sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2012−900099(T2012−900099/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5464927号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5464927号商標(以下「本件商標」という。)は、「サテライト ウエーブ」の文字を標準文字で表してなり、平成23年8月17日に登録出願、第14類「時計」を指定商品として、平成24年1月6日に登録査定、同月20日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)国際登録第1026286号商標(以下「引用商標1」という。)は、「SATELLITE FOREVER」の文字を書してなり、2009年4月1日にフランス国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2009年(平成21年)9月30日に国際商標登録出願、第14類「Jewellery, precious stones, paste jewellery, horological and chronometric instruments; precious metals and alloys thereof; works of art of precious metal; jewellery cases or boxes of precious metal; statues, figurines (statuettes), busts of precious metal; jewellery case; clock and watch cases; medals.」を指定商品として、平成24年6月15日に設定登録されたものである。

(2)登録第4856841号商標(以下「引用商標2」という。)は、「SATELLITE−PARIS」の文字を書してなり、平成9年1月22日に登録出願、第14類「フランス製の貴金属,フランス製の身飾品,フランス製の宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品」を指定商品として、平成17年4月15日に設定登録されたものである。

3 登録異議申立ての理由

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、「サテライト」と「ウエーブ」の間に一文字分のスペースが介在することによって、それぞれが分離した構成となっている。「サテライト」が「衛星」を意味し、「ウエーブ」が「電波・音波などの波」を意味する語であって互いに関連性の乏しい語の組合せであり、また、「サテライトウエーブ」なる語は存在しないことからもこれらが分離して把握され、その構成上、一連一体として認識しなければならないとする合理的理由はない。

引用商標1は、「SATELLITE」と「FOREVER」の間に一文字分のスペースが介在することによって、それぞれが分離した構成となっている。「SATELLITE」が「衛星」を意味し、「FOREVER」が「永遠」を意味する語であり、「SATELLITE FOREVER」なる一連の語は存在しない。したがって、引用商標1についても、その構成上、分離して把握されるべき語であるといえる。

そうすると、両者は、いずれも「サテライト」の称呼を生じ、「衛星」の観念を生じる。

してみれば、本件商標は、片仮名と欧文字で表記が違うため外観において異なるものの、称呼、観念のいずれの観点からも引用商標1と類似の商標であるといえる。

また、本願の指定商品「時計」は、引用商標1の指定商品中「計時用具,時計側」と類似する商品である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第15号について

ア 引用商標2は、欧文字「SATELLITE」と「PARIS」をハイフンでつなげた構成となっているが、「PARIS」はフランスの首都を指す地名であり、指定商品との関係でその産地を表しているにすぎないから、「SATELLITE」の部分が要部であることが認められる。そうすると、引用商標2からは、「サテライト」の称呼及び「衛星」の観念が生じることになり、本件商標と引用商標1の類否と同様に本件商標と引用商標2は類似の商標であるといえる。

イ 登録異議申立人「アール・ディフュ」(以下「申立人」という。)は、貴金属や宝飾品等の販売を業とするフランス国の法人であり、1987年より「SATELLITE」ブランドを立ち上げて以来、大々的に当ブランドによる事業活動を行い、フランス国内では、需要者に広く知られたブランドとなっている(甲12〜15)。そして、申立人の事業範囲は、フランスにとどまらず、世界各国に及んでおり、我が国は積極的に事業展開している国の一つである(甲16)。

具体的には、大手百貨店や数多くの小売店を通じて販売し(甲16、17)、また、「SATELLITE−PARIS」の公式ホームページ上のネットショッピングサイトから世界各国の需要者が購入でき(甲19、20)、そのほか日本のショッピングサイトが数多く存在し(甲21〜25)、我が国の需要者が手軽にその商品を購入することが可能となっている。さらに、我が国における事業広告活動の一環として日本のメディアへの露出も積極的に行っている(甲26〜38)。

以上の事情を総合的に勘案すると、引用商標2及び「SATELLITE」ブランドが、本件商標の出願日前より、申立人の業務に係る商品を表す商標・ブランドとして、既に広く需要者の間に認識されるに至っているといえる。

ウ 本件商標の指定商品「時計」と貴金属又は宝飾品は、販売店等で共に取り扱われることが多い商品であり(甲39〜41)、時計そのものに宝飾や貴金属が装飾として施される場合もあることにかんがみれば密接に関係する商品である。

エ 上述の事情にかんがみれば本件商標を付した商品が市場に流通すると、一般需要者は周知・著名である「SATELLITE」ブランドを容易に連想し、その商品が申立人の業務に係る商品であるかのごとく出所について混同が生じるおそれがあることは明らかである。

