Trademark Appeal Case
称呼類似と出所混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2012−900090(T2012−900090/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5462578号商標(以下「本件商標」という。)は、「ナチュラルバイタル」の文字と「NATURAL VITAL」の文字を二段に横書きしてなり、平成23年7月12日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年12月21日に登録査定、同24年1月13日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する登録第3064545号商標(以下「引用商標」という。)は、「NATURVITAL」の文字を横書きしてなり、平成4年12月4日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同7年7月31日に設定登録され、その後、同17年2月8日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
3 登録異議申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「ナチュラルバイタル」の称呼が生ずるものである。
これに対し、引用商標は、取引上「ナチュールバイタル」と称呼されるものである。
そうすると、本件商標より生ずる「ナチュラルバイタル」の称呼と引用商標より生ずる「ナチュールバイタル」の称呼は、これらをそれぞれ一連に称呼するときは、その語韻語調が近似したものとなり、称呼上相紛れるおそれがある。
また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が抵触することは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
申立人及びその業務に係る商品の日本における販売会社である株式会社石澤研究所(以下「石澤研究所」といい、これらをまとめていうときは、以下「申立人ら」という。)は、平成14年から今日に至るまで、引用商標を商品「シャンプー、コンディショナー、カラーリンス」等のヘアケア商品(これらをまとめていうときは、以下「申立人商品」という。)に使用し、宣伝広告をしてきた(甲3〜甲10)。その結果、引用商標は、本件商標の登録出願時には、申立人商品を表示する商標として、需要者の間に広く認識されていた。
してみると、引用商標と称呼において類似する本件商標をその指定商品について使用するときは、該商品が申立人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所の混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当するものである。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。
4 当審の判断
(1)引用商標の周知・著名性
甲第3号証ないし甲第10号証によれば、申立人商品は、2002年(平成14年)ころから我が国における輸入発売元である石澤研究所を介して販売が開始されたこと、申立人商品の包装容器の正面には、「NATUR」の文字と「VITAL」の文字を二段に横書きにした商標(語頭の「N」と「V」の文字部分は、他の文字部分に比べ大きく表されている。)が大きく表示されていること(甲4〜甲10)、申立人商品のうち、ヘアーカラートリートメント(染毛剤)、ノンシリコンシャンプー・ヘアマスクの包装容器の裏面には、「ナチュールバイタル」との片仮名文字が表示されている(甲6、甲7、甲9)が、地肌用コンディショナー・エッセンス・シャンプーの包装容器の裏面には、「ナチュールバイタル」の表示はなく、「ヘアロス」との片仮名文字が表示されていること(甲6、甲7、甲9)、また、申立人商品の広告においても、ヘアーカラートリートメント(染毛剤)、ノンシリコンシャンプー・ヘアマスクには、「ナチュールバイタル」の片仮名文字が表示されている(甲4、甲8、甲10)が、地肌用コンディショナー・エッセンス・シャンプーには、「ヘアロス」、「日本初登場/ヘアロス地肌シリーズ」、「HAIR LOSS」の各文字が表示されていること(甲5、甲8、甲9)、さらに、申立人商品に関する広告のうち、本件商標の登録出願日(平成23年7月12日)前のものは、2006年(平成18年)2月にインターネット上で行ったカラーリンス、及び、2009年(平成21年)9月3日にインターネット上で行った地肌用コンディショナー・シャンプーのみであり、しかも、後者については、「頭皮ケア『ヘアロス』」の表示のもとに行われたものである。また、販売促進用資料9種類(甲8)及び広告物7種類(甲9)は、いつごろ、どのような方法・回数・内容で、どのような地域で行ったかについては、明らかではなく、商品チラシ3種類(甲10)についてもその作成日、配布地域等が明らかではない。
してみると、申立人の提出した証拠をもってしては、引用商標が、常に「ナチュールバイタル」との称呼をもって申立人商品を表示する商標として、本件商標の登録出願日(平成23年7月12日)及び登録査定日(平成23年12月21日)の時点において、我が国の需要者の間で広く認識されていたものと認めることはできない。
他に、上記時点において、引用商標が申立人商品を表示する商標として、周知・著名性を獲得していたと認めるに足りる証拠の提出はない。
