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Trademark Appeal Case

記述的商標の書体と識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2010−19367(T2010−19367/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第30類「即席春雨」を指定商品とし、平成19年6月12日に登録出願されたものである。

その後、指定商品については、当審における平成23年11月24日付け手続補正書により、第30類「スープ付き即席春雨」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要旨)

原査定は、「本願商標は、『スープはるさめ』の文字を縦書きに書してなるものであるが、該文字は『スープ付きの春雨』を認識、理解させるにとどまり、これをその指定商品に使用するときは、単に該商品の原材料、品質を表示するにすぎないので、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」とし、さらに、「出願人は、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備する旨主張しているところ、提出された証拠によれば、『スープ』及び『はるさめ』の文字を単独で紹介する例はほとんどなく、多少図案化してなる『エースコック』の文字を併記して使用しており、そのような使用態様に係る諸事情に照らせば、本願商標の使用に係る商品又はその宣伝広告媒体に接した取引者・需要者は、『スープ』及び『はるさめ』の文字のみによって、商品の出所が出願人であると認識することはないと解するのが自然である。したがって、出願人による本願商標の使用の実際を総合して勘案しても、その使用の結果、『スープ』及び『はるさめ』の文字のみにより、その使用に係る商品が何人かの業務に係るものであることを認識できるほど、取引者・需要者間に広く知られるに至ったものとまでは認めることができず、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものとは認められない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審においてした証拠調べ

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同条第2項並びに同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2に示す事実を発見したので、請求人(出願人)に対し、平成23年10月5日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、期間を指定して、これに対する意見を求めた。

第4 証拠調べに対する請求人(出願人)の意見の要点

請求人(出願人)は、前記第3の証拠調べ通知に対して、平成23年11月24日付けで手続補正書及び意見書を提出して、本願の指定商品を「スープ付き即席春雨」に補正すると共に、要旨以下の主張をし、証拠方法として、甲第191号証ないし甲第436号証を提出した。

本願商標は、別掲1のとおりの構成態様からなるところ、「スープはるさめ」又は「スープ春雨」の文字の使用例があるとしても、かかる構成態様で表されているものは、本願商標以外には存在していない。かかる本願商標の構成態様は、本願商標の使用に係る商品(以下「本件使用商品」という。)の全国販売開始日である平成14年3月以来一貫して使用されており、請求人(出願人)の商品を表すものとして、すでに取引者・需要者の間において全国的に広く認識されている。

また、本件使用商品は、「カップ入りスープ」におけるマーケットシェアが、2010年度で25.5%、2011年度が28.9%もあり、群を抜いて高いマーケットシェア(マーケットシェア第1位)を誇っており、さらに、商品分野を広げて「インスタントスープ」という商品カテゴリーにおいてみても、本件使用商品のマーケットシェアは、2010年度が10.3%、2011年度が11.3%であり、いずれもマーケットシェア第2位の地位にある。

このように、本願商標は、その構成態様と共に長年使用された結果、取引者・需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるに至っている。

第5 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、別掲1のとおり、手書き風の書体で、かつ、いわゆる縁取り文字で表された「スープ」及び「はるさめ」の各文字を2行に縦書きしてなるところ、その構成中の「スープ」の文字は、「西洋料理の汁物」を、同じく「はるさめ」の文字は、商品の原材料、品質である「春雨」を意味する語として、いずれも一般に広く知られているものである。

また、近時、本願の指定商品を含む様々な商品分野において、看者の注意を引くような視覚的効果をねらって、各種レタリング文字が広く用いられている実情にかんがみれば、本願商標に係る上記書体や文字飾りは、いまだ普通に用いられる方法の範囲内のものとみるのが相当である。

さらに、本願の指定商品ないしそれと関連ある分野においては、別掲2に示すとおり、「スープはるさめ」又は「スープ春雨」の文字が、「スープ付きの春雨」又は「春雨を入れたスープ」を意味するものとして、一般に広く使用されているというのが実情であり、このことは、請求人(出願人)の提出に係る証拠において、例えば、「家庭用のスープ市場はスープ春雨が回復した。」及び「ヘルシーカップはスープ春雨が半分以上を占め、エースコックがけん引。」の記載(甲第63号証)、「おいしい、カンタン ヘルシー★ スープ春雨」及び「スーパー、コンビニ、ドラッグストアなどで手軽に手に入るスープ春雨は、種類も豊富!!」の記載(甲第144号証)、並びに「スープ春雨」の見出しの下、「手軽な上、低カロリーで女性中心に人気なのがスープ春雨。」の記載と共に、売れ筋商品として、本件使用商品を含む複数の商品を紹介する記載(甲第388号証)があることからもうかがえるものである。

