Trademark Appeal Case
著名商標の類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2011−685016(T2011−685016/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件国際登録第1057825号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2010年(平成22年)11月9日に国際商標登録出願、第9類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成23年3月14日に登録査定、同年5月27日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)引用商標
登録異議申立人イーエムアイ(アイピー)リミテッド(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する商標は、以下のとおりである(以下、総称する場合は「引用各商標」という。)。
ア 登録第3258092号商標(以下「引用商標1」という。)は、「EMI」の欧文字を横書きしてなり、平成6年4月15日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年2月24日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
イ 登録第1157970号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和46年10月12日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同50年10月1日に設定登録され、その後、平成18年4月12日に指定商品を第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
ウ 申立人がコーポレート・ロゴとして使用する商標(別掲3。以下「引用商標3」という。)。
エ 申立人の100%子会社である日本法人「EMI ミュージックジャパン」がコーポレート・ロゴとして使用する商標(別掲4。以下「引用商標4」という。)。
(2)商標法第4条第1項第10号について
引用商標1ないし4は、1931年に設立されたEMI(Electric and Musical Industries Ltd)グループの、また、我が国においてはEMIグループが1973年に資本参加したEMIミュージックジャパン株式会社(旧:東芝イーエムアイ株式会社)の商標であり、広く音楽ファンに著名である。
申立人の業務に係る商標として需要者の間に広く知られている引用商標1ないし4と類似する本件商標を、申立人の業務に係る商品及びそれらに類似する指定商品に使用するものあるから、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標1とは、離隔的観察がなされた場合、取引者又は需要者に誤認・混同を生ぜしめるおそれのある外観上相紛らわしいものであり、その指定商品も同一又は類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第15号について
引用商標1ないし4は、申立人の商標として著名である。
申立人は、世界的に著名な音楽スタジオを所有しており(著名な事実)、当該スタジオにおいて音響機器等も販売していることから、本件商標がその指定商品に使用された場合、前記申立人のスタジオに関連した商品であるかのような印象を与え、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。
4 当審の判断
(1)引用各商標の周知性について
申立人の提出に係る甲各号証によれば、申立人が知的財産権を管理するイギリスのレコード会社「EMI(GROUP)LIMITED」(以下「EMIグループ」という。)は、ユニヴァーサル・ミュージック、ソニー・ミュージック、ワーナー・ミュージックと共に4大レコード会社の一つであって、「EMI」の文字からなる引用商標1及び2を保有するほか引用商標3をコーポレート・ロゴとして使用し、また、我が国においては、100%子会社である「EMI ミュージックジャパン株式会社」(以下「EMIジャパン」という。)が、EMIグループの所属アーティストが提供する楽曲のほか、数多くの所属アーティストの楽曲を提供し、引用商標4をコーポレート・ロゴとして使用してきているものである。
そして、引用商標3及び4はそれぞれ「EMIグループ」及び「EMIジャパン」のコーポレート・ロゴとして、また、「EMI」は「レコード、CD」の商標として、本件商標の登録出願時及び査定時において、我が国における取引者,需要者の間に広く知られていたものと認められる(甲第4号証ないし甲第8号証)。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲1のとおり黒色の横長矩形内の上段に大きく「EIM」の文字を表し、「E」の文字の下に白抜きの横線を三本、そして「IM」の文字の下に小さく「ENJOY IN MUSIC」の文字を配した構成よりなるところ、上段の「EIM」は下段の文字「ENJOY」、「IN」、「MUSIC」の各頭文字を表したものと容易に理解、認識できるものであり、本件商標からは、構成文字全体に照応して「イーアイエムエンジョイインミュージック」の一連の称呼を生じるほか、上段、下段の各構成文字に照応して「イーアイエム」及び「エンジョイインミュージック」の称呼を生じるものである。また、本件商標全体としては特定の観念を有しない一種の造語と看取されるものであり、同様に上段の「EIM」の文字についても下段の文字の頭文字と認識はさせるものの特定の観念を有しない一種の造語と看取されるものである。そして、下段の「ENJOY IN MUSIC」の文字からは「音楽を楽しむ」程の観念が生じるというのが相当である。
他方、引用商標1は「EMI」の文字よりなり、その文字に照応して「イーエムアイ」の称呼が生じ、また、レコード会社である「EMIグループ(「EMIジャパン」を含む。)」の観念を生ずるものである。
そこで両商標を比較するに、黒色矩形内に文字を配してなる本件商標と欧文字のみから引用商標1とは外観において明らかに相違するものであるから、本件商標と引用商標1とは外観において相紛れるおそれはない。
また、本件商標から生ずる「イーアイエム」の称呼と、引用商標1から生ずる「イーエムアイ」の称呼とを比較するに、両称呼は、語頭の「イー」の音を共通にするものの、それに続く4音を異にするものであるから、それぞれを一連に称呼した場合には、十分に聴別し得るものである。
さらに、本件商標の構成全体及び「EIM」の文字部分からは格別の観念が生じないものであるから、観念においては比較することができない。
なお、本件商標全体及び下段の文字から生ずる「イーアイエムエンジョイインミュージック」及び「エンジョイインミュージック」の称呼と引用商標1から生ずる称呼「イーエムアイ」とは、その構成音及び音数において明らかに相違し、観念においても比較できないか、明らかに相違するものである。
してみると、本件商標と引用商標1とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、何ら相紛れるおそれのない非類似の商標であり、離隔観察した場合であっても同様である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとはいえない。
(3)商標法第4条第1項第10号について
本件商標と申立人が周知・著名である旨主張している「EMI」の文字、あるいは黒、赤色の地色の矩形内に「EMI」の文字を配してなる引用各商標とは、前記(2)の判断と同様いずれも外観及び称呼において十分に区別し得るものであり、観念においては比較できないか、明らかに相違する、互いに紛れるおそれのない非類似の商標と認められるものであるから、他の要件について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものとはいえない。
(4)商標法第4条第1項第15号について
引用各商標は、前記(1)のとおり、EMIグループ(「EMIジャパン」を含む。)のコーポレート・ロゴとして、我が国における取引者・需要者の間においても広く知られていたことは認められるとしても、上記したとおり、本件商標と引用各商標とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして引用各商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品がEMIグループ(「EMIジャパン」を含む。)あるいは同人らと経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとはいえない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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