Trademark Appeal Case
欧文字商標の称呼認定
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2012−900125(T2012−900125/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5469718号商標(以下「本件商標」という。)は,「KYLA」の欧文字からなり,平成23年8月22日に登録出願され,第28類「人形,人形用被服,人形の付属品,おもちゃ,遊園地用機械器具(「業務用テレビゲーム機」を除く。),愛玩動物用おもちゃ,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具」を指定商品として,平成24年1月6日に登録査定,同年2月10日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,商標法第4条第1項第11号の理由に引用する登録4994620号商標(以下「引用商標」という。)は,「KILLAH」の欧文字からなり,平成17年9月26日に登録出願され,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,平成18年10月13日に設定登録されたものである。
3 登録異議申立ての理由の要点
申立人は,以下のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同法第4条第1項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により取り消されるべきである旨主張し,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第48号証を提出した。
(1)本件商標は,「KYLA」の文字列より「キラ」の称呼を生ずる。これに対して,引用商標は,「KILLAH」の文字列より「キラー」の称呼を生ずる。両称呼を対比すると,「キラ」の称呼を共通にし,異なるのは末尾における長音の有無のみであり,その差異が両称呼の全体に及ぼす影響は小さいものであって,全体として語感語調が極めて近似し,称呼上相紛らわしく聞き誤るおそれがある。また,本件商標の指定商品中の「運動用具」は,引用商標の指定商品中の「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」と類似する。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)「KILLAH」及び「KillaH」又は「Killah」の商標(標章)は,イタリアのシックスティー・グループの一ブランドとして,少なくとも1998年には衣料品等について使用開始され,現在まで継続して使用し,イタリア発祥のファションブランドとして,日本国内外の取引者・需要者に認識され,業界紙やウェブサイトにおいて多数掲載されている。また,全世界的に商標登録を取得し,その店舗数が世界各国で517店舗以上と拡大していることを考慮すれば,「KILLAH」及び「KillaH」又は「Killah」の商標(標章)は,申立人の商標として,本件商標の出願日にはファッションに関する業界における取引者・需要者において,広く認識されていたものということができる。また,これらの商標の一部が申立人に移転されていることから,これらの商標に蓄積された信用は,申立人に引き継がれたものと考えるのが自然である。
したがっては,申立人の日本及び諸外国において周知著名な商標(標章)と類似する本件商標は,申立人の業務に係る商品と混同を来すおそれがあるから,商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当について
本件商標は,「KYLA」の欧文字からなるものであるが,これは我が国において特定の意味や読みを有するものとして知られているものではない。このような場合には,我が国において親しまれた外国語である英語の読みをもって称呼されるとみるのが自然であるから,「kymograph」を「カイモグラフ」,「kyphosis」を「カイフォシス」と発音する例(小学館「プログレッシブ英和中辞典」)に倣い,本件商標からは,「カイラ」の称呼を生ずるとみるのが相当である。
他方,引用商標は,「KILLAH」の欧文字からなるものであるところ,これも我が国において特定の意味や読みを有するものとして知られているものではないから,本件商標と同様に,英語の読みをもって称呼されるものといえ,「killarney」を「キラーニー」と発音する例(小学館「プログレッシブ英和中辞典」)に倣い,引用商標からは,「キラー」の称呼を生ずるとみるのが相当である。
そこで,本件商標から生ずる「カイラ」の称呼と引用商標から生ずる「キラー」の称呼を比較すると,両称呼は,音構成の相違,相違する各音の音質の差等により明瞭に聴別できるものである。
次に,外観についてみると,本件商標と引用商標は,共に欧文字のみからなるものではあるが,文字数の相違,構成文字の相違等により,外観上判然と区別し得るものである。また,両商標とも既成の語ではなく特定の観念を生じないものであるから,観念上は比較することができないものである。
そうすると,本件商標と引用商標は,その称呼,外観及び観念のいずれからみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号には該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人提出の甲各号証及び主張によれば,別掲に示す「Killah」の文字からなる標章(以下これを「使用商標」という。)をイタリアのシックスティー・グループが,その取り扱いに係る商品(主として婦人用被服)に使用していること,使用商標を付した商品が台湾や中国等で取引されていること,申立人又はシックスティ・インターナショナル・エス・エーが,「KILLAH」,「KillaH」及び「Killah」の各文字からなる商標又は,これらの文字を含む商標を複数の国において商標登録していることが認められる(甲13〜39)。
しかしながら,申立人の提出した甲各号証のうち,日本における使用商標の使用状況を示すものは,2011年2月19日にラフォーレ新宿にシックスティー・グループの支店がオープンしたことに関連する記事を記載したウェブページ又はブログ(甲41〜43,46),使用商標を付した商品が紹介されているショッピングサイトのウェブページ(甲44,45),使用商標を付した製品の我が国での年間売り上げを示すものとする本件代理人宛のレター(甲47)及び,使用商標を付した製品の我が国での販売を裏付けるものとするインボイス(甲48)のみである。
そして,ラフォーレ原宿における支店のオープンは,本件商標の出願時(2011年8月22日)のわずか半年前であり,ショッピングサイトの情報もたった2件であってその掲載日も不明であり,かつ,これらの記事に申立人と使用商標又はシックスティー・グループの関連を示す記載はない。
また,レターに示された2008年〜2010年の3年間の売上げは,Quantityの総数が2030,NetRevenue(Euro)の総額が34,614とわずかなものといえ,インボイスにしても,2009年6月10日と2010年5月12日の2度の取引を示すのみで,申立人も主張するとおり,使用商標を付した製品が我が国に輸入されたことを裏付けるにとどまるものである。
したがって,このような使用状況をもってしては,本件商標の出願時,査定時において,使用商標が申立人又はシックスティー・グループの取り扱いに係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識され,かつ,著名になっていたと認めることはできない。
次に,使用商標と引用商標の類否についてみると,両商標は,書体の相違はあるものの,綴りを同じくするものであるところ,上記(1)で認定したとおり,本件商標と引用商標とがその称呼,外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であることからすれば,同様に,本件商標と使用商標も相紛れるおそれのないものというべきものである。
そうすると,本件商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者が引用商標又は使用商標ないしは申立人を連想,想起するようなこ
とはなく,該商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく,その出所について混同を生ずるおそれはないものというのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第15号には該当しない。
(3)むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
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