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Trademark Appeal Case

smart energyの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2011−900448(T2011−900448/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5440509号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5440509号商標(以下「本件商標」という。)は、「smart energy」の欧文字を横書きしてなり、平成22年12月22日に登録出願、同23年8月8日に登録査定がなされ、第9類「携帯電話機用充電器,携帯電話機,その他の電気通信機械器具,充電器,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,電子出版物」を指定商品として、同年9月22日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由(要旨)

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第33号証を提出している。

1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について

(1)「smart energy」の語の意味

「smart energy(スマートエナジー、スマートエネルギー)」の語は、本件商標の登録査定前から甲第2号証ないし甲第28号証のように使用されている。これらの例において、「smart energy(スマートエナジー、スマートエネルギー)」は、近年注目されている再生可能エネルギー、あるいは、再生可能エネルギーも取り入れて効率的にエネルギーを利用する考え方・その技術を指す言葉として、複数の事業者により一般的に使用されている。

また、該語は、米国が採用したスマートグリッドを実現するための通信規格の名称としても使用されている。

(2)本件商標の識別力

本件商標の指定商品は、「電子出版物」を除けば、いずれも電気を使用・制御・蓄積等する機器であるため、前記意味合いを有する「smart energy」の語が使用されるときは、その商品が再生可能エネルギーを使用していること、あるいは、エネルギーの効率的利用を図れる商品であること、若しくは、smart energyの規格に準拠している商品であるという商品の品質を容易に認識させる。

また、「電子出版物」との関係においても、本件商標は、その出版物の内容が再生可能エネルギーやエネルギーの効率的利用、あるいは、通信規格に関するものであることを理解させる。

さらに、エネルギーの効率的利用は、特に原発事故後にエネルギー不足問題をかかえる我が国においては、重大な課題となっており、行政・産業界において大きな関心を集めているテーマである。そして、前記使用例にあるとおり、本件商標の登録後においても「smart energy(スマートエナジー、スマートエネルギー)」の語が多くの事業者により使用されている事実にかんがみれば、本件商標は、その査定時において何人も使用を欲する言葉となっており、独占適応性を欠いていたと考えるのが相当であるところ、本件商標について登録を認めるときは、スマートエネルギー関連分野における事業者を萎縮させることとなり、円滑な取引を阻害する結果、成長分野である当該事業領域における産業の発達をも阻害する。

以上のように、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、識別力を欠くといえる。

(3)品質の誤認

本件商標は、既述のとおり、その商品が再生可能エネルギーを使用していること、あるいは、エネルギーの効率的利用を図れる商品であること、若しくは、smart energyの規格に準拠している商品であるという商品の品質を認識させるものであり、また、「電子出版物」との関係においては、その出版物の内容が再生可能エネルギーやエネルギーの効率的利用、あるいは、通信規格に関するものであることを認識させる。

したがって、本件商標が上記の品質を具備しない指定商品に使用されるときは、商品の品質について誤認を生じさせるため、本件商標は、商標法第4条第1項第16号にも該当する。

2 商標法第4条第1項第11号について

仮に本件商標が識別力を発揮するならば、本件商標は、以下の登録商標(以下「引用商標」という。)と類似する。

(1)引用商標

申立人は、「SMARTER ENERGY」の欧文字を横書きしてなる国際登録第1031551号商標、「ENERGY SMART」の欧文字を標準文字で表してなる登録第5282470号商標及び同第5297126号商標、「Smart Energy System」の欧文字及び「スマートエナジーシステム」の片仮名を二段に表してなる同第5345837号商標並びに「スマート エナジー ジャパン」の片仮名及び「Smart Energy Japan」の欧文字を二段に表してなる同第5411195号商標を引用商標とするものである。

(2)本件商標は、引用商標に類似し、指定商品においても同一又は類似するから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

第3 取消理由通知

当審において、平成24年6月6日付けで、商標権者に対し通知した取消理由は、次のとおりである。

1 本件商標に係る事実について

(1)本件登録異議申立人の提出に係る証拠及び当審における職権調査によれば、以下の事実が認められる。

ア 「XXCAL Official Blog」には、「『スマート・グリッド』と『スマート・エナジー』について」の見出しの下、「2009年2月12日17:27」、「■ZigBee『スマート・エナジー』との関係/スマート・グリッド構想を実現するためには、従来よりきめ細かいエネルギー利用状況の監視が必要となり、センサーネットワークの導入が必須となります・・・この無線センサーネットワークを支える有力な通信技術(規格)のひとつが、ZigBee『スマート・エナジー(Smart Energy)』です。」との記載(甲第2号証)がある。

