結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2011−300788(T2011−300788/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第5030321号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成18年6月14日に登録出願、第9類及び第42類に属する別掲(2)に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同19年3月2日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成23年9月1日にされたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件商標は、その指定商品及び指定役務のうち、第42類「機械器具に関する試験又は研究」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、上記指定役務についての登録を取り消されるべきものである。
(1)請求人は、被請求人が役務としての「機械器具に関する試験又は研究」について、本件商標を使用しているとは認められない。
ア 商標法における「役務」とは、他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきもの、とされている。
イ 乙第2号証によると、本件商標を使用しているインベンチュア株式会社の事業内容は、「ICソリューション等の開発・製造・販売」である。
確かに、乙第3号証中には「デザイン/チップをご提供出来ます。」、「事前動作確認、性能評価が可能」及び「実機動作確認」等の記述がある。これらは、一見すると「機械器具に関する試験又は研究」に該当するかのようにみえる。
しかしながら、これらの作業は、インベンチュア株式会社の事業内容「ICソリューション等の開発・製造・販売」行為に付随する過程での作業であるにすぎない。つまり、本件商標は、商品(上記引用に則せば、チップ)の製造・販売に使用されているのであり、役務としての「機械器具に関する試験又は研究」に使用されてはいない。乙第3号証に示される本件商標は、商品についての使用に該当するものである。
ウ 仮に、本件商標の使用が役務についての使用に該当するとしても、インベンチュア株式会社の事業内容「ICソリューション等の開発・製造・販売」は、「コンピュータシステムの開発・設計」に該当するものであり(42P02)、本件審判の請求に係る役務「機械器具に関する試験又は研究」(42Q99)には該当しない。
(2)被請求人は、乙第8号証を提出して、「『IP開発で培った豊富なノウハウに』基づく『IP組込み設計サービス』をソリューションとして提供すること」の記載が「機械器具に関する試験又は研究」に該当することから、本件商標が本件審判の請求に係る役務「機械器具に関する試験又は研究」に使用されていると述べている。
しかしながら、請求人は、上記一文のキーワードは「IP組込み設計サービスの提供」にあると思料する。また、「IP」は「Internet Protocol」のことと理解しており(乙第3号証中には、「ASSP」開発の語句があるので)、この理解に基づくと、乙第8号証は、「コンピュータシステムの開発・設計」についてのカタログと把握するのが自然である。
したがって、乙第8号証は、「コンピュータシステムの開発・設計」に関するカタログであり、決して「機械器具に関する試験又は研究」に関するカタログではない。
(3)被請求人は、乙第10号証を提出して、同号証にインベンチュア株式会社がUSB3.0FPGAメザニンカードを共同開発したことが記載されていることをもって、本件商標が本件審判の請求に係る役務「機械器具に関する試験又は研究」に使用されていると述べている。
しかしながら、上記(1)で述べたとおり、本件商標は、「ICソリューション等の開発・製造・販売」に使用されているのであり、決して本件商標を使用して(看板として)「USB3.0FPGAメザニンカード(機械器具)についての試験又は研究」を行なっていない。
(4)被請求人は、乙第11号証を提出し、同号証中の「FPGA Configurationデータ」を「提供」する、という部分を「クライアントの要求仕様に合わせてPTFNavi(機械器具)について試験又は研究を行う」ことと説明して、本件商標が本件審判の請求に係る役務「機械器具に関する試験又は研究」に使用されていると述べている。
しかしながら、乙第11号証は、語句が羅列してあるだけで、商品(役務)内容は容易に理解できない。
仮に、乙第11号証が商品についてのカタログとしても、商品(機械器具)についての試験又は研究を行なっていることの証拠とはならない。
再三述べているとおり、商標法における役務とは、それ自体が独立して商取引の目的となる必要があるところ、インベンチュア株式会社の業務は、「ICソリューション等の開発・製造・販売」(乙第2号証)であり、仮に、機械器具の試験又は研究を行ったとしても、それは「ICソリューション等の開発・製造・販売」に付随する労務にすぎず、独立して商取引の目的となるものではない。
