Trademark Appeal Case
欧文字と漢字結合の類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2012−900060(T2012−900060/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5454977号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおり、多少デザイン化された「CAXIOD」の欧文字と、その右側に「○西奥△」(「○」は、冠を「上」とし、脚を「卜」とする文字、また、「△」は、「徳」の「心」の上部に「一」を付加した文字。以下、同じ。)の文字を横書きしてなるものであり、平成23年6月7日に登録出願、同23年11月9日に登録査定がなされ、第9類「ビデオカメラ,カメラ(写真用のもの),ノートブック型コンピュータ,携帯電話機,コンピュータ周辺機器,音声・映像受信機,ICカード(スマートカード),データ処理装置,ガルヴァーニ電池,電話用器具」を指定商品として、同23年12月2日に設定登録されたものである。
2 引用商標
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の理由に引用する登録商標及び防護標章登録は、以下の(1)ないし(6)のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2062072号商標(以下「引用商標1」という。)は、「CASIO」の欧文字を横書きしてなり、昭和60年9月9日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同63年7月22日に設定登録され、その後、平成20年3月26日に指定商品を第7類ないし第12類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第2336473号商標(以下「引用商標2」という。)は、「カシオ」の片仮名と「CASIO」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、昭和63年8月18日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同3年9月30日に設定登録され、その後、同13年12月19日に指定商品を第7類ないし第12類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(3)登録第1001884号商標(以下「引用商標3」という。)は、「カシオ」の片仮名を横書きしてなり、昭和45年4月28日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同48年3月1日に設定登録され、その後、平成16年6月23日に指定商品を第7類ないし第12類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(4)登録第2047117号商標(以下「引用商標4」という。)は、「CASIO」の欧文字を横書きしてなり、昭和60年9月9日に登録出願、第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同63年5月26日に設定登録され、その後、平成20年5月28日に指定商品を第1類、第5類、第9類、第10類及び第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(5)登録第1281162号商標(以下「引用商標5」という。)は、「カシオ」の片仮名を横書きしてなり、昭和50年4月14日に登録出願、第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同52年7月4日に設定登録され、その後、平成20年11月5日に指定商品を第1類、第5類、第9類、第10類及び第12類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(6)登録第2062072号商標の防護標章登録第41号(以下「引用商標6」という。)は、引用商標1の防護標章として平成9年3月18日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同10年5月15日に設定登録されたものである。
以下、これらを一括していうときは「引用商標」という。
3 本件登録異議申立ての理由(要点)
申立人は、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。
申立ての理由
(1)本件商標の構成について
本件商標の構成は、別掲(1)のとおり、「CAXIOD」のローマ字と中国語の「○西奥△」を横書きしてなるものであり、その漢字部分を中国語のピンインで標記すると、「kaxiaode」となり、ローマ字部分「CAXIOD」とは、一致していない。
(2)引用商標の構成について
引用商標は、申立人の所有するものであり、引用商標1は、ローマ字からなる「CASIO」、引用商標2は、片仮名文字とローマ字からなる「カシオ\CASIO」、引用商標3は、片仮名文字からなる「カシオ」、引用商標4は、ローマ字からなる「CASIO」、引用商標5は、片仮名文字からなる「カシオ」、引用商標6は、引用商標1の防護標章登録であるローマ字からなる「CASIO」である。
申立人が引用する商標「CASIO」、「カシオ」が周知・著名であることは、特許庁において顕著な事実である。
(3)申立人の中国における活動について
申立人は、中国語表記が「○西欧汁算机株式会社」(「○」は、冠を「上」とし、脚を「卜」とする漢字であり、「汁」は、「計」の、「机」は、「機」のそれぞれ中国語の簡体字である。)で表されており、その略称である「○西欧」は、ピンインの標記では「ka xi ou」であり、申立人の登録商標である「CASIO」、「カシオ」の発音を中国語の漢字で表したものである。
(4)申立人の中国における著名商標の認定について
