結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2011−890079(T2011−890079/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第5416426号商標(以下「本件商標」という。)は,「YOUREIZAI」の欧文字を標準文字で表してなり,平成23年3月11日に登録出願,第44類「調剤,健康診断,栄養の指導,介護,医療用機械器具の貸与,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,美容,理容,入浴施設の提供」を指定役務として,同年5月17日登録査定,同年6月3日に設定登録されたものである。
請求人が引用する登録商標は,別掲のとおり,引用商標1ないし4(以下,まとめていうときは「引用各商標」という。)である。
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第29号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)請求人の名称の略称「エーザイ」の著名性について
ア 請求人の沿革について
請求人の前身である日本衛材株式会社は,昭和16(1941)年に設立された(甲6)。その後,昭和30(1955)年に「日本衛材」を簡素化して「衛材」の文字部分を片仮名で表示することとし,現在のエーザイ株式会社に商号を変更した(甲7)。
請求人は,現在の商号に変更して以来,50年以上にわたり「エーザイ」という名称を自己の商号の一部として,また「エーザイ」及び「Eisai」の表記を自己の商品表示として一貫して使用している(甲8及び9)。
イ 請求人の取扱商品及び売上げ実績について
請求人は,ビタミン剤,栄養保健薬,胃腸薬,鼻炎薬,咳止め薬など日常服用する市販向け医薬品をはじめ,認知症治療薬やプロトンポンプ阻害型抗潰瘍剤等多数の医療用医薬品を販売している。これらの請求人製品には,必ず「エーザイ」及び「Eisai」の表記がなされている(甲10の1ないし4)。
また,請求人の製品売上高は,2001年(平成13年)以降,4000億円以上(2011年3月期は7689億円)となっている(甲11及び12)。
ウ 請求人の宣伝広告活動について
請求人は,膨大な宣伝広告費をかけて,全国紙,雑誌への掲載及びテレビ,ラジオ等全国網の電波による積極的な宣伝広告活動を行い,「エーザイ」及び「Eisai」ブランドの認知度や,企業イメージの向上に長期間努めてきた(甲13の1ないし87)。原告の宣伝広告費は,2008年度約39億3千万円,2009年度約43億1千万円,2010年度約48億2千万円である。
エ 請求人の略称が広く世人に浸透していること
このような請求人の販売活動及び広告宣伝活動等の結果,請求人の名称の略称である「エーザイ」及び「Eisai」は,数多くの人に強い印象を与えている(甲14の1ないし7)。新聞記事において請求人を示す表示は「エーザイ」と記されている(甲15の1ないし51)。
オ 小括
以上によれば,請求人の名称の略称である「エーザイ」「Eisai」は,本件商標の出願日前から,日本国内において請求人を表すものとして周知・著名なものとなっていた。
(2)引用各商標の著名性について
請求人は,請求人の取扱う薬剤の容器及び包装に引用各商標を使用し,また,請求人の取扱う薬剤の宣伝広告等にも引用各商標を長年使用し続けており(甲10の1ないし4,甲13の1ないし87),引用各商標が,請求人の名称の略称として広く取引者・需要者の間に認識されていると同時に,引用各商標は請求人の業務に係る薬剤及び役務の商標としても,取引者・需要者の間に広く知られるに至っている。
なお,引用商標3及び4ついては,第42類(平成3年法)「医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,調剤,化学品に関する試験・検査又は研究」について,それぞれ防護標章登録第21号,同第20号を有している(甲17及び18)。
(3)本件商標と請求人の著名な略称及び引用各商標との類似性
ア 外観・称呼・観念における類似性
(ア)本件商標について
本件商標は,請求人の略称及び著名な引用各商標と同一の称呼を生じる文字であって要部といえる後半部の「EIZAI」と,「あなた(達)の」等を意味する英語の人称代名詞であり,識別力の弱い前半部の「YOUR」との結合商標である。
本件商標は,全体から「ユアエーザイ」,「EIZAI」の部分から「エーザイ」の各称呼が生じ,「EIZAI」の部分から「エーザイ株式会社」,請求人のブランド「エーザイ」の各観念が生ずる。
(イ)請求人の略称及び引用各商標の称呼・観念・外観について
請求人の略称及び引用各商標からは,いずれも「エーザイ」の称呼が生じ,「エーザイ株式会社」,請求人のブランド「エーザイ」の観念が生ずる。
(ウ)結合商標における類否判断について