したがって、インベンチュア株式会社が行なう機械器具の試験又は研究は、商標法における役務ではない。
なお、乙第11号証中の「PTFNavi」は、登録第4941856号商標として、登録されている(甲第2号証)ところ、その指定商品中には、「電子応用機械器具及びその部品」が含まれていることから、同商標は、乙第11号証中のソフトウェア、メインボード、アプリボードを保護するために取得されたものであり、そうとすると、乙第11号証は、商品についてのカタログを意図したものと想像できる。そして、商品の製造にはその開発が付随し、その開発過程で「試験又は研究」が行なわれるが、これらの「試験又は研究」は、商標法上の「役務」には該当しない。
(5)被請求人は、上記のとおり、本件商標(社会通念上同一の商標含む)が記載されている証拠を提出しているが、いずれも本件審判の請求に係る役務「機械器具に関する試験又は研究」に使用していることの証拠とはならない。
以上のとおり、本件商標は、その第42類に属する指定役務中「機械器具に関する試験又は研究」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。
本件商標は、その通常使用権者である「インベンチュア株式会社」が本件審判の請求の登録前3年以内に我が国において、その請求に係る指定役務「機械器具に関する試験又は研究」について使用している。
(1)商標の使用者(通常使用権者による使用)
乙第1号証「商標使用許諾契約書」には、被請求人(商標権者である「株式会社図研」)が、子会社であるインベンチュア株式会社に、本件商標の使用を第9類及び第42類に係る指定商品又は指定役務について許諾した旨の記載がされている。
上記「商標使用許諾契約書」の契約締結日は、2011年9月30日となっているが、これは、契約書第12条に記載のように、商標権者が、本件商標につき、インベンチュア株式会社に既に口頭で許諾していた内容を書面化したものである。
通常使用権者としての本件商標の使用を直接証明できる契約書の締結はなかったものの、インベンチュア株式会社による本件商標の使用の事実から、通常使用権の許諾事実は推認できる(平成18年(行ケ)第10105号判決参照)。
さらに、乙第2号証「有価証券報告書」には、インベンチュア株式会社が商標権者の子会社である旨が記載されている。親会社である商標権者が子会社であるインベンチュア株式会社を、本件商標を使用させるために設立している点、当該インベンチュア株式会社の名称が、請求に係る商標の称呼(インベンチュア)及び株式会社からなる点、親会社が子会社(インベンチュア株式会社)のために商標登録を受けている点から、商標権者は、インベンチュア株式会社に対し、本件商標の通常使用権の許諾をしていたと認定するのが相当である(平成15年(行ケ)第124号判決参照)。
以上のように、インベンチュア株式会社が商標権者の通常使用権者であることは明らかである。
(2)使用に係る商標、商品又は役務
ア 乙第3号証ないし乙第7号証について
(ア)乙第3号証「インベンチュア株式会社Webページインターネットアーカイブ記録」には、本件商標が記載されており、本件商標につき請求に係る指定役務「機械器具に関する試験又は研究」を提供していることが記載されているため、本件商標の当該指定役務への使用(商標法第2条第3項第8号)に該当する。
具体的には、乙第3号証の「設計サービス」の「Z−core IP プレミアムサービス」の欄には、「IP開発、ASSP開発時のノウハウ等の弊社技術を最大限に活用し、IPのサポートのみならず、お客様のご要望に沿ったデザインを組み上げ、ASIC、FPGA等ご希望の形態でご提供する弊社IPソリューションの総合サービスです。本サービスをご利用頂くことで、お客様に短期間で高性能なデザイン/チップをご提供出来ます。また、システムレベルの仕様検討からお客様と共同での開発も可能です。」と記載されている。
同様に、「設計サービス」の「Z−core IP プレミアムサービスの特徴」の欄に、「インベンチュア製開発支援KITを利用した事前動作確認、性能評価が可能」であること、「お客様の仕様/回路を組み込んだ共同開発が可能」であること、「ASIC/FPGAでの納品及び評価ボードでの実機動作確認」を提供することが記載されている。
以上より、これらの記載が役務「機械器具に関する試験又は研究」に該当している。
ここで、インベンチュア株式会社Webページは、乙第3号証に記載のように、少なくとも2009年11月5日には存在していたことが示される(インターネットアーカイブというサイトにより、Webページが保存され、かつその保存記録が公開されている。)。
(イ)インベンチュア株式会社Webページは、2009年5月にリニューアルされており、この際に、乙第3号証に記載の内容が作成されている。当該リニューアルは、外部の会社に委託している(「インベンチュア株式会社Webページリニューアル」に係る「見積書」(乙第4号証)、「請求書」(乙第5号証)、「検収確認書」(乙第6号証)及び「修正依頼データ」(乙第7号証)参照)。
(ウ)上記アーカイブ記録及び委託先業者とのやり取りの日付の記録から、乙第3号証に記載の内容が本件審判の請求の登録前3年以内に存在していることは明らかである。
