結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第35113号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4112345号商標(以下「本件商標」という。)は、「ELLECLUB」の文字を書してなり、第28類「遊戯用器具,ビリヤード用具,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具,おもちゃ,人形,愛玩動物用おもちゃ,運動用具,スキーワックス,釣り具」を指定商品として、平成8年1月9に登録出願され、平成10年2月13日に設定の登録がなされたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第28号証を提出した。
(1)本件商標は、別記のとおりの構成からなる請求人の著名な商標(以下「引用商標」という。)と混同を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当するため、同法第46条第1項第1号の規定により、その商標登録が無効とされるべきものである。
(2)引用商標の著名性
(ア)引用商標の概要
引用商標は、1945年(昭和20年)年に、フランスの女性ファッション雑誌「ELLE」のために、エレーヌ ゴードンラザレフ(Helene Gorden Lazareff)により創作された文字である(甲第3号証)。引用商標の構成は、わずか4文字のローマ字からなるものであるにもかかわらず、その特徴の故に極めて印象深い構成となっている。
(イ)引用商標の著名性
請求人は、1945年フランスに設立された法人であり、引用商標「ELLE」を付した女性向けファッション雑誌「ELLE」の世界各国における出版を中心として、世界各国において「ELLE」との表記を基本とした各商標を管理・登録し、これらの商標を付した各種商品の製造・販売・普及を続けているものである(甲第7号証参照)。
雑誌「ELLE」は、被服、身回品、化粧品、家具、食品等に関する記事を掲載する女性向けファッション週刊誌であり、フランスにおいては第2次大戦前から発行されていたが、現在では世界30ヶ国以上で発行がなされており、その発行部数は、フランス語版だけでも毎週555,000冊に達している(甲第4、5号証)。
さらに、我国においても古くから、請求人は、日本における「ELLE」誌及び「ELLE」ファッションの紹介を積極的にしてきた。(株)マガジンハウスが、請求人の許諾の下に昭和45年3月に雑誌「アンアン(an.an)」を日本版「ELLE」誌と位置づけて創刊し、以来昭和57年に至るまで「アンアン」には毎号本国版「ELLE」誌の記事を一部そのまま掲載するなど「ELLE」ファッションの紹介、普及を図り、その表紙には必ず「ELLE JAPON」の商標を付してきた。
また、(株)マガジンハウスは「アンアン」誌のみに止まらず、その発行に係る「クロワッサン」誌等他の出版物にも、多数「ELLE」誌の記事を「ELLE」の名の下に記載した。昭和57年4月に至り、(株)マガジンハウスにより雑誌「ELLE」を発刊し、さらに、(株)タイム アシェット ジャパンがこれを承継し、同誌の発行を続けている(甲第6号証)。現在に至るまで、同誌が日本における女性向け雑誌の中でも最も人気の高い雑誌となっていることは周知の事実である。ちなみに、我国における、雑誌「ELLE」は、昭和57年4月以後現在に至るまで刊行しているが、毎号の発行部数は20万冊から24万冊に達している。
その内容は、被服、身回品、化粧品その他のファッションの紹介の記事、あるいは、これに関連する広告の記載であり、いわゆる「ELLE」ブランド、「エル」ブランドの国内における源流となっている。
これらの雑誌に掲載されるファッションは現代感覚にあふれた「ELLE」誌独自の特徴を有し、「ELLE」ファッション、「ELLE」カラーと呼ばれて全世界の女性間に広く支持者を持っている。このように、雑誌「ELLE」は、ファッションの世界的中心地たるフランスにおいて発行され世界各国に輸出されており、日本においても「ELLE」誌及び「ELLE」ファッションは、古くから広く知られ、我国のファッションに多大な影響を与えている。(甲第19ないし21号証)。
(ウ)引用商標を用いた対象商品の広範性
請求人は、雑誌「ELLE」の刊行を続けるのみではなく、「ELLE」ファッションの普及をはかるためこ、ライセンシーにこれらのファッションを幅広く商品化させる活動も行ってきた。
このために、請求人は、日本を含む世界各国において、各種商品について商標「ELLE」の登録をなしている(甲第7号証)。
