Trademark Appeal Case
RAGUの記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900378(T2010−900378/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5347515号商標(以下「本件商標」という。)は、「RAGU」の欧文字を標準文字で表してなり、平成21年7月15日に登録出願され、第29類「パスタソース,スパゲッティソース,ミートソース,トマトを主材とするパスタソース,チーズを使用したパスタソース,野菜を主材とするパスタソース,肉を主材とするパスタソース,カレー・シチュー又はスープのもと」及び第30類「ピザ用ソース,トマトソース,チーズディップソース,野菜入りのディップソース,ソース(調味料),調味料」を指定商品として、同22年7月8日に登録査定、同年8月20日に設定登録されたものである。
2 本件登録異議の申立て
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標はその指定商品中の結論掲記の商品について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきである旨主張し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第21号証を提出した。
本件商標「RAGU」は、「ひき肉や肉汁等を煮込んだもの」と認識されるものであるから、その指定商品中、第29類「肉を主材とするパスタソース,肉を主材とするスパゲッティソース,ミートソース,肉を主材とするパスタソース,肉を主材とするカレー・シチュー又はスープのもと」及び第30類「肉を加えたトマトソース,肉を加えたチーズディップソース,肉を加えた野菜入りのディップソース」に使用しても、取引者・需要者は原材料として「ひき肉や肉汁等を煮込んだもの」という意味合いを認識するにすぎず、該商品以外の「パスタソース,スパゲッティソース,カレー・シチュー又はスープのもと,トマトソース,チーズディップソース,野菜入りのディップソース」に使用するときは、商品の品質を誤認するおそれがある。
3 本件商標に対する取消理由
当審において、平成23年8月23日付けで商標権者に対して通知した取消理由は、要旨以下のとおりである。
(1)申立人の提出に係る甲各号証によれば、「RAGU」の語について、次のような事実が認められる。(下線は当合議体が付加。)
ア 1997(平成9)年2月10日株式会社白水社発行の「イタリア料理用語辞典」には、「
ragu
(「u」にアクセント記号あり) [ラグ] 肉汁,ミートソース,シチューの一種」と記載されている(甲1)。
イ 2007(平成19)年1月19日のキューピー株式会社のニュースリリースには、新製品「魚介の
ラグー
ソース」の紹介がされており、紹介記事中には、「・・・『キューピー Italiante(イタリアンテ)』シリーズから『魚介の
ラグー
ソース』を発売します。『
ラグー
』とは煮込み料理の意味で、イタリアンレストランでは親しまれているメニューです。」及び「*
ラグー【ragu】
(「u」にアクセント記号なし)(イタリア語)・・・イタリアの煮込み料理のこと。素材を煮込んで作るソースを『
ラグー
』と呼びます。代表的な
ラグー
料理としては肉を煮込んで作る『ボロネーズ』があります。今回の「魚介の
ラグー
ソース」とは、魚介を細かく刻んで煮込んだソースのことを意味します。」と記載されている(甲2)。
ウ 1996(平成8)年7月19日付け「日本食料新聞」には、「日清製粉(株)は、・・・新たに
ラグー
タイプのソースを発売する。
ラグー
タイプのパスタソースとは、パスタ料理の本場イタリアで最も親しまれている、肉や魚介を細かく刻み、野菜や香辛料とともに炒め、長時間かけてじっくり煮込んだソース。」と記載されている(甲3)。
エ 2007(平成19)年1月17日の日清製粉グループのニュースリリースには、「●青の洞窟 シェフズコレクション/『青の洞窟 シェフズコレクション』は、イタリアの巨匠の監修によるパスタソースです。・・・えんどう豆を使用した緑色のクリームソースと野菜の
ラグー
ソースを組み合わせた春らしい彩りの『えんどう豆のクリームと野菜の
ラグー
』を発売致します。」と記載されている(甲4)。
オ 1999(平成11)年2月5日付け「日本食料新聞」には、「昭和産業(株)は、平成11年春の家庭用新製品として『太陽のリストランテ』の新ラインナップ・・・を発売する。▽『太陽のリストランテ』(1)レトルトパスタソース『ボロネーゼ』『魚介のトマトソース』二品=『ボロネーゼ』は、じっくりローストした粗びきビーフを完熟トマトで煮込んだ
ラグー
タイプ。・・・」と記載されている(甲5)。
カ 1999(平成11)年9月6日付け「日経産業新聞」には、「ハウス食品はコンビニエンスストア専用商品としてレトルトタイプのパスタソース『大盛りパスタソース 牛肉のラグーソース』・・・を六日に発売する。・・・『
ラグー
