚目には、「2.買ったらその場で当たる」の見出しの下、「対象商品をご購入された方の中から抽選でオリジナルジェニーストラップをプレゼント。カードをめくり『おめでとう』が出たらアタリ!」の記載とともに、「携帯電話機用ストラップ」の写真が表示されている。 以上の認定事実よりすれば、乙第4号証の携帯電話機用ストラップは、ジーンズ製の商品の販売を促進するのための販売促進品(販促品)であり、当該携帯電話機用ストラップに付された商標は、専ら当該ジーンズ製の商品の宣伝広告のために付されているものと認められる。
してみれば、当該携帯電話機用ストラップは、これに接する取引者、需要者に対して、商標が一般に有する自他商品識別機能を有するものではなく、もとより、当該携帯電話機用ストラップに付された商標は、当該携帯電話機用ストラップの品質を保証し、その宣伝広告をするために付されるものではない。
したがって、乙第4号証をもってしては、本件商標を本件審判請求に係る指定商品につき使用したとの事実があったものとは認められないというべきである。
(1)被請求人は、「本件商標に係る通常使用権者であるパイロンは、乙第1号証に記載の使用許諾に基づき、『JeNnY』の商標を付した携帯電話機用のストラップ6,000個を製造し、タカヤ商事に納入した(乙第3号証)。そしてパイロンは、『JeNnY』の商標を付した携帯電話機用のストラップ6,000個を納入した対価を受けた(乙第5号証)。」旨主張している。
(2)しかしながら、乙第3号証は、被請求人の内部資料にすぎないため客観的な証拠であるとはいえない。
また、乙第5号証は、パイロンによる見積書にすぎないものであるから、見積書が作成された後、実際に取引が行われたか否か不明である。
したがって、乙第3号証及び乙第5号証によっては、被請求人の主張する上記(1)の取引が実際に行われたとの事実を認めることができない。
また、乙第3号証の「商品名」の欄には「キャンペーングッズ製作ロイヤリティ」と記載があり、乙第5号証の「内容」の欄には「ストラップ製作ライセンス(制作費の10%)」と記載があるが、これらの記載は、パイロンからタカヤ商事への納入物が何であったかを具体的に表しているとはいえないから、当該納入物が「携帯電話機用のストラップ」であったということができない。
したがって、乙第3号証及び乙第5号証によっては、被請求人の主張する上記(1)の取引の納入物が「携帯電話機用のストラップ」であるとの事実を認めることができず、また、当該納入物に「JeNnY」の商標が付されていたとの事実も認めることができない。
(1)取引書類として、納品書、請求書及びキャンペーングッズ製造報告書(乙第16号証ないし乙第18号証)を提出する。
乙第17号証に係る株式会社トランスとタカヤ商事との間の取引が、乙第18号証に係るパイロンと被請求人との間の本件商標の通常使用権許諾契約、及び乙第5号証に係るパイロンとタカヤ商事との間の契約に基づいて行われたことは明らかである。
このように、株式会社トランスは、パイロンの有する本件商標の通常使用権に基づいて携帯電話機用のストラップを製造した下請けにすぎないから、事実上は、通常使用権者であるパイロンが携帯電話機用のストラップに係る取引を行ったといえる。
(2)取引における納入物が「携帯電話機用のストラップ」であったことは、乙第16号証及び乙第17号証から推察できる。
なお、上記証拠においては、品名が「携帯クリーナー」と記載されているが、乙第15号証が示すように、当該携帯電話機用のストラップの裏面がクリーナーとしての機能を持っているためである。
また、乙第16号証記載の納入日の4日後に「携帯電話機用のストラップ」に係るキャンペーンが開始された事実(乙第4号証)をみても、前記クリーナーが「携帯電話機用のストラップ」であることは十分に推認できる。
(3)当該「携帯電話機用のストラップ」に「JeNny」商標が付されていたことは、乙第18号証に「貴社管理・所有のキャラクターを使用して、キャンペーングッズの製造を行いましたので下記のとおり、報告させていただきます。キャラクター名:JeNnY 使用料率:10% 商品カテゴリー:キャンペーングッズ」「(商品名)ジェニーオリジナルストラップ」との記載があることや、携帯電話機用のストラップの実物に「JeNnY(R)」の記載があること(乙第15号証)からも明らかである。
以上のとおり、各乙号証によれば、「JeNnY」商標が付された「携帯電話機用のストラップ」が本件商標の通常使用権者によって取引されていた事実は明らかである。
(1)乙第1号証は、商標権者(甲)とパイロン(乙)との2008年3月10日付け「プロパティ使用許諾契約書」であり、同契約書には、「甲と乙とは、甲が保有及び管理しているプロパティを、タカヤ商事(丙)の実施する宣伝広告に使用することに関して、別掲(1)のとおりである。
(2)乙第2号証は、商標権者(甲)とタカヤ商事(乙)との2008年4月1日付け「プロパティ使用許諾契約書」であり、同契約書には、「甲と乙とは、甲が保有及び管理している本件プロパティを、自己の実施する宣伝広告に使用することに関して、別掲(2)のとおりである。
