Trademark Appeal Case
SABISCOとTABASCOの類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2011−900339(T2011−900339/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
登録第5418978号商標(以下「本件商標」という。)は、「SABISCO」の文字を標準文字により表してなり、平成22年12月24日に登録出願され、第30類「調味料,香辛料」を指定商品として、平成23年4月28日に登録査定、平成23年6月17日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第656829号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:TABASCO
登録出願日:昭和35年2月9日
設定登録日:昭和39年10月27日
書換登録日:平成17年6月1日
指定商品 :第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(2)登録第722385号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲(A)のとおり
登録出願日:昭和40年4月1日
設定登録日:昭和41年10月7日
書換登録日:平成20年2月6日
指定商品 :第1類、第5類、第29類、第30類、第31類及び第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(3)登録第722386号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲(B)のとおり
登録出願日:昭和40年4月1日
設定登録日:昭和41年10月7日
書換登録日:平成20年2月6日
指定商品 :第1類、第5類、第29類、第30類、第31類及び第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(4)登録第1002001号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲(C)のとおり
登録出願日:昭和45年1月9日
設定登録日:昭和48年3月2日
書換登録日:平成16年7月28日
指定商品 :第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(5)登録第2707632号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:TABASCO
登録出願日:平成3年10月7日
設定登録日:平成7年6月30日
書換登録日:平成18年8月9日
指定商品 :第1類、第29類及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(6)登録第2719020号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:タバスコ
登録出願日:平成4年3月12日
設定登録日:平成9年1月31日
書換登録日:平成20年2月6日
指定商品 :第1類、第5類、第29類、第30類、第31類及び第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(7)登録第4002416号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:TABASCO
登録出願日:平成7年5月2日
設定登録日:平成9年5月23日
指定商品 :第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(8)登録第5372788号商標(以下「引用商標8」という。)
商標の構成:別掲(D)のとおり
登録出願日:平成21年11月11日
設定登録日:平成22年12月3日
指定商品 :第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(9)登録第5372789号商標(以下「引用商標9」という。)
商標の構成:タバスコ (標準文字)
登録出願日:平成21年11月11日
設定登録日:平成22年12月3日
指定商品 :第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
以下、これらをまとめて単に「引用商標」ということがある。
3 登録異議の申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第7号について
申立人の業務に係る商品の出所表示である商標「TABASCO」は、本件商標の出願日より前に、辛味調味料である「ペッパーソース」に関する需要者・取引者の間で著名性を獲得している。そして、本件商標「SABISCO」は、申立人商標「TABASCO」と同じ欧文字7文字で構成され、そのうち「A」「B」「SCO」の配列が共通し、態様が近似するものである。
このような本件商標を、申立人とは何らの関係も有しない本件商標権者が使用することは、本来自らの営業努力によって得るべき業務上の信用を、申立人の広く知られている商標の著名性にただ乗りすることにより得ようとすることにほかならず、申立人商標に化体した価値を希釈化させるおそれがあり、かかる行為は、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反してなされたものである。
(2)商標法第4条第1項第10号について
本件商標「SABISCO」は、申立人の著名商標「TABASCO」に類似する商標であって、「ペッパーソース」と同一・類似する商品「調味料,香辛料」について使用をするものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してなされたものである。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標「SABISCO」は、大文字の欧文字7文字を同書・同大・同間隔で横一列に配してなり、引用商標1ないし5、引用商標7及び引用商標8又はそれらの要部は、大文字の欧文字7文字からなる「TABASCO」を同書・同大・同間隔で横一列に配してなる。本件商標と各引用商標は、互いに大文字の欧文字7文字にて構成され、そのうち、「A」「B」「SCO」の構成及び配列が共通し、その態様は近似することから、両商標を全体観察した場合、外観上近似した印象を看者に与える。
また、本件商標は、その構成文字から自然な称呼「サビスコ」を生ずるのに対し、引用商標からは、「タバスコ」の称呼を生ずるものである。そして、その差異音は、ともに無声音で母音を共通にする音や、ともに50音の「バ」行に属する音で、比較的近似する音であるうえ、「TABASCO」が、ペッパーソース、辛味調味料として、需要者・取引者の間において著名であり、需要者等が「タバスコ」の音に耳なじみがあるとの特殊事情が認められることから、需要者は、両商標が一連に称呼された場合には、極めて近似した音として理解し、彼此聴き誤るおそれがある。
加えて、本件商標と引用商標は、その指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、引用商標と類似するものであって、かつ、その指定商品も互いに抵触するものであるから、本件商標の登録は、商標法商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものである。
(4)商標法第4条第1項第15号について