ソース』は牛ひき肉とトマトを使用、・・・」と記載されている(甲6)。
キ 2002(平成14)年9月4日付け「日本食料新聞」には、「はごろもフーズは9月1日から、パスタソース『たこの
ラグー
ソース』など2品をレトルトパウチで全国販売した。▽『たこの
ラグー
ソース』は、大きめにカットしたタコと野菜をトマトソースでじっくり煮込み、黒オリーブを加えたパスタソース。・・・
ラグー
とは『煮込み料理』の意味。」と記載されている(甲7)。
ク 2004(平成16)年5月13日のam/pmジャパンのプレスリリースには、「・・・6月15日(火)発売の『落合シェフの海の幸いっぱい
ラグー
スパゲティ』は、『ラ・ベットラ』の人気メニューをam/pm向けにアレンジした商品で、ミンチにした魚介類と野菜の自然な甘味が特徴で、初夏らしいメニューです。」と記載されている(甲8)。
ケ 2004(平成16)年8月13日付け「日本食料新聞」には、「エム・シーシー食品(株)、家庭用新商品でパスタソースシリーズ投入」の見出しの下、新商品について「▽たこの
ラグー
ソース(新発売)=新鮮なタコをガーリックと唐辛子を効かせたソースで仕上げた、オリジナルスタイルの辛口トマトソース。」と紹介している(甲9)。
コ 2007(平成19)年11月22日の株式会社ファミリーマートのニュースリリースには、「□北海道産帆立の香草焼と海の幸とトマトの辛味ソース 魚介を細かく刻んで煮込んだ風味豊かな
ラグー
ソースをオリーブオイル、トマトソースで風味豊かに仕上げました。・・・☆シェフこだわりのポイント☆旨みのある魚介の
ラグー
ソースとトマト、オイルで辛味をプラスいたしました。」として新商品の紹介をしている(甲10)。
サ 1999(平成11)年7月20日株式会社柴田書店発行の書籍「イタリア料理教本 上」(吉川敏明著)には、「
ラグー
ナポレターノ/
Ragu
napoletano(「u」にアクセント記号あり)/ナポリの
ラグー
・ソース」の作り方が掲載されており、また、2000(平成12)年9月15日発行の同「イタリア料理教本 下」には、「ポッロ アル
ラグー
/Pollo al
ragu
(「u」にアクセント記号あり)/若鶏の
ラグー
/プーリア」の見出しの下「鶏肉を赤ワインで煮込むところが南部の料理としては珍しい。
ラグー
とはフランス語の影響を受けた言葉で、煮込み料理を指す。ナポリをはじめ、南イタリアでよく使われる呼び名である。また煮込みソースという意味もある。」との説明書きとともに、作り方が掲載されている(甲13)。
シ 複数のレストランにおいて、そのメニュー名に、「Vesuvio al
Ragu
di fagioli Bianchi e Anatra Francese/「仏産」鴨モモ肉と白インゲン豆の
ラグー
ソース・ヴェスヴィオ」及び「Ziti Tagliati al
Ragu
del Odori e Pancetta di “Agu”/「ナポリ風」琉球島豚“あぐー”バラ肉と香草野菜の
ラグー
ソース・ヅィーティ」(「PIZZERIA BAR FORZA NAPOLI メニュー」:ピッツェリアレストラン)、「PENNE NAPOLETANE AL
RAGU
NAPOLETANO/ナポリ ペンネのナポリ風
ラグー
ソース(茶美豚とトマトを長時間煮込んだソース)」(「ピッツェリア エッセ ディピュ」:イタリア料理店)のごとく煮込んだソースを表すものとしてとして「Ragu」の語が使用されている(甲16及び甲17)。
ス クックパッド株式会社の運営するオリジナル料理レシピの投稿・検索ができるウェブサイト「クックパッド/COOKPAD」の2010年11月15日付けでの「ラグー」の語の検索結果リストには、105品のレシピが表示されており、このうちデータ更新日が、本件商標の識別性の有無についての判断基準日である登録査定日(平成22(2010)年7月8日)以前であって、かつ、「ラグー」の語がレシピ名あるいは料理の説明文に含まれているものが、81件掲載されている(甲18)。また、「ragu」の語の検索でも7品のレシピが表示され、その説明文には「イタリア語でRagu(ラグー)は煮込んだソースを意味します。」と記載されている(甲19)。
セ 1982(昭和57)年3月4日付け「日経産業新聞」には、「キッコーマンは昨年から輸入販売している『
ラグー
ピザクイック』の国産化に踏み切った。輸入販売でかなり好調な売れ行きをみせたためで、今月中ごろから国産品の販売を開始する。この『
ラグー
ピザクイック』は、パンなどに塗るだけでピザの風味が楽しめる商品。トマトをベースに玉ねぎや各種スパイスを加えてつくったもの。・・・」と記載されている(甲20)。
ソ また、当審における職権調査によれば、2008年2月4日株式会社小学館発行の「伊和中辞典」の「
ragu
」(「u」にアクセント記号あり)の項には「ミートソース,
ラグー
」と記載され、また、自由国民社発行の「現代用語の基礎知識 2008」のカタカナ語の欄の「
ラグー
」の項には「〔伊 ragu〕ミートソース。」と記載されている。