イ 乙第8号証ないし乙第10号証について
(ア)乙第8号証「『USB3.0』のカタログ」には、本件商標が記載されており、本件商標につき請求に係る指定役務「機械器具に関する試験又は研究」を提供していることが記載されているため、本件商標の当該指定役務への使用(商標法第2条第3項第8号)に該当する。
具体的には、上記カタログに、本件商標及び「Z−core USB3.0」が記載されており、また、同カタログの「USB3.0 Solutions」の欄に、「IP開発で培った豊富なノウハウ」に基づく「IP組込み設計サービス」をソリューションとして提供することが記載されている。この記載が「機械器具に関する試験又は研究」に該当している。
(イ)乙第10号証「東京エレクトロンデバイス株式会社Webページ」には、インベンチュア株式会社と東京エレクトロンデバイス株式会社との間で、高速データ転送システム開発に適した「USB3.0 FPGAメザニンカード」を共同開発したことが記載されている。そして、この「USB3.0 FPGAメザニンカード」搭載のFPGAには、効率的な転送が可能なアーキテクチャを採用することで、高い転送性能を実現するインベンチュア社のUSB3.0コントローラのIPコアである上記「Z−core USB3.0」が組み込まれていることが記載されている。
すなわち、インベンチュア株式会社製の「Z−core USB3.0」を組み込んだ「USB3.0 FPGAメザニンカード」の共同開発を通じ、クライアント(東京エレクトロンデバイス株式会社)の要求仕様に合わせて、「USB3.0 FPGAメザニンカード」(機械器具)について試験又は研究を行い、クライアントヘ提供する「IP組込み設計サービス」を行っており、これが「機械器具に関する試験又は研究」に該当している。
なお、乙第8号証には、「※情報は2011年02月現在のものです。」との記載があり、乙第9号証「『USB3.0』のカタログの印刷請求書」には、同カタログが2011年2月11日に発行されていることが記載されている。
さらに、乙第10号証には、ニュースリリース日として、「2011年2月15日」が記載されている。
ウ 乙第11号証及び乙第12号証について
乙第11号証「『PTFNavi』のカタログ」には、本件商標が記載されており、本件商標につき請求に係る指定役務「機械器具に関する試験又は研究」を提供していることが記載されているため、本件商標の当該指定役務への使用(商標法第2条第3項第8号)に該当する。
具体的には、乙第11号証の「Features」の欄に、「PTFNavi用FPGA Configurationデータ」を“ご提供物”としてクライアントヘ提供することが記載されており、また、同カタログの「Components」の欄にも、「インベンチュア製各種IPを中心としたFPGA Configurationデータをあわせてご提供いたします」と記載されている。これは、クライアントの要求仕様に合わせて、「PTFNavi」(機械器具)について試験又は研究を行い、改良情報をクライアントヘ提供するサービスのことであり、これが「機械器具に関する試験又は研究」に該当している。
なお、乙第11号証には、「※情報は2009年6月現在のものです。」との記載があり、乙第12号証「『PTFNavi』のカタログの印刷請求書」には、同カタログが2009年6月22日に発行されていることが記載されている。
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者により請求に係る指定役務「機械器具に関する試験又は研究」について使用していることは明らかであるから、本件審判の請求は成り立たないものである。
商標法第50条に規定する商標登録の取消しの審判にあっては、その第2項において、その審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という場合がある。)に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、その使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにした場合を除いて、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。
本件は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第42類「機械器具に関する試験又は研究」についての登録の取消しを請求されたものであり、これに対し、被請求人は、取消請求に係る役務「機械器具に関する試験又は研究」について、本件商標を使用している旨答弁し、乙各号証を提出しているので、以下検討する。
乙第1号証ないし乙第12号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証及び乙第2号証について