最高裁昭和39年(行ツ)第110号(同43年2月27日第三小法廷判決)及び最高裁平成19年(行ヒ)第223号(平成20年9月8日第二小法廷判決)によれば,結合商標については,商標の構成部分の一部が,取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合には,結合商標から当該一部を抽出して,この部分だけを他人の商標と比較して類否を判断する,いわゆる要部判断を行うことは何ら差し支えないものというべきである。
これを本件についてみると,本件商標の「EIZAI」の部分は,周知・著名な引用各商標と同一の称呼を生じるため,識別標識として強く支配的な印象を与えるものであり,さらに,「YOUR」の部分は,単に「あなた(達の)」という意を有する英語の人称代名詞であり,それ自体自他識別力がないか或いは非常に弱い一般的な文字であること,これ単独では用いられない修飾語的な語のため,称呼,観念は生じないというべきであるから,「EIZAI」部分を本件商標の要部として抽出し,出所識別標識としての称呼,観念を生じない前半の「YOUR」部分を捨象して請求人の名称の略称及び引用各商標と比較することは当然許されるというべきである。
(エ)本件商標と請求人の名称の略称及び引用各商標の称呼・観念・外観の類否
本件商標は,請求人の略称「エーザイ」及び引用商標1及び3と,称呼及び観念において類似し,また,請求人の略称の欧文字表示「Eisai」及び引用商標2及び4と,外観・称呼・観念において類似するというべきである。
イ 本件商標全体から請求人の著名な略称及び引用各商標が連想・想起されること
本件商標は,それが一体不可分の商標と認識される場合であっても,その中に本件商標の出願時に既に請求人の名称の略称として,また,請求人の業務に係る薬剤の商標として極めて著名な引用各商標の称呼「エーザイ」と同一に発音される「EIZAI」の部分が含まれていることから,取引者・需要者は,請求人の略称及び引用各商標との構成上の相違にもかかわらず,「エーザイ」の称呼に着目して,請求人の著名な略称及び請求人の業務に係る薬剤の著名な商標を連想するというべきである。
かかる本件商標を,その指定役務に使用した場合には,これに接した取引者・需要者は,恰も請求人若しくはその関連会社の取り扱いに係る役務であるかの如く,あるいは,請求人等と何らかの経済的・組織的関連が有る者の取り扱いに係る役務であるかのごとく認識し,出所混同を生ぜしめる蓋然性が極めて高いものである。
ウ 小括
以上に述べたとおり,本件商標は,請求人の著名な略称及び引用各商標と類似する。
(4)商標法第4条第1項第11号の該当性について
本件商標の外観・称呼・観念は,引用商標1及び2の外観・称呼・観念と類似する。また,本件商標に係る指定役務は,引用商標1及び2の指定役務と同一又は類似するため,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第15号の該当性について
ア 商標法第4条第1項第15号の判断基準
本号適用の判断規準は,最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第3小法廷判決が判示する判断基準に沿ってされるべきである。
イ 請求人の略称及び引用各商標の著名性は,上述したとおりである。
ウ 本件商標と請求人の略称及び引用各商標との類似性の程度
本件商標は,後半部分の「EIZAI」の部分を要部として類否判断すべきである。そして,かかる本件商標の要部「EIZAI」からは,「エーザイ」の称呼が生じ,観念上も,「エーザイ株式会社」,あるいは,請求人の業務に係る薬剤の著名な商標である「エーザイ」との観念が生じる。
したがって,本件商標は,請求人の略称及び引用各商標と称呼・観念において類似するというべきである。
エ 商品・役務間の関連性,取引者・需要者の共通性
本件商標の指定役務のうち,「調剤」については,請求人の業務に係る商品である「薬剤」とその提供場所(調剤薬局)を共通にするものであり,本件指定役務と請求人の業務及び請求人の業務に係る商品は,用途,販売・提供場所,需要者の範囲が一致し,極めて密接な関連性を有するものである。
オ 出所の混同の有無
請求人の略称及び引用各商標が「薬剤」について著名性を有すものであること,本件商標が,請求人の著名な略称及び引用各商標と同一に発音される「EIZAI」の文字を含み,請求人の著名な略称及び引用各商標と類似の商標であること,本件指定役務と請求人の業務及び請求人の業務に係る商品が密接な関連性を有するものであることを総合勘案すれば,被請求人が,本件商標を本件指定役務について使用した場合,その需要者・取引者において,その役務が請求人又は請求人と経済的若しくは組織的になんらかの関係がある者の業務に係る役務であると役務の出所について混同を生ずるおそれが極めて高い。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第19号の該当性について
引用各商標の著名性及び本件商標と引用各商標の類似性については,上述したとおりである。
被請求人の「不正の目的」について,引用各商標は,本件商標の出願時には,すでに請求人の業務に係る商品に使用される商標として著名商標である。