(2)以上の事実からすれば、「ragu」(「u」の文字にはいずれもアクセント記号あり)の語は、「ラグー」又は「ラグ」と発音される「煮込み料理、ミートソース」などの意味を有するイタリア語であって、遅くとも本件商標の登録査定がなされた当時には、「RAGU」及び「ラグー」などの語は、「煮込み料理、ミートソース等の煮込みソース」を表すものとして広く知られ、使用されていたことが認められる。なお、欧文字表記において「u」の文字にアクセント記号がない場合にも同様の意味合いに認識され、使用されているものである。
(3)してみれば、前記のとおり、「煮込み料理、ミートソース等の煮込みソース」を認識させる「RAGU」の文字からなる本件商標をその指定商品のうち、第29類「パスタソース,スパゲツティソース,ミートソース,トマトを主材とするパスタソース,チーズを使用したパスタソース,野菜を主材とするパスタソース,肉を主材とするパスタソース,カレー・シチュー又はスープのもと」及び第30類「トマトソース,チーズディップソース,野菜入りのディップソース」に使用するときは、取引者・需要者にその商品が煮込みソースあるいはこれを原材料とした商品であることを想起・認識させるものであって、単に商品の品質・原材料を表示するにすぎないというのが相当である。
4 商標権者の意見
上記3の取消理由に対し、商標権者は、要旨次のように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証(枝番を含む。なお、枝番の全てを引用する場合は枝番の記載を省略する。)を提出した。
本件商標は、1937年の創業以来、アメリカNO.1のパスタソースブランドとして、子供から大人まで幅広く愛されている(乙第1号証)。
したがって、少なくとも欧文字の「RAGU」は、本件商標の登録査定時において、既にパスタソースブランドとして需要者に広く知られている。
申立人が、本件商標はピザソース類について、それなりに知られた商標であるかもしれないとして提出した甲第20号証ないし甲第21号証には本件商標が付されたパスタソースも表示されており、かかる証拠方法からも本件商標がパスタソース類についても広く知られていたことを示すものといえ、乙第2号証からも本件商標が明らかに識別標識として使用されていることが明白である。
また、本件商標が、世界各国において登録されている事実(乙第3号証)からも、本件商標が自他商品識別力を有し、商標法第3条第1項第3号に該当しないことは明らかである。
5 当審の判断
(1)本件商標についてした商標法第3条第1項第3号に該当するとした前記4の取消理由は妥当なものであり、これに対する商標権者の意見は、以下の理由により採用することはできない。
ア 商標権者は、「本件商標は子供から大人まで幅広く愛されているアメリカNO.1のパスタソースブランドであり、欧文字『RAGU』は、本件商標の登録査定時において、既にパスタソースブランドとして需要者に広く知られている。」旨述べ、乙第1号証及び乙第2号証を提出している。
しかしながら、提出に係る証拠に示されている商標は、例えば、別掲1あるいは2に示すとおり、横長の黄色楕円上に、丸みを帯びた赤色の太字で表された「RAGU」(「U」の文字にはアクセント記号あり)の文字からなるものであり、標準文字で表された本件商標とはその態様を明らかに異にするものであるから、これらの証拠をもって、本件商標が商標権者のブランドとして需要者に広く知られているものと認めることはできない。
なお、乙第2号証中には「RAGU」の文字も使用されているが、当該文字は別掲に示す商標が付された商品の説明のために使われているものであるから、前記同様これらの記載をもっても、本件商標が需要者に広く知られているものと認めることはできない。
イ 本件商標が自他商品識別力を有している理由として、世界各国において登録されている事実があると述べ、外国における登録商標リストを提出している。
しかしながら、リスト上に示された商標は、そのほとんどが、文字の形あるいはアクセント記号や図形の有無等において本件とは態様を異にするものであり、また、諸外国の商標の登録制度と我が国のそれとが同一のものと解釈しなければならない特段の事由が存するものとも認めることはできず、諸外国の登録例が、本願商標が我が国において登録されなければならないとする根拠とはなり得ないものであるから、この主張についても採用することはできない。
(2)結論
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、第29類「パスタソース,スパゲッティソース,ミートソース,トマトを主材とするパスタソース,チーズを使用したパスタソース,野菜を主材とするパスタソース,肉を主材とするパスタソース,カレー・シチュー又はスープのもと」及び第30類「トマトソース,チーズディップソース,野菜入りのディップソース」について、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項により、その登録を取り消すべきものである。
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