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Trademark Appeal Case

役務の類否と混同のおそれ

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2012−900048(T2012−900048/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5452705号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5452705号商標(以下「本件商標」という。)は、「WORLD SERIES」の文字を標準文字により表してなり、平成23年6月7日に登録出願され、第36類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、同年11月7日に登録査定、同年11月25日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5409040号商標(以下「引用商標1」という。)は、「WORLD SERIES」の文字を横書きしてなり、平成19年7月2日に登録出願され、第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、同23年4月28日に設定登録されたものである。同じく登録第5415351号商標(以下「引用商標2」という。)は、「WORLD SERIES」の文字を横書きしてなり、同16年10月28日に登録出願され、第25類、第28類及び第41類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同23年6月3日に設定登録されたものである。

以下、引用商標1及び2を一括して単に「引用商標」ということがある。

3 登録異議申立ての理由の要点

(1)本件商標と引用商標とは称呼、観念及び外観のいずれの点においても類似するものであり、本件商標の指定役務は引用商標1の指定役務中「銀行小切手帳・小切手帳カバーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,クレジットカード用の未記録の磁気カードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

(2)引用商標は、米国メジャーリーグベースボール(MLB)の選手権試合を示す語として、日本の需要者・取引者によく知られたものであって、申立人の業務に係る商品のライセンス商品等について使用されており、金融業界においてもライセンスされているものである。かかる状況において引用商標と類似する本件商標をその指定役務について使用すると、申立人の業務に係る役務との間で出所の混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

4 当審の判断

(1)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標の指定役務と申立人の主張に係る引用商標1の指定役務中の「銀行小切手帳・小切手帳カバーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,クレジットカード用の未記録の磁気カードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」との類否について検討する。

本件商標の指定役務は、当庁備付けの商標登録原簿の記載から明らかなように、第36類に属する役務のうち、建築物に係る不動産管理業者の役務を除き、主として財政業務及び金融業務において提供される役務並びに保険に関する役務である。

他方、引用商標1の指定役務中の上記役務は、小売又は卸売の対象とされるものが第16類に属する文房具類の範疇に含まれる商品といえる「銀行小切手帳・小切手帳カバー」及び第9類に属する電子応用機械器具及びその部品の範疇に含まれる商品といえる「クレジットカード用の未記録の磁気カード」であって、これらの商品は、本件商標の上記指定役務とは産業分野が明らかに異なるばかりでなく、それぞれの目的、用途、流通経路、需要者、取引者等を著しく異にするものであり、両者の関連性は無いか又は極めて弱いものである。そして、これら商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供という役務と本件商標の指定役務とが同一の事業者によって提供されるようなことはなく、それぞれの目的、提供の手段・方法・場所、需要者等も異なることから、両者の関連性も弱いものといわざるを得ない。

そうすると、たとえ本件商標の指定役務及び引用商標1の指定役務中の上記役務について同一又は類似の商標が使用されたとしても、それぞれの出所について誤認、混同を生ずるおそれはないものというべきであるから、両者は非類似の役務といわなければならない。

その他、本件商標の指定役務と引用商標1の指定役務中の残余の指定役務とが類似するものとすべき理由は見いだせない。

したがって、本件商標と引用商標1とが同一の文字からなる類似の商標であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

(2)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について

申立人は、引用商標が米国メジャーリーグベースボール(以下「MLB」という。)の選手権試合を示す語としてよく知られていること、引用商標が申立人の業務に係る商品のライセンス商品等について使用されており、金融業界においてもライセンスされていること、などを主張し証拠を提出している。

しかしながら、提出された証拠を精査するに、その殆どがMLB全般や日本人選手の活躍等について紹介するものであり、しかも、多くは英文によるものであって訳文の提出もない。「WORLD SERIES」については、甲第5、第8、第22、第24及び第28号証(第22号証の一部を除き全て英文)の見出しの一部に掲載されているにすぎない。甲第13、第15、第20、第22及び第23号証によれば、申立人の業務に係る商品のライセンス商品が日本国内においても販売されていることが窺えるが、これらの商品に使用されている標章は、MLBの各チームの名称やロゴマークが多く、「WORLD SERIES」の文字が見られものは少ない。甲第22号証の一部には「WORLD SERIES」の文字が付されたスウェットシャツ、帽子、アクセサリー等の写真が掲載されているが、これらには英文による説明が付され価格も米ドル表示となっていることから、日本国内で販売されているものとはいい難い。もっとも、甲第22号証の一部(インターネットによる「DVD」及び「world series」のキーワード検索結果)によれば、「World Series Highlight Film」と題するDVDがインターネットを介し日本国内で販売されていることが認められるが、その数量等は不明である。加えて、上記キーワード検索ではMLBとは無関係のものが多数ヒットしている。

以上のとおり、申立人の提出に係る証拠によっては、MLBについては、所属各チームの名称及びロゴマークを含め、我が国においても相当程度知られているものといえるとしても、引用商標がMLB及び申立人の業務に係る商品又は役務を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されているものとは認められない。

他に、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標がMLB及び申立人の業務に係る商品又は役務を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されているものと認めるに足る証拠はない。

なお、申立人は、引用商標が金融業界においてもライセンスされているとして、甲第3号証を提出しているが、同号証によれば、銀行の発行に係るクレジットカードにMLBに関する標章が使用されていることが窺えるものの、「WORLD SERIES」の文字は見当たらない。しかも、全文が英文によるもので訳文もなく、その詳細は必ずしも明らかでない。もっとも、甲第20号証によれば、日本国内の貸金業者の発行に係るカードにMLBの各チームの名称及びロゴマークが使用されていることが認められるが、これらはカードのデザインとして使用されているものであり、これらの中にも「WORLD SERIES」の文字は見当たらない。

かかる事情の下において、本件商標をその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしは申立人、MLBを連想、想起するようなことはないというべきであり、該役務が申立人、MLB又はこれらと経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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