一方,本件商標は,かかる著名な引用各商標と同一の称呼が生じる「EIZAI」の文字をその構成中に含む商標であり,被請求人が「調剤」業務を現に行っている点を考慮すれば,被請求人が著名な引用各商標を知らず,偶然に著名な引用各商標と同一の称呼を生じる文字を含む本件商標を出願したとは考え難く,引用各商標にフリーライドする目的で出願したものと推認される。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。
(7)本件商標は商標法第4条第1項第8号の該当性について
本件商標は,その出願時及び登録査定時において日本国内の需要者の間に広く知られていた請求人の略称「エーザイ」と同一の称呼を生じる文字「EIZAI」を含み,請求人の承諾を得ることなく出願されたものであるから,商標法第4条第1項第8号に該当する。
(8)本件商標は商標法第4条第1項第7号の該当性について
本件商標は,引用各商標に化体した名声・信用・評判を僭用して不正な利益を得るために使用する目的でなされたというべきであり,商取引の秩序を乱すものであり,公序良俗を害する商標というべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。
(9)むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同第15号,同第19号,同第8号,及び同第7号に違反して登録されたものであるから,同法第46条第1項第1号に基づき,その登録を無効とすべきものである
被請求人は,本件審判の請求は成立しない,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第30号証(枝番を含む。)を提出している。
請求人の主張は,本件商標を「YOUR」の文字部分と「EIZAI」の文字部分とに分離し,「YOUR」の文字部分が人称代名詞であることから,「EIZAI」の文字部分が自他役務の識別力が強い要部であるとするが,本件商標の要部は「EIZAI」の文字部分ではなく,以下のとおり,商標法第4条第1項第11号,同第15号,同第19号,同第8号及び同第7号に該当するものではない。
(1)本件商標の一体不可分性
ア 外観について
本件商標は,「YOUREIZAI」の文字を表したものであり,「YOUR」又は「EIZAI」の文字部分が独立して認識されるものとはいえず,同書同大にて外観上まとまり良く一体的に書されている構成から,視覚上一体不可分の商標として需要者に認識される。
イ 称呼について
「YOU」+「REIZAI」と把握した場合には「ユーレイザイ」の称呼,「YO」+「UREIZAI」と把握した場合には「ヨーウレイザイ」の称呼,「YOUR」+「EIZAI」と把握した場合には「ユアエイザイ」の称呼が生ずる。
ウ まとめ
本件商標は,全体を一体不可分のものとして把握すべきものである。
(2)「EIZAI」の文字部分の要部非該当性
万が一,本件商標を分離判断するとしても,「EIZAI」の文字部分が本件商標の要部には該当しない。
ア 本件商標を分離判断する場合,(i)「YOU」+「REIZAI」,(ii)「YO」+「UREIZAI」,(iii)「YOUR」+「EIZAI」の方法があり,「YOU」「YOUR」「REIZAI」の部分も要部の候補となり,「EIZAI」の文字部分のみが要部であると判断できるものではない。
イ 最高裁平成20年9月8日第二小法廷判決(最高裁平成19年(行ヒ)第223号)に照らすと,「YOUR」の文字が登録されている(商標登録第417781号及び第5119336号)から,「EIZAI」の文字部分の出所識別力が支配的であると共に「YOUR」の文字部分から出所識別標識が生じないとの前提で,「EIZAI」の文字部分か要部であるとの判断を行うべきではない。
ウ したがって,「EIZAI」の文字部分を要部とすべきではない。
(3)商標法第4条第1項第11号の該当性について
本件商標は,「EIZAI」の文字部分が要部となることはないから,引用商標1及び引用商標2とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても類似するものではなく,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第15号の該当性について
本件商標は,「EIZAI」の文字部分が要部となることはなく,一般需要者が出所の混同を生じることは考えられない。
NEC,Canon,SONY,CASIO,FUJITSU,HITACHI,National,WINDOWS,APPLE,Nikon,SEIKO,ROLEX,OMEGA,HONDA,ISUZU,NISSAN,TOYOTA,SUBARU,楽天,POLA,MONTBLANC,UCC,Meiji(明治製菓株式会社),明治(明治製菓株式会社),SANKYO,三共(第一三共株式会社),キューピー(キューピー株式会社),KAGOMEについて,その著名商標の文字を含む他人の登録がされている。これらのことから考えると,本件商標についても,全体を一体不可分のものとして把握するのが妥当である。
本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第19号の該当性について
