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Trademark Appeal Case

模様と商標的使用の判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2011−301081(T2011−301081/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4777117号商標の指定商品中、第18類「かばん類,袋物,かばん金具,がま口口金,携帯用化粧道具入れ,傘」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4777117号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成15年10月3日に登録出願、第18類「かばん類,袋物,かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革」を指定商品として、同16年6月11日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

なお、本件審判請求の登録は、平成23年12月19日にされている。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証の1を提出した。

1 理由

本件商標は、その指定商品中「かばん類,袋物,かばん金具,がま口口金,携帯用化粧道具入れ,傘」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)被請求人提出の乙第1号証ないし乙第5号証を参照するに、乙第1号証、乙第3号証及び乙第5号証において、本件商標と同一のマークが付されたハンドバッグ及び財布が示されている。

しかしながら、同証拠に示されているように、これらハンドバッグ及び財布の広告欄には、いずれも「Arista Artigiano」なる商品名が表記されている。すなわち、この「Arista Artigiano」の名称が、被請求人提出の証拠に示された商品の自他商品識別標識として機能している。これは、乙第2号証及び乙第4号証に係る納品書においても、被請求人が、商品名として「A.アルジャーノ」又は「AAバッグ」(いずれも、「Arista Artigiano」の略記であると考えられる。)と表記していることからも、明らかである。また、被請求人は、このような方法で、上記商品の取引を行っていることから、需要者・取引者は、「Arista Artigiano」なる名称から、上記商品を識別している。逆に言えば、本件商標と同一のマークは、商品の識別標識として認識されていない。

(2)一方で、上記商品における取引業界において、自他商品識別機能を奏する標章は、商品の目立たない位置に配置され、かつ、商品全体に対して小さめにデザインされることが慣行として行われている。このような状況下、被請求人提出の証拠に示される商品を参照すると、本件商標と同一のマークが、商品全体に渡って広々と描かれている。そのため、このような態様のマークを見た需要者・取引者は、これを自他商品の識別標識とみるのではなく、商品の図柄や模様として認識するものである。

(3)したがって、被請求人の、証拠に示される本件商標の使用態様は、商標的使用態様ではなく、ゆえに、商標法第50条第1項に規定される登録商標の「使用」は、行われていない。

(4) まとめ

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標の指定商品中「かばん類,袋物,かばん金具,がま口口金,携帯用化粧道具入れ,傘」について、本件商標の使用をしていない。

したがって、本件商標は、その指定商品中、上記商品についての登録を商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。

理由

1 被請求人(商標権者)は、本件審判の請求があった日時より過去3年以内も現在も本件商標を使用し販売継続している。

2 請求人は、「本件商標は、商品の識別標識として認識されていない」旨、主張しているが、「Arista Artigiano」だけが商標ではなく、本件商標は全ての商品に統一して使用されている。

したがって、本件商標の図形(柄)の一単位が商品の出所として自他商品を識別認識されるものである。

商品には、本件商標を繰り返し使用しているが、本件商標の図形(柄)パターンは同一であり、本件商標の一単位を抽出できるため、商標として機能しており、その使用は自他商品の識別標識として認識される。

第4 当審の判断

1 乙第1号証ないし乙第5号証によれば、以下の事実が認められる。

(1)乙第1号証(チラシ)は、その上部に「ナイスミセス カタログ番号3213号 おしゃれお値打ち品」及び「・・・割引の有効期限は2010年1月2日・・・までとなりますので、ご注文はお早めに!」と記載されたチラシ(正本は、全8頁よりなるチラシ原本、副本は、正本チラシの5頁目の写しのみ。また、副本は、上部が未複写のため、右記載は非表示)であるところ、当該5頁目(副本にもあり)の左下部には、別掲2のとおりのバッグ複数と財布の写真が表示され、その写真の中央右の横長四角形枠内に「Arista Artigiano」の記載、また、左下部には「<アルティスタ・アルティジャーノ>/バッグ福袋/・・・」の記載、そして当該頁の右下欄外に「・・・大阪市北区・・・株式会社ジャパンホームショッピングサービス」と記載(副本には、法人名の末尾部分が非表示)されている。

そして、別掲2に掲載されているバッグと財布には、それぞれに複数の幾何図形が当該商品の表面全体に施されている。

(2)乙第2号証は、被請求人(権利者)である大阪市藤井寺市在の「有限会社芦田企画」から「(株)ジャパンホームショッピングサービス」に宛てた2件の納品書(控)の写しであるところ、1件目の「着日(年月日)」欄には「22 1 9」、2件目には「100115」と記載されている。