乙第1号証は、商標権者である被請求人「株式会社図研」(甲)と「インベンチュア株式会社」(乙)との間で取り交わされた平成23年9月30日付けの「商標使用許諾契約書」であるところ、第1条(定義)に「(1)『本件商標』とは、別紙商標目録記載の商標の総称である。」、第2条(使用許諾)に「・・・本件商標を使用する権利を独占的に許諾する。」、第6条(契約期間)に「本契約の有効期間は、本契約締結の日から1年間とする。ただし、期間満了の1か月前までに、一方当事者が他方当事者から、本契約を更新しない旨の意思表示を書面により受領しなかった場合、1年間延長されるものとし、以後も同様とする。」及び第12条(経過措置)に「本契約書における本件商標の使用許諾は、本件商標の登録日(別紙商標目録に記載の商標1については平成19年(2007年)3月2日・・・)以降甲が乙に口頭で継続的な使用を許諾していた内容を、書面化したものである。」の記載がある。なお、添付の「(別紙)商標目録」中に「○商標1/登録第5030321号」の記載及び別掲(1)の構成からなる商標の表記並びに「○商標2/登録第5057933号/「インベンチュア」(標準文字)」の記載がある。
乙第2号証は、右上角部に「2007/06/28 提出/株式会社図研」との表記のある「有価証券報告書」とするものであり、「4【関連会社の状況】」の項の「連結子会社」としての表中の最後の欄に、名称として「インベンチュア(株)/(注)1」、事業の内容として「ICソリューション等の開発・製造・販売」と掲載されており、その表の下に「(注)1.特定子会社は、・・・インベンチュア(株)であります。」と記載されている。
(2)乙第3号証ないし乙第7号証について
乙第3号証は、「インベンチュア株式会社Webページインターネットアーカイブ記録」とするものであり、2011/10/20付け打ち出しのWebページであるが、右上方部の「11」、「5」及び「2009」の表示から、2009年11月5日におけるWebページであることが推認される。そして、左上方部には「インベンチュア株式会社」の表記と共に、本件商標と社会通念上同一といえる商標が表示されており、「製品・サービス」の項目における「設計サービス」の見出しの下、「Z−core IP プレミアムサービス/IP開発、ASSP開発時のノウハウ等の弊社技術を最大限に活用し、IPのサポートのみならず、お客様のご要望に沿ったデザインを組み上げ、ASIC、FPGA等ご希望の形態でご提供する弊社IPソリューションの総合サービスです。本サービスをご利用頂くことで、お客様に短期間で高性能なデザイン/チップをご提供出来ます。また、システムレベルの仕様検討からお客様と共同での開発も可能です。」と記載されており、「Z−core IP プレミアムサービスの特徴」として、「インベンチュア製開発支援KITを利用した事前動作確認、性能評価が可能」、「お客様の仕様/回路を組み込んだ共同開発が可能」、「ASIC/FPGAでの納品及び評価ボードでの実機動作確認」などと記載されている。
そして、乙第4号証ないし乙第7号証は、2009年5月に実施されたインベンチュア株式会社のWebページのリニューアルに係る同社と株式会社ミクプランニングとの間で取り交わされた見積書、請求書、検収確認書、リニューアル修正依頼データとするものである。
乙第4号証は、発行日が2009/5/19付けのインベンチュア株式会社あての株式会社ミクプランニングの「見積書」であり、件名欄に「ウェブリニューアル」、納入年月日欄に「5/19」、見積金額欄に「¥700,000」の各表記が掲載されている。
乙第5号証は、インベンチュア株式会社あての株式会社ミクプランニングの「請求書」であり、金額欄に「¥735,000/(内、消費税額35,000円)」、請求日欄に「2009/05/29」、件名欄に「ウェブリニューアル」の各表記が掲載されている。
乙第6号証は、株式会社ミクプランニングあてのインベンチュア株式会社の「検収確認書」であり、検収日欄に「2009年05月19日」、件名欄に「ウェブリニューアル」、見積金額欄に「735,000円(内、消費税額35,000円)」の各表記が掲載されている。
乙第7号証は、メールデータの写しであり、「送信日時:2009年5月15日金曜日18:06」、「件名:修正データです」の記載の下、「・・・ミクプランニング・・・です。13日にご依頼のあった箇所の修正データを添付いたします。・・・」と記載されており、その下に「Orginal Message」として、「ミクプランニング・・・様 インベンチュアの・・・です。・・・修正お願いします。いつ頃までに修正完了するか、見積もってご連絡ください。」などの記載がある。
(3)乙第8号証ないし乙第10号証について
乙第8号証は、「USB3.0」のカタログとするものであるところ、1枚目の上部中央2行目に「USB 3.0」の記載があって、その下部に「Configurable Device Controllerコア」及び「インベンチュアは、USB3.0インターフェイスの容易な実現を提供します」の記載があり、また、最下部に「※情報は2011年02月現在のものです。仕様は変更される可能性があります」の記載があり、さらに、右上方には、本件商標と社会通念上同一といえる商標が表示されている。同じく、2枚目は、左上方に「USB3.0 Solutions:」の見出しの記載があり、その下の「インベンチュア IP開発環境」の表題がある欄には、「IP Portfolio/SIM環境」として、「IP開発で培った豊富なノウハウ」及び「IP組込み設計サービス」と表記した囲みがあり、前者の囲みから後者の囲みに向け矢印が図示されている。また、「実機評価環境」として、「相互接続性の確認/・初期化/・通信手続き確認=>IP構成/・性能評価」及び「お客様:開発への応用/・システム評価=>構成確定/・ソフトウェア開発/・製品後の試験装置」と表記した囲みがあり、前者の囲みから後者の囲みに向け矢印が図示されている。そして、2枚目下欄には、「インベンチュア株式会社」の表記等と共に、本件商標と社会通念上同一といえる商標が表示されている。