本件商標は,「EIZAI」の文字部分が要部となることはなく,請求人のブランド名と同一又は類似の商標とはいえず,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(6)商標法第4条第1項第8号の該当性について
本件商標は,「EIZAI」の文字部分が要部となることはなく,商標法第4条第1項第8号に該当するものではない。
(7)商標法第4条第1項第7号の該当性について
本号の該当性の判断において,周知商標等を使用している者が,出願を行っている(審決注:「怠っている」の趣旨と思料)場合や他社の出願を排除するための適切な措置を怠った様な場合にまで,「公の秩序や善良な風俗を害する」ものとして,適用があり得ると解するには妥当ではない(乙第30号証)。
そして,請求人は,被請求人に対して,本件商標の出願日前の平成23年2月24日に,本件商標の使用に言及した警告書を送付している。そうすると,請求人は,本件商標の指定役務について本件商標を自ら出願することが可能であったにもかかわらず,商標出願をしていなかったのであるから,本件商標の出願を怠っていたというべきである。
さらに,本件商標は,その構成文字をして,きょう激,卑わい,差別的または他人に不快な印象を与えるようなものではなく,これを被請求人が採択し,使用しても,他の法律によりその使用が制限または禁止されるものではない。
したがって,本件商標は,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標ではなく,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(8)まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同第15号,同第19号,同第8号及び同第7号に該当するものではなく,その登録が無効にされるべきものではない。
(1)引用各商標の周知・著名性について
請求人は,「エーザイ」及び「Eisai」は請求人の著名な略称であり,請求人の業務に係る医療用医薬品の商標として周知・著名である旨主張し,周知・著名性に関する証拠を提出するので,以下,検討する。
ア 甲第1号証ないし甲第5号証(枝番号を含む。)は,引用各商標の登録の事実を示すものであり,なかでも,甲第4号証の1及び甲第5号証の1は,防護標章登録の事実を示すもので,登録に係る標章は,「エーザイ」又は図形と「Eisai」との組合せからなるものである。
イ 甲第16号証は,請求人の登録商標の一覧,甲第17号証及び甲第18号証は,引用商標3及び引用商標4の商標公報,甲第19号証は,2004年の日本有名商標集の写し(一部)であり,同号証には引用商標3が掲載されている。
ウ 甲第6号証及び甲第7号証は,請求人のホームページ(写し)であり,甲第6号証の「企業概要」「事業内容」には,「医薬品,医薬部外品,製薬用機械等の製造販売」との記載がある。また,甲第7号証の「『エーザイ』の社名」には,同社の社章が掲載されている。
エ 甲第10号証(枝番号を含む。)は,請求人の業務に係る商品「薬剤」について引用商標4を表示しているものである。
オ 甲第11号証及び第12号証は,請求人商品の売上高を示すものである。
カ 甲第13号証は,テレビ広告,JR東日本,東京近郊の主要駅又は大阪地下鉄梅田駅構内の広告,東京メトロ又は都営線における複数の線の車内吊り広告,主要な私鉄各線の電車内の吊り広告,昭和56年から平成22年に掲載された雑誌又は新聞広告であって,係る証拠に表示された商標は,いずれも引用商標3,引用商標4,引用商標3及び引用商標4がともに表示されているものであって,引用商標2を確認することができない。
なお,表示されている商標が一部明確ではないが,広告商品からすれば,甲第13号証の1及び2(チョコラBB),甲第13号証の3(サクロン)は,引用商標4が表示されているものと推認することができる。
キ 甲第14号証は,雑誌に掲載されたコーポレート・メッセージ調査や就職人気ランキングに関するもので,請求人に関する記載がある。甲第15号証は,新聞に掲載された就職についての人気企業ランキング,各企業や医薬品関連企業の売上高ランキング等であり,甲第15号証の3の医薬品企業の売上高ランキングによれば,請求人は,1997年には,日本で第5位であるほか,多数のランキングに記載がある。
ク まとめ
以上のとおり,請求人提出の証拠によれば,請求人は,医薬品,医薬部外品,製薬用機械等の製造販売する会社であって,永年にわたり,引用商標3又は引用商標4を請求人の業務に係る商品「薬剤」について使用し,広く広告宣伝を行ってきたこと及び相当程度の売上高があることが認められるものであり,甲第17号証及び甲第18号証のとおり,「調剤」を含む第42類に属する役務について防護標章の登録がなされているものである。
そうとすれば,引用商標3及び引用商標4は,請求人の業務に係る商品「薬剤」等について継続的に使用された結果,請求人の業務に係る商品を表示する商標として広く認識されていたものと認められ,さらに,商品「薬剤」のみならず,薬剤を取り扱う役務である「調剤」等の分野における需要者の間において広く認識されていたものということができる。
