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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2012−900026(T2012−900026/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5447617号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5447617号商標(以下「本件商標」という。)は、「共立アイコム」の文字を標準文字で表してなり、平成23年4月8日に登録出願、第40類「紙の加工,食料品の加工,製本,グラビア製版,材料を特定しない総合的な材料処理情報の提供,印刷,印刷用機械器具の貸与」を指定役務として、同年9月12日に登録査定、同年10月28日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)登録第3010296号商標(以下「引用商標1」という。)は、「アイコム」の片仮名を横書きしてなり、平成4年9月25日に登録出願、第40類「布地・被服又は毛皮の加工処理(乾燥処理を含む),裁縫,ししゅう,電気めっき,フライス削り,焼きなまし,焼戻し,溶融めっき,映画用フィルムの現像,写真の引き伸ばし,写真の焼付け,写真用フィルムの現像,製本」を指定役務として、同6年11月30日に設定登録され、その後、同16年6月8日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

(2)登録第3091905号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成4年9月25日に登録出願、第40類「布地・被服又は毛皮の加工処理(乾燥処理を含む。),裁縫,ししゅう,電気めっき,フライス削り,焼きなまし,焼戻し,溶融めっき,映画用フィルムの現像,写真の引き伸ばし,写真の焼付け,写真用フィルムの現像,製本」を指定役務として、同7年10月31日に設定登録され、その後、同17年5月24日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

(3)登録第5443952号商標(以下「引用商標3」という。)は、「ICOM」の欧文字を標準文字で表してなり、平成23年3月29日に登録出願、第40類「布地・被服又は毛皮の加工処理(乾燥処理を含む),金属の加工,ゴムの加工,プラスチックの加工,紙の加工,製本,グラビア製版,印刷」を指定役務として、同年10月14日に設定登録されたものである。

(以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)

3 登録異議の申立ての理由(要旨)

申立人は、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第17号証(枝番号を含む。)を提出している。

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「共立アイコム」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成全体として、特定の意味合いを有する成語、熟語ではなく、また、前半部分が漢字、後半部分が片仮名により構成されていることから、「共立」の漢字部分と「アイコム」の片仮名部分とは、視覚上、分離して看取されるものであり、さらに、前者が辞書に掲載されている平易な日本語であるのに対し、後者は、後述するとおり、申立人の業務に係る商品を指称するものとして、取引者、需要者間において著名となっている造語であって、本件商標の構成中、最も強い識別力を有する部分である。

そうすると、本件商標は、その構成全体に相応する称呼を生ずるほか、その構成中の「アイコム」の文字部分から「アイコム」の称呼をも生じ得るものである。

他方、引用商標は、前記2の(1)ないし(3)のとおり、「アイコム」、「iCOM」及び「ICOM」の文字を横書きしてなるものであるから、いずれからも「アイコム」の称呼を生ずるものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、「アイコム」の称呼を共通にする類似の商標である。

また、本件商標と引用商標1とを比較すると、本件商標は、その構成中に申立人の周知商標である引用商標1「アイコム」を含むことから、両商標は、外観上、互いに類似するものである。

さらに、本件商標と引用商標とは、いずれも辞書等に掲載されていない造語であって、特定の観念を生じないものであるから、両商標は、観念については比較すべきところがない。

そして、本件商標の指定役務中の「製本」は、引用商標1及び引用商標2の指定役務中の「製本」と抵触するものであり、また、本件商標の指定役務中の「紙の加工,製本,グラビア製版,印刷」は、引用商標3の指定役務中の「紙の加工,製本,グラビア製版,印刷」と抵触する。

以上のことから、本件商標は、引用商標と類似し、その指定役務も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第15号について

ア 引用商標の著名性

(ア)申立人は、アマチュア無線機器等の製造、販売を主たる目的として、昭和39年7月に設立された会社であり、その後、この分野における積極的な研究開発、営業活動により、長年にわたって無線機器業界トップレベルの販売シェアを維持し、これまでに東証及び大証の二部及び一部へ上場している(甲第7号証)。

また、申立人は、国内に複数の営業所並びに事業所、研究所及び関連会社を有するほか、海外にも複数の関連会社を有している(甲第7号証)。

さらに、2007年3月期ないし2011年3月期の売上高は、225億円ないし331億円で推移している(甲第7号証)。

(イ)申立人は、長年、自己の業務に係る商品等に商号及び登録商標である「ICOM」、「アイコム」及び「iCOM」を使用しており、業界誌や専門家向け雑誌への広告の掲載、看板の設置を行うほか、2008年から2011年1月末まで、セレッソ大阪のオフィシャルサプライヤーとして無線機器を提供し、広告看板を掲示する等、製品の宣伝広告に努めている(甲第8号証及び甲第9号証)。

また、2010年1月及び2012年1月から放送されたフジテレビ系列の2つのドラマにおいて、申立人の製品が使用され、引用商標2と同じ構成からなる標章が画面上に表示された(甲第10号証)。

さらに、ハムフェアー、危機管理産業展、ボートショー等への出展、アマチュア無線に関するウェブマガジン「BEACON」の発行等、無線器及び無線技術によるビジネス用無線LAN・IP電話ソリューション等の普及に努めている(甲第11号証及び甲第12号証)。