申立人に係る商標「TABASCO」は、調味料を示すものとして、我が国の需要者・取引者間で広く知られており、オリジナルの「TABASCO」に加え、調味料、菓子など、様々な風味、食品の「TABASCO」シリーズを展開しており、これについても需要者・取引者間に広く知られている。
また、本件商標は、わさび風味の調味料に使用されており、日本において「さび」が「わさび」の略称として親しまれていること等から、引用商標の著名性、辛味調味料との商品の特徴点と相俟って、本件商標「SABISCO」は、「わさび風味のTABASCO」として理解され得る名称である。
よって、本件商標に接した需要者は、本件商標を、申立人に係るブランド「TABASCO」の姉妹ブランドであると誤認するおそれが極めて高い。
このように、本件商標「SABISCO」は、これがその指定商品「調味料、香辛料」に使用された場合、これに接する取引者、需要者に、申立人又はこれと緊密な関係にある営業主の業務に係る商品であることを連想、想起させ、その商品の出所について誤認混同を生じさせるものであり、ひいては、本件商標の登録が申立人の周知商標の持つ顧客吸引力へのただ乗りやその希釈化を招来するものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。
4 本件商標に対する取消理由
当審において、商標権者に対して、平成24年6月5日付けで通知した取消理由の要旨は以下のとおりである。
(1)申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人は、1868年に米国で創立されて以来現在に至るまで、引用商標1ないし5、7及び8を構成する「TABASCO」の文字からなる標章を用いてペッパーソースの製造販売を行っており、該ペッパーソースは、赤唐辛子をすり潰しホワイト・オークの樽で発酵・熟成させる伝統的な製法によって製造される独特の辛味ソースであって、現在160ヶ国以上の国と地域で愛用されている(甲5、甲6の1〜3、甲8〜甲11)。
イ 我が国では引用商標を始めとする「TABASCO」標章を付した上記ペッパーソース(以下「申立人商品」という。)が1930年代から現在に至るまで約80年間継続して販売されている(甲8〜甲11)。
ウ 申立人商品は、オリジナルのペッパーソースを始め、ステーキソースシリーズ、飲料シリーズ、サルサソースシリーズ、菓子シリーズ、チリビーンズシリーズ、調味料・ピクルスシリーズの如くシリーズ展開されている(甲7の1〜7)。
エ 申立人商品については、申立人のウェブサイトやフードサービスの情報提供ウェブサイトにおいて詳細に紹介されているほか、本件商標の登録出願前から商品案内用の小冊子・リーフレットが作成頒布され、業界紙、情報誌、一般週刊誌、女性雑誌、専門誌等において多数宣伝広告されている(甲8〜甲35)。
オ 2006年及び2009年には地下鉄銀座線又は都営大江戸線において車両の全側面に申立人商品の写真を掲示したラッピング広告が6ヶ月間行われたり、2003年には「タバスコブランドゴルフコンペ」と題してゴルフ競技会が開催された(甲36〜甲38)。
カ 申立人商品の販売促進の一環として2003年から2007年まで毎年プレゼントキャンペーンが行われているほか、レストラン等飲食店とのタイアップによる集客キャンペーン(申立人商品を用いたレシピガイドの配布、レストランの卓上メニューでの紹介)なども行われており、これらには常に引用商標のいずれかが表示されている(甲39〜甲50)。
キ 申立人商品の日本での販売戦略手法について、外国語雑誌「TOKYO BUSINESS」(March1994)で紹介され、申立人商品の新シリーズ商品(醤油)の販売について、ウェブサイトのニュースで紹介された(甲51、甲52)。
ク 申立人商品については、岩波書店発行「広辞苑」(第5版)に「タバスコ【Tabasco】」の項が設けられ、「唐辛子を発酵・熟成させ、酢を加えて作った赤くて辛いソース。商標名。」と記載されている(甲54)。
ケ 他方、本件商標権者は、引用商標2と同様に、菱形内に二重の円輪郭を描き、その円輪郭に重ねるように「SABISCO」の文字を横書きし、その上下の円輪郭線の間に「伊豆産わさびの」及び「ペッパーソース」の文字を配した構成からなる標章を付した商品を「伊豆産わさびのペッパーソース」として販売している事実があるほか(甲55)、これとは構成態様が異なるものの、「SABISCO」の文字を大きく横書きした構成からなる標章を表示したラベルを貼付したペッパーソースを販売しており、他人のブログ等において、「わさびのタバスコ SABISCO」、「ワサビのタバスコでサビスコらしい」、「タバスコのわさび版?」、「わさび風味のタバスコ・・・」等と紹介されている(甲64〜甲68)。
(2)上記(1)の事実によれば、引用商標はいずれも申立人の業務に係る商品「ペッパーソース」を表示する商標として、本件商標の登録出願時には既に取引者、需要者の間に広く認識されていたものというべきであり、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものと認められる。なお、本件商標の使用に当たっては、本件商標に装飾を加え他の文字等を付記し、全体として引用商標2に酷似した態様にすることにより、引用商標に化体した名声、信用、顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)しようとする意図が窺える。
(3)そこで、本件商標と引用商標とを対比するに、本件商標は、その構成文字に照らし、「サビスコ」の称呼を生ずるものである。他方、引用商標1ないし5、7及び8は、「TABASCO」の文字を要部とするものであって、「タバスコ」の称呼を生ずるものであり、引用商標6及び9は「タバスコ」の文字からなるものであるから「タバスコ」の称呼を生ずること明らかである。しかして、上記「サビスコ」の称呼と「タバスコ」の称呼とは、第1音及び第2音が「サビ」と「タバ」と相違しているものの、「サ」と「タ」の音は母音が共通であり、「ビ」と「バ」の音は同行に属する音であること、全体が4音構成であること、後半の「スコ」の音が共通であること、などから全体的に近似した印象を与えるものである。
また、本件商標の綴りと上記「TABASCO」の綴りとは、語頭における「S」と「T」、第4番目における「I」と「A」の文字が相違するものの、他の文字配列を共通にすることから、外観上近似した印象を与えるものである。
加えて、上述の引用商標の周知著名性に鑑みれば、本件商標の上記称呼及び綴りに接する取引者、需要者が、「ワサビ風味のタバスコ」を略して「サビスコ」のごとく捉えるなど、引用商標を連想、想起する場合も少なくないものといえる。
(4)そして、本件商標の指定商品と申立人商品とは、用途、用法、需要者、取引者等を共通にするものであって、密接な関連性を有するものである。
(5)以上を総合すると、本件商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者が周知著名となっている引用商標を連想、想起することは必定であり、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
5 商標権者の意見
上述した取消理由の通知に対し、商標権者は意見書を提出していない。
6 当審の判断
本件商標は、前記4の取消理由により、商標法第4条第1項第15号に該当する。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、これを取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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