我国においては、昭和39年以来、帝人株式会社(以下「帝人」という。)に対し、引用商標「ELLE」の独占的使用を許諾するとともにかかる活動を推進してきた。帝人は、自ら「ELLE」ファッションに係る洋服を製造、販売する一方、その独占的使用権に基づき、婦人服につきイトキン株式会社、スカーフ・ハンカチ類につき川辺株式会社、水着につき株式会社岸田、エプロンにつき中西縫製株式会社、寝装寝具類につき西川産業株式会社、手袋につき株式会社三大の各社に引用商標「ELLE」の再使用権を許諾した。帝人とこれら各再使用権者は、共同して「ELLE」ファッションの宣伝、販売、普及に努め、その製造、販売に係る商品に引用商標「ELLE」を使用していた(甲第8ないし11号証)。
その後、昭和59年7月に至り、請求人は、帝人との契約関係を解約し、自ら東洋ファッション開発株式会社(平成4年7月1日にエルパリスに商号変更)を設立し、「ELLEファッション」の市場開発、市場調査、企画、利用をはかり、帝人の再使用権者を引き続き使用権者として、引用商標「ELLE」の普及に努めている。また、その間新たな再使用者として、甲第2号証記載のサブライセンシーリスト記載の企業がELLEファッションの事業に加わり、その取扱商品は、各種次のものに及んでいる。
婦人服、紳士服、子供服、ベビー服、毛皮、肌着、ナイトウェア、ハンカチーフ、タオル、靴下、エプロン、婦人水着、浴衣、スキーウエア、ゴルフウェア、手袋、帽子、ネクタイ、マフラー、スカ−フ、アクセサリー、装身具、バッグ、皮小物、ベルト、傘、レイングッズ、履物、寝装具、クッション、バス、トイレ用品、時計、眼鏡、文房具、化粧品、石鹸、喫煙具、陶器、金属製食器、ガラス食器、刃物、ランチボックス。
以上の通り、引用商標のライセンスの下に販売されている商品は、日常の生活のあらゆる分野に及んでいる。これらの商品を通しても、引用商標は我国において良く知られるところとなっているものである(甲第12ないし18号証)。
(エ)本件商標出願時の引用商標の著名性−著名性を裏付ける特許庁の事案
特許庁における審査実績を鑑みても、我が国における引用商標「ELLE」の周知性が極めて高い事実を示す事例が多々存する。
平成元年の時点で既に、引用商標「ELLE」が既に著名であるとして、異議決定を発した事例が存する(商願昭59−124769・甲第23号証)。
更に、ローマ字「ELLE」との表記を含む商標について、商標「ELLE」が著名であることを理由に、出所混同を生じるおそれがあるとして、商標登録出願が拒絶されている事例が多々現れてきている(甲第24ないし26号証及び甲第28号証)。
(3)本件商標の概要
本件商標は、「ELLECLUB」と表記され、「ELLE」部分と「CLUB」部分を区切らずに、連続的に書したものである。しかしながら、「CLUB」部分は、同好の士、すなわち愛好者の集団を意味し、英語でありながらもはや外来語として日本語の日常用語に定着し広く一般化した「クラブ」との語を、一般人をして容易に認識させるものである。したがって、本件商標を目にした者にとっては、「ELLECLUB」とは、「ELLE」と「CLUB」の別々の単語が結合したものとして認識される。
加えて、「ELLE」の部分が冒頭に表示されていること、「ELLE」は請求人の商品等表示として著名な引用商標と全く同一の綴りであること、一方で「CLUB」との語は、広く同好の士を意味する日常用語であることから、取引に際しては、その表示自体が看過されやすく、本件商標のうち「ELLE」の部分が商品の出所表示機能を有する部分でありすなわち要部であるものと解される。
(4)本件商標と引用商標の類似性
(ア)両商標の類似性・出所混同の可能性
本件商標のかかる構成、構成部分「CLUB」の特性、並びに前述の如き引用商標の周知性・著名性及び引用商標を用いた各種経営の多角化の事実にかんがみると、本件商標を付した本願に係る指定商品に接する取引関係者や需要者は、本件商標のうち「ELLE」の部分に着目し、引用商標を連想するおそれが高い。
あるいは、右取引関係者や需要者が、これを「ELLECLUB」と観察したとしても、その指定商品が遊戯用器具、運動用具、おもちゃ等を含む多種にわたる商品を対象とするものであり、引用商標を使用して現に提供されている各商品内容に重複または類似していることを考えると、引用商標の付された商品に何らかの関連を有するものと観念し、引用商標を連想するおそれが高いものと解される。
したがって、本件商標をその指定商品に使用した場合、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
(イ)類似性・出所混同の可能性を裏付ける従前の判例(構成部分「CLUB」の特性)
著名商標とローマ字「CLUB」からなる構成の結合商標について、需要者及び取引関係者がかかる結合商標に接した場合、「CLUB」が広く同好の士の集団を意味する極めてありふれた日常語に過ぎないことを指摘し、著名商標の部分に着目して、出所の混同を生ずるおそれがある旨の審決を支持した高裁判決も存在する(東京高裁平成2年(行ケ)第183号平成3年7月11日判決・甲第22号証)。
(ウ)類似性・出所混同の可能性を裏付ける請求人・被請求人間の判決内容
上記の出所混同のおそれについては、裁判所の判断(平成9年(ワ)第15630号、第19169号、第28015号不正競争行為差止請求事件)においても、明確に認められている(平成10年11月27日判決・甲第27号証)。