そして当該2件の納品書(控)の1件目の「品名」欄には、「<A・アルティジャーノ>バッグ福袋」と記載されている。

(3)乙第3号証は、審判長宛、平成24年2月20日付けの「販売証明書」であるところ、そこには、「株式会社東洋捺染(・・・京都市下京区・・・)は、同系列会社 株式会社京都通販の発行する下記媒体において有限会社芦田企画(・・・大阪市松原市・・・)により生産された『アルティスタ・アルティジャーノ 3点セット』を同子会社 株式会社ASSO INTERNATIONAL(大阪市藤井寺市・・・)を通じて購入し販売いたしました。」との記述があり、その下部に「媒体名:ロリエ 同梱チラシ 中面 110823号」「発行日:2011年8月23日発刊より3か月間販売。」「発行人:株式会社京都通販・・・京都市下京区・・・」「商品名:『アルティスタ・アルティジャーノ 3点セット』」「掲載誌面:添付資料」の各記載がある。

そして、添付資料であるチラシの写しには、別掲3に掲載されているバッグと財布のそれぞれに複数の幾何図形がこれら商品の表面全体に施され、当該チラシ上部中央には、「Arista Artigiano」の記載、左下部に「アルティスタ・アルティジャーノ3点セット(選べる2タイプ)」の記載、その直下の「タイプ」欄及び「申込番号」欄に、「Aセット」が「313−15050」、「Bセット」が「313−15060」である旨、記載されている。

(4)乙第4号証は、平成23年9月5日、同7日及び同21日付け「株式会社アッソ インターナショナル」が「株式会社東洋捺染」宛に販売した3件の「売上伝票控」の写しであるところ、その1件目の4段目には、「仕入先品番」欄、「品名」欄及び「申込番号(サイズコードを含む)」欄の各欄に順に「ボストン」、「AAバッグ・3テンBセッ」及び「313−15060」と記載されている。

(5)乙第5号証は、「婦人靴メーカー直販店ソールカウンター」のウェブサイトであるところ、その上段部に「アルティスタ・アルティジャーノ 長財布 23010/品番:23010」の記載、中央部分に別掲4のとおりの財布の写真が表示され、その右側に「商品コード:23010/・・・」と記載されている。

なお、ウェブサイトには、その打出し日、商品の販売年月日は見当たらない。

2 以上の事実及び被請求人の主張より、以下判断する。

(1)使用標章の時期、使用商品及び使用者について

ア 乙第1号証及び乙第2号証について

乙第1号証のチラシの上部には、前記1で記載したとおり、「・・・割引の有効期限は2010年1月2日・・・までとなりますので、ご注文はお早めに!」と記載されていることから、当該チラシは、2009年12月前後に作成されたとみるのが、相当である(答弁書においては、平成21年(2009年)12月19日発刊と記載)。

そして、当該チラシ中の「<A・アルティジャーノ>バッグ福袋」の記載が、乙第2号証における「品名」欄の記載と同一であること及び乙第2号証の「納品書(控)」の宛先が、乙第1号証のチラシの右下部に記載された「株式会社ジャパンホームショッピングサービス」と一致することからすれば、直接証拠が見あたらないとしても、乙第1号証のチラシの掲載商品「バッグ及び財布」は、大阪府藤井寺市在の被請求人(権利者)の製造にかかる商品であると推認することができる。

したがって、被請求人(権利者)は、本件審判の要証期間内に使用標章(バッグ等の表面の標章)をバッグと財布からなる「アルティスタ・アルティジャーノ3点セット」(以下、「使用商品」という。)に施していたことが推認できる。

イ 乙第3号証及び乙第4号証について

乙第3号証の「添付資料」は、別掲3に掲載した1枚紙のみであるところ、これ自体からでは、そこに掲載された商品「バッグ及び財布」の製造者、当該「添付資料」の広告者及び広告の発行日等が全く不明である。

ところで、乙第3号証の「販売証明書」は、乙第4号証の「売上伝票控」を説明するためのものと思われるところ、当該「販売証明書」によれば、被請求人(権利者)である「有限会社芦田企画」が生産した「バッグ及び財布」を同人の小会社と称する大阪府藤井寺市在の「株式会社ASSO INTERNATIONAL」を通じて京都府下京区在の「株式会社東洋捺染」が購入・販売した旨、記載され、さらに当該「添付資料」の広告は、「株式会社東洋捺染」の同系列会社が発行している旨、記載されている。