したがって、本件商標は、仮に商標法第4条第1項第11号に該当しなくても、同法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標

本件商標は、前記1のとおり、「サテライト ウエーブ」の文字を書してなるところ、同じ大きさ、同じ書体の文字で表され、「サテライト」の文字と「ウエーブ」の文字との間に一文字分のスペースがあるとしても構成全体として、まとまりよく一体的に表されてなるものであり、これより生ずる「サテライトウエーブ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。また、「サテライト」の文字は「衛星」を意味する語であり(甲3、6)、「ウエーブ」の文字は「波」を意味する語であり(甲4)、いずれも指定商品との関係において、その品質等を表すものであるというような事情もない。

そうすると、本件商標は、上記いずれかの文字部分が、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとはいえないから、その構成全体として不可分一体の商標として、「サテライトウエーブ」の称呼のみが生じ、一種の造語として認識され特定の観念を生じないものと認められる。

イ 引用商標1

引用商標1は、前記2(1)のとおり、「SATELLITE FOREVER」の文字を書してなるところ、同じ大きさ、同じ書体の文字で表され、「SATELLITE」の文字と「FOREVER」の文字との間に一文字分のスペースがあるとしても構成全体として、まとまりよく一体的に表されてなるものであり、これより生ずる「サテライトフォーエバー」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。また、「SATELLITE」の文字は「衛星」を意味する語であり(甲3、6)、「FOREVER」の文字は「永久に」を意味する語であり(甲7)、いずれも指定商品との関係において、その品質等を表すものであるというような事情もない。

そうすると、引用商標1は、上記いずれかの文字部分が、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとはいえないから、その構成全体として不可分一体の商標として、「サテライトフォーエバー」の称呼のみが生じ、一種の造語として認識され特定の観念を生じないものと認められる。

ウ 本件商標と引用商標1の類否

本件商標と引用商標1について比較するに、両者は、それぞれ前記のとおりの構成よりなるから、外観上区別し得ることは明らかである。

また、本件商標より生ずる「サテライトウエーブ」の称呼と引用商標より生ずる「サテライトフォーエバー」とは、前半の「サテライト」の音を共通にするとしても、後半部に「ウエーブ」の音と「フォーエバー」の音の顕著な差異を有するから、相紛れるおそれはないものと認められる。

さらに、本件商標と引用商標1は、いずれも特定の観念を生じないから、観念上、比較することができないものである。

してみれば、本件商標と引用商標1は、外観、称呼及び観念のいずれの点についても互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

エ したがって、本件商標が引用商標1と類似し商標法第4条第1項第11号に該当するとする申立人の主張は、理由がない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

ア SATELLITEブランド(申立人商標)の著名性について

(ア)申立人は、SATELLITEブランドが本件商標の登録出願日前より、申立人の業務に係る商品を表す商標・ブランドとして広く需要者に認識されるに至っていると主張し、甲第12号証ないし甲第38号証を提出しているので以下検討する。

申立人のウェブサイト(甲12)及び用語解説のウェブサイトの「サテリット【SATELLITE】」のページ(甲13)によれば、申立人は、フランスの企業であり、1987年に貴金属宝飾品等(以下「申立人商品」という。)に使用するブランドとして「SATELLITE」を立ち上げたことが認められる。

甲第14号証は、申立人のウェブサイトの「Press」のページであり、2009年5月からのフランスの雑誌が申立人の商品を掲載したものとして紹介されている。

甲第15号証は、本件商標の登録出願日後の2011年8月19日発売されたフランスの雑誌「Be」であり、申立人商標のもとに腕時計が紹介されている。

甲第16号証は、申立人のウェブサイトの「Certified dealers」(公認販売店)のページ及び「Satellite’s stores」のページであり、いずれのページにも大丸福岡、三越札幌、阪急梅田など我が国の20店が掲載されていることが認められるが、いつの時点の情報であるかは不明である。

甲第17号証は、申立人が「『SATELLITE−PARIS』の日本の卸売業者のリスト」であるとするリストであり、277の業者が記載されているが、これらの業者といつ、どの程度の取引がなされたかは、甲第18号証の取引を除き不明である。

甲第18号証は、「SATELLITE−PARIS」発行の納品書12通であり、2000年3月31日に「JUPITER SHOP CHANNEL CO.,LTD」に230点、2001年2月1日に「CLIMBING CO.,LTD」に2164点、2002年3月1日に「ADIRON CORPORATION」に317点、2003年4月1日に「F.O.B.COOP」に400点、2004年2月12日に「EXCEL CO.,LTD」に2881点、2005年2月25日に「EXCEL CO.,LTD」に4138点、2006年6月29日に「EXCEL CO.,LTD」に13630点、2007年9月5日に「EXCEL CO.,LTD」に6483点、2008年9月4日に「EXCEL CO.,LTD」に4138点、2009年3月4日に「EXCEL CO.,LTD」に4010点、2010年7月16日に「EXCEL CO.,LTD」に9218点、本件商標の登録出願後である2011年11月2日に「ETOLILE KAITO & CO.,LTD」に269点納品したことは認められる。