してみれば、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成全体から容易に「スープ付きの春雨」程の意味合いを看取、把握し、商品の品質を表示してなるものと認識するにとどまるというのが相当であるから、本願商標をその指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

2 商標法第3条第2項該当性について

請求人(出願人)は、「本願商標は、出願人による継続的かつ精力的な使用の結果、出願人の出所表示として全国的に周知著名となり、自他商品識別力を獲得するに至っており、商標法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものである。」旨主張し、その証拠として、原審ないし当審を通じて、甲第1号証ないし甲第436号証を提出している。

そこで、請求人(出願人)の提出に係る証拠についてみるに、それらは、東京及び大阪の商工会議所による本願商標の周知性に係る証明書(甲第1号証及び甲第2号証)のほか、概ね新聞や雑誌に掲載された記事や広告、インターネット上の記事や広告、テレビによる広告等と、広告宣伝に係る統計表であり、その中には、本件使用商品(その容器や包装)の写真が掲載された記事等(ただし、不鮮明であって、本願商標と同一の標章であることを確認することが困難なものも少なからず含まれている。)がある一方、単に「スープはるさめ」の表記があるのみで、本願商標と同一の標章を使用した具体的な事実を確認することができないものも相当数含まれている。

そして、本願商標と同一の標章の使用が確認できるものの詳細について検討するに、本件使用商品(その容器や包装)の写真は、そのいずれにおいても、その表面に該商品の調理例の絵図を背景とし、それに重ねるように又は近接した位置に本願商標と同一の標章を配し、かつ、看者をして概ねそれらと同時に視認することができる範囲内に別掲3に示す標章が表されており、本願商標と同一の標章が単独で本願の指定商品について使用されている事実を見いだすことができない。

さらに、本願の指定商品ないしそれと関連ある分野において、「スープはるさめ」又は「スープ春雨」の文字が、「スープ付きの春雨」又は「春雨を入れたスープ」を意味するものとして、一般に広く使用されていることは、別掲2に示すとおりであるところ、そのうちの、例えば(1)サに係る商品(その容器)の表面には、同時に視認できる範囲内に、該商品の調理例の絵図と共に、「スープ春雨」の文字及び「TOPVALU」の文字を含む標章が配置されており、同じく(1)スに係る商品(その包装)の表面には、同時に視認できる範囲内に、該商品の調理例の絵図と共に、「スープ春雨」の文字及び「かねさ」の文字を含む標章が配置されており、同じく(1)ツに係る商品(その包装)の表面には、同時に視認できる範囲内に、該商品の調理例の絵図と共に、「スープはるさめ」の文字及び「HIKARIMISO」(「HIKARI」の文字と「MISO」の文字との間には図形が配されている。)の文字等からなる標章が配置されており、同じく(1)テに係る商品(その容器)の表面には、同時に視認できる範囲内に、該商品の調理例の絵図と共に、「スープ春雨」の文字及び「明星」の文字からなる標章が配置されていることからすれば、本願の指定商品を取り扱う業界においては、商品の識別にあたり、取引者、需要者に対し、「スープはるさめ」又は「スープ春雨」の文字や調理例の絵図をもって、その商品がいかなるものかを表す一方、それと同時に視認できる位置に、商品の出所を表すための標章を別個に商品に付すことが少なからず行われている実情にあるといえる。

そして、本願商標の構成態様は、上記1のとおり、「スープ」及び「はるさめ」の各文字を2行に縦書きしてなるものであって、かつ、普通に用いられる方法で表してなるものであるから、これをもって、本件使用商品について、上記本願の指定商品を取り扱う業界における取引の実情と異なる特段の事情があるとはいい難い。

してみれば、本件使用商品について、これに接する取引者、需要者は、その商品に付された「スープ」及び「はるさめ」の文字自体を商品の出所を表示するものとして看取、把握するというよりは、むしろ該商品が「スープ付きの春雨」であることを表したものとして認識する一方、それと同時に視認できる範囲内に付された別掲3に示す標章を商品の出所を表すものとして認識するとみるのが相当である。

その他、請求人(出願人)の提出に係る証拠を総合してみても、同人が、平成14年3月に本件使用商品を発売し、その後も販売を継続しており、また、その間に、雑誌や新聞、インターネット及びテレビを通じて該商品の広告宣伝等を行ってきたことをうかがい知ることはできるものの、本願商標自体、すなわち、別掲3に示す標章と切り離された使用態様をもって、該商標をその指定商品に使用した結果、請求人(出願人)の業務に係る商品を表示する商標として需要者間に広く認識されるに至っていると認めるに足るものは、発見できない。

したがって、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するものであるとする請求人(出願人)の主張は、これを採用することができない。

3 まとめ

以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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