乙第4号証は、「株式会社アッソ インターナショナル」が、「株式会社東洋捺染」に対し、商品を販売したことが認められる「売上伝票控」であるところ、その1件目の23年9月5日付け(要証期間内)「売上伝票控」の4段目における「仕入先品番」が「ボストン」、「品名」が「AAバッグ・3テンBセッ」及び「申込番号」が「313−15060」の各記載が、乙第3号証「添付資料」中の「ボストン」、「アルティスタ・アルティジャーノ3点セット」、「タイプ」が「Bセット」及び「申込番号」が「313−15060」と実質的に一致していることが認められる。

これら乙第3号証及び乙第4号証からすれば、「株式会社アッソ インターナショナル」と「株式会社東洋捺染」が、被請求人(権利者)製造の使用商品を取引した事実が推認できる。

したがって、被請求人(権利者)は、本件審判の要証期間内に使用標章(バッグ等の表面の標章)を使用商品に施していたことが推認できる。

ウ 乙第5号証について

乙第5号証は、使用標章が施された財布の通信販売を示す第三者のウェブサイトであるが、いつの時点におけるサイトなのか、不明であること、及び「アルティスタ アルティジャーノ 長財布」の記載があるものの、被請求人(権利者)との関係が明らかでないことから、同号証も被請求人(権利者)が本件審判の要証期間内に使用標章をその商品に施していたことを認めることができない。

(2)本件商標について

本件商標は、別掲1のとおり9個の特異な幾何図形を菱形状に配置した一つのまとまった図形というのが相当である。

(3)被請求人の使用標章について

被請求人は、別掲2ないし別掲4のとおり、「バッグ及び財布」に本件商標を使用していると主張しているところ、該「バッグ及び財布」の表面全体には複数の幾何図形が連続反復して施されており、本件商標と同一部分である9個の幾何図形に着目し、これを1単位とみても、隣り合う四方の9個の幾何図形の一部とそれぞれ共有するものであることとも相俟って、如何なる単位の幾何図形を特定して表記したのか理解し難いものであり、取引者・需要者をして、バッグ及び財布の生地(素材)に施した地模様(柄)とのみ認識されるとみるのが相当である。

そして、使用標章が、地模様(柄)のみからなるものと認識される場合は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができず、係る使用は商標的使用には、当たらないものというのが相当であって、不使用取消審判における「商品についての登録商標の使用」は、いわゆる商標的使用の行為があったことを必要とする。

そして、このことは、東京高裁平成12年(行ケ)第117号判決において、以下の如く説示されていることからも裏付けられている。

「商標法50条の適用上、・・・『商品についての登録商標の使用』があったというためには、当該商品の識別表示として同法2条3項、4項所定の行為がされることを要するものというべきである。」。なお、ここでの同法とは、商標法を指している。

(4)被請求人使用標章と本件商標との社会通念上の同一性について

仮に被請求人(権利者)の使用標章が、商標的使用であるとした場合であっても以下により、使用標章は、本件商標と社会通念上同一とは認めることができない。

本件商標は、前記(2)において記載したとおり、9個の特異な幾何図形を菱形状に配置した一つのまとまった図形というのが相当であるのに対し、

使用標章は、前記(3)において記載したとおり、如何なる単位の幾何図形を特定して表記したのか理解し難いものであることから、結局、使用標章は、本件商標とは社会通念上同一のものとは認めることができない。

(5)小括

してみれば、被請求人(権利者)は、乙第1号証ないし乙第4号証の如く、日本国内において、本件審判の要証期間内に使用標章を本件取消請求に係る指定商品中の「かばん類,袋物」に属する商品である「バッグ及び財布」に施しているものと推認できるものではあるが、その使用標章の使用は、商標的使用に該当しないものといわざるを得ない。

また、これら乙第1号証ないし乙第4号証の使用が仮に、商標的使用であるとしても、使用標章は、本件商標とは社会通念上同一のものとは認めることができない。

3 まとめ

以上のとおり、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、被請求人は、本件審判の要証期間内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明していないものといざるを得ず、また、被請求人は使用していないことについて正当な理由があるとも認められないものである。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中「かばん類,袋物,かばん金具,がま口口金,携帯用化粧道具入れ,傘」についての登録を取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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