乙第9号証は、インベンチュア株式会社あての株式会社アドバンテストメディアサービスの「請求書」であり、支払予定日欄に「2011年03月31日」、発行日欄に「2011年2月21日」、今回御請求額欄に「34,860」、商品名欄に「カラーリーフレット 基本料金(データ変換)」及び「USB3.0 Configurable Device Controller」と記載されている。
乙第10号証は、東京エレクトロンデバイス株式会社のWebページからの抜粋であり、2011年2月15日付けのニュースリリースと認められるところ、該日付の上部に本件商標と社会通念上同一といえる商標が表示されており、「USB3.0 FPGAメザニンカードを共同開発 〜プラグアンドプレイでUSB3.0の組み込み評価を実現〜」の見出しの下、「インベンチュア株式会社・・・と東京エレクトロンデバイス株式会社・・・は、高速データ転送システム開発に適したUSB3.0 FPGAメザニンカード(以下USB3.0 FMCカード)・・・を共同開発を2月15日に発表しました。・・・近年のデジタル機器において、映像データの高精細化に伴い、機器間を高い転送レートでつなぐ使い勝手の良いインターフェイスが不可欠になっています。・・・このことから、本USB3.0 FMCカードは、放送機器、マルチファンクションプリンター(MFP)、医療機器、産業機器向け高解像度カメラなど、あらゆる大容量のデータ転送を必要とする製品の開発評価に適しています。・・・」と記載されている。
(4)乙第11号証及び乙第12号証について
乙第11号証は、「PTFNavi」のカタログとするものであるところ、1枚目の上部中央2行目に「PTFNavi」の記載があって、その下部に「PCI Express Development Platform Navigator」及び「PTFNaviは、PCI Expressベースシステムへの移行をナビゲートします」の記載、「Features:」の見出しがある欄に「■ご提供物/・・・/−PTFNavi用FPGA Configurationデータ」及び「※情報は2009年6月現在のものです。仕様は変更される可能性があります」の記載があり、右上方には、本件商標と社会通念上同一といえる商標が表示されている。同じく、2枚目は、左上部に「Components:」の見出しのある欄に「※インベンチュア製各種IPを中心としたFPGA Configurationデータをあわせて提供いたします」と記載されている。そして、2枚目下欄には、「インベンチュア株式会社」の表記等と共に、本件商標と社会通念上同一といえる商標が表示されている。
乙第12号証は、1枚目がインベンチュア株式会社あての株式会社アドバンテストメディアサービスの「請求書」であり、支払予定日欄に「2009年07月31日」、発行日欄に「2009年6月22日」、今回御請求額欄に「142,170」、商品名の欄に上から「基本料金(データ変換)」、「ZTRITON Series カラーオンデマンド再版」、「Z−Core PCI Express カラーオンデマンド改版」、「PTFNavi カラーオンデマンド改版」と記載されている。同じく、2枚目は、インベンチュア株式会社あての株式会社アドバンテストメディアサービスの2009年6月9日付けの「御見積書」とするものであり、「件名:リーフレット オンデマンド印刷」及び「合計金額(税込み) ¥142,170」の記載があり、品名及び内容の欄には、1枚目の商品名の欄に記載の事項と符合すると認められる事項が記載されている。
上記2の事実からすると、以下のとおり判断するのが相当である。
(1)通常使用権者について
本件商標権者である被請求人は、インベンチュア株式会社との間で、本件商標について、平成19年3月2日以降の継続的な使用の許諾も含め使用を許諾する旨の契約を要証期間外である同23年9月30日付けで締結している(乙第1号証)。
もとより、通常使用権の許諾は、明文の契約に限らず、口頭による契約や黙示の契約によっても可能であり、商標法第50条における通常使用権者による登録商標の使用というために通常使用権の登録を要するものではない(知的財産高裁平成21年(行ケ)第10290号、同22年2月25日判決参照)。
そうすると、被請求人は、インベンチュア株式会社に本件商標を使用許諾した旨主張しており、また、同社が被請求人の子会社であることをも考慮すれば、被請求人でもある商標権者は、インベンチュア株式会社に対し、本件商標について使用許諾したものというべきであるし、上記許諾契約の締結により、本件商標に係る通常使用権の存在はより一層明確であるといえるから、インベンチュア株式会社は、本件商標に係る通常使用権者といえるものである。
