Trademark Appeal Case
エコ通帳の識別力と記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2011−27418(T2011−27418/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「Eco通帳」及び「エコ通帳」の文字を上下二段に横書きしてなり、第36類「インターネットを利用した銀行取引に関する情報の提供,預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定着物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,割賦購入あっせん,前払式証票の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,商品代金の徴収の代行,有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引,外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券先渡取引・有価証券店頭指数等先渡取引・有価証券店頭オプション取引若しくは有価証券店頭指数等スワップ取引又はこれらの取引の媒介・取次ぎ若しくは代理,有価証券等精算取次ぎ,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い」を指定役務として、平成23年1月24日に登録出願されたものである。
第2 原査定における拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『環境に配慮すること』等の意味を有する『エコロジー(Ecology)』の略語である『Eco』、『エコ』の文字と、『掛売・掛買・預金・配給などの帳簿』等の意味を有する『通帳』の文字(いずれも「広辞苑第六版 株式会社岩波書店発行」)を結合した『Eco通帳』、『エコ通帳』の各文字を上下二段に普通に表示する方法で書してなるところ、『エコ通帳』の文字が、『環境に配慮し(再生紙等の)エコロジー素材を使用した通帳』を表す語として、普通に使用されている実情を窺い知ることができるものである。そうとすると、本願商標をその指定役務中、例えば『預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ』に使用しても、これに接する取引者、需要者は、『環境に配慮しエコロジー素材を使用した通帳を用いた預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ』であることを理解し、認識するにとどまり、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 本願商標の商標法第3条第1項第3号の該当性について
本願商標は、前記第1のとおり、「Eco通帳」及び「エコ通帳」の文字よりなるところ、その構成中「Eco」及び「エコ」の文字は、「エコ【eco】:(エコロジーの略)環境に配慮すること。」等を意味する語として、また、「通帳」の文字は、「預金の帳簿、つうちょう」等を意味する語(いずれも、「広辞苑第6版」)として、それぞれよく知られているところである。
そうとすると、「Eco」及び「エコ」と「通帳」の両語を結合した本願商標よりは、「環境に配慮した通帳」程の意味合いを容易に理解させるものである。
そして、本願指定役務との関係においては、本願商標に接する取引者、需要者をして、容易に、「環境に配慮したエコロジー素材を使用した通帳」程の意味合いを理解、認識させるというのが相当である。
そうしてみると、本願商標は、これをその指定役務中、例えば、「前記に照応する通帳を用いた預金の受入れ及び定期積金の受入れ」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、預金の受入れ及び定期積金の受入れという役務において、その役務の提供の用に供する物(通帳)が、「環境に配慮したエコロジー素材を使用した通帳であること」という程の意味合いとして理解し、その役務の質(内容)、役務の提供の用に供する物を表示するものとして認識するに止まるものであるから、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないというべきであり、かつ、前記役務以外の役務の提供の用に供する物を用いた役務について使用するときは、役務の質(内容)について誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、「このような極めて僅かな、しかも地方に存在する信用金庫が偶然にも使用していることを理由に、本願商標が自他役務識別力を欠くこととして、その登録が認められないとするのは極めて妥当性を欠くものといわざるを得ない。なぜならば、これを認めると現実の使用をその登録要件とする使用主義に則ることとなり、我が国が採用する登録主義に相反する結果となるからである。このことを証明するように、『Eco通帳』『エコ通帳』の語は、一般的な辞書・辞典類はおろか、金融に関する各種専門用語辞典にも一切そのような記載は存在しないものである。