イ 「ニューヨークだより(IPA)2009年7月臨時増刊号」の25頁には、「ZigBeeとは、IEEE802.15.4をベースに策定した短距離無線規格であり、2004年に第一版が制定された・・・同規格の具体的な応用分野としては、スマート・エナジー分野に加え、家電分野(rf4ce)、医療分野、ビルの自動化、ホームオートメーションなどがあげられており、スマート・エナジー分野では、現在Itronを始めとする14の製品が認証されている。」との記載(甲第3号証)がある。

ウ 「日経BP書店」のウェブサイトには、発行元を「日経BP社」、発行日を「2009/11/5」とする書籍「SMART ENERGY」についての内容紹介があり、そこには、「風力発電や太陽光発電などによる新エネルギーをこれまで以上に大規模に,かつ効率的に創り,そして使っていく必要があります。そんな『スマートエネルギー』とも呼ぶべき新エネルギーの次世代版の登場が期待されています。」の記載(甲第4号証)がある

エ 「TEXAS INSTRUMENTS」のウェブサイトには、「第11回−スマートグリッドの核となるスマートメータ」の見出しの下、「スマートグリッドで標準化が進む通信規格は、各国様々ですが、米国ではHAN(ホームエリアネットワーク)を構成する標準規格としてスマートエナジーが採択されました。」との記載(甲第5号証)がある。

オ 「ディジ インターナショナル株式会社」の2010年2月15日付けプレスリリースには、「ディジ インターナショナル」、「業界初のスマートエナジーゲートウェイ」、「『ConnectPort X2 for Smart Energy』を発表」の見出しの下、「本製品は、ZigBeeスマートエナジー規格のゲートウェイで、ブロードバンド経由でホームエリアネットワークからエネルギーサービスプロバイダまでをZigBeeスマートエナジー準拠の機器を簡単に接続できます。」との記載(甲第6号証)がある。

カ 特許出願公開公報「特開2011−129085」には、「発明の名称」を「電力消費を制御するスマートエネルギー管理装置及びその方法」とし、その「発明の詳細な説明」中の「技術分野」の項には、「本発明は、電力消費を制御するスマートエネルギー管理装置およびその方法に関し、より詳しくは、エネルギー消費量を節約するための必須技術として見なされているスマートグリッド分野においてエネルギー消費量を遠隔で収集し、エネルギー消費パターンを分析および予測し、エネルギー消費装置の電力消費を遠隔で制御することによって電力消費を節約するスマートエネルギー管理装置およびその方法に関する。」との記載(甲第7号証)がある。

キ 「日米欧のスマートハウスと標準プロトコル2010」(株式会社インプレスR&D 2010年7月20日発行)の33頁には、「昨今のエネルギー供給不足をはじめ、地球温暖化、化石燃焼依存インフラからの脱却、省エネ、居住空間快適化など、さまざまなテーマや問題を解決する中心的な技術が『スマートエネルギー』(Smart Energy)技術であると米国では期待されている。Smart Energy技術は、究極のエネルギー管理および制御を可能にする標準化IT通信インフラ技術と位置づけられている。ZigBeeアライアンス主導でオープンな規格として発展したSmart Energyは、現在、IEC(International Electrotechnical Commission、国際電気標準会議)に格上げされる動きが加速している。」との記載(甲第8号証)がある。

ク 「日本ナショナルインスツルメンツ株式会社」のウェブサイトには、「日本における『スマート・エネルギー』の発展を支援。オープンイノベーションを実現する新たな基準作りをリード」の見出しの下、「エネルギーに関連する様々な動きの中で、いま大きな焦点となっているのがエネルギー消費の『スマート化』である。再生可能エネルギーを取り入れたうえで、ICT(情報通信技術)を駆使して、社会や家庭におけるエネルギー消費の効率化を図るというもの。・・・日本には、スマート・エネルギーに関連する世界でもトップレベルの技術を抱えている企業や研究機関が少なくない。この技術を生かして世界のスマート・エネルギー市場における日本の技術の存在感を高めるには・・・」との記載(甲第10号証)がある。

ケ 「【レポート】スマートエネルギー分野として効率改善とセキュリティに注力するNXP」の見出しの下、「・・・このうちスマートグリッドやスマートホームに代表されるスマートエネルギー分野に向けた取り組みの説明を行った・・・スマートエネルギー分野はエネルギーの効率化とセキュリティの2つが該当するという。」との記載(甲第11号証)がある。

コ 「東京大学先端科学技術研究センター」のウェブサイトには、「スマートエネルギーのすすめ(その3)」の見出しの下、「スマートエネルギーの定義」として、「スマートエネルギーについては(その1)で『身近な再生可能エネルギー』と定義し・・・要は、独立電源も系統連係も対象とし、太陽熱(発電も含む)、太陽光、風力、小水力、潮力・波力までを含み、無限でクリーンな太陽エネルギーを賢く使うことである。」との記載(甲第12号証)がある。