申立人は、「カシオ」の発音が生ずる「○西欧」やローマ字の「CASIO」などの多数の登録商標を中国において保有しているところ、2005年7月、同一商標「○西欧」、そのピンイン標記である「KAXIOU」が公告された。
2007年4月、上海市第一中級人民法院は、商標や商品の類似性、商標「CASIO」の知名度の高さを認め、商標権侵害の成立を肯定した。相手方は、これを不服として上海市高級人民法院に控訴したが、第一審判決が維持され、商標権侵害の成立が認められた。
2008年4月、申立人は、「CASIO」、「○西欧」について、「馳名商標」の申請も行った結果、2009年5月に著名であることが認定された(甲第8号証)。
申立人は、中国において多数の異議申立活動を行っている(甲第9号証ないし甲第12号証)。
(5)申立人の日本における活動について
申立人は、1957年の設立以来、計算機のトップメーカーとしてビジネス用、科学技術計算用の新製品を続々と開発した。そして1972年、手のひらサイズの個人向け電卓「カシオミニ」の爆発的ヒットを機に、「高価」が当たり前だった電卓に一躍大衆化の道を切りひらいた。この過程で培ったデジタル技術、小型化・低消費電力化技術を応用し、カシオは、新たな事業分野へ参入し、「時間とは足し算の連続である」という発想のもと1974年、年月日・時分秒を全て自動表示するオートカレンダーを搭載したデジタル式の腕時計「カシオトロン」を発売し、1983年には、デジタル計算によって発音する電子楽器「カシオトーン」、また、同年、耐衝撃の理念から生まれた耐衝撃腕時計「G−SHOCK」の発売を開始し、以来、「G−SHOCK」は、世代を問わず、アウトドアウォッチのみならず、カジュアルウォッチとしても今日まで絶大な人気を博してきており、この「G−SHOCK」は、申立人であるカシオ計算機株式会社の商標であることも需要者間において広く知られている。
そして、1995年には消費者向け初のデジタルカメラを発売し、市場性が全く期待されていなかった当時、パソコン・インターネット時代の画像入力機器という新しいコンセプトの下、消費者に新たな市場ジャンルを打ち立て、世界最薄のデジタルカメラ「エクシリム」を発売し、デジタルカメラ市場全体の底上げが図られたことは、記憶に新しい。
さらに、モバイルPCをはじめ、独創的なアイデアと技術の組み合わせにより市場を先取りする製品の数々を生み出している。
しかして、現在においては、「カシオ」が呼称され、「カシオ」、「CASIO」の語が看取された場合に、需要者は、「G−SHOCK」を始めとする腕時計や、卓上計算機、デジタルカメラ等を製造、販売する「カシオ計算機株式会社」を想起するものであって、「カシオ」、「CASIO」の語からなる登録商標は、日本のみならず、世界各国において周知・著名な商標となっている(甲第13号証)。
そして、日本における著名商標である証左として、引用商標「カシオ」、「CASIO」の商標権者は、登録商標及びその登録商標を原登録商標とする登録防護標章を有している。
(6)本件商標から生ずる称呼
本件商標は、その構成中の「CAXIO」から「カシオ」が生じ、「D」の部分は、特定の表音は派生しないが、「D」の部分からひいて発音されるとすれば、英語のアルファベットの「デー」となり、したがって、本件商標の構成中の「CAXIOD」の部分から、「カシオ」の称呼の後に一息次いで「デー」の称呼が生ずる。
そして、本件商標の構成中「○西奥△」の部分からは、「カシオ ドゥ」の称呼が派生する。
また、本件商標の構成中の中国語の漢字「○西奥△」の部分は、今日中国語に接する機会のある我が国において、「カシオ ドウ」の称呼が派生するものであり、さらに、本件商標は、中国人の出願人が採択したものであるから、一般的な中国人であれば、「○西奥△」の部分から「カシオ ドゥ」の称呼が発音される。
したがって、本件商標の「CAXIOD」の部分からは「カシオ デー」、「○西奥△」の部分からは、「カシオ ドウ」の称呼がそれぞれ生ずる。
(7)引用商標から生ずる称呼
引用商標は、それぞれの構成文字に照らし「カシオ」の称呼を生ずるものである。
(8)本件商標と引用商標との称呼の類否について
本件商標は、そのローマ字部分「CAXIOD」から生ずる「カシオデー」、「○西奥△」の部分から生ずる「カシオ ドゥ」の称呼と、引用商標から生ずる「カシオ」の称呼とは、称呼の対比において最も重要な要素となる語頭音を含む「カシオ」の3音が共通する。
そして、本件商標の称呼「カシオデー」、「カシオ ドゥ」と引用商標の称呼「カシオ」とは、「デー」、「ドゥ」の差異音を有するが、本件商標の4音中の前3音の「カシオ」の部分が明瞭に発せられ、語尾音「デー」、「ドウ」は、弱音で発せられるため、引用商標の構成から生ずる「カシオ」とは、本件商標の4音中3音、すなわち75%以上を共通にし、しかも、本件商標と引用商標は、4音と3音という短い構成音数からなり、商標の称呼類否において最も重要な要素となる語頭音のみならず、それに連綴される第2音、第3音も共通にするから、本件商標と引用商標とは、称呼においてかれこれ混同を生ずるおそれのある類似する商標である。
また、本件商標の指定商品は、引用商標のそれぞれの指定商品と相抵触する。
したがって、本件商標と引用商標とは、類似する商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(9)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、そのローマ字部分「CAXIOD」並びに漢字部分「○西奥△」のそれぞれから第一議的に「カシオ」の称呼を生じ、それらの後に一息次いで「デー」若しくは「ドウ」が弱く発音されるから、著名商標である引用商標1及び引用商標6(防護標章)の称呼「カシオ」とは、前3音「カシオ」の称呼を中心とする商標であって、それらは、取引者・需要者をして「その他人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品又は役務であると誤認し、その商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について混同するおそれがある」から、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(10)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、申立人の所有に係る周知・著名商標である引用商標のそれぞれと類似する商標であり、本件商標は、中国人により商標登録出願されて登録がなされたものであって、出所表示機能を希釈化させ、その名声を毀損させる目的をもって出願されたものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。