また,該証拠からは,引用商標1及び引用商標2がその指定役務について使用されている事実は確認することができないとしても,引用商標1の「エーザイ」の文字は,引用商標3と同一の文字であり,引用商標2の「Eisai」の文字は,引用商標4の欧文字部分と同一の文字であることからすれば,引用商標1及び引用商標2も,引用商標3及び引用商標4と同様に判断するのが相当である。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は,前記1のとおり,「YOUREIZAI」の欧文字を表してなるところ,該文字は,全体としては特定の語義を有しない造語といえるものである。
そして,一般的に造語にあっては,これに接する取引者,需要者は,我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語読みに倣って称呼するとみるのが自然であるから,ローマ字読みに倣えば,本件商標からは「ヨウレイザイ」の称呼が生ずるものである。
また,本件商標は,これを英語読み風に称呼しようとした場合,その構成中,前半の「YOUR」の文字部分は,「あなたの」の意味を有するよく知られた英語の「Your」の単語を想起させるものであり,この「YOUR」の英語と「EIZAI」の文字との組合せからなるものと理解,認識させるものである。
そうとすれば,本件商標は,その構成中において「YOUR」の欧文字が親しまれた英語であるのに対し,「EIZAI」の文字が特定の語義を有しない造語であること,「Eisai」の文字が,前記(1)のとおり,請求人の業務に係る商品「薬剤」を表示するものとして広く認識されていることを併せ考慮すれば,本件商標の指定役務中,「薬剤」を取り扱う役務である「調剤」の提供に使用したときは,本件商標に接する者に,その構成中,「EIZAI」の文字部分に着目させ,中間において「Z」と「s」の相違のみである請求人の著名な略称の「Eisai」を容易に連想,想起させるものと判断するのが相当である。
してみれば,本件商標は,その構成中の「EIZAI」の文字部分が独立して取引に資されるものいうのが相当であり,該文字部分から,請求人の著名な略称としての「エーザイ」の観念を生じ,「エーザイ」の称呼を生ずるものと認められる。
イ 引用商標1及び引用商標2
引用商標1は,「エーザイ」の片仮名からなり,引用商標2は,「Eisai」の欧文字からなるものである。
そして,引用商標1及び引用商標2は,前記(1)のとおり,請求人の業務に係る商品「薬剤」を表示するものとして広く認識されているものであるから,請求人の著名な略称としての「エーザイ」の観念を生じ,「エーザイ」の称呼を生ずるものである。
ウ 本件商標と引用商標1又は引用商標2との類否について
本件商標と,引用商標1又は引用商標2とを比較するに,それぞれの構成全体においては区別できるものである。
しかしながら,本件商標の「EIZAI」の欧文字部分と,引用商標1及び2からは,いずれも請求人の著名な略称としての「エーザイ」の観念を生じ,「エーザイ」の同一の称呼を生ずるものである。
そうとすれば,本件商標と引用商標1又は引用商標2とは,それぞれの外観上の相違が,請求人の著名な略称としての「エーザイ」の観念及び「エーザイ」の称呼の同一性を凌駕するということができず,かつ,両商標の役務の提供において,役務の出所の混同を生ずるおそれはないとみるべき特段の事情が存するものとも認められない。
してみれば,本件商標と引用商標1又は引用商標2とは,観念及び称呼を同一にする,全体として相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
エ 本件商標の指定役務と引用商標1又は引用商標2の指定役務との類否について
本件商標の指定役務である「調剤,健康診断,栄養の指導,介護,医療用機械器具の貸与,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,美容,理容,入浴施設の提供」と,引用商標1の指定役務中,第42類「美容,理容,入浴施設の提供,あん摩・マッサージ及び指圧,きゅう,柔道整復,はり,医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,老人の養護,超音波診断装置の貸与」及び引用商標2の指定役務中,「あん摩,マッサ―ジ及び指圧,きゅう,柔道整復,はり,医業,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,老人の養護,医療情報の提供」とは,同一又は類似のものである。
オ まとめ
したがって,本件商標は,引用商標1又は引用商標2と同一又は類似の商標であって,同一又は類似の役務について使用をするものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3) まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから,その余の請求の理由について論及するまでもなく,同法第46条第1項第1号により,無効とすべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
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