(2)使用商標について
乙第3号証、乙第8号証及び乙第11号証は、インベンチュア株式会社のWebページ又はカタログであり、また、乙第10号証は、東京エレクトロンデバイス株式会社のWebページであるところ、それぞれに本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されている。そして、その商標の使用は、要証期間においてされたものといえる。
(3)本件商標の使用に係る役務について
ア 本件審判の取消請求に係る役務は、前述のとおり、本件商標の指定役務中、第42類「機械器具に関する試験又は研究」である。
そして、請求人は、「乙第3号証、乙第8号証、乙第10号証及び乙第11号証に示される本件商標は、商品の製造・販売に使用されているものであって、被請求人がいう役務は、商品の製造・販売に伴って付随的に行われるものである。したがって、インベンチュア株式会社は、本件商標を役務『機械器具に関する試験又は研究』に使用していない。」旨主張しているところ、被請求人は、請求人による当該主張に対して何らの具体的な答弁をせず、追加の証拠も提出していない。
イ ところで、商品及び役務の区分の第42類に含まれる役務について、「商品及び役務区分解説〔国際分類第8版対応〕」(平成13年12月特許庁商標課編)の第42類に係る【注釈】においては、「この類には、主として、個別的又は集団的に人により提供される役務であって、諸活動のうちの複雑な分野の理論的又は実用的な側面に関連を有するものが含まれる。当該役務は、化学者、物理学者、エンジニア、コンピータ・スペシャリスト、法律家のような専門家によって提供されるものである。この類には、特に、次の役務を含む。科学的及び技術的分野における評価、見積もり、研究及び報告を行うエンジニアによる役務。・・・」との記載があるところ、本件審判の取消請求に係る役務「機械器具に関する試験又は研究」は、前半部が「機械器具」とのみ表記されており、例えば、「理化学機械器具」、「測定機械器具」、「通信機械器具」、「電子応用機械器具」のように大きな概念をもってすら限定されていないものである。
そうすると、第42類に含まれる役務である「機械器具に関する試験又は研究」における「機械器具」とは、上記の「理化学機械器具」、「測定機械器具」、「通信機械器具」、「電子応用機械器具」などを含めた一般的「機械器具」を指していると理解するのが相当といえるものである。
また、「試験」及び「研究」についてみるに、前者は「ある事物の性質・能力などをこころみためすこと。」、後者は「よく調べ考えて真理をきわめること。」(以上「広辞苑第六版」)とある。
ウ しかして、商標法上の役務とは、「他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきもの」(特許庁編「工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第18版〕」)、と解されており、判決においても、「商標法にいう『役務』とは、他人のためにする労務又は便益であって、付随的でなく独立して市場において取引の対象となり得るものをいうと解するのが相当である。したがって、商品の譲渡に伴って付随的に行われるサービスは、それ自体に着目すれば他人のためにする労務又は便益に当たるとしても、市場において独立した取引の対象となり得るものでない限り、商標法にいう『役務』には該当しないと解すべきである。」(東京高等裁判所平成12年(行ケ)第105号、同13年1月31日判決参照)旨判示されている。
エ 以上を踏まえ、前記2において認定した乙各号証における商品又は役務に関する具体的記載についてみるに、本件商標の通常使用権者であるインベンチュア株式会社は、商品である「ICチップ」等を製造し、あるいは「コンピータシステムの開発・設計」の役務を提供していたといえるとしても、少なくとも、被請求人の提出に係る上記乙各号証によっては、同社が上述の一般的「機械器具」に関して、独立した取引の対象として、第42類に属する役務としての「試験又は研究」を行っていたとはいい難いものである。
したがって、本件商標の通常使用権者が、たとえ本件商標と社会通念上同一と認められる商標を要証期間に日本国内において使用していたとしても、その取消請求に係る指定役務「機械器具に関する試験又は研究」について使用していたとはいえない。
以上のとおり、被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務である「機械器具に関する試験又は研究」について、本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定役務について使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品及び指定役務中「結論掲記の役務」について、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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