なお、申立人は、平成14年から平成24年までの我が国における申立人商品の年間の売上高を示す(甲3)が、その商品中には、「ヘアロス/HAIR LOSS」の表示のもとに販売された商品も相当含まれているものとみられ、申立人商品の売上の数量・金額は、引用商標についての本件商標の登録出願時における周知・著名性の判断資料とすることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、前記1のとおり、「ナチュラルバイタル」の文字と「NATURAL VITAL」の文字を二段に横書きしてなるものであるところ、上段の「ナチュラルバイタル」の文字部分は、下段の「NATURAL VITAL」の文字部分の読みを特定したと理解されるものであるから、本件商標は、その構成文字に相応して、「ナチュラルバイタル」の称呼を生ずるものである。
また、本件商標中の「NATURAL(ナチュラル)」の文字部分は、「自然の、自然のままの」などを意味する英語の形容詞として、また、「VITAL(バイタル)」の文字部分は、「生命の、活力に満ちた」など意味する英語の形容詞として、いずれも我が国においてよく知られているものといえる。
そして、本件商標は、これらの形容詞2語を結合したものであるから、これよりは、特定の観念が生ずるものではなく、一種の造語を表したと理解されるとみるのが相当である。
イ 引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「NATURVITAL」の文字を横書きしてなるものであるところ、該文字は、特定の読みをもって親しまれた既成語ではないところから、引用商標に接する需要者は、これを英語読み風にした「ネイチャーバイタル」の称呼をもって、商品の取引に当たる場合が多いとみるのが相当である。
そうすると、引用商標は、その構成文字より生ずる自然の称呼は、「ネイチャーバイタル」であって、構成全体をもって特定の観念を有しない造語よりなる商標ということができる。
ウ 本件商標と引用商標との対比
(ア)称呼
本件商標より生ずる「ナチュラルバイタル」の称呼と引用商標より生ずる「ネイチャーバイタル」の称呼は、後半部において「バイタル」の音を共通にするものであるとしても、前半部において「ナチュラル」と「ネイチャー」の顕著な音の差異を有するものであるから、それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても、全体の語調、語感が相違したものとなり、称呼上互いに紛れるおそれはないものである。
(イ)観念及び外観
本件商標と引用商標とは、前記認定のとおり、いずれも特定の観念を有しない造語よりなるものであるから、観念上比較することはできない。また、両商標は、前記のとおりの構成よりなるものであるから、外観上明らかに区別し得る差異を有するものである。
(ウ)したがって、本件商標と引用商標は、称呼、観念及び外観のいずれの点についても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標ということができる。
エ 申立人の主張について
申立人は、引用商標は、実際の取引において、「ナチュールバイタル」と称呼されているから、本件商標と引用商標は、称呼上類似する商標である旨主張する。
しかし、前記(1)認定のとおり、引用商標が、常に「ナチュールバイタル」との称呼をもって申立人商品を表示する商標として、本件商標の登録出願日(平成23年7月12日)及び登録査定日(平成23年12月21日)の時点において、我が国の需要者の間で広く認識されていたものと認めることはできない。仮に引用商標が、「ナチュールバイタル」と称呼されて取引に資される場合があるとしても、本件商標より生ずる「ナチュラルバイタル」の称呼と引用商標より生ずる「ナチュールバイタル」の称呼は、第3音において、音質・音感を著しく異にする「チュ」の母音「u」として発音・聴取される「チュ」の長音と弾音「ラ」との差異を有するばかりでなく、「ナチュラルバイタル」の称呼と「ナチュールバイタル」の称呼とをそれぞれ全体として称呼した場合は、前者が発音上の強弱の差なく、各音が均一に比較的強く明瞭に発音されるのに対し、後者は、「チュ」の音が長音を伴い強く発音され、その反動で「ル」の音は極めて弱く発音されるから、それぞれの称呼を一連に称呼した場合は、称呼全体の語調、語感が著しく相違したものとなり、称呼上互いに紛れるおそれはないというのが相当である。したがって、上記申立人の主張は理由がなく、採用することができない。
オ 以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものと認めることはできない。
(3)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
前記(1)のとおり、引用商標は、「シャンプー、コンディショナー、カラーリンス」等のヘアケア商品に使用する商標として周知著名なものとはいえない。また、前記(2)ウのとおり、本件商標と引用商標とは、称呼、観念及び外観のいずれの点についても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。
以上によれば、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者は、引用商標を想起又は連想することはないから、該商品が申立人ら又はこれらと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれのある商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当するものと認めることはできない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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