Trademark Appeal Case
著名人名の商標登録と公序良俗
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成6年審判第6837号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第16類「織物,編物,フェルト,その他の布地」を指定商品として平成4年3月24日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、世界的に著名なスペインの画家、故『Pablo Picasso』の著名な略称である『Picasso』の文字よりなるところ、出願人の提出に係る『著作権者の承諾を得ていることの説明書』からは、出願人はもとより、著作権を有するとされている米国法人のいずれも『Pablo Picasso』の遺族の承諾を得ているものとは認められないので、これを出願人が商標として採択使用することは穏当でない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する」として拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、該文字は、スペインの画家として世界的に著名なピカソの署名と認められるものである。
そして、「ピカソ」は故人ではあるがその名声はその後も衰えるところなく、しかも、遺族が現存しているところである。
しかして、我が国において、その名称、氏名又はそれらの略称をもって著名な者と無関係な者が、その承諾なしに前記の名称等からなる商標について登録を受けることは、当該名称等に係る者の名声を冒用して不正な利益を得るために使用する目的、その他不正目的をもって登録出願されたものと認められる限り、商取引秩序を乱すものであり、ひいては国際信義に反するものとして、公序良俗を害する行為と言うべきであるから、同第7号に該当すると解すべきである(平成10年(行ケ)第11号・第12号東京高裁同11年3月24日言渡参照)。
これを本願商標についてみれば、本願商標を登録することはピカソの名声に便乗し、指定役務についての使用の独占を図るものであって不正の目的が認められ、かつ、世界的に著名な画家の名声を一私人たる請求人が、遺族の承諾もなく商取引に使用することは、故人の名声・名誉を傷つけるおそれがあるばかりでなく、商取引秩序を乱すものであって、我が国の国際的な信頼も損なうおそれがあると言うべきであり、ひいては国際信義に反するものとして、公序良俗を害する行為と言わざるを得ないから、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当すると判断するのが相当である。
なお、請求人は、米国Museum Boutique IntercontinentaI Ltd.,New York(以下「MBI社」という。)と著作権に関する契約を結び、日本国における署名Picassoを含む意匠的商品を製造し、販売し、広告すること及び、それらを管理し、請求人名義で署名Picassoを日本国特許庁に登録する権利を排他独占的に許諾されており、画家ピカソの遺族たちは、MBI社の契約行為に承諾しているから、出願人は間接的に、画家ピカソの遺族たちから署名「Picasso」を特定の商品に付することの承諾を得ていることになっている旨主張し、証拠方法として、原審における平成5年11月19日提出の上申書の「上申の理由」の証拠として提出している第1号証ないし第6号証を援用し、本審判において第7号証を提出している。
しかしながら、第1号証ないし第7号証よりは、請求人とMBI社とは、「Picasso」に関して一定の契約を行っていることは伺えるが、現存するピカソの遺族全員がMBI社にMBI社又は出願人が「Picasso」の文字を商標として登録することを承諾していることを確認することができない。そして、当審において平成11年12月2日付審尋書により、請求人が「Picasso」の文字からなる商標の商標登録を受けることについてピカソ氏の現存する相続人が承諾していることを証明されたい旨、審尋したが、請求人からは、何らの応答もない。
してみれば、請求人が本願商標の登録を受けることについて、ピカソの相続人が承諾しているとは認められない。
したがって、本願商標を商標法第4条第1項第7号に該当するものとして拒絶した原査定は、妥当であり取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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