サ 「先端技術キーワード解説/知っておきたい最新の動き」(2011年5月号)の見出しの下、「スマートエネルギーとは、低炭素化社会の実現に向けて、電力、熱、ガスなどを組み合わせたコスト効率の高いエネルギー構成で、需要者のエネルギー需要を賄おうとする考え方です。」との記載(甲第14号証)がある。

シ 「フードボイスニュース 2011年6月16日」には、「味の素『被災地支援』や『スマート・エネルギー施策』など震災後の重要施策を発表」の見出しの下、「電力エネルギーを適切、かつ賢く使用することを基本とする『スマート・エネルギー施策』・・・」との記載(甲第15号証)がある。

ス 「スマート・ハウスからスマート・コンセントまで,スマート・エネルギー関連のデモが続々−Embedded Technology West 2011」の見出しの下、「・・・今回はスマート・エネルギーや環境発電,省電力などに関連する展示が目立っていた・・・福岡スマートハウスコンソーシアムのブースでは,多数の会員企業がスマート・エネルギー関連のデモンストレーションを実施した。」との記載(甲第16号証)がある。

セ 「図研エルミック株式会社」のウェブサイトには、「2011/08/04」、「そしてスマートエネルギーという分野なら貢献が可能ではないかという結論に至りました。」の記載(甲第17号証)がある。

ソ その他、登録査定後の情報として、例えば、「財団法人大阪科学技術センター」のウェブサイトには、「【大阪府】大阪スマートエネルギーパートナーズ事業・12/5『スタートアップセミナー』開催」の見出しの下、「大阪府では、成長分野であるスマートエネルギー技術に関して、中小企業の参入や新技術の開発の促進、新ビジネスの創出を図るため、この度、全国で初めて、スマートエネルギー分野のビジネスマッチングの仕組み(プラットフォーム)として、『大阪スマートエネルギーパートナーズ事業』を開始しました。」との記載(甲第21号証)、「NEC、クラウドやスマートエネルギー事業における研究成果を発表」の見出しの下、「スマートエネルギーについては、震災もあり、再生可能電力への意識が高まっている中で『“蓄電池”の持つ役割が大きくなる』『NECはEVでの実績もあり、蓄電池に強みを持っている。』とコメント。」との記載(甲第23号証)、神奈川県のホームページには、「かながわスマートエネルギー構想」の見出しの下、「そこで、太陽光を中心に再生可能エネルギー等の導入を進め、電力供給量の拡大を図る『創エネ』、電力のピークカットを図る『省エネ』、電力のピークシフトを図る『畜エネ』の取組を総合的に進め、それらを組み合わせて効率的なエネルギー需給を地域において実現する『かながわスマートエネルギー構想』を推進することとします。」との記載(甲第24号証)、「さいたま市、スマートエネルギー特区に EV普及図る」の見出しの下、「規制の緩和によって電気自動車(EV)など次世代自動車の普及を促進する施設を整備、効率的なエネルギー利用ができる『脱炭素』の先進地を目指す。」との記載(甲第25号証)がある。

(2)以上によれば、米国では、効率的なエネルギー利用に係るホームエリアネットワークを構成する標準規格として「Smart Energy(スマートエナジー)」が採択されており、また、我が国においても、近年注目されている「再生可能エネルギーを取り入れて効率的にエネルギーを利用する考え方・その技術」を表す語として、スマートエネルギー又はスマートエナジーと称されているといえる。

さらに、各企業や地方自治体においては、効率的なエネルギー利用を図るため、スマートエネルギー施策やスマートエネルギー事業といったものが推進されているところである。

2 本件商標の自他商品の識別標識としての機能について

本件商標は、「smart energy」の欧文字を表してなるところ、上記1のとおり、登録査定時及び現在においても、効率的なエネルギー利用を図るために様々な方策が考えられており、企業や地方自治体は、自らの事業等に係る「再生可能エネルギーも取り入れて効率的にエネルギーを利用する考え方・その技術」を表す語として、「スマートエネルギー」又は「スマートエナジー」を一般に用いているのが実情であって、このことは、本件商標に係る指定商品を取り扱う分野においても同様といえる。

また、「スマートエネルギー」又は「スマートエナジー」の語は、我が国における英語の普及度に照らせば、英語「smart energy」の片仮名による表音と容易に理解されるとみるのが相当である。

してみれば、本件商標をその指定商品について使用しても、本件商標は、自他商品の識別標識としての機能を有するものとはいえず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものである。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

第4 商標権者の意見

商標権者は、上記第3の取消理由に対し、何ら意見を述べるところがない。

第5 当審の判断

本件商標についてした先の取消理由は、妥当なものと認められる。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に違反して登録されたといわざるを得ないから、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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