同事件は、請求人が原告として、被告被請求人に対し、本件商標同様の表記「ELLECLUB」をその構成要素とする商標5つ(商標登録番号第194140号、第1904777号、第2126774号、第1918565号及び第1922228号)を株式会社デコ・ジャパンが使用又は使用許諾して物品を販売・展示することの差止め並びに商標の抹消を請求した事案である。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は、その指定商品につき、引用商標の著名性、並びに引用商標を用いた各種商品及び役務の有する認知度・普及度、その多角的経営の現状及び将来にわたる可能性にかんがみ、出所混同のおそれを生じ、商標法第4条第1項第15号に該当するものと解される。
被請求人会社破産申立代理人 弁護士新井哲男より、平成11年6月24日付で「本件につき答弁書の提出予定はない」旨の上申書が提出されている。
(1)引用商標の著名性
請求人は、1945年からフランスで引用商標を題号として使用した女性向けファッション雑誌を発行し、1988年頃には、フランス語版が英国、スペインを初め、世界20カ国で発行され、英国、スペイン等13カ国以上の国で各国版が発行されている。日本においては、株式会社タイムアシェットジャパンが1989年12月20日付で引用商標を付した日本語版第9号を発行している(甲第3号証、甲第4号証及び甲第6号証、なお、雑誌「ELLE」第9号表紙写しには甲第5号証とあるが甲第6号証の誤記と判断した。)。
また、1972年2月1日ダヴィッド社発行「服飾辞典」には、「エル」の項目に、フランスのファッションブックを兼ねた大型女性週刊誌の名であるとの記載及びエル社は日本の帝人と提携し、1970年よりファッション産業のシステム化をはかる一方、平凡出版ではその日本版として「アンアン・エル・ジャポン」を隔週刊で出版しているとの記載があり(甲第19号証)、文化出版局発行「服飾辞典」には、「エル・ファッション」の項に、フランスの女性雑誌「ELLE」によって生み出されたファッションということと記載され(甲第20号証)、 昭和54年7月20日文化出版局発行の「増補版服飾大百科事典下巻」には、「エル」の項に、請求人雑誌がファッション中心に編集したフランスの若い女性向きの週刊誌であり、最近では「エル・ファッション」と呼ばれ、全世界の若い女性たちの間に支持者を持つようになっている旨の記載がある。
そして、甲第2号証、甲第8号証ないし甲第17号証によれば、請求人は、他人に引用商標の使用を許諾している事実が認められ、我が国において、現在までに引用商標の使用権者により、文房具、バッグ類、被服、傘、帽子、水着、靴、等多種類の分野に引用商標の付された商品が製造販売されていることが認められる。
以上の認定事実によれば、引用商標は、遅くとも本件商標出願時である平成8年1月前には、請求人の女性向けファッション雑誌及び請求人のファッション関係を中心とした各種商品における商標として著名になっていたものと認められる。
(2)本件商標と引用商標の類似性・出所混同の可能性
本件商標は、「ELLECLUB」のゴシック体の文字を横書きにしたものである。そして、本件商標は、「ELLECLUB」と「ELLE」部分と「CLUB」部分を区切らずに連続的に書かれているが、「CLUB」部分は、同好会を意味する英語の「クラブ」という語を、一般人をして容易に認識させ得るものであることからすると、「ELLECLUB」は、「ELLE」と「CLUB」の別々の単語が結合したものとして認識される。そして、「ELLE」の部分が語頭に表示されていること、「ELLE」は請求人の著名な前記引用商標と同じ綴りであること、これに対し、「CLUB」は広く同好会を意味する日常語であることからすると、一般消費者は、引用商標のうち「ELLE」の部分が、商品の出所表示機能を有する部分であると理解するものと認められる。そうすると、引用商標の要部は「ELLE」の部分と解すべきである。
一方、引用商標は、「ELLE」の文字からなるものであるから、本件商標と引用商標の要部とを観察すると、その呼称は「エル」であって同一であり、外観は、字体は異なるがいずれも「ELLE」であって類似している。したがって、本件商標と引用商標は類似する商標と認められる。
さらに、本件商標の指定商品は、日常の生活で使用される商品であり、引用商標が日常の生活で使用される商品に幅広く使用され著名となっていること前記のとおりであるから、本件商標は、これを被請求人がその指定商品に使用するときは、取引者、需要者をして、該商品が請求人、若しくはこれと組織的、経済的に何らかの関係を有するものの取扱に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により無効とすべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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