甲第19号証は「SATELLITE−PARIS」のウェブサイトのネットショッピングのページであり、宝飾品や腕時計等が掲載されている。また、甲第20号証は、その購入手続のページであり、購入希望者の国名欄には、「JAPAN」を含むアルファベット順の国名から選択して記載できるようにされている。

甲第21号証ないし甲第25号証は、我が国のネットショップのウェブサイトであり、申立人商品が紹介されている。なお、ウェブサイトへの掲載日は不明である。

甲第26号証は、宝飾・アクセサリー業界専門情報誌「JAPAN PRECIOUS」2007年秋号の紹介ウェブサイトであり、その情報誌に「注目のコスチュームアクセサリー・ジュエリー、15ブランドを取り上げて紹介」としてそのブランド名の一つに「SATELLITE(サテリット)」がある。

甲第27号証ないし甲第33号証によれば、ファッション雑誌である「ヴァンサンカン」(2010年4月号)、「amarena」(2010年4月号)、「CLASSY.」(2010年4月号)、「Domani」(2010年4月号)、「EQUUS」(2010年4月号)、「Grazia」(2010年4月号)、「Oggi」(2010年4月号)及び雑誌名及び発行日が不明の数種の雑誌(甲34)に申立人商品が、モデルが付けている商品として紹介されているが、甲第28号証を除き「サテリット」と片仮名でのみ記載されている。

甲第36号証は、「THE MAGAZINE」と題するウェブサイトであり、甲第37号証は、「ハマコミ」のウェブサイトの申立人の横浜市所在の店舗のページであり、甲第38号証は、「antique−jewelry.jp」のウェブサイトの「SATELLITE](サテリット)に関するページである。なお、これらの掲載日は不明である。

(イ)前記(ア)で認定した事実によれば、申立人は、1987年からフランスにおいて、「SATELLITE」の文字とその下に小さく「PARIS」の文字を2段に表してなる商標、「SATELLITE−PARIS」の文字からなる商標(引用商標2)及び「SATELLITE」の文字のみからなる商標(以下これらの商標を「申立人商標」という。)を使用して申立人商品を販売し、我が国においても開店時期は不明であるものの、現在では大手デパートを含み20店舗で扱われていることから、本件商標の登録出願日前においても相当程度開店していたことは推認できるとしても販売場所がそれほど多いとはいえず、また、日本での販売数、売上高は、甲第18号証によるもの以外は不明であり、甲第18号証によれば、例えば2008年から3年間でみると、毎年4000〜9000程度の申立人商品が日本の業者に輸出されていることは認められるの、販売数量もそれほど多いものとはいえない。さらに、申立人商品がファッション雑誌等に紹介(広告)されていることは認められるもののほとんどが「サテリット」の片仮名により紹介されているものであり、また、申立人商品を紹介するウェブサイトもそれほど多いものではないし、そのアクセス時期、アクセス数も不明である。

以上のとおりであるから、提出された証拠によっては、申立人商標が申立人の業務に係る商品を表すものとして、需要者の間に広く認識されているとまではいうことができない。

イ 出所の混同

本件商標は、前記1のとおりの構成であり、前記(1)アのとおり、「サテライトウェーブ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。一方、申立人商標は、「SATELLITE」の文字を要部とするものであるから、「サテライト」の称呼及び「衛星」の観念を生ずるものであるとしても、申立人商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても区別し得るものである。そして、本件商標がその構成中に「SATELLITE」の文字を含んでなるものであり、本件商標を使用する時計と申立人商標が使用されている宝飾品が同一場所で販売されることがある(甲39、甲40)としても、申立人商標は、前記のとおり、需要者に広く認識されているものとはいえず、「SATELLITE」は「衛星」を意味する一般的な語であって、本件商標が使用されている商品(時計)は、人工衛星から送信される原子時計の時刻情報を受信する時計であり、当該商品がその特徴を「サテライトシステム」と称して広告宣伝されている(甲10)ことからすると、本件商標に接する需要者は、これより直ちに申立人商標を想起、連想することは極めて少ないとみるのが相当である。

したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないといわなければならない。

ウ してみれば、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとする申立人の主張も理由がなく採用することができない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。