Trademark Appeal Case
称呼類似と要部認定
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2012−900053(T2012−900053/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
登録第5453678号商標(以下「本件商標」という。)は、「Razor Slim」の欧文字を書してなり、平成23年2月15日に登録出願、第9類に属する別掲1の商品を指定商品として、同年11月10日に登録査定、同年11月25日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4993385号商標(以下「引用商標1」という。)は、「RAZR」の文字を標準文字で表してなり2005年11月9日アメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成17年11月30日に登録出願、第9類に属する別掲2の商品を指定商品として、同18年10月6日に設定登録されたものである。
同じく登録第5129314号商標(以下「引用商標2」という。)は、「RAZR」の文字を標準文字としてなり、平成17年12月15日に登録出願、第9類に属する別掲3の商品を指定商品として、同20年4月18日に設定登録されたものである。
以下、これらの商標をまとめていうときは「引用商標」という。
(2)申立て理由の要点
本件商標は、アルファベットで「Razor Slim」と横書きで表記されている。これに対し、引用商標1は、アルファベット大文字で「RAZR」と横書き表記されている。両商標は、要部の称呼が同一であるので、類似する商標である。
また、本件商標の異議申立に係る全ての指定商品は、引用商標1の指定商品と同一又は類似のものである。なお、引用商標2も引用商標1と同一の商標であり、両商標の指定商品も同一又は類似であるので、本件商標と引用商標2とは類似である。
引用商標は携帯電話において周知な商標であり、本件商標と類似の観念・称呼を有しているので、本件商標は他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標である。
本件商標は世界的に著名な商標「RAZR」と類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号、同第19号に違反して登録されたものであるから、異議申立に係る全ての指定商品について、その登録を取り消されるべきものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「Razor Slim」の欧文字よりなるところ、これは、「Razor」と「Slim」の文字からなると容易に看取されるものではあるが、両文字が同じ書体でバランス良く一連に表されており、いずれかが殊更に強く印象され記憶されるともいえず、一体的なものとして看取されるとみるのが自然というべきである。そして、その構成文字に相応して「レーザースリム」、「レザースリム」の称呼を生じるものであり、また、構成全体からは直ちに特定の観念を生じさせないというのが相当である。
一方、引用商標は、いずれも、「RAZR」の欧文字よりなるところ、これは、特定の意味合いを有しない造語と認められるものであって、特定の観念を生じないものであり、当該文字に相応して「レイザ」あるいは「アアルエイゼットアアル」の称呼を生じるというのが相当である。
しかして、本件商標と引用商標とを比較するに、外観において、本件商標と引用商標とは、その構成文字が明らかに相違するものであるから、外観上相紛れるおそれはないものである。
称呼においては、本件商標の「レーザースリム」、「レザースリム」の称呼と引用商標の「レイザ」あるいは「アアルエイゼットアアル」の称呼とを対比しても、それらは、いずれも構成音数の相違、相違する各音の音質の相違によって、これらを一連に称呼しても、全体の音感が異なり、相紛れるおそれはないものである。
また、観念において、本件商標と引用商標とは、観念上比較し得ないから、相紛れるおそれはないものである。
なお、本件商標にあって、「Slim」の文字が「細い。薄い」の意を認識させる語であることから、指定商品との関係において、商品の品質、形状を表示するものとして看取される場合があり、その際、本件商標は、自他商品の識別機能を果たし得る「Razor」の文字部分に相応して、「レーザー」あるいは「レザー」の称呼を生じる余地があるというのが相当である。
そして、該「レーザー」あるいは「レザー」の称呼と引用商標から生ずる「レイザ」の称呼とは、その音構成において近似した音感を有するといえるものである。
しかしながら、仮令、本件商標から生ずる「レーザー」、「レザー」と引用商標から生ずる「レイザ」とが近似した音からなる称呼と認められるとしても、要部となる「Razor」の文字が「西洋剃刀」を意味する語として一般に親しまれていることから、造語である「RAZR」の文字とは観念上類似するところがないことに加え、当該部分の称呼や外観の違いが明確に認識されるというのが相当であり、当該要部において、観念の差異と外観の差異が称呼の近似性を凌駕しており、結局、本件商標と引用商標とは相紛れるおそれはないというべきである。
しかして、本件商標と引用商標の外観、称呼及び観念から受ける印象、記憶、連想等を総合してみると、本件商標と引用商標を同一又は類似の商品に使用した場合において、当該商品をして同一の事業者の製造、販売に係る商品であるかの如く、商品の出所について誤認、混同するおそれがあるものとは認め難いから、本件商標と引用商標とは非類似の商標と判断されるものである。
したがって、本件商標は、引用商標をもって、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人提出の証拠(甲第6号証ないし同第8号証)によれば、米国において、モトローラ社の薄型携帯電話の「Motorola RAZR」がヒットし、2008年までの3年間販売台数1位を保ったこと、同製品が全世界で累計7500万台以上の販売実績があったこと、等が認められる。
しかし、申立人提出の全証拠(甲第1号証ないし同第9号証)によってみても、引用商標「RAZR」を使用した商品の我が国における販売実績や広告宣伝の実態等を把握し得ないものであるから、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人らの商品を表示する商標として「RAZR」が、需要者の間で広く認識されるに至っていたと認めることはできないものである。
そして、本件商標が引用商標と非類似の商標と判断されること前記(1)のとおりであり、他に、本件商標が引用商標と関連あるものとして看取されるとすべき理由はみいだせないから、結局、本件商標と引用商標とは、別異の出所を表示するものとして把握し認識されるものというべきである。
してみると、本件商標をその指定商品に使用しても、当該商品に接する需要者が引用商標を想起するとは認め難いから、これを申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く誤信することはいえず、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあったと認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものということはできない。
(3)商標法第4条第1項第19号について
申立人提出の全証拠によるも、本件商標が不正の目的をもって使用されるものであることを首肯するに足りる具体的な事情は、何ら示されていない。
そして、本件商標は、前記のとおり、引用商標とは非類似の商標と認められるものであるから、商標法第4条第1項第19号の要件を充足するものではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものということはできない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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