(3)乙第4号証は、「春の着ごこちキャンペーン−JeNnY meets Hip star Angel−」と表示されたウェブサイトの紙出力であり、その1枚目には、青空の下の野原にキャンペーンガールとされるジニーとおぼしき人形13体を配した風景が表され、同風景の下には「JeNnY meets Hip・star Angel/Low・rise Jeans」と記載され、その下には「女性デザイナーによる女性のためのジーンズブランド『スウィートキャメル』が“春の着ごこちキャンペーン”を開催致します。期間中、お店で該当商品を試着頂いた方の中から抽選で、トートバッグかバスタイムギフトセットを、ご購入された方には抽選で、キャンペーンガールであるジェニーの携帯ストラップをプレゼント。この機会に是非、スウィートキャメルのはき心地をお試し下さい。」との記述がなされ、キャンペーン対象商品 「SweetCamel」の表示並びにジーンズの写真とともに「GENTLE」「LADY」及び「DESIGNLADY」の表示、期間 2008/3/10(月)〜2008/5/11(日)、2枚目には、「2.買ったらその場で当たる」の見出しの下に「対象商品をご購入された方の中から抽選でオリジナルジェニーストラップをプレゼント。カードをめくり「おめでとう」が出たらアタリ!」と記載され、その右側にジェニーとおぼしき人形の図柄が配され、その胸部には、不鮮明であるが、前記1枚目の風景の下に表された文字を4段に表示されたようなストラップ見本が記載されている。
(4)乙第15号証は、ジェニーとおぼしき人形の図柄が配され、その胸部に「JeNnY」、「meets」、「Hip star Angel」、「Low・rise Jeans」と4段に表された文字が付された携帯クリーナーの写真、及びその裏面の写真である。
(5)乙第16号証及び乙第17号証は、株式会社トランスからタカヤ商事にあてた2008年3月6日付けの品名を「携帯クリーナー」、数量を「6000ケ」とする納品書及び請求書である。
(6)乙第18号証は、平成20年3月3日付けのパイロンから被請求人あての「キャンペーングッズ製造報告書」であり、「貴社管理・所有のキャラクターを使用して、キャンペーングッズの製造を行いましたので下記のとおり、報告させて頂きます。」、「キャラクター名」が「JeNnY」、「商品名」が「ジェニーオリジナルストラップ」、「数量」が「6000」、「配布予定日」が「2008年3月10日から2ヶ月間」、「使用目的」として、「タカヤ商事の行なう『春の着ごこちキャンペーン』において、対象商品購入者に抽選でプレゼント。」等と記載されている。
そして、株式会社トランスは、2008年3月6日に「携帯クリーナー」6,000個をタカヤ商事に納品(乙第16号証)し、パイロンが商標権者にあてた「キャンペーングッズ製造報告書」(乙第18号証)の内容から前記「携帯クリーナー」は、タカヤ商事のジーンズの宣伝広告のためのキャンペーンに使用され、ジーンズを購入した者にのみ抽選であたる「オリジナルジェニーストラップ」(乙第4号証)であるといえる。
そうとすると、「オリジナルジェニーストラップ」は、本件審判の請求に係る指定商品中に属する「携帯電話機用のストラップ」であり、該ストラップに付された「JeNnY」の文字は、本件商標と社会通念上同一の商標といえる。
しかしながら、商標権者の許諾した使用権は、あくまでもタカヤ商事の製造・販売に係るジーンズの宣伝広告の範囲であって、宣伝広告用に製造され
た携帯電話機用のストラップは、タカヤ商事の実施するジーンズの販売促進のために顧客に無償配布されるものであるから、該ストラップは、タカヤ商事の販売するジーンズの販売促進するための景品としてプレゼントされる販促品とみるのが相当である。
ところで、一般に、販促品に付された企業名は、専らその販促品とは別の当該企業が扱う商品、役務の宣伝広告のために付されるものであって、販促品を登録商標の指定商品とする限りについてみれば、これに接する取引者、需要者に対して、商標が一般に有する自他商品(役務)識別機能を有するものではなく、もとより、販促品の品質を保証し、その宣伝広告をするために付されるものではない(東京高等裁判所、平成12年(行ケ)第335号、平成13年2月27日判決参照)と判示されている。
そうしてみると、景品としてプレゼントされる販促品の「携帯電話機用のストラップ」に付された「JeNnY」の標章は、専らその販促品である「携帯電話機用のストラップ」とは別のタカヤ商事が扱う商品の宣伝広告のために付されるものであって、販促品を本件商標の指定商品とする限りについてみれば、これに接する取引者、需要者に対して、商標が一般に有する自他商品識別機能を有するものではなく、もとより、販促品の品質を保証し、その宣伝広告をするために付されるものではなく、すなわち、商標として機能しないというべきである。
そこで、被請求人の主張する取引についてみると、商標権者とパイロン及びタカヤ商事との間での使用許諾契約書が、タカヤ商事のジーンズの宣伝広告に「ジェニー」を販促品とする内容であり、当該契約書に基づいてパイロンが株式会社トランスに製造を依頼したものであって、携帯電話機用のストラップには、ジェニーとおぼしき人形の図柄が配され、その胸部に「JeNnY」、「meets」、「Hip star Angel」、「Low・rise Jeans」と4段に表示(乙第15号証)されたものが、タカヤ商事に納品(乙第16号証)した事実を独立した取引と主張しているところ、該ストラップに付されている文字は、タカヤ商事のジーンズの広告に使用されている文字と同一であり、また、該ストラップは、ジーンズの購入者だけが抽選でプレゼントされるものであるから、携帯電話機用のストラップに付された標章は、専ら当該ジーンズの宣伝広告のために付されたものといえ、タカヤ商事以外の取引者を想定して製造したものではなく、市場に流通することを前提とした一般の商取引における商品とはいえない。
その他に、商品として取引されている事実も見いだせない。
したがって、この点に関する被請求人の主張は採用の限りでない。
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていたことを証明し得なかったのみならず、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「電気通信機械器具」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。