Trademark Appeal Case
記述的商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2011−19900(T2011−19900/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「Poire」の欧文字及び「ポワレ」の片仮名を上下二段に書してなり、第33類「洋酒,果実酒」を指定商品として、平成22年10月21日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『洋なし』又は『洋なし酒』を意味する『Poire』及び『ポワレ』の文字を上下二段に普通に用いられる方法で表してなるから、本願商標をその指定商品中『洋なし入りの洋酒,洋なし酒』に使用しても、単に該商品の品質を表示したものと認識するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないもので、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は、前記1のとおり「Poire」及び「ポワレ」の文字を上下二段に書してなるところ、「Poire」は、「洋ナシ酒(蒸留酒)」を意味する語(文字)であって、また、該酒は我が国においては一般に「ポワレ」と称されているものである。
そして、本願商標を構成する「Poire」及び「ポワレ」の文字(語)が、本願の指定商品を取り扱う業界において「洋ナシの蒸留酒(発泡酒)」を表すものとして実際に使用され、またその旨の説明がされていることは、例えば以下の辞書類及びインターネット情報からも確認できる。
ア 辞書類における記載について
(ア)「小学館ロベール仏和大事典」の「poire」の項に「ペリー,ポワレ:洋ナシから作る発泡性フルーツワイン。」の記載(発行所:株式会社 小学館)。
(イ)「必携 ワイン基礎用語集」の「ポワレ Poire」の項に「洋ナシの醸造酒。カルヴァドスの原料になるが、法規上ポワレの使用はシードルに対して15%までと規定されている。」の記載(発行所:株式会社 柴田書店)。
(ウ)「総合 調理用語辞典」の「ペリー」の項に「なし酒のこと。洋ナシの果汁を発酵させて造るフルーツワイン。仏名ポワレ。」の記載(編集発行人:社団法人 全国調理師養成施設協会)。
イ インターネット情報の記載について(下線は当合議体が付記)
(ア)フリー百科事典「ウィキペディア」には、「ペリー (酒)」について「ペリー(英:perry)もしくはペアサイダー(英:pear cider)は、梨の果汁を発酵させた酒である。
日本ではポワレ(仏:poire)の表記も見られる。
」の記載。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%AA%E3%83%BC_(%E9%85%92)
(イ)辻調グループ総合情報サイト「tsujicho.com」の「『食』のコラム&レシピ」の「【とっておきのヨーロッパだより】ノルマンディーのりんごのお酒」と題する2010年3月10日のコラムに、「ノルマンディーでは洋なしを使ったお酒も有名である。」として「ポワレ・ドンフロン(Poire Domfront)
ポワレはシードルと同様に洋なしの絞り汁を自然発酵させて造る発泡酒。
ドンフロンはオルヌ県の南西部の町の名前で、ポワレ用の洋なしの栽培で有名です。」と紹介されている。
http://www.tsujicho.com/column/cat/post-157.html
(ウ)「リキュールディクショナリー」と題するサイトに、「洋梨のリキュールの一般的なつくりかたは、収穫されたばかりの梨のうち、果汁を多く含む果実だけを選んで粉砕して発酵させるところから始まります。
発酵済みのものはポワレ(poire)と呼び、梨の醸造酒としてそのまま飲まれる場合もあります。
」の記載。
http://liqueurdic.blog.fc2.com/?m&no=43
(エ)レストラン「ル・モンサンミシェル」のサイト、「ノルマンディー地方の食文化」の「シードル」について「ドンフロンテのポワレ ・・・カルヴァドスの銘醸地ドンフランテは、
梨のシードル(ポワレ)で有名です。ポワレとは梨の果汁を発酵させて作ったアルコール飲料
で、・・・」の記載。
http://www.creperie-mont-st-michel.com/jp/sas/about/normand_products/
(オ)販売店における「poire」及び「ポワレ」の使用について
a 「有限会社中升」の「7月の試飲会」の取扱商品「パコリ ポワレ・ドンフロン ’09」について、「
Poire:ポワレ・・・その名の通り洋梨(ポワレ)で造られる微発砲の果実酒。
」との説明。
http://homepage2.nifty.com/nakamasu/tasting/tast121.htm
b 【楽天市場】の「タカムラ株式会社」のサイトでは、「シードルとポワレについて」として「シードルはりんご、
ポワレは洋ナシから作られる発泡酒です。
」と説明され、取扱商品として「ポワレ・グラニット エリック・ボルドレ(ポワレ・辛口)」及び「ポワレ・オーセンティック エリック・ボルドレ(ポワレ・中口)」が紹介されている。
http://item.rakuten.co.jp/wine-takamura/c/0000005994/