(11)結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号、同第19号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲(1)のとおり、多少デザイン化された「CAXIOD」の欧文字と、その右側に「○西奥△」の文字を横書きしてなるものである。
そして、「CAXIOD」の文字は、親しまれた特定の語義を有する成語ではないから、一定の定まった読みがあるものとはいえないが、そのような場合、最も親しまれているローマ字読みあるいは英語風の読みに従って称呼されるものとみるのが自然であり、その中間部に位置する「XI」が、「taxi」(タクシー)、「anxious」(心配して)あるいは「maxi」((略式)マキシスカート)、「oxidant」(オキシダント)等のよく知られている英語の発音に倣って、「クシ」あるいは「キシ」と発音されるところから、本件商標の構成中「CAXIOD」の文字からは、全体として「カクシオド」あるいは「カキシオド」の称呼を生ずるものであり、また、「○西奥△」の文字は、「○」及び「△」が我が国の漢字にはないから、何ら称呼及び観念を生じない一種の造語よりなるものというを相当とする。
この点に関し、申立人は、「本件商標の構成中の中国語の漢字『○西奥△』の部分は、今日中国語に接する機会のある我が国において、『カシオ ドウ』の称呼が派生するものであり、さらに、本件商標は、中国人の出願人が採択したものであるから、一般的な中国人であれば、『○西奥△』の部分から『カシオ ドゥ』の称呼が発音される」旨主張する。
しかしながら、我が国における中国語の普及の程度からすれば、一般に普及されている英語に比べその普及度は高くないこと、及び、本件商標からいかなる称呼が生ずるかは、我が国における一般需要者を対象とするものであることからすれば、本件商標の構成中の「○西奥△」の部分は、上記したとおり、何ら称呼及び観念を生じない一種の造語よりなるものというを相当とするものであるから、申立人の主張は採用することができない。
他方、引用商標1、4及び6は、「CASIO」の欧文字、引用商標2は、「CASIO」の欧文字及び「カシオ」の片仮名、及び、引用商標3及び5は、「カシオ」の片仮名よりなるものであるから、それぞれ「カシオ」の称呼を生ずるものであり、また、申立人の著名商標としての観念を生ずるものといえる。
そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、両商標は、外観上、それぞれの構成に照らし、紛れるおそれがない程度に相違し、称呼においては、本件商標の称呼が「カクシオド」あるいは「カキシオド」であるのに対し、引用商標の称呼は、「カシオ」であるから、「カクシオド」と「カシオ」あるいは「カキシオド」と「カシオ」のそれぞれの両称呼は、その構成音及び構成音数が明らかに相違し、両称呼を一連に称呼した場合であっても、十分に聴別し得るものである。
また、観念においては、本件商標から、格別の観念が生じないから、両者は比較すべきところがない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれよりみても、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、1957年の設立以来、計算機のトップメーカーとしてビジネス用、科学技術計算用の新製品を開発し、その後、手のひらサイズの個人向け電卓、オートカレンダーを搭載したデジタル式の腕時計、デジタル計算によって発音する電子楽器、耐衝撃腕時計等の数々の製品を発売しているものであり、「カシオ」及び「CASIO」の語は、これら製品を製造、販売する申立人の著名な略称として、需要者間において広く知られているとしても、前記(1)認定のとおり、本件商標は、引用商標とは何ら相紛れるおそれのない別異の商標であるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、申立人あるいは引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第19号について
前記(1)認定のとおり、本件商標は、引用商標とは何ら相紛れるおそれのない別異の商標であり、また、申立人提出に係る甲各号証によっては、不正の目的を持って使用するものと認められる証左はなく、さらに、中国人により商標登録出願されて登録がなされたことが、不正の目的となるものでもない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号にも該当しない。
(4)その他の申立人の主張について
申立人は、中国では「○西欧」が「カシオ」と発音されローマ字「CASIO」とともに多数の登録商標を申立人が中国において保有し、上海市第一中級人民法院等で商標「CASIO」の知名度の高さを認められ、商標権侵害の成立が認められた旨等、るる述べるところがあるが、これらは、制度の異なる国での判断であるばかりか、本件商標とは事案を異にするものであるから、考慮すべき事情でなく、採用できない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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