寧ろ、本願商標は出願人の創出に係る造語よりなるものであり、何ら特定の意味合いを看取させるものではないものと認識、把握するのが自然である。」旨、及び「本願商標は、上記のように特定の意味合いが生ずるものとして需要者又は取引者に浸透しているものではない。仮に、その構成文字から特定の意味合いが生ずるとしても、本願商標は本願指定役務の質の内容を直接的、かつ、具体的に表示するものではない。なぜならば、本願指定役務は役務の区分第36類『預金の受入れ』等であるところ、『通帳』について品質表示の如き使用をした場合であっても、それが直ちに本願指定役務を直接的、かつ、具体的に表示するものとはいえないからである。原査定における認定に従えば、本願商標の構成は『エコ素材使用通帳』の文字よりなるものであるが、本願商標はそのような構成態様ではない。あくまで『エコ通帳』の文字より構成されるものである。これだけからみると、本願商標よりは『エコに寄与するための基金に預金の一部が振り返られる通帳』の意味合いも看取できるものであり、『エコに関連する預金の運用に関する情報を提供してくれる通帳』との意味合いも看取することができる。すなわち、本願商標より生ずる意味合いは一義的ではないということができるものである。」旨主張している。
しかしながら、本願商標の構成中の「Eco」及び「エコ」の文字は、「(エコロジーの略)環境に配慮すること。」等を意味する語として、一般に知られており、親しまれている語であって、我が国において該語の使用は定着しているものといい得るものである。
そうとすると、「Eco」及び「エコ」と「通帳」の両語を結合した本願商標よりは、その指定役務との関係においては、役務の提供に当たり、その役務の提供の用に供する物(通帳)が、「環境に配慮したエコロジー素材を使用した通帳であること」という程の意味合いを理解させるものであることは、上記したとおりであり、このことは、実際においても、原審での拒絶理由及び拒絶査定で開示したとおりである。
してみると、本願商標が、その指定役務の需要者等において、指定役務の質(内容)、役務の提供の用に供する物を表示するものとして認識されることは、上記で認定したとおりであるから、かかる請求人の主張については採用することができない。
(2)また、請求人は、「なお、本願商標は、通帳に記載する入金時又は出金時の明細をインターネットを通じて提供することによって紙を消費しない究極のエコを実現する、というコンセプトの下に創作されたものであって、近日中にも使用を開始する予定である。そのため、本願商標を現実に使用する場合には、出願人が国内最大手の金融機関として広く知られている事情も相俟って、本願商標が自他役務識別標識としての機能を十分に発揮するようになるまで時間がかからないことは敢えて言うまでもないことである。」旨主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される(最高裁昭和53(行ツ)第129号昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁〔判例時報927号233頁〕参照)。
そうすると、本願商標よりは、その指定役務との関係においては、役務の提供に当たり、その役務の提供の用に供する物(通帳)が、「環境に配慮したエコロジー素材を使用した通帳であること」という程の意味合いを理解させるものであることは、上記したとおりである。
してみると、本願商標は、役務の提供に当たり、役務の提供の用に供する物(通帳)を表示するものとして認識されるにとどまり、自他役務識別力を有しない。
また、該語は、上記同様の役務を提供しようとする者が、当該役務の役務の提供の用に供する物(通帳)を適切に表現するために用いようとするものであるから、これを特定人に独占させることは公益上適当でないものというべきである。
したがって、本願商標が登録されるべきであるかどうかは、本願指定役務の需要者等において、これがどのような意味を有するものとして認識され、用いられるのかによって判断されなければならず、本願商標が請求人によって採択された意図は、考慮されるものではない。
(3)さらに、請求人は、他の商標登録例をあげ、「なぜこれらの登録例が存在するのかを考えると、それは、『○○通帳』の文字よりなる商標が、その指定役務の質を直接的、かつ、具体的に表示するものとはいえないことが理由である他ない。このような登録例が極めて多数存在するにもかかわらず、本願商標のみが登録を認められないとする特別な理由は全く見当たらない。」旨主張している。
しかしながら、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務との関係における、その商品又は役務の取引の実情を考慮して、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであるから、請求人が挙げた商標登録例の存在によって、前記判断は左右されるべきものではない。
したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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