c 「有限会社 タケダワイナリー」の「Winery通信(2010年夏号)」において、「タケダワイナリー サン・スフル シードル・エ・ポワレ発泡ドライ」について、「葡萄のお酒が『ワイン』で林檎が『シードル』、
西洋梨で造ると『ポワレ』
。」と説明されている。
http://www.takeda-wine.co.jp/renewal_33.html
d 「SUPERMARKET 成城石井」のワイン通販のサイトに取扱商品(現在在庫切れ)として「モン サン ミシェル ポワレ」が掲載され、「
100%フランス産の洋ナシで作られたスパークリングワイン。
」と説明されている。
http://www.seijoishii.com/d/58875?PHPSESSID=8879d0dd05a66cda1f9bf93c046afe1c
e (有)佐藤商店オンラインショップのサイトには、「ポワレ・ドンフロン 洋ナシ微発泡酒」が掲載され、「生産者 パコリ」、「・・・家畜を育てる傍ら、
リンゴと洋ナシから・・・、ポワレ、カルヴァドスを造っていました。
」と説明されている。
http://satosyo1941.shop-pro.jp/?pid=32185427
また、「ポワレ・ドンフロン(Poire Domfront)」は、「奈良の地酒屋 登酒店(株式会社 登酒店:http://www.nobori-sake.com/shouhin/wine/france/normandy/pacory/item.html)」、「Wine Shop WINEHOLIC(有限会社アンソリット:http://item.rakuten.co.jp/wineholic/5721/?s-id=sblog_rci)」、「自然派ワイン&地酒の専門店 オネストテロワール(吉田酒店:http://terroir.shop-pro.jp/?pid=37917255)」等でも取り扱われている。
以上のとおり、本願商標を構成する「Poire」及び「ポワレ」の各文字(語)は、「洋ナシの蒸留酒(発泡酒)」を表すものとして一般に使用されているものであることからすれば、本願商標をその指定商品中の「洋ナシを原料とする洋酒及び果実酒」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、単に該商品の品質を表したものと認識するにすぎないものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たすものとは理解し得ないとみるのが相当である。また、本願商標を前記商品以外の「洋酒及び果実酒」に使用するときは、該商品が「洋ナシの蒸留酒(発泡酒)」であるかのように商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、「本願商標は、すでに使用を開始しており、現実の商品取引経路において、一定の顧客吸引力を持つようになっており、このことは自他商品の識別機能を発揮している事実があることを意味している。」と主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証(枝番号を含む。以下同じ。)を提出している。
そして提出に係る甲各号証によれば、2010年に1商品から取り扱いを開始した「ポワレ」は、翌2011年には7商品を取り扱い、約1,458万円(8,969本)を売り上げた(甲1の4)こと、当該「ポワレ」についての看板やポスター、パネル等を作成し、そのポスター等を百貨店等における店頭販売において使用し(甲1及び甲2)、また、複数の雑誌に「ラシャス」の「ポワレ」が紹介され(甲3)、カタログ(高島屋及び伊勢丹:甲4)や、ネット上のブログ等に掲載された(甲5)ことが認められる。
しかしながら、「ポワレ」は、前記(1)で示したとおり「洋ナシの発泡酒」を表示するものとして普通に使用されているものであり、また、提出に係る甲各号証における使用においても、「ポワレ」の語は請求人に係る商品を表示するものというよりは、当該商品が「洋ナシで作られた発泡酒(ポワレ)」であることを表しているというのが相当である。そして、このことは請求人の提出した証拠中の、例えば「洋梨100%のスパークリングポワレ」(甲5の1の2)、「ほかにも、ポワレ界のドンペリ!?」(甲5の2の3)及び「ノルマンディーのある地方でのみ作られるポワレは、その限られた生産量のためフランス国内でも知る人ぞ知る、希少なスパークリングです。」(甲5の5の1)等の記載や、お酒のジャンルとして「【ジャンル】シードル(リンゴの発泡酒)」と同列で「【ジャンル】ポワレ(洋梨の発泡酒)」(甲5の9の2)と記載されていることからも明らかである。
そうとすれば、請求人の提出した証拠によっては、本願商標が、請求人の業務に係る商品を表すものとして、自他商品の識別機能を発揮しているとは認めることができないものであり、また、前記(1)イのとおり、「ポワレ」及び「Poire」の語が、「洋梨の発泡酒」を表示するものとして、請求人以外の者によって普通に使用されていることからしても、請求人の主張は採用することができない。
(3)まとめ
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条1項16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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