加えて、東北地方太平洋沖地震への活動支援として、無線通信機600台を無償提供するほか、ハイチにも緊急連絡用無線機約150台を寄贈する等、社会貢献活動も積極的に行っている(甲第13号証)。

(ウ)申立人は、主力商品である陸上業務用無線機を全世界で販売しているところ、その市場は、モトローラ(世界1位)及びケンウッド(同2位)との3社体制で寡占状態であり、また、近年は、無線通信方式のデジタル化を踏まえて携帯型のデジタル簡易無線機の販売を開始したほか、タクシー業務用無線機の販売を始める等、市場拡大を図っている(甲第14号証)。

(エ)申立人の数多くの商品がGOODデザイン賞を受賞しており(甲第15号証)、海外においても、大手百貨店やソルトレークシティ冬季五輪への業務用ハンディトランシーバーの納入、米国防省による採用等、さまざまな方面で高い評価を受けている。

(オ)「ICOM」及び「アイコム」は、少なくとも1969年12月頃から申立人が使用してきたハウスマークであり、これらの標章は、審査、審判において、申立人の著名な商標である旨認定されており、また、日本国周知・著名商標に掲載されているものである(甲第16号証及び甲第17号証)。

(カ)以上のとおり、「ICOM」及び「アイコム」の標章は、本件商標の登録出願時から登録査定時に至るまで、申立人の業務に係る商品等を示す表示として、全国的な著名性を獲得するに至っている。

イ 出所の混同を生ずるおそれ

本件商標の構成中、「アイコム」の文字部分が最も強い識別力を有することは、上記(1)のとおりであり、また、「アイコム」の文字が、申立人の業務に係る商品等を示す表示として、全国的に著名であることは、上記(2)のア(カ)のとおりである。

そうすると、申立人の著名な標章である「アイコム」の文字を含む本件商標をその指定役務に使用した場合、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれがある。

ウ 小括

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第19号について

申立人の著名な商標を構成要素とする本件商標が使用されると、申立人の商標の出所表示機能を希釈させるばかりか、申立人の名声を毀損させるおそれがある。

また、本件商標権者は、不正の目的をもって本件商標を使用するものと推認できる。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

本件商標は、前記1のとおり、「共立アイコム」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、同じ書体及び大きさをもって、等間隔にまとまりよく表されているものであって、視覚上、一連一体のものとして看取、把握され得るものであり、また、その構成文字全体から生ずる「キョウリツアイコム」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。

また、本件商標の権利者は、「株式会社共立アイコム」であるところ、本件商標は、該権利者の名称から法人の種類を表す「株式会社」の文字を省略してなるものといえる。

そうとすると、かかる構成からなる本件商標にあっては、たとえ「共立」の漢字と「アイコム」の片仮名とで文字の種類を異にするものであるとしても、看者をして、その構成全体をもって直ちに特定の意味を想起させることのない一種の造語を表したものとして認識されるとみるのが相当である。

してみれば、本件商標は、その構成文字に相応する「キョウリツアイコム」の称呼を生ずるものであって、特定の観念を生ずることのないものである。

イ 引用商標

引用商標1ないし引用商標3は、各々、前記2の(1)ないし(3)のとおり、「アイコム」の片仮名を横書きしてなるもの、「iCOM」の欧文字(その構成中の「i」の文字はやや図案化してなる)を横書きしてなるもの及び「ICOM」の欧文字を標準文字で表してなるものであるから、その構成文字に相応して、「アイコム」の称呼を生ずるものであり、また、いずれも辞書類に掲載されている既成の語とは認められないから、特定の観念を生ずることのないものとみるのが相当である。

ウ 本件商標と引用商標との類否について

本件商標と引用商標とは、それぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるものであって、その文字構成において明らかな差異を有するものであるから、両者は、外観上、相紛れるおそれはない。

また、本件商標から生ずる「キョウリツアイコム」の称呼と引用商標から生ずる「アイコム」の称呼とを比較すると、両称呼は、その音構成及び構成音数において少なからず差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼しても、語調、語感が相違し、互いに聴き誤るおそれはない。

さらに、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生ずることのないものであるから、観念上、両者が相紛れるおそれはない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性について

本件商標と引用商標とは、たとえ引用商標が本件商標の登録出願時において、申立人の業務に係る商品「無線機器」を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたとしても、上記(1)のとおり、十分に区別し得る別異の商標というべきものであり、また、商品「無線機器」と本件商標に係る第40類に属する指定役務とは、その用途、販売(提供)場所、需要者の範囲等を異にするものであって、相互の関連性が高いとはいい難いこと等、ほかに役務の出所について混同を生ずるおそれがあるとすべき特段の事情も見いだせないものである。

してみれば、本件商標をその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者は、該役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

(3)商標法第4条第1項第19号該当性について

本件商標と引用商標とが互いに紛れるおそれのない非類似の商標であることは、上記(1)のとおりである。

また、申立人の提出に係る証拠のいずれをみても、本件商標権者が本件商標を不正の利益を得る又は他人の著名商標に蓄積された信用若しくは名声にフリーライドする等の不正の目的をもって使用すると認めるに足る事実は、見いだし得ない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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