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Trademark Appeal Case

機能説明的商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2011−28011(T2011−28011/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「カーボンオフセットパネル」の文字を標準文字で表してなり、第19類及び第35類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成22年7月26日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、原審における平成23年3月29日付け手続補正書により、第19類「カーボンオフセットの仕組みを取り入れた建築用の石灰製パネル,カーボンオフセットの仕組みを取り入れた建築用の石こう製パネル,カーボンオフセットの仕組みを取り入れた建築用のセメント製パネル,カーボンオフセットの仕組みを取り入れた建築用の木製パネル」及び第35類「カーボンオフセットの仕組みを取り入れた建築用のパネルの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『カーボンオフセットパネル』の文字を標準文字で書してなるところ、構成中の『カーボンオフセット』の文字は、『市民、企業、NPO/NGO、自治体、政府等の社会の構成員が、自らの温室効果ガスの排出量を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量等を購入すること又は他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動を実施すること等により、その排出量の全部又は一部を埋め合わせること[環境省定義]』を表すものであり、『パネル』の文字は、指定商品・指定役務との関係からして、『建築用パネル』を認識させるものである。そして、近時、環境保護の観点から、『カーボンオフセットはがき』等の『カーボンオフセット商品』の販売がみられ、様々な分野において、『カーボンオフセット』の仕組みを取り入れた商品の販売や役務の提供が行われており、本願の指定商品・役務を取り扱う分野においても、同様である。そうとすると、本願商標全体からは、『カーボンオフセットの仕組みを取り入れた建築用パネル』程の意味合いが容易に認識されるというべきであるから、出願人がこれを補正後の指定商品・役務について使用しても、これに接する需要者等は、当該商品が『カーボンオフセットの仕組みを取り入れた建築用のパネル』であること、また、当該役務が『カーボンオフセットの仕組みを取り入れた建築用のパネル』を取り扱う役務であると理解するにとどまり、自他商品・役務の識別標識としては認識しないものというのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、「カーボンオフセットパネル」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「パネル」の文字は、本願の指定商品との関係において、「鏡板。羽目板。」(「広辞苑 第六版」、株式会社岩波書店発行)を意味するものでものであるから、本願商標は、「カーボンオフセット」の文字と「パネル」の文字とを結合したものと容易に認識されるものである。

ところで、その構成中の「カーボンオフセット」の文字は、「クリーン開発メカニズム(CDM)の1.排出した二酸化炭素などの量を算出して,その分を植林などにより相殺すること」(「コンサイスカタカナ語辞典第4版」、株式会社三省堂発行)を意味するものであるところ、現在、地球温暖化に対する世界レベルでの取組が求められており、環境省の説明(http://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset.html)によれば、「カーボン・オフセット」とは、「日常生活や経済活動において避けることができないCO2等の温室効果ガスの排出について、まずできるだけ排出量が減るよう削減努力を行い、どうしても排出される温室効果ガスについて、排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資すること等により、排出される温室効果ガスを埋め合わせるという考え方です。」とされている。

また、2008年2月に環境省が取りまとめた「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)」(http://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset/guideline/guideline080207.pdf)に基づいて、適切かつ透明性の高いカーボン・オフセットを普及するため、カーボン・オフセットフォーラム(J−COF)が設立され、カーボン・オフセットの先進的な取組をモデル事業として支援するとともに、カーボン・オフセットに用いる温室効果ガスの排出削減量・吸収量を、信頼性のあるものとするため、国内の排出削減活動や森林整備によって生じた排出削減・吸収量を認証する「オフセット・クレジット(J−VER)制度」が2008年11月に創設されている。

さらに、このカーボンオフセットの仕組みを取り入れたり、認証を受けたりしている各種商品・サービスは、「カーボン(・)オフセット」の文字と「各種商品・サービス名」を組み合わせて、原審が拒絶理由通知において提示した「カーボンオフセットはがき」のように称されており、ほかにも「カーボンオフセットカーペット」、「カーボンオフセットカクテル」、「カーボン・オフセットトマト」といった例が見受けられる。

そして、本願の指定商品及び指定役務と関係が深い建材や建築の業界においても、「カーボンオフセット」の取組みが行われていること及びその仕組みを取り入れた商品が流通している事実が別掲に示す内容から裏付けられるものである。

一方、本願商標の構成中の「パネル」の文字は、本願の指定商品及び指定役務を取り扱う業界において、機能、材質及び用途を表す語と結びついて、例えば、「耐火パネル」、「ALCパネル」、「天井カットパネル」及び「壁パネル」のように表示され、商品の品質を表すものとして使用されている。

してみれば、「カーボンオフセットパネル」の文字よりなる本願商標は、「カーボンオフセットの仕組みを取り入れた建築用のパネル」程の意味合いを容易に認識させるものである。

そうとすると、本願商標は、これをその指定商品又は指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者は、該文字を「カーボンオフセットの仕組みを取り入れた建築用のパネル」、「カーボンオフセットの仕組みを取り入れた建築用のパネルを取り扱う役務」であることを表示したもの、すなわち商品の品質又は役務の質を表示したものと認識するにとどまるというのが相当であるから、自他商品・自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。

なお、請求人は、本願商標が、その指定商品、指定役務について、商品の品質、役務の質を表すものとして、その業界において、取引上普通に使用されておらず、そのような語であっても自他商品・自他役務の識別標識として機能を果たすものと認められて登録されている商標が多数あることから、本願商標も同様に登録すべきであると主張する。

しかしながら、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号の品質表示に該当するというためには、取引者、需要者が品質を表示するものとして認識するものであれば足りるといえるのであって、実際に商品の品質を表示するものとして使用されていることまでは必ずしも必要としないと判示されている(平成13年(行ケ)第207号 東京高裁平成13年12月26日判決言渡参照)。

そうすると、たとえ、「カーボンオフセットパネル」の文字が商品の品質等を表すものとして実際に使用されていないとしても、これに接する取引者、需要者は、商品の品質等を表示するものとして認識し得るものであることは上記のとおりである。

そして、建材や建築の業界において、別掲のとおり、カーボンオフセットの取組みが行われていることから、本願商標に接する取引者、需要者は、「カーボンオフセットパネル」の文字より「カーボンオフセットの仕組みを取り入れた建築用のパネル」程の意味合いを認識するものである。

また、本願の指定商品及び指定役務が、前記1のとおりに補正されていることからすれば、請求人は、本願商標を「カーボンオフセットの仕組みを取り入れた商品」とそれを取り扱う役務に使用することを想定していることは明らかである。

さらに、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するかどうかは、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであるから、請求人の挙げた登録例は、いずれも、本願商標とはその商標の構成又は指定商品、指定役務が相違し、本願とは事案を異にするものといわざるを得ないものであり、それら登録例の存在によって、前記判断は何ら左右されないというべきである。

以上のとおりであるから、請求人の